ハリー・ポッター -Harry Must Die- 作:リョース
ハリーは夢を見ていた。
原初の記憶。全ての始まり。
男性の雄叫びと、物が壊れる破砕音。
女性の悲鳴と、毒々しい緑色の閃光。
そして冷たい高笑いと心臓を鷲掴みにするような殺気。
緑。白。そして何もない瓦礫の山に、佇む邪悪な何者か。
漆黒の怪人が笑う。赤い、紅い、蛇のように冷酷な目で、
こちらを見て、空に浮かぶ月のように口を裂いて、嗤う。
深夜。
激痛と吐き気に襲われたハリーは、呻きながら目を覚ました。
全身が動かないと思ったら、どうやら魔法具で固定されているようだった。
何故こんな拘束をされているのだろうと思ったら、昼間の事を思いだす。
背骨をやられたんだった。記憶がないだけでどんな治療をされたのかはわからないが、きっと想像を絶する苦痛が待ち構えていたことだろう。そういう意味では幸いだった。
目玉だけを動かしていたらカレンダーが目に入った。なんと、あの日から一週間が過ぎている。すると一週間眠りっぱなしだったのか? まあ、下手をしたら一生下半身不随なんてことになていたはずだ。そう考えるとたった一週間、安い代償だろう。
それよりも問題は目下にある。
比喩表現ではなく、本当にハリーから見て下にある問題。
「マダぁ、……が、ぁ…………」
マダム・ポンフリーはいないのかな、という短い台詞すら言えない。
声が声帯を振動させて空気を震わせる原理だという事は知っているが、こんなドデカい振動だとは今まで生きていて終ぞ知らなかった。知りたくなかった。
苦悶の表情を浮かべて悶えるハリーに、目下の問題さんが声をかけてきた。
「ああ、ハリー・ポッター。お労しや……」
ドビーだ。
屋敷しもべ妖精の、ドビー。
そこでハリーはひょっとしたら、と想像する。
こいつはまたもや性懲りもなく、手紙をせき止めるといった妨害で叶わなかったハリーを、今度こそホグワーツから追い出そうと企んでいるのではないだろうかと。
彼は言葉を発せないハリーに向けて涙を流しながら罪を告白する。
「ああ、ああ……ハリー・ポッター。申し訳ありません……すべて、すべてわたくしめの仕業にございます。ホグワーツ特急に乗れなかったのも、ブラッジャーに襲われたのも、すべて、このドビーめの仕業です」
「…………」
目で続きを言え、と指図する。
怯えた様子のドビーは恐る恐るといった様子で話し始めた。
「だめなのです。罠です。ハリー・ポッターはお帰りにならねばなりません。殺されてしまいます」
ぼくは君に殺されてしまうところだったよ、と目線で訴えるも気づいてもらえなかった。
涙ながらに土下座をする勢いで告解は続く。
「ドビーは考えました。ない知恵を振り絞って考えました。ホグワーツは楽しい素敵なところ、それはご主人様からも聞いて知っておりました。ですからハリー・ポッターは学校に行きたい。学校から離れたくない。ならば、学校を恐怖の象徴にしてしまえばよいのだと。そうして、行きたくないと思っていただければ、結果的に御命をお救いすることができるのだと。そう考えました」
冗談ではない。
物には限度というものがあるのだと、彼の主人は教えなかったのだろうか。
いや、案外教えているのかもしれない。
こうして独りで勝手に他者の前に現れている現状に、明らかに犯罪ともいえる行為を屋敷しもべ妖精に行わせる者はいない。簡単に捕まるからだ。
では何故ドビーがこうしているのかというと、やはり彼の独断だろう。
主人の意に背く行為を続けているというのは屋敷しもべ妖精にとっては、恐ろしいことだと言われている。人間で言えば、法を守る者の目の前で常に犯罪を犯しているくらいの心理的重圧がかかっているとされる。
それでもドビーは、ハリーを救おうと様々な手を使ってホグワーツから追い出そうとしている。
ハリーにはわかっている。
それは悪手だと。
「ドビーめは、ハリー・ポッターのためを思ってやっているのでございます。ハリー・ポッターはドビーめを怒ってはだめなのでございます」
ふざけるな殺すぞ。
ぎらぎらした殺意を込めて蛇のような目でそう訴えると、ドビーは怯えた。
理屈と感情は別物なのだ。
どうにかハリーを説得しようと思考を巡らせ、いい言葉が思いつかなかったのか慌ててドビーが口を開いた、その時。
「――――ッ!」
「――――、――!」
「!」
ずいぶんと騒がしく、複数人がやってくる声と音が聞こえてきた。
その行い上、ドビーは自身の姿を誰かに見られることを厭うようだった。
廊下へ繋がる扉の向こうとハリーを交互に見て、諦めたように息を吐く。
そしてハリーにきつく言った。
「お願い申し上げます、ハリー・ポッター。秘密の部屋は開かれてしまった! 怪物に殺される前に、早く!」
ぱちん、と鞭で床を叩くような音と共に、しもべ妖精は消えた。
それと同時にけたたましい音を立てて扉が開け放たれた。
足音を響かせながら現れたのは、マダム・ポンフリーを筆頭にした教師陣。
来たのはマクゴナガルにスプラウト、スネイプやフリックウィットにダンブルドアまで。
彼らは皆一様にひとつの魔法担架を囲んで憚ることなく口論している。
「なんて恐ろしい! いったい、いったいどんな者がこんなことを……」
「例のマンドレイク薬も、ミセス・ノリスに使ったのが最後です。また新しくマンドラゴラを植えなければ新しい薬は作れないわ……」
「更にはいったいどんな魔法を使えばあの石化に至れるのかもわかっておりません。魔法生物の線も考えましたが、ケトルバーン先生もハグリッドも、こんなことができるものには心当たりがないとのころです……」
「問題は、それだけではありませんな。生徒が何者かに襲われたとなれば……保護者連中も、果てはホグワーツ理事や委員会の面々も黙ってはおりますまい……」
襲われた? 生徒が?
