公明党トップ / 8.持続可能な地球環境の実現に向けて
8.持続可能な地球環境の実現に向けて
8.持続可能な地球環境の実現に向けて
①脱炭素社会の実現へ
○未来の担い手たちに希望あふれる地球環境を引き継ぐためにも、世界規模での脱炭素化に向けた取り組みの強化が不可欠です。世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べ1.5℃に抑える努力をする国際目標(1.5℃目標)を踏まえ、地域、暮らし、産業の脱炭素化を加速させるとともに、気候変動対策を日本がリードします。
●地域の脱炭素化を推進するため、GX経済移行債も活用し、自治体への大規模・安定的な財政措置を実施します。特に、脱炭素先行地域の100カ所以上の実現や自家消費型太陽光発電等を導入する重点対策加速化事業を支援する地域脱炭素推進交付金の充実を図るとともに、ノウハウ発信や資金支援により先行モデルの普遍化を図ります。
●地域の金融機関とも連携しつつ、脱炭素化支援機構の活用による官民一体での、地方創生に資する案件含むさまざまな脱炭素事業に対する投融資を促進します。
●脱炭素に向けた新たな技術・イノベーションを地域に実装し、GX分野の国内・地域産業の発展や需要創出へとつなげるため、熱の脱炭素化や水素の活用、ペロブスカイト太陽電池等、新たに実用化されつつある脱炭素技術・製品を地域に集中的に導入する新たなモデル(地域GXイノベーションモデル)の構築を検討します。
●日本発の技術であるペロブスカイト太陽電池については、早期の社会実装に向けた需要の創出を図るため、公共施設の屋根等への導入を進めるとともに、地方自治体等による意欲的な率先導入を支援します。
●地域と共生した再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大に向け、地球温暖化対策推進法に基づく促進区域等における地域共生・地域裨益型の再エネ導入の促進、地域エネルギー会社による再エネの導入・地産地消、上下水道等の公営企業を含む公共部門での再エネ率先導入、再エネ由来の水素サプライチェーンの構築を促進します。
●再エネ海域利用法を改正し、洋上風力発電を促進する区域の指定に当たり、国による海洋環境調査を着実に実施し、海洋環境等の保全の観点からの適切な配慮に努めます。
●避難所や防災拠点となる公共施設等への太陽光発電設備などの再生可能エネルギーと蓄電池の導入は、災害時における照明や冷暖房器具の使用のほか、重要なライフラインとなるスマートフォンの充電など「電源の確保」につながるため、全国の避難所や防災拠点への再エネ・蓄電池の導入率100%に向けた取り組みを進めます。
●企業や国・自治体による再エネ調達を促進するため、それらの主体が保有する施設に事業者が初期費用ゼロで発電設備を設置できるPPAモデル(Power Purchase Agreement:電力販売契約)の拡大とともに、電力契約を伴わずに再エネ価値のみ取引可能なバーチャルPPAの導入を進めます。
●公設試験研究機関等や地域企業等が連携した、地域特性に応じた営農型太陽光発電等の脱炭素技術の開発・実証を推進するとともに、地方自治体がこれらの社会実装を進めることによる脱炭素と地域課題同時解決に取り組みます。
●家庭における環境配慮型ライフスタイルへの転換を加速するため、ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ性能を有する新築住宅(GX志向型住宅)等の導入を支援します。省エネ対策が進んでいない既存住宅を対象に、窓等の部分断熱も含めた断熱リフォーム等への重点的支援を行います。
●建築物について、建設や廃棄を含むすべての工程で排出される温室効果ガス(ライフサイクルCO2)の算定及び削減を促進します。また、ZEB化や既存建築物への省CO2設備の導入に対する支援を行います。
