「車内が汚すぎて、これ以上は運行できません」――。
ドイツ南部ミュンヘン発、北部ハンブルク行きの高速列車ICE(インターシティー・エクスプレス)が6月、走行中に突然停車し、乗客全員が降ろされる事態となった。
あまりのとっぴな理由に、交流サイト(SNS)では驚きや皮肉の声が相次いだ。
運行を打ち切ったのは、6月10日早朝に出発した便。約1時間後、南部ニュルンベルク駅で「運行を中止する」とのアナウンスが流れた。
車掌の説明は「清掃状態が悪く、このままでは運行できない」というものだった。
乗客の男性は「冗談かと思った」と話した。ドイツメディアに「母の見舞いに向かう途中だった。列車は普段と変わらない程度の汚れだった」と語っている。
SNSでは「またドイツ鉄道か」といった投稿が拡散。「なぜ掃除しないのか」「見送りたかったのに、窓が汚れすぎて息子が見えなかったのを思い出した」など、共感や皮肉のコメントが並んだ。
ドイツでは近年、鉄道インフラの老朽化が深刻化している。緊縮財政の影響で設備更新が遅れ、遅延やトラブルが常態化。地元メディアによると、6月に運行された長距離列車のうち約4割が6分以上遅れたという。
鉄道会社からは現時点で詳しい説明は出ておらず、今回の運行中止の背景は不明なままだ。ただ、「これくらいでは驚かない」といった書き込みには、もはや「慣れ」のような空気も漂っている。【ベルリン五十嵐朋子】
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