訝しんだハリーが先生たちの方へ視線を向けようとするも、首まで動かせないため無理だった。
動かしたら痛い目に逢うのは自分なので、大人しく目だけで懸命に見ようと努力する。
そしてハリーは声が出ないことを有り難く思うことになった。
担架に乗せられていた生徒は知っている者だった。
コリン・クリービー。
あの写真に狂った一年生だ。
あまり好きな子ではなかったが、それでも知ってる顔が酷い目に逢っているのはいい気分ではない。
驚きのまま、彼の様子を見た。
写真を構えた状態のまま、固まっている。あれは、あれはそうだ、ミセス・ノリスのときと同じ硬直の仕方ではないか。
まさか死んでしまったのでは――いや、ノリスは大丈夫だった。
だから彼も無事だと信じるんだ。
「カメラを持っています」
「もしかしたら事件のヒントを何か撮っているかも」
スネイプとスプラウトが苦労してカメラを引き剥がし、フィルムを見るため蓋を開ける。
すると嫌な臭いと共に、電気を交えたようなバチバチとした煙と共にカメラが破裂した。
取り落とされたカメラが、がしゃんと静かな医務室に音を響かせる。
あれはなんだ。いったい何の魔法反応なんだ?
「ア、アルバス。これは……、これは、どういうことです?」
「……秘密の部屋の調査を、急がねばならん。我々が知らぬふりをしてきたツケが、……いまようやく回ってきたようじゃ」
翌日。
ハリーはマダム・ポンフリーに妙な薬品が塗られた布で体を拭かれていた。ピンクの蛍光色となった自身の胸や腹を見ていると、ぶっとんだ奇病にかかったようで妙な気分になってくる。
ふと視線を移せば、所々のベッドが埋まってカーテンが閉められているのがわかる。風邪をこじらせて寝込んだ者たちが多くて幸いだった。固められたコリンのことに気付くものはいないだろう。
マダムが用意した汚れてもいいシャツにもそもそと着替え終えたとき、またも慌ただしくなってきた。
またか、とハリーは嘆息する。
ホグワーツでは異常なほど風邪が流行していた。
暴れ柳という魔法植物から移されたのだから、スプラウト先生やスネイプ先生が頭をひねって解毒薬やら治療薬の開発に専念しているものの、どうも進捗は芳しくなようだ。
しかしやってきたのはウィーズリーの双子だった。
ひどく慌てた様子で、いま担ぎ込まれた生徒は誰かと視線を向ければ彼らの兄、パーシーだった。
彼は監督性としての責任からか、それとも友人としてか、ほぼ毎日ハリーを見舞いに来てくれた生徒の一人だ。ゆえに寝込んでいる他の生徒から風邪を貰っても仕方のない事ではあるのだが……、明らかに顔色がおかしい。
何事かと思ったハリーは、そのまま聞き耳を立てた。
「マっ、マダム・ポンフリー! 頼む、パーシーの様子がおかしいんだ!」
「昨日の夜から熱っぽいとは言ってたんだけど、今朝ぶっ倒れちまった!」
「朝食も全部戻しっちまったし、汗でびっしょりなんだ!」
「鼻水の色がおかしい! お願いだ、なんとかしてくれ!」
切羽詰まった様子のフレッドとジョージに一喝して、マダム・ポンフリーは杖を振って異空間から医療用らしき魔法具を取り出した。以前ハリーが使っていた魔法と同じものだろう。
体温計と尿瓶を混ぜたような道具をパーシーの鼻の穴に突っ込むと、魔法具の中に詰められた赤い液体がぐるぐると目まぐるしく変化する。
「……まさか」
ぽつりとマダムが呟いた。
不安げに見守る双子を余所に、彼女は魔法具を傍の机へ乱暴に置いて、同じ道具を新たに取り出す。それでパーシーの様子を見るも、どうやら結果は同じだったようで見るからに動揺していた。
普段の冷静な態度はどこへやら、杖を振って何やら唱えた。
そしてマダムは杖先を己の右耳へ当て、そこから線を引くように口元へ引っ張る。
淡く光る魔力反応光の残滓を残して、興奮しきった様子の彼女は何事かを囁く。
内容は聞き取れない。しかし顔が青褪めているあたり、良くない事であることは確かだ。