●電気自動車(EV)・燃料電池自動車(FCV)等の普及を通じた「ゼロカーボン・ドライブ」の取り組みを推進するとともに、地域の交通・物流を支えるバス・タクシー・トラック、ごみ収集車等の脱炭素化を促進します。さらに、水素やアンモニアを燃料とするゼロエミッション船等の普及のための生産設備の導入を支援します。
●フロン排出抑制法に基づき、業務用冷凍空調機器の冷媒フロン類の廃棄時回収率を向上させ、機器使用時の漏えいを防ぐIoT等のデジタル技術の活用を進めるとともに、脱フロン・省エネ型自然冷媒機器の導入加速化を推進します。また、我が国の技術・経験等を活かして、途上国におけるフロンの排出抑制を支援します。
●CO2吸収源として期待される沖合のブルーカーボン(大気中の二酸化炭素を海草や海藻などによって吸収・固定するもの)について、海底沈降等による吸収量の算定方法の確立を促進し、さらなる国内インベントリ報告をめざすとともに、藻場・干潟の保全・再生・創出等の里海づくり、大規模海藻養殖技術の高度化等を推進します。
●インフラ等を通じたCO2の吸収・固定を可能とするCO2吸収型コンクリートについて、引き続きインベントリ報告対象技術の拡大を進めるとともに、J-クレジット化の検討を加速します。また、公共事業への積極的な活用など、普及に向けて取り組みます。
●気候変動適応法に基づき、高温耐性品種の導入等の農林水産業における対策、流域治水や砂防堰堤等の防災・減災の取り組み、生態系や水環境・水資源の保護、感染症や熱中症等の健康被害への対策等の総合的な適応策に取り組みます。
●顕在化する気候変動の影響に対し、自然、文化行事、スポーツ施設、食などの地域資源をよりサステナブルにすることで、影響による被害を回避・軽減するだけでなく新しい価値を付与する取り組みを全国に展開するため、地域気候変動適応センターを核とした地方公共団体、事業者、住民等のステークホルダー連携に取り組みます。
●カーボンフットプリント(製品の原材料調達から廃棄までのライフサイクル全体における温室効果ガス排出量を見える化する仕組み)について、消費者により分かりやすく訴求する表示などの需要創出策を検討するとともに、業界共通の算定・表示ルールの策定支援や、地域と連携した人材育成等を通じて、普及を促進します。
●中小企業の脱炭素経営を促進するため、自社の温室効果ガス排出量を見える化できるツールの整備を行います。また、CO2排出削減効果の高い省エネ設備、電化・燃料転換設備等への導入支援を行います。
●バリューチェーンの脱炭素化に向け、取引先との連携のための業界共通ルール等の策定を推進し、バリューチェーンを構成する複数企業が連携した省CO2設備導入を支援します。また、全国各地で金融機関、自治体等が連携した地域ぐるみでの支援体制の構築・横展開を通じ、企業の競争力強化にもつながる脱炭素経営を推進します。
●ESG投資の注目が高まる中で、グリーンウォッシュを排し、脱炭素化に取り組む企業を支援するため、環境面で持続的な経済活動に貢献する製品等か否かを明確化する取り組みを推進します。
●グリーンファイナンス市場の適切な発展(量の拡大と質の向上)に向けて、ガイドラインの策定やグリーンリストの拡充等を通じたグリーンファイナンス市場の形成促進、地域金融機関による地域脱炭素の取り組みの具体化をはじめとするESG地域金融の促進、国内ステークホルダーの広範なネットワーク構築に取り組みます。
●温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証するJ-クレジット制度等について、デジタル技術の活用や、地域資源循環に資する農林水産業のクレジットや中小企業の省エネクレジットの拡大等の取り組みを推進します。
○持続可能な地球環境の実現に向けて、個別分野の環境政策を統合的に実施し、相乗効果(シナジー)を発揮させるとともに、長期的かつ継続的な議論が必要なことから、気候変動対策等の政策決定プロセスにおいて、積極的に若い世代などの多様な声や意見を聞き、反映するための環境整備を進め、若者の参画を一層推進します。
