無題
この1ヶ月、何をしててもコスプレのことを考えてしまってダメだった。
「今がピークだ」「何かしなきゃ」「今のうちに」
「このレイヤーさんの方がずっと綺麗だ」「勝てない」
前に嫌なことがあったレイヤーの顔を思い出したりして「あの子には負けたくない」「あんなに酷いことが平気でできる人に、いいねやフォロワーがつくのが許せない、つらい」
「次はなんのコスプレをしよう」「あれをやったらウケるのかな」「でもそれは違うよな」「ああ、衣装買わなきゃ」「お金、おかね」「ほしいものリスト置く?」「そんなことしたらきらわれるよ」
「イラストは?イラストやりたいんでしょ?」「コスプレ指南書は?」「文字書きたいよね」「順番だよ順番、写真が先、じゃないとカメラマンさんに失礼でしょ」
スマホを置いても、温泉に入っていても、おいしいものを食べても、漫画を読んでいても、勉強しようとしても、ずっと頭の中に悩む人と批判する人が住んでいて、彼らがずっと喋ってた。
イベントの写真やマルシルの写真集のレタッチをしなきゃと思っても、全然進まなくて、やってもやっても気に入らなくて、最近うわぁんってちょっと思っていた。
なんとなく、海の見える宿で一泊、なにも考えずに過ごしたいと思った。
用事があって北海道に帰ってきた。
何もしなくても、何者にもなれなくても受け入れてくれる地元の空気感が、ここ数年の私には物足りなく感じていた。
でも今は、それがありがたい。
頭が勝手にからっぽになる。
夜、試しに好きじゃない人の顔を思い浮かべようとしたけど、鈴虫の声が心地よくてすぐにかきけされた。
海の見える宿…じゃないけど、カフェに来た。景色が良くて、コスプレなんて無縁な空気で、なにも考えなくていいのが心地よい。
住人よ、そのまましばらく黙って休んでいてくれ。なるようになるから。するようにするから。
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