そしてマダムは杖でマスクを取り出し、ウィーズリーズとハリーに与えた。
ここでようやく双子はハリーに気づいたらしいが、構っている余裕はなさそうだ。ジョージの背からベッドに降ろされて息苦しそうにしているパーシーをしきりに気にしている。
しばらくすると、エコーがかった声が城内に響き渡った。
『全ての授業は中断します。生徒はそれぞれの寮へお戻りなさい。教職員は全員、至急職員室へ。繰り返します、職員室へ来てください』
マクゴナガルだ。
何が起きるのかと不安になってくるが、フレッドとジョージが代わりにマダム・ポンフリーに聞いてくれるようだった。
「マダム! いったいなんだってんだよ!」
「パーシーは大丈夫なのか? 先生方を呼ぶって何なんだ!?」
「お静かに。今わかります。先生方が来たらあなた方にも説明しましょう」
マダムは静かにそう言うと、ハリーのもとへやってきた。
近くの小さなテーブルに置いてあった薬瓶から琥珀色と黒のマーブル模様を描く液体をゴブレットに注いで、さっとカーテンを開けてきた。
そしてそれをグイッとハリーに突きだす。
「飲みなさいポッター。事情は後々ミネルバが話すでしょうが、あなたは今日で退院です」
マダム・ポンフリーですら全治一週間なのを、今日で退院にする薬とはいったい何なんだ。
ぞっとするものを感じながら、飲まないともっとひどい目に遭うことを経験上分かっているハリーは一息にぐいっと飲み干した。
熱いような冷たいような、しゅわしゅわした喉越しだ。ハリーは飲んだことはないが、ダドリーがよく飲んでいた炭酸飲料のような感じだろうか。だがダドリーはいつもこんな苦しい思いをしてまでアレらをおいしそうに飲んでいたのだろうか。ちょっと理解できない。
胃の中で薬が暴れる感覚を我慢しているうちに、ハリーは急激に眠気を感じた。
おかしい、頭は全く眠くないというのに身体が眠ろうとしている。
胡乱な目でマダム・ポンフリーの方を見れば、きゅっと唇を結んだまま彼女は言う。
「お眠りなさいポッター。一生痛い思いをしたければ別ですが、週末まではベッドから出てはいけません。大量に汗をかくことでしょうが、ルームメイトにでも拭いてもらうことです、いいですね」
返事をしようとするも、最後の方にはよく聞こえなかったし口までもが重たい。
もう抵抗するのも面倒になったハリーは、そのまま意識を手放した。
ハリーが目を覚ました時は、グリフィンドール女子寮の中だった。
心配顔のハーマイオニーが顔を覗き込んできたようで、目が合う。
目が覚めていることを確認したハーマイオニーはどっと安堵の息を吐いた。
「よかった、目を覚ましたのねハリー」
「むにゃ。おふぁよぅ、ハーマイオにゅあー」
「言えてないわよ。しかしよく眠ったわね、あなたが退院してからもう二日よ」
なんと。
あの薬の催眠作用はちょっと高すぎやしないだろうか。
お昼休みに寮へ戻ってきたハーマイオニーは、少しだけハリーとお喋りしてから授業へと出かけて行った。
ハリーはまだ下半身の骨が再生されている途中で、ベッドから降りることは許されていない。この二日間眠り続けたのも、背骨の再生に体力を取られていたからという理由がある。
とても暇だった。
浮遊呪文でハーマイオニーの机を漁り、指定教科書ではないロックハートの小説を見つけたので勝手に読んでみる。『おいでおいで妖精と思い出傭兵』という小説で、彼の著書にしては珍しく物悲しくもホラーちっくな話に分類されるようだ。
これまた珍しく、ヒロインがほとんど出ない。ロックハートが学生の頃に仲良くしていた先輩と久しぶりに出会い、魔法戦士として活躍していた彼に師事を乞う内容だった。一応教科書として指定されている彼の小説はすべて読破しているため、ハリーには時系列の一番初めか、そのあたりだと思えた。
いつものようにコミカルな文調ではあるものの、内容は一貫して普通だ。