●気候変動問題について無作為に抽出された市民が話し合い、その結果を政策づくりなどに生かす気候市民会議の設置など、若い世代の意見を政策に反映させる取り組みを進めます。
●地域の人材が主体となり地域脱炭素に取り組むことができるよう、脱炭素まちづくりアドバイザー制度等における専門人材プールの充実や活用促進、都道府県等をハブとした地域における専門人材を共有する仕組みの構築を推進します。また、初等中等教育向け脱炭素教材の提供を始めとする環境教育のさらなる充実を図ります。
●環境分野の研究・技術開発を強化するとともに、環境経済社会のデータ化を進め、各種環境モデルやシミュレーションの統合化を通じたデータ収集・管理の一元化やデータ駆動型研究の進展に伴って必要となる環境情報基盤整備に取り組みます。国立環境研究所が環境研究のハブとなり、環境研究・データ利用を支援・促進します。
②サーキュラーエコノミーの戦略的展開
○持続可能な形で資源を効率的・循環的に利用する循環経済への移行により、環境制約への対応に加え、産業競争力の強化、経済安全保障、地方創生、質の高い暮らしの実現に貢献します。第5次循環型社会形成推進基本計画や循環経済への移行加速化パッケージに基づき、政府一体で循環経済への移行を国家戦略として推進します。
●家庭から出る廃食油の回収を促進し、国産の持続可能な航空燃料(SAF)の製造・供給体制の整備を加速するなど、廃棄物由来の再生可能資源を最大限活用します。また、プラスチックや金属等の資源の回収やリサイクル等を担う事業者を支援するとともに、公共工事や公的機関等でのリサイクル製品の利用拡大を促進します。
●将来、大量廃棄が予想される太陽光パネルやリチウム蓄電池等におけるリサイクル技術の向上やリサイクル設備の導入を促進します。また、使用済太陽光パネルのリユース・リサイクルを促進するための制度の整備を進めるとともに、環境整備を進めます。
●3R(リデュース・リユース・リサイクル)の国民生活へのさらなる定着を図るとともに、3Rの具体的な取り組み例や、環境負荷削減効果を分かりやすく情報提供します。
●サーキュラーエコノミーを確立するため、産学官連携での情報流通プラットフォームの構築や循環配慮設計の推進、リコマースビジネスの促進、回収・選別・リサイクルの高度化等のための投資や標準化の支援を拡充・強化し、経済成長と環境負荷の低減の同時実現を図ります。
●プラスチック資源循環法に基づき、国内資源循環の深化及び海洋プラスチックごみ対策を推進します。そのため、環境配慮設計の推進、ワンウェイ(使い捨て)プラスチックの排出抑制、事業者の自主回収、再生プラスチック・バイオプラスチックの利用促進、海洋生分解性プラスチックの開発等を通じて、3R+Renewableを推進します。
●プラスチックリサイクルの高度化・代替素材の製造に係る設備導入を支援するとともに、プラスチック資源の分別収集に取り組む自治体については、循環型社会形成推進交付金及び地方財政措置等により支援します。また、事業者や自治体等によるプラスチック資源循環の取り組みに対して、モデル事業により支援します。
●再生プラスチックを含むリサイクル製品等やグリーンスチール等の脱炭素製品の需要創出に向けて、公的機関の環境配慮型製品の調達ルールを定めるグリーン購入法において、再生プラスチック利用率等の循環性基準の導入、強化、拡充等を行います。また、公的機関が率先して先端的なグリーン購入に向けて取り組みます。
●洗浄だけで再利用が可能なガラス瓶などのリユースを進めるとともに、ペットボトルのリサイクルにおいて、新たな原料が不要となる「ボトルtoボトル」の水平リサイクルを促進します。また、ペットボトルキャップを再資源化する「キャップリサイクル」の理解醸成及び分別収集、リサイクルを促進します。
●リサイクルボックスにペットボトル以外のごみ(異物)が投棄されることで、再資源化の品質や量に悪影響を与えていることから、投入口を下向きにするなどの新機能リサイクルボックスの設置を一層促進するとともに、ごみの散乱を防ぐポスター・立看板等を制作・設置を進めます。
