「汚すぎて運行できません」 ドイツ鉄道が突然停車、乗客あぜん

ベルリン中央駅に停車する高速列車=ベルリンで2023年7月20日午後2時27分、念佛明奈撮影
ベルリン中央駅に停車する高速列車=ベルリンで2023年7月20日午後2時27分、念佛明奈撮影

 「車内が汚すぎて、これ以上は運行できません」――。

 ドイツ南部ミュンヘン発、北部ハンブルク行きの高速列車ICE(インターシティー・エクスプレス)が6月、走行中に突然停車し、乗客全員が降ろされる事態となった。

 あまりのとっぴな理由に、交流サイト(SNS)では驚きや皮肉の声が相次いだ。

 運行を打ち切ったのは、6月10日早朝に出発した便。約1時間後、南部ニュルンベルク駅で「運行を中止する」とのアナウンスが流れた。

 車掌の説明は「清掃状態が悪く、このままでは運行できない」というものだった。

 乗客の男性は「冗談かと思った」と話した。ドイツメディアに「母の見舞いに向かう途中だった。列車は普段と変わらない程度の汚れだった」と語っている。

ドイツの高速列車ICEの窓に張られる「エアコン故障」の紙。ドイツ鉄道では設備の老朽化が問題となっている=ドイツ中部エアフルトで、DPAロイター
ドイツの高速列車ICEの窓に張られる「エアコン故障」の紙。ドイツ鉄道では設備の老朽化が問題となっている=ドイツ中部エアフルトで、DPAロイター

 SNSでは「またドイツ鉄道か」といった投稿が拡散。「なぜ掃除しないのか」「見送りたかったのに、窓が汚れすぎて息子が見えなかったのを思い出した」など、共感や皮肉のコメントが並んだ。

 ドイツでは近年、鉄道インフラの老朽化が深刻化している。緊縮財政の影響で設備更新が遅れ、遅延やトラブルが常態化。地元メディアによると、6月に運行された長距離列車のうち約4割が6分以上遅れたという。

 鉄道会社からは現時点で詳しい説明は出ておらず、今回の運行中止の背景は不明なままだ。ただ、「これくらいでは驚かない」といった書き込みには、もはや「慣れ」のような空気も漂っている。【ベルリン五十嵐朋子】

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