トロールを華麗に誘導してキメラをやっつけたり、バンパイアにおろしニンニクシャワーを浴びせたり等といった派手な行動をしていない。ハリーはニンニクが降りしきる中で戯れるクィレルとロックハートの姿を脳内から振り払い、物語に集中した。
かつての親友であった傭兵がロックハートに杖を向け、隙を見抜いたロックハートが傭兵に武装解除の呪文を浴びせて無力化したところで、ハリーは外がオレンジ色に染まっていることに気がついた。
部屋ではパーバティとラベンダーが着替えており、ハリーがこちらに気が付いた様子を見て声をかけてきた。
「あらハリー。ようやくお目覚め?」
「今日は午後ずっと起きてたけど……」
「ギルデロイな夢からよ。それにしても、その作品よく読めるわね。私長すぎてやめたわ」
「ハーマイオニーが持ってる本だよ。つまり、軽い読書さ」
ラベンダーと軽口を叩き合ってる間に、パーバティが魔法で湿らせたタオルを持ってきた。
はいはいお喋りもいいけど脱ぎなさいね、との指示に従って服を脱ぎ捨てる。
気づけば随分と発汗していたようで、背中の部分がべっしょりだ。
「あらま。ちょっと発育し始めてるわね」
「そう? 最近ハーマイオニーも膨らんできてるし、ちょっと負けたくないな」
「あたしの勘では、年末にはもうぺったんこ卒業な気がするわ。視線に気をつけなさいね。それにあなたの魅力は脚だといっても、ちょーっと隙間ができれば野郎どもはまず目が行くわよ」
「阿呆なこと言わないでくれ。想像したくない」
「なんならハリー、下着のサイズが大きくなったら買い物に付き合ってあげるわよ?」
「え、持ってないんだけど」
怒られた。
乳房が膨らんでおらずとも、擦れて痛い目を見るのは自分なのだと怒られた。
まだ必要ないだろうとは思ったものの、経験者の言を無碍にするのもどうかと思うので、せめて下に肌着くらいは着るようにした。それすら着ていなかったのかと呆れ果てた二人は、ハーマイオニーに事情を説明。当分の間、彼女のスポーツ用の下着を貸してもらうことになった。
「なんか違和感が」
「慣れなさい。必要なことなのよ」
「面倒くさぁい」
世話焼きな姉たちに口うるさく言われながら、ハリーはベッドにもぐりこむ。
ひとしきり言い切ったのち、彼女たちは大広間へ夕食をとりに行った。
三〇分ほどするとホグワーツの紋章が入ったキッチンタオルを纏った屋敷しもべ妖精がやってきて、丁寧に夕食は何にするかと聞いてくる。
……三つ編み? 女性なのか、こいつ。見てくれも清潔であるし、うーむ……謎だ。
とりあえず消化に良く、少し腹にたまるものをと注文すると嬉しそうにパチンと消える。
ホグワーツにもしもべ妖精がいるとは知らなかったが、まぁその特性を考えたらいないほうがおかしい。きっと歴々の校長に従うようにしているのだろう。かの暴れん坊しもべのドビーとはかなり違うようだ。
ふとここで、彼のような屋敷しもべ妖精の思考回路を少しでも把握しておきたくて彼女が戻ってきたときに聞いてみることにした。
少し離れたところでパチンという音が聞こえ、安定した様子でポトフの入った深皿とバターロールの置かれた平皿を持ってくる。
起き上がって礼を言ったハリーに、しもべ妖精は恐縮した様子で言う。
「とんでもないことでございます。私めにはもったいのうお言葉です」
「そうかい?」
「ええ。私どもは魔法使いや魔女に
「ほー……。そういうものなのか」
「そうなのでございます」
感心したように頷いて、バターロールを食む。
名をヨーコというしもべ妖精に、失礼を承知でと前置きしたのちに問いを投げた。
「あるしもべ妖精が言っていたのだけれども、君たちの種族間において『主の意に背こう』と思うようになるってのは、どれほどのものだと思う?」
「そッ!? それは……、私どもの誰か、誰かあなた様に、それほどのご迷惑をおかけになったのですか?」
「あー、いや。すまない、落ち着いてくれ。ホグワーツの妖精ではないと思うよ」
「さ、左様でございますか」
予想以上に動揺されてしまった。
いったい人間換算で言えばどれほどとんでもないことなのだろう?