●循環に配慮した製品(エコデザイン製品、シェアリングやサブスク等のリコマース・サービス)の表示のあり方を検討し、消費者がこうした製品・サービスを率先して利用するインセンティブ付けに取り組みます。また、地域での広域の資源循環を国一括の認定制度で支援することで、地域経済の活性化につなげます。
●全都道府県・市町村からなる「資源循環自治体フォーラム」を活用した自治体・企業・スタートアップ等のマッチングなどにより、新しい地域資源循環ビジネス創出の支援を進めます。
●地域の循環資源・再生可能資源を活用した製品の利用や廃棄物発電、バイオマス発電の普及、有機廃棄物の肥料やエネルギー等としての循環利用、家庭や事業所から出る廃食油のSAFなどの資源としての活用、使用済み紙おむつの再生利用等の多種多様な地域における循環システム構築を推進します。
●都市鉱山と呼ばれる電子スクラップのリサイクル量を拡大するため、小型家電等の回収量の向上の取り組みや効率的に資源を取り出すための技術やシステムの開発への支援を行います。特に、GIGAスクール構想の下で整備された端末を含む使用済端末については、小型家電リサイクル等による適正な再資源化を推進します。
●2025年秋頃に施行予定の再資源化事業等高度化法における、国による一括認定制度等を通じて、製造業者と廃棄物・リサイクル業者等の動静脈連携の強化に取り組みます。また、需要に応じた質・量の再生材の供給を図るため、事業者のニーズを踏まえてプラスチックや金属等の高度な再資源化の取り組みを支援します。
●再生材供給サプライチェーン強靱化に向けた、課題分析や解決策の検討を深め、適切な支援につなげるとともに、資源循環ネットワーク・拠点の戦略的構築や自動車向け再生プラスチック市場構築に向けた検討を行います。
●ASEAN各国における電子スクラップ等のリサイクル法令整備等を支援しつつ、当該国由来の電子スクラップ等を日本国内でリサイクルする体制を整備します。また、こうした協力枠組みを自動車や蓄電池等の他の循環資源に拡大することをめざします。
③魅力ある自然の保全と活用、生物多様性の確保
●2030年までに陸と海の30%を保全する「30by30」の実現に向けて、国立公園・国定公園等の保護地域の拡張を推進します。また、地域生物多様性増進法に基づき、自然共生サイトの認定を加速化するとともに、生物多様性の保全に取り組む事業者等に対するインセンティブの整備を推進します。
●国立公園利用者の拡大をめざす「国立公園満喫プロジェクト」のさらなる展開として、国立公園の美しい自然の中での感動体験を柱とした滞在型・高付加価値観光等を通して、「保護と利用の好循環」を生み出し、地域活性化とともに利用者がより楽しめる環境整備に取り組みます。
●ネイチャーポジティブ経済、脱炭素社会、循環経済への一体的な取り組みを推進するため、企業等に対し、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)等によるサステナビリティ情報開示の促進や、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)等による中小企業を含めた算定基盤の整備等を進めます。
●ネイチャーポジティブ経済移行戦略を踏まえ、企業のバリューチェーン等に自然への配慮や評価が組み込まれるよう取り組み機運の向上・市場確保につなげ、賛同企業を広げるとともに、科学的知見の充実等を通じて国際ルール形成にも貢献するなどし、ネイチャーポジティブ経営への移行を促進します。
●TNFDや国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)への対応に向け、情報収集やシナリオ分析等への支援を行い、ビジネス機会の創出や国内外のESG投資の促進を加速化します。
●生物多様性保全への民間資金の導入を促進するため、将来的な生物多様性価値取引制度の実現をめざし、生物多様性価値の定量評価手法について検討を開始します。
