2025-07-17

「くゆらす女々」の感想と、それに寄せられたコメントについて

id:tester19 です


https://b.hatena.ne.jp/entry/s/tonarinoyj.jp/episode/2550912965947830792

「くゆらす女々」の感想ブコメに「百合に混じれない人がなぜか怒ってるな」といったエアリプっぽいコメントを見かけたので、誤解を避けるために、私の感想をいったん整理して書いておきます


女性向け漫画の一部において、困難に立ち向かう女性人間として描こうという視点が欠けている

私が問題に感じているのは、女性向け漫画の一部、特に現実女性の困難さを描くタイプ作品において、異性や異世代からの加害や理不尽な扱いが、あまり安易物語きっかけとして使われすぎているという点です。

加えて、そうした加害者キャラクターが極端にステレオタイプな描かれ方をしているため、結果として女性キャラクター内面的な葛藤主体性が十分に描かれていないように見えるのが問題だと考えています

その構図はしばしば、「舞台装置として配置された異性・異世代キャラクター翻弄され、それに対して定型的な反応をする女性主人公」という形になりがちで、ある種の“ポルノ的な描写”に近づいてしまっている印象があります


「くゆらす女々」の問題点も同様

今回の作品読み切りであるという制約は理解していますが、それにしても主人公の抱える悩みや背景があまり単純化されすぎていると感じました。

女性人間として描こう”という視点が、どこか置き去りになっているように思えたのです。

この構造は、長期連載の中の短編回や単話完結型の作品でもしばしば見られるものであり、それだけにフォーマットとしての違和感が強く出てしまったのだと思います


シガーバー』をテーマにした本作は、おそらく成人女性を主な読者層として想定された作品と思われます

近年のエッセイ漫画などに見られる、成人女性向けの作品傾向を踏まえると、今回のようなキャラクター造形やストーリー運びも特に珍しいものではなく、よくあるフォーマットの一つとして理解はできます

また、おそらく作者も、深い意図があって男性キャラクターを配置したというよりは、物語の導入部を機能させる“装置”として、不愉快男性キャラを置いたのだと推察します。


もちろん、これを「男性差別的に描かれている」と受け取った方もいらっしゃるかもしれません。(実際、私のコメントをそう解釈された反応もありました。)

しかし私としては、冒頭に登場する男性あくま物語上の“装置”であり、作者に強い悪意や差別的意図があったとは感じていません。

しろ気になったのは、女性キャラクターが“物語主体”として描ききれていないこと、そしてそのために物語全体の説得力が弱まってしまっている点です。


読み切り作品に対して厳しい評価と受け取られるかもしれませんが、近年の読み切り作品では、特に「起」の部分でフックや演出に工夫があるものが多く、

それゆえに、「起」の工夫がなく今回のように素材としてユニークな“シガーバー”というテーマがうまく活かされていないのは、非常にもったいないと感じました。

そのような気持ちからあらためてこの感想を書かせていただきました。

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