「私が口にするのも憚られると申しますか、何と申した方がよろしいのでしょうか……」
「口にしづらいなら……」
「ああ、いえ。少々後ろめたいだけですので、大丈夫でございます。……そうですね、貴方様がたで例えますと……、好きな女の子に気持ちを気付かれて彼女とデートをするに至ったけれども財布がぺしゃんこになるまでお買い物に連れ回された挙句デートの終わり際偶然出会った彼氏を抱きしめてキスをする姿を見せつけられた。くらいの仕打ちを受けたような気分にでもならなければ、とてもではないですが背信しようとは思いません」
「……ワーオ」
とんでもなかった。
次ドビーに会った時はもう少し優しくしてやろう。
具体的には杖での制裁をやめて蹴り飛ばす程度で済ませるくらいには。
「とにかく、同種族であることを恥に思うようなことであることはわかった」
「ご理解いただき有難うございます」
「助かったよ。そしてごちそうさま。ひょっとしてこの城で出る料理って……」
「ええ。私どもがお作りなさっております。お気に召しましたら幸いです」
「うん、いつも美味しいよ」
「もったいなきお言葉にございます」
ヨーコと別れ、膨らんだ腹をさすって息を吐く。
腰にもう違和感はない。あとは太ももから足の先までの違和感と痛みがなくなればよいだろう。
一時間ほど後、夕食後のハーマイオニーらと共にマクゴナガルが現れた。様子を見がてら変身術と妖精の魔法、魔法史の宿題を渡しに来たのだ。
その際に最後となるだろう飲み薬を手渡されたのだが、それは本来ならマダム・ポンフリーがくれるものだったので疑問に思ったハリーは問うた。
「体調管理のできていない生徒が多いため、ポピーは忙しいのです」
ラベンダーやパーバティが目を逸らした。
なんだろう。違和感のある答えだったが、ハリーにそれを解く術はない。
どうでもいいやと思って考えを放棄し、マクゴナガルに礼を言う。一言二言お小言を残してから、彼女はハリーたちの部屋から出て行ってしまう。
急ぎ足のため、これからまた仕事が残っているのかもしれない。大変なことだ。
数日して、ようやくハリーはベッドから起き上がることを許された。
久しぶりに湯船につかることができて幸せな気分だ。
この数日間で変わったことは特になかったが、ラベンダーが風邪でダウンしたということくらいだろうか。暴れ柳が名前通り大暴れしているようだ。
移ってしまってはいけないということで、医務室に隔離されてしまった哀れな彼女の分も羊皮紙に板書したため、細い腕がぱんぱんだった。
緑がかった暖かいお湯が肌に吸い付く。魔法具である蛇口から流れるお湯は、例えば今ハリーがピンクがいいなと思えばその通りのお湯が出てくるという魔法の蛇口から生まれ出でたお湯である。肩こりとか怪我の治りが早くなるとか、そんな効能とかありそうだなとハリーは期待しているが、そんなものはない。
誰もいない風呂場で、ハリーは一人を吐く。
ふとハリーは、先が尖りはじめた自分の胸を見下ろす。
素直に奇妙だと思う。今までダーズリー家で、性別を意識した扱いをされたことはなかった。もともとダドリーはハリーと一緒に風呂に入ることを嫌がったし、そもそもペチュニアが忌避していた。
女性扱いされ始めたのは、ホグワーツの存在をハリーが知ってペチュニアがぶっ飛んでからだ。
なんだかむず痒い感じがする。
ルームメイトを思い出す。パーバティとラベンダーは、すでに大人っぽい下着をつけねばならないほどには成長している。とはいっても、十二歳前後としては大き目という意味だ。上級生を見れば何だテメー胸にメロン仕込んでんのかコラと思うような子はそこそこいる。
ハーマイオニーですら、胸には丸みを帯びた膨らみがあった。
ハリーは実のところ、自身が女性であることを嫌がっている節がある。
はっきり言って貧弱なのだ。特に昨年度末。ネビルとの、そしてクィレルとの戦いで強くそう思った。
あの時ハリーは、ネビルに対して全体重を乗せた蹴りを放った。魔法で相当威力をブーストしたうえでだ。しかし結果は、ネビルの内臓をひとつかふたつ傷つけただけ。殺す気で放った一撃だというのに、たったそれだけ。骨すら折れていない。
クィレルに対しては、頭部に掴み掛って灰化させて殺そうとした際のことだ。奴が吸血鬼であったことを差し引いても、腕がないにも関わらず振り払われた。頭を振ってハリーの手がすり抜けたところを、蹴り飛ばされたのだ。
力が欲しいと思って腕立て伏せなどの筋トレを行っても、大して筋肉はつかなかった。
今までがほとんど栄養失調状態だったのだから、一年やそこらで健康的な肉体が培えるわけではないとはわかっている。効果が出るとしても数年後かもしれない。
けれどハリーは、自分の胸を見下ろして、浮き出る肋骨を見て、腰の細さを見て、嘆息する。
「面倒な身体だ」
そして心の方も、面倒くさかった。
*
フリットウィック先生が倒れた。
原因は重度の風邪だそうだ。
秘密の部屋などという不可解なうわさが流れている昨今、ひょっとしてそこから這い出てきた怪物の仕業なのではという素っ頓狂なうわさが流れてしまっている。
その不安は不安を呼んで、決闘クラブなるものを発足させるほどだった。
決闘クラブとは、文字通り決闘する集まりである。まんまだ。
要するに今回のケースでは、決闘の際に必要となる攻撃的な呪文を知ることによって多少の自衛手段を得るとともに、生徒たちに安心感を与えたいという思惑があったのだろう。
そういった課外授業のような催しは生徒たちに大変人気で、すでに六回目の開講と相成っている。
さてこの決闘クラブ。
ハーマイオニーから話を聞いたとき、ハリーは少しだけわくわくしてしまった。
ひょっとすると上級生と決闘できるかもしれない。そうすると二年生の身空では習うことのできない魔法もきっと使ってくるに違いない。だとするとそれを盗めたらステップアップにつながるのではないだろうか? 戦闘力の向上ができるのではないだろうか?