●自然の恵みを活かすことにより気候変動緩和・適応、防災・減災、地域経済の活性化、健康など多様な社会課題の解決につなげる「自然を活用した解決策(NbS)」を推進します。
●ゼロカーボンパークなど、国立公園におけるEV等の活用、利用施設における再エネの活用、地産地消等の取り組みにより、国立公園の脱炭素化やサステナブルな観光地づくりを実現していくエリアの取り組みを推進します。また、地域と共生した秩序ある地熱開発の加速化を推進します。
●野生生物の生息・生育状況を把握し、希少種の保全を図るとともに、地域のシンボルとなる希少種の保全活動やそれを通した地域づくりを推進します。また、絶滅危惧種の生息状況やその人為的な減少要因、保全のための制度や取り組みの普及啓発等を行い、希少種保全に対する理解醸成を促進します。
●自然資本・生物多様性に関する情報について、リモートセンシング等のデジタル技術を活用したデータ収集・整備を進めるとともに、オープンデータ化により、活動の効果の「見える化」を図るなど、生物多様性情報基盤の整備を強力に推進します。
●豊かな水辺や里海等の良好な水環境の保全と活用により、観光や地場産業の振興、 地域住民のウェルビーイングや地域の魅力向上を実現し、地方創生を加速します。
④安全・安心、健康で豊かな暮らし
●衣食住等の国民の暮らしに密接に関連する幅広い分野において、「デコ活」を推進し、環境に配慮した商品(ラベルレス、消費期限間際、地産地消等)の購入やサービスの利用を含む、環境配慮行動へのインセンティブの付与等の全国展開に向けた取り組みを支援します。
●衣類の繊維くずなどからも生み出されるマイクロプラスチックについて、海洋等の環境や生態系、人体への影響等の研究を促進するとともに、使用の抑制、飛散・流出防止に向けた取り組みを推進します。
●自治体のプラスチックごみ削減方針の宣言・策定を促進するとともに、複数の自治体、企業、民間団体や消費者等の連携による海洋ごみ対策に係る事業モデルの構築を図ります。また、海洋ごみの回収・処理等を推進するため、必要な財政措置を行います。
●「ゴーストギア」と呼ばれる放棄、逸失、投棄され海に流出した漁具など、海洋へのプラスチックごみ排出を防止するため、排出抑制のための予防、流出した際の海洋汚染の軽減、流出後の回収等の取り組みを推進します。また、国内外における海洋等環境中プラスチックの実態把握や環境等の科学的知見の集約に努めます。
●ファッションロス(衣服の廃棄)削減に向けて、回収、分別、設計・製造、販売における資源循環システムの構築に向けた検討や、リユース市場拡大に向けた実態調査、普及啓発等により、適正なリユース・リサイクルを促進します。また、服のサブスクリプション利用やサステナブルファッションの普及・選択を進めます。
●子どもたちが自然にふれあう機会の創出のため、環境教育や自然体験の提供、自然保護を推進する地域の人材育成を支援します。また、NGO等とも連携し、学校や園庭の敷地内に設けられた「学校・園庭ビオトープ」の普及を促進します。さらに、気候変動対策や生物多様性の保全などの理解醸成に向けた教育活動の支援に取り組みます。
●熱中症対策実行計画で掲げられた「2030年までに熱中症による死亡者数半減」をめざし、熱中症警戒アラート等の情報提供の周知、熱中症予防の普及啓発を進めるとともに、自治体における指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)の指定や体制整備等を支援します。
●公害健康被害補償法に基づき、認定患者に対する補償給付等を確実に行うとともに、令和8年の水俣病公式確認70年に向けて、水俣病発生地域における「もやい直し」や、医療・福祉対策、地域の再生・振興等を推進します。また、石綿健康被害救済法に基づき、石綿健康被害者の迅速な救済を進めます。
●子どもの成長や発達に影響を与える環境要因等を明らかにするエコチル調査を効率的・効果的に推進するとともに、円滑な実施のため、国内外の関係者との連携・コミュニケーションを図り、調査状況の把握に努めます。また、化学物質管理に関する国際的な議論の場においてエコチル調査の成果を積極的に活用します。
