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なぜ参政党が支持を集めるのか?神谷代表の“ビジュアル”が物語る内面と、感情移入される“下剋上ストーリー”の正体

欧米でも…ポピュリスト的な「保守」政治家の髪型の共通点

 こうしたポピュリスト的な「保守」政治家が人気なのは、欧米でも同様のトレンドです。トランプ大統領、イギリスのジョンソン元首相、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領など。そして、彼らも一様に独特のヘアスタイルをしています。それこそがポピュリズムの源泉なのだと、イギリスの高級紙『The Guardian』が分析していました。(註・2023年12月3日配信)  なぜ、ポピュリストの右翼は、みんな過剰なヘアスタイルをしているのでしょうか? 理由のひとつが、現行の選挙制度にあります。小難しい政策や細かな計画について語る言葉よりも、候補者のカリスマ的なイメージの方が説得力を持ってしまうからです。そこで重要なのが髪型だというわけ。  ロンドン大学クイーン・メアリーのティム・ベイル教授は、こう語ります。 <全ての政治家には各自のブランドがあるが、ことポピュリストということになると、そのブランドは飛び抜けたものでなければならない。髪型はその一部なのだ。それによって、政策にほとんど興味を示さない有権者に認知されることになるのだ。>  明らかに異質なヘアスタイルの政治家が、堂々と攻撃的な言動を繰り返す。その光景に、人々はカリスマを見てしまうという構図があるわけです。

「下剋上的なストーリー」に感情移入してしまう人々

 そして、そこにカリスマ性を見るだけでなく、どこか爽快感を得ている雰囲気もある。既存の勢力にツバを吐く下剋上的なストーリーに感情移入してしまうのです。言動に加え、異様なフォルムのヘアスタイルが、<体制に対して、視覚的に“クソ喰らえ”と言っている>ように見えるのだと、ベイル教授は分析しています。  ソーシャルメディア全盛の時代で、政策の議論よりも強烈なキャラクターのポピュリストが勝つ傾向はしばらく変わらないだろうという見立てです。  参政党の目に突き刺さるようなオレンジと、神谷代表のトゲトゲヘアーは、一体何を表しているのでしょうか?  今回の参院選は、日本にも本格的にポピュリズムの波がやってきたことを示しているのかもしれません。 文/石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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