隣で親友がろくでもないこと考えてるなと直感しながらも、ハーマイオニーとロンは第七教室まで歩いて行った。今回の行われる決闘クラブの会場はそこだからだ。
「私だ」
お前だったのか。
自らの自伝を顔の横に並べ、表紙の写真と同時に白い歯を見せるスマイルを飛ばしてからの同時ウィンク。そして投げキッス。
杖を抜きそうになる心を自制するのに必死な生徒たちを放っておいて、ロックハートは輝く笑顔で授業の詳細を朗々と何故か演劇調に話し始めた。
「いいですか? まず私がお手本を見せてさしあげましょう。カァムォ――ン助手助手くぅ――んッ」
「…………」
うわっと声が上がった。
ロックハートに呼ばれて出てきたのは、こめかみを抑えた姿のスネイプ。
たぶん無理矢理引っ張り出されてきたのだろう。不機嫌なのが目に見えて分かる。
「それでは三、二、一で一斉に相手に魔法をかけるのです。さぁーってではではいよいよお手本をお見せいたしまっしょい! ああ、安心していいですよォう。魔法薬学の先生を消し飛ばしてしまったりはしませんか・ら・ネッ! 明日以降も授業はありますハイ!」
「………………」
ハリーはスネイプのこめかみに青筋が浮かび上がったのを見た。
あれは相当怒っている。というか苛立っている。
間違っても彼の視界に入らないようにして、その気配が気に入らないなどという理由で減点されても困るので極力息を潜めて見守った。
ド派手な格好をしたロックハートと、いつもの黒尽くめからローブを脱いだ格好のスネイプ。ハーマイオニーがぽろりと零した言葉によれば、スネイプのあの詰襟みたいな服は、一応ブランド物らしい。意外な事実だった。
両者ともに細長い台の上に上がり、中央まで歩み寄る。
その行動の逐一を解説するロックハートは笑顔を絶やすことはない。ここまで来ると流石だ。
「中央で互いに対峙したら、こうやって顔の前に杖を構えます。これは獲物を相手に見せることで、『俺はこの杖で正々堂々お前を倒すのだ。ハァーン・スァーッムッ!』って宣言することになるんですね」
「……………………」
「そうしてそれをかっこよく振り下ろす! あっ、ホラ見て下さい今スネイプ先生がやったキレのある振り下ろし方は満点です。ああいう風に自分の中でかっこいい己の姿を思い浮かべて、シュッと振り切る。ここで恥ずかしがってはだめです、彼のように威風堂々と己のカッコよさをイメージして……おやスネイプ先生どうしました、息が荒いですよ」
「………………………………」
「そうそして相手に背を向けます。大股で三歩分だけ歩きまして、そして振り返って杖を構える! ああ、ホラ、スネイプ先生の構え方とかカッコいいでしょう? 一晩寝ずに考えたポーズでもよし、自分が思い描くヒーローの姿でもよし、私もよし、あなたもよし、みんなよし。ああやって杖の構え方にも優雅さが必要とされるのが、決闘という文化なのです。……スネイプ先生大丈夫ですか? 体調の方は……あぁー、問題ない。ありがとうございまっする。んではみなさん、よく見てごらんなさい。スネイプ先生が負けても、笑っちゃいけませんヨ!」
「…………………………………………………………」
「そして三つ数えたあとに魔法を撃ち合います。ここではお手本ですし、相手の武器を取り上げるだけにしておきましょう。んでは、始めましょう。ワン・トゥー・スリー」
「『エク――」
「……でもいいですし、アン・ドゥ・トロワでも、イッチ・ニー・サンでも」
「『エェェェエエックスペリアァァァアアアアアアアアアアムス』ッッッ!」
スネイプの半分裏返った声がスペルを紡ぐ。異常なほどの魔力が込められて、教室中が真っ赤に染まるほど強烈な武装解除呪文が彼の杖先から吐き出した。
驚いた顔をしたロックハートの鳩尾に魔力反応光が直撃して、彼の身体が天井近くにまで吹き飛んでいく――男子生徒の歓声があがった――尻からどしんと台に落とされた。
「ロックハート先生大丈夫かしら!?」
「頭がかい? 手遅れだよ」
尻を抑えて無様にうめき声をあげるロックハートを余所に、男子生徒からは歓喜のスネイプコールが巻き起こる。おそらく生涯でそんな歓迎をされたことがないのだろう、仏頂面ではあるがハリーは彼が照れていることを見抜いていた。耳が少しだけ赤い。可愛いぞ中年。