●有機フッ素化合物(PFAS)について、水道水質検査、基準遵守の義務付け等により、安全な飲み水の供給に努めます。また、健康影響や対策技術に関する科学的知見等の収集、存在状況の把握・調査等の対応の強化を図るとともに、透明性の高い正確な情報の分かりやすい発信などにより、リスクコミュニケーションを推進します。
●水源から蛇口の水まで水質の一体的なリスク管理を実施するとともに、最新の科学的知見に基づく基準等の見直しを随時検討します。
●水環境の保全と水産資源の確保の両立によるきれいで豊かな海の実現をめざし、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく栄養塩類管理の取り組み状況を踏まえ、第10次水質総量削減の在り方の検討を進めます。
●土壌汚染対策法に基づき、土壌の汚染の調査や汚染の除去等の措置を推進します。さらに、土壌汚染に伴う健康リスクに応じた必要かつ合理的な管理を図る観点から、土壌汚染対策制度の在り方を検討します。
●石綿の飛散防止に向けて、事前調査等を行う資格者の育成、電子報告システムの着実な運用、自治体に対する必要な支援を行い、建築物のアスベストが含まれる建材等の事前調査の徹底と解体時の飛散防止対策の実施状況の監視体制の強化を図ります。さらに、光化学オキシダント対策について、総合的な取り組みを進めます。
●福島原発事故の放射線による被ばく線量の把握、健康不安解消への取り組みを継続的に実施するとともに、正確な情報を発信する「ぐぐるプロジェクト」(放射線の健康影響にかかる情報発信事業)の充実・強化を図り、風評払拭に努めます。
●改正鳥獣保護管理法に基づき、クマ等の市街地等への出没時の緊急対応を強化するとともに、シカ・イノシシなどによる被害防止のため、鳥獣の保護・管理の強化を図ります。
●ヒアリ等侵略的外来種の侵入防止と水際対策を強化するとともに、外来カミキリ類など地域の脅威となる特定外来生物の重点的防除に向け、交付金を通じた自治体の取り組みへの支援を推進します。また、関係省庁、自治体・企業等との連携強化により、生物多様性の保全上重要な地域等での外来種対策を推進します。
●リチウム蓄電池及びリチウム蓄電池を使用した製品に起因する廃棄物処理施設等における火災事故の防止やリチウム蓄電池のさらなる再資源化の促進に向けて、各市町村における住民の利便性の高い方法での分別収集や広域処理体制の構築に向けた支援に取り組みます。
●廃棄物・資源循環分野における脱炭素技術の評価検証を進めるとともに、生活の根幹となる社会インフラである一般廃棄物処理施設の強靱化及び地域エネルギーセンター化等を進め、廃棄物処理に従事する人材の確保・育成、労働安全の確保、適正な分別・回収等の廃棄物適正処理をさらに推進します。
●浄化槽法の実効性を向上するための制度見直しを不断に進め、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換、浄化槽台帳の整備及び台帳を活用した維持管理の向上を推進します。また、公共浄化槽事業、浄化槽の一層の省エネ化や再エネ化を推進します。
●廃棄物処理事業を確実に実施し、構造的な賃上げを実現するために、昨今の物価の状況なども踏まえた適切な委託料・処理料金が事業者に支払われるよう、各市町村の取り組み状況をフォローアップするなど取り組みを進めます。
●一般廃棄物処理施設の整備・更新、自然公園等施設の整備、鳥獣被害対策、避難施設・防災拠点等の公共施設への再エネ設備等導入支援等を着実に実施するとともに、これらを国土強靱化実施中期計画に位置付けて強力に推進します。
●周辺自治体や民間事業者等の関係機関との連携を含む災害廃棄物処理計画の策定や改定を支援するとともに、今後の大規模災害に備えた制度的対応も含む災害廃棄物対策の充実・強化や、広域での円滑なし尿処理の実施体制の構築に取り組みます。また、被災自治体が迅速に災害廃棄物の処理を行えるよう十分な財政支援を行います。
