「ドイツ年間ゲーム大賞」は毎年、ドイツ語圏で販売されたボードゲームやカードゲームのうち、最もすぐれた作品に与えられるもので、ボードゲームの世界最高峰の賞とされています。
日本時間の14日、ドイツでことしの大賞が発表され、日本のゲームデザイナー、林尚志さんがデザインした「ボムバスターズ」が選ばれました。
「ボムバスターズ」はプレーヤーたちが協力して爆弾のコードを切断し解除するという設定のボードゲームで、コードに見立てたほかのプレーヤーのタイルの数字を推理してあてることでゲームが進みます。
「ドイツ年間ゲーム大賞」にはこれまでも日本人のゲームデザイナーが制作したボードゲームが最終候補に残ったことがありましたが、受賞するのは初めてだということです。
授賞式で林尚志さんは「日本から応援してくれているみなさん、毎週僕の家に来てテストプレイをしてくれる仲間と最愛の妻に感謝します」と話していました。
「ドイツ年間ゲーム大賞」日本人制作のゲームが初受賞
ボードゲームの世界最高峰の賞とされる「ドイツ年間ゲーム大賞」に日本のゲームデザイナー、林尚志さんがデザインした「ボムバスターズ」が選ばれました。日本人が制作したゲームがこの賞を受賞するのは初めてです。
ボードゲーム業界で世界最高峰「ドイツ年間ゲーム大賞」とは
ドイツ年間ゲーム大賞とは世界的に見てもボードゲームが盛んなドイツで、1979年から始まったボードゲーム業界で世界最高峰とされる権威ある賞です。
毎年、その年と前の年にドイツ語圏で発売されたボードゲームやカードゲームを対象に評論家などがゲームの文化を普及させるのに最も適している作品を選んでいて世界中のボードゲームの愛好者から注目されています。
現在は大賞、エキスパート、キッズの3つの部門に分かれていて、「カタン」や「カルカソンヌ」、「ドミニオン」など現在も広く遊ばれているゲームが 大賞に選ばれてきました。
これまでにドイツやアメリカなどのゲームが受賞していますが、日本人のデザイナーが制作したゲームが受賞するのは今回が初めてのことです。
受賞した「ボムバスターズ」はプレーヤーたちが協力して爆弾のコードを切断し解除するという設定のボードゲームで、コードに見立てたほかのプレーヤーのタイルの数字を推理してあてることでゲームが進みます。
日本でボードゲームの人気 急速に高まる
近年、日本国内ではボードゲームの人気が急速に高まっています。
アナログゲーム産業年鑑制作委員と矢野経済研究所が共同で行った調査によりますと、ボードゲームやカードゲームなどを含むアナログゲームの国内の市場規模は2024年度はおよそ78億円を見込んでいて、成長基調となっているほか、出版された数は2013年の78点から2023年の234点と3倍に増えたということです。
また、国内最大規模のアナログゲームのイベント、「ゲームマーケット」のホームページによりますと、2000年のイベントの参加者数は400人ほどでしたが、ことしの春は2日間で2万7000人ほどとなっていて、ファンの数がこの20年余りで大幅に増えたことがうかがえます。
日本のボードゲーム事情に詳しい安田均さんによりますと、2010年ごろからボードゲームは徐々にブームとなり始め、ゲームを楽しめるカフェなどが増えたことや、SNSでゲームの情報が共有されやすくなったことで、国内でも根づいたのではないかとしています。
こうした中、日本人がデザインするボードゲームが海外で発売されることも増えていて注目も集まっているということです。
また、最近はプレイヤーどうしが競い合って勝者を決める対戦型のゲームではなく、複数のプレイヤーで共通の目標を達成する「協力ゲーム」が数多く発売されていて、ドイツ年間ゲーム大賞も「ボムバスターズ」を含め3年連続で「協力ゲーム」が受賞となりました。
林尚志さん「エベレストを登ったような気持ちで名誉なことです」
ドイツ年間ゲーム大賞の受賞作「ボムバスターズ」を制作した林尚志さんは1976年生まれの49歳。
愛知県知立市出身で神奈川県在住のゲームデザイナーです。
大学在学中にボードゲームを作り始め、そのころからドイツ年間ゲーム大賞の受賞を夢見てきたということです。
林さんは「発表の時は受験の合格発表を待つような気持ちでしたが、すごくうれしかったです。人生で今、最高だと思うんですが、まだ実感できてないです。受賞は30年来の夢だったのでエベレストを登ったような気持ちで名誉なことです。日本人でも最近はボードゲームを作る人がたくさんいてレベルも上がっているので、誰が取ってもおかしくなかったと思います」と喜びを語りました。
また、受賞作の「ボムバスターズ」について、「トランプのババ抜きを協力ゲームにしたらどうなるかというところから発想して作りました。コロナ禍、オンラインで友人たちにテストプレイをしてもらったらよい反応だったので手応えを感じていました」と語りました。
そして、「ゲームのミッションが66個もあるので、長く楽しめると思います。4人プレイがベストだと言われますが、2人でも、3人でも、5人でもすごく楽しいゲームなのでぜひ長く遊んでください」と話していました。
専門家 “日本のすぐれた作品もさらに出てくる流れに”
ボードゲームに詳しい安田均さんは今回の受賞の意義について「世界のボードゲームの関係者がドイツ年間ゲーム大賞をねらっていて、ここで選ばれるような作品を作りたいとデザイナーも出版社も努力しています。2010年代後半からポツポツと日本の作品も候補に選ばれるようになってきた中で、とうとう『ボムバスターズ』が大賞を受賞したのは非常に喜ばしいことです」と話していました。
そして、受賞作の「ボムバスターズ」について、「21世紀に入って、多人数で協力しながら進めるパズルゲームが1つの分野として注目されているのですが、『ボムマスターズ』はその中でもユニークで、どんどんパズルの種類が変わっていくおもしろさがあり非常によくできています」と評価していました。
また、デザイナーの林尚志さんについては「国内のボードゲームブームの初期のころから、日本を代表するボードゲームデザイナーとして有名な方で、『ついにやったね』という感じです。海外でも評価されていて、いつか受賞すると思っていたので『おめでとう』と本当に心から思います」と祝福していました。
そして、ボードゲームをめぐる今後の状況について、「林さんが受賞されて、アジアのおもしろいゲームが世界で広がっていく可能性を感じています。日本のすぐれた作品もさらに出てくる流れになっていくと思うので、今後も注目です」と話していました。
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