どうやら尾てい骨が折れたらしいロックハートが医務室へ運ばれてゆき、生徒それぞれの決闘練習が始まった。ロンはディーンと組んだので、ハリーはハーマイオニーと組もうと思って横を見る。
「やあポッター」
だが居たのは栗色の秀才ではなく、白金の蛇であった。
押しのけられて迷惑そうな顔をしたハーマイオニーが、こちらを見て一転心配そうな顔になる。
ハリーとしては悪い事ではなかった。
そうか、上級生でなくとも糧になりそうなやつが居たじゃないか。
ハリーはほくそ笑むと、顎でドラコに向かう先の台を指示をする。
にやりと笑ったドラコが頷くと、二人そろって用意された台の方へと歩き始めた。
周囲の生徒がその様子に気づき、青褪めた者はモーセのように道を開ける。野次馬根性を出した者は二人がやってきた台の周りに集まり始めた。
スネイプが騒ぎに気付き、ねっとりとした深い笑みを浮かべた。
「ミス・ポッター。ミスター・マルフォイ。皆の手本になりたまえ」
「はい先生」
「もちろんです」
ハーマイオニーはスネイプを睨みつけ、余計なことを言うなと念を飛ばす。
しかし魔法でもない念は通じるはずもなし、これから始まるショーに皆が注目してしまう。
ハリー・ポッターとドラコ・マルフォイ。
今年度ホグワーツの二年生ならば、誰もが知っている因縁の対戦カードだ。
特にグリフィンドールとスリザリンの二年生は皆が覚えている。
昨年の飛行訓練の授業。二人の獰猛な笑い声。
やばいことになるんじゃないだろうか、という二人の予感は的中することになる。
「では、二人とも。台の上で礼をしたのち、杖を掲げ敬意を相手に」
「『エヴァーテ・スタティム』!」
「『リクタスセンプラ』!」
「――背を向けて一歩ずつ離れ話を聞け莫迦者どもグリフィンドール一点減点」
「ポッターきさま! 『ステューピファイ』!」
「痛ッたいなぁ! 『エクスペリアームス』!」
「同じことを言わせるな我輩の話を聞いているのかグリフィンドール二点減点」
シュールなことになっとる。
ハリーとドラコが、スネイプの制止の言葉も聞かずに呪文を撃ち合っている。
そのあまりにもド派手な応酬に、周囲の生徒は自分たちの決闘をやめて野次馬に変化した。
もう二人を止めることは諦めたのか、最後に「おのれポッター」とスネイプは呟く。
赤や緑、青に紫と、多種多様な魔力反応光が二人の間を飛び交ってゆく。時にはハリーが走って近寄り、ドラコに直接蹴りを入れることもあれば、ドラコがその足を掴んで放り投げてしまうこともある。
野次馬たちは何かのショーを見るように大騒ぎし始め、いっそ祭りの様相を呈してきた。
だがその熱狂も、ドラコの放った呪文で水を打ったように静かになる。
「『サーペンソーティア』、蛇出でよ!」
ばしゅ、とドラコの杖から飛び出してきたのは一匹の蛇。
大人の腕ほどの太さを誇るその蛇はハリーを睨みつけると、しゅるしゅると這い寄ってゆく。
それに対してハリーは、口を開いた。
そして次の瞬間。
次々と後続の蛇を生み出してハリーにけしかけていたドラコの笑みが凍る。
【止まれ】
ハリーの唇から零された言葉に、周囲がびくりと身を竦ませた。
それは野次馬な生徒たちだけではなく、ドラコも、スネイプも、蛇ですらそうだった。
シューシューと、まるで蛇のような。
いや。蛇そのものの言語を以ってしてハリーは呟く。
【さあ、おいで蛇たち。こっちにおいで、ぼくに従え】
まるで姫の号令に従う騎士のように。
ドラコが造りだした蛇たちはハリーの足元に集まると、そのこうべを垂れた。
そうするのがさも当然というように、ハリーは笑みを深くした。
杖を持っていない左腕を高々と掲げて、振り下ろす。
【奴を、ドラコを絞め落とせ!】
命令に従った蛇が、弾かれたようにドラコへ飛び掛かった。
呆然としていたドラコがはっと気が付くも時すでに遅く、胴やら首やらにとぐろを巻くように蛇たちが巻きついた。停止呪文で蛇たちを消そうとするものの、ハリーが飛ばした指示によって青大将の尾が突っ込まれ、口がふさがれる。
もがき続けたドラコが、蛇を振りほどこうとして失敗し、ふらりとよろけて倒れる。
酸欠で気を失ったのかもしれない。
そこでスネイプが決着がついたとして、声を張り上げた。
「『ヴィペラ・イヴァネスカ』!」
【蛇ども!?】