●ヤードでの金属スクラップ等の不適正な保管や処理に起因する騒音や悪臭、公共水域や土壌の汚染、火災の発生等を防止するための環境保全措置を推進します。不適正なヤード事業者に対して是正を求めていくとともに、資源循環の推進に貢献している事業者には十分配慮し、公平な競争環境のもとで環境保全対策を講じます。
●PCB廃棄物について、期限内処理をめざし、安全を確保しながら、PCB廃棄物処理基本計画に基づく適正かつ確実な処理を推進し、その実現に向けて必要な検討を進めます。
●動物愛護管理法に基づき、人と動物が共生する社会をめざし、動物の命と健康を守るため、動物取扱業の適正化を図るとともに、動物虐待防止の取り組みを着実に進めるほか、多頭飼育対策や高齢者とペットの共生など社会福祉政策と連携した適正飼養の推進に取り組みます。
●犬猫の殺処分ゼロをめざし譲渡を推進や災害時の動物の保護等の役割を担う地方自治体の動物愛護センター等の整備を支援します。また、災害時の動物の保護・一時預かりの機能強化を図る等、全国で災害に備えたペット対策を防災政策と連携して推進します。
●犬猫等愛玩動物に関する獣医療の普及と向上、愛玩動物の適正な飼育に寄与するため、「愛玩動物看護師」制度の円滑な実施と、さらなる活躍の促進に向けた取り組みを進めます。
●畜産動物管理の在り方について、5つの自由の確保を指針とする快適でストレスの少ない環境で飼養する取り組みであるアニマルウェルフェアに関して、最新の科学的知見や国際的動向、国内の畜産農家等の状況も踏まえながら、その普及に努めることにより疾病等の減少や安全な畜産物の生産につなげるよう、科学的・戦略的に進めます。
⑤環境を軸とした国際協調の推進
●「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」及びその実現に向けた「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」について、国際機関との連携を強化し、全世界の取り組みに拡大していきます。また、プラスチック汚染対策に関する国際条約の策定に向け、日本として議論をリードします。
●プラスチックごみによる海洋汚染の拡大防止に向けて、使い捨てプラスチック消費の削減、河川流域での回収、生分解性プラスチック等への転換などを推進します。また、我が国の廃棄物処理の経験や技術等を活かし、途上国における海岸漂流・漂着ごみの処理等に貢献します。
●二国間クレジット制度(JCM)の指定実施機関(JCMA)を活用してパートナー国やプロジェクト数を拡大するとともに、都市間連携事業等を通じて、日本企業による優れた脱炭素技術のさらなる海外展開を後押しし、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想等の実現も含め、世界の脱炭素化と環境・社会課題解決に貢献します。
●世界の環境市場をリードするべく、リサイクル設備、浄化槽、廃棄物発電等の我が国企業が有する高度処理技術、システム等の海外展開を戦略的に推進し、制度・運営・技術協力をパッケージとした循環産業の国際展開を進めます。
●自然共生社会の実現に向け、「SATOYAMAイニシアティブ(我が国の里地里山のように農林水産業などの人間の営みにより長い年月にわたって維持されてきた二次的自然環境の保全)国際パートナーシップ」を通じて、途上国における自然資源の持続可能な利用の取り組み等を支援します。
●温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)を安定的に運用し、二国間協力や排出量推計手法の国際標準化を進めることで、国内外における温室効果ガス排出の透明性向上に貢献していきます。また、2050年ネット・ゼロに向け、GOSATシリーズのデータを国際展開すべく戦略的に取り組みを進めます。
●第48回南極条約協議国会議の2026年日本(広島市)開催に向けて、南極地域の環境保護に関する国際協力の推進に努めます。