イギリスで最も有名な木のひとつが切り倒され……16歳少年と60代男性を逮捕
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世界的に有名で、映画にも登場したイギリスの木「シカモア・ギャップ」が27日夜に切り倒され、現地警察は29日までに16歳少年と60代の男性を器物損壊などの罪で逮捕した。
「シカモア・ギャップ」は、イギリス北部ノーサンバランドの世界遺産「ヘイドリアンの壁(ハドリアヌスの長城)」敷地内の、丘と丘の間の自然なくぼみ(ギャップ)に立つセイヨウカジカエデの木で、その姿が広く愛されてきた。
現地の国立公園当局と英ナショナル・トラストが管理しており、樹齢は推定約300年。1991年にはケヴィン・コスナーさん主演の映画「ロビン・フッド」にも登場した。
ノーサンブリア警察は28日に16歳の少年を、29日夜に60代の男をそれぞれ逮捕したと発表した。少年は29日までに、保釈保証金を支払い仮釈放された。
レベッカ・フェニー=メンジース警部は、「まぎれもなく世界的に有名な名所で、地元の宝物だったものが、無残に破壊されてしまい、ここ北東部だけでなく各地で衝撃と怒りが広がっている」と説明。
「こうして2人目を逮捕したことからも、我々がいかにこの状況を深刻に受け止めているか、そしていかに責任者を見つけ出して正義の裁きを受けさせるつもりでいるか、あらわになるといいと思う」と話した。
警部はさらに、捜査がまだ初期段階にあるとして、広く情報提供を呼びかけた。
現場では29日にも鑑識課員が捜査を続けた。「鑑識を31年やってきたが、木を調べるのは初めてだ」と話す捜査員もいた。
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ノーサンバランド国立公園管理局は、「シカモア・ギャップ」を「イングランドのアイデンティティーの一部」と呼び、多くの芸術家や写真家に創作活動のインスピレーションを与えてきたと話した。
歴史的建造物や自然景観の保護に携わるナショナル・トラストのアンドリュー・ポード氏は、残された切り株は「健康」なので、そこから芽を育てることは可能かもしれないと述べた。
他方、イギリスの森林保護団体ウッドラド・トラストのマーク・フェザー氏は、切り株から芽を育てたとしても「それが小さい木になるまでには数年かかるし、失ったあの木の姿に近づくには150年から200年はかかる」と話した。