ハリーの悲痛な声と共に、蛇はそのすべてが焼失したかのように消え去った。
いったい何をするんだ、と言いたげなハリーの目は、すぐに怯えに変わる。
スネイプが。
セブルス・スネイプが憤怒の表情をしていたからだ。
今までに見たことのない、憎悪と激情、そしてほんの少しだけ畏怖が込められた顔。
口から洩れるシューシューといった息が、震えた英語に変わる。
「ス、ネイプ、先生――」
「決闘クラブは終わりだ。解散とする。ポッター! ……来い、ドラコを運ぶのを手伝いたまえ」
周囲の刺すような視線からハリーを逃がそうとして、ロンとハーマイオニーが近づいていたがスネイプの一喝によりその目的は阻まれた。
ドラコの身体を杖で浮かばせ、スネイプは低い声でハリーに着いて来いと命じる。
粛々とそれに従うハリーは、背中に突き刺さってくる視線の意味が分からなかった。
「ポッター。いつからだ」
ドラコが医務室へ放り込まれ、その扉の前でスネイプに鋭く問われる。
何のことかわからないという顔をすると、彼はさらに声を張り上げた。
「
「ど、どういうことですか? 魔法界では動物と話すなんて普通にやるんでしょう?」
ハリーのうろたえた答えによって、スネイプは怒りを溶かしてしまったようだった。
顎に手を当て、何かを考え込む仕草を見せる。
「先生……?」
そして彼はハリーに向き直り、いつもの固い表情で告げる。
「
「
「この言語は後天的に学ぶこともできるが、まず声帯の構造が違うので習得率は低い。ゆえに、ほとんどは生まれつきの才能や血筋によるものが多い。これには世界中、過去数多の術者が該当した。ギリシャの腐ったハーポは明確に記録が残っている最古の蛇語使いだ。中国の楊家や凰家、インドの王家にエジプトの王家も代々蛇語使いだ。日本の土御門家も有名とされてる。そして我が国イギリスでは、かのサラザール・スリザリンが生粋の蛇語使いとして英国の頂点に君臨していたと記されている」
「……!」
サラザール・スリザリン。
それはホグワーツ生ならば知らぬ方がおかしい名前だ。
ホグワーツ創始者が四人のうちの一人で、蛇寮を司った伝説の魔法使い。
ゴドリック・グリフィンドールにロウェナ・レイブンクロー、ヘルガ・ハッフルパフの三人と共にこの学び舎を作りあげ、若き魔法使いや魔女の教育に腐心した男。純血主義者であり、魔道の血が濃いものにこそ本を与えるべきであると主張するも、魔法族ならば分け隔てなく知識を与えるべきとする他三人と真っ向から対立した結果、ホグワーツを去ることになったとされている。
頭脳になにより自信のあったロウェナ・レイブンクローは、知性の象徴として青き大鷲を。
優しく人望の厚かったヘルガ・ハッフルパフは、洞穴でのんびりおおらかにと黒き穴熊を。
騎士であったゴドリック・グリフィンドールは、何よりも心からの勇気を貴び紅き獅子を。
蛇語使いだったサラザール・スリザリンは、狡猾なる野心こそ崇高として愛する緑の蛇を。
四人が夢を見て作り上げたホグワーツは、皮肉にもその夢によって四分割に分かれてしまったとされる。
「そして、」
ハリーはスネイプを見る。
泥のような明るい緑の目で、
「闇の帝王もまた、蛇語使いであったとされている」
黒く光る昏い目を見る。
ハリーではない誰かを重ねて見るような目で。
スネイプはハリーをじっと見つめていた。
【変更点】
・風邪がヤバい。何がヤバいってとにかくヤバい。
・女性としての成長。胸は一番わかりやすい変化ですね。
・屋敷しもべ妖精への認識。
・蛇語使いのバーゲンセール
【オリジナルキャラ】
『ヨーコ』
本物語オリジナル。ホグワーツの屋敷しもべ妖精で、女性。
グリフィンドール寮の女子寮清掃を担当している。夫は蛇寮掃除担当のジョン。
ロックハートは楽しいし筆が進むけど、こいつがいると話が進まない。なんだこいつ!
謎が少ないだけに展開が早い。その分ハリーも大変。全くホグワーツは地獄だぜ。
この2巻においての酷い追加要素を当てた君にはバジリスクの視線をプレゼント!
原作の蛇語使いはサラザールにゴーント家やハリー、ダンブルドアのみ。これがジャンプならもっと出てきたはずなのにと思いました。こいつがスーパー蛇語使い3! 今後は別に出てこないかもしれない。ヨーコも二度と出てこないかもしれない。