相模原市がこのほど、市精神科病院虐待対応窓口への通報状況を発表し、2024年度1年間に被害者や発見者から計20件の通報があったことが明らかになった。そのうち虐待と認定された事案は1件だった。市は「各医療機関に対し、ガイドラインに沿った対応ができているかどうかや研修の実施状況などを継続的にモニタリングしていく」としている。
通報状況は、昨年4月に改正された精神保健福祉法に基づいて市が初公表したもの。対応窓口の対象は市内全6カ所の精神科病院。市が公表した集計によると、24年度の1年間で発見者による通報は9件、虐待を受けたとする人からの届け出は11件だった。
このうち、虐待と認定されたのは1件で、被虐待者は1人。虐待を行った人の職種は准看護師で、虐待の種別は「性的虐待」だった。市は虐待の具体的な内容について「公表が義務付けられておらず、件数が限られていることから個人情報に配慮し非公表」としている。
昨年に法改正通報が義務化
精神科病院をめぐっては、全国的に院内の障害者への虐待事案が後を絶たない。過去には入院中の障害者が看護師らからの執拗な暴力の末に死に至った事案もあり、虐待の未然防止や早期発見への取り組みの推進が課題となっていた。昨年の法改正により、精神科病院の業務従事者による虐待を受けたと思われる障害者を発見した人は、速やかに都道府県や政令市に通報することが義務付けられた。
自治体は通報を受けると、虐待にあたるかどうかを調査・確認した上で、虐待の事実があった場合は医療機関に対して指導を行う。今回認められた事案については、診療簿や帳簿書類の確認、市職員による聞き取りを踏まえ、改善計画の提出を求めた。その後は提出された計画通り適切に進んでいるか、およそ3カ月ごとにモニタリングしているという。
市精神保健福祉課の担当者は「各医療機関に対しては日本精神科看護協会によるガイドラインや、障害者虐待防止法に準じた虐待の種別を確認するよう伝えている。人権擁護に関する研修の実施状況の確認や、年に一度の実地指導監査などを継続して行い、今後も指導を行っていく」としている。
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