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2.教育・子育て支援の充実

2.教育・子育て支援の充実

①子どもが輝く 公教育の再生へ

○予測困難なVUCA※の時代を柔軟に生き抜く主体的な子どもの育成をめざします。あらゆる子どもたちが誰一人取り残されることなく、一人ひとりに光が当たり、多様で柔軟な学びができ、子どもたちが生きる歓びに輝く教育へと改革するため、個別最適で協働的な学びにより柔軟な教育課程の実現を進め令和型の質の高い公教育の再生に取り組みます。
※VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字で将来の予測が困難な状況を表す。

●少子高齢社会にあって社会を支えるために最優先で必要な「人への投資」は教育です。教育予算を大幅に増額させ、教育政策における安定した制度の実施のため、恒久財源を確保します。

●友達と協力して学ぶ集団学習形式と、文化芸術・スポーツ活動、職業実習、自然体験など一人ひとりに合った個別学習形式の両方をとりいれた、多様で柔軟な学びの実現のために、多様な教員の採用や、地域・社会が学校を支えるチーム学校の全国展開、学習指導要領の改訂に取り組みます。

●中学生の部活動の地域展開においては、地域展開後も保護者負担を増やさず、自治体が十分に取り組める財政支援を推進します。学校と自治体、企業、大学等の参画を促進し、部活動指導員等の人材バンクの構築や、困窮世帯に対する参加費用の支援、地域クラブ活動の場所への移動費用の支援、生徒の多様なニーズに応えられる指導者やコーディネーターの配置支援、地域クラブの活動場所としての学校施設やICTの有効活用、大会の参加規程の見直しを進めます。

●部活動の地域展開では、次代を見据えてアニメ、ゲーム、映画、舞台、ダンスなどのクリエイターやアーティストのすそ野を広げるため、クリエイター等の部活動・地域クラブ活動を支援し、情報リテラシー教育の強化や、不登校や地方在住の子どもたちへの豊かな体験活動の機会の確保に繋げます。また、デジタルを使った取り組みを推進するとともに、デジタルと実体験のベストミックスが図られるよう支援します。

●「体験活動」は、学習意欲や自己肯定感を育み、その後の人生に影響を与えます。あらゆる子どもたちの「体験活動」の継続と充実に向け、文化芸術・スポーツ体験、自然体験、社会体験などの体験活動の機会を学校内外で確保し、負担軽減に取り組みます。

●5歳児(義務教育開始前)が卒園し、小学校で集中して学ぶ環境へ円滑に接続できるよう「幼保小の架け橋プログラム」の推進のため幼児教育の質の向上を支える「幼児教育センター」の全国への設置に取り組みます。また、安全管理や事故防止の観点から幼稚園等におけるICT環境の整備を支援します。

●子どもの学習活動の基礎を作る読書活動の機会を増やすため、義務教育段階からの読解力(リーディングスキル)の育成の取り組みや、読んだ本の魅力を発表しあう「ビブリオバトル」の普及を進めます。また、読書バリアフリー環境の整備や、書店と図書館等との連携を促進するとともに、翻訳家の育成やグローバル発信・翻訳本の普及に取り組み、文字活字による異文化交流、平和交流を推進します。

●アントレプレナーシップ(起業家)教育や、課題を発見・解決する力を育むSTEAM教育、情報、数学等の教育を重視しICTを活用したDXハイスクール、理数系に重点を置いて国際的な科学技術人材の育成をめざすスーパーサイエンスハイスクールを推進し、子どもたちの可能性を引き出す教育に取り組みます。

●女子中高生の理系への進路選択を支援するため、小学校の教科担任制も含めた理系科目における女性教員の増加、各分野で活躍する理系の女性や国際科学オリンピック等に挑戦する女子生徒の紹介など、理系を志望する女子中高生のロールモデルを増やす取り組みを推進します。また高校普通科改革や大学における学部の理系割合の増加、保護者や教員等への理解を広げます。

●ESD(持続可能な開発のための教育)はSDGs(持続可能な開発目標)の全てのゴールの実現に寄与するものであり、新学習指導要領にも「持続可能な社会の創り手」の育成が明記されたことを受けて、環境教育や防災教育など地球規模の課題解決に向けて学習する機会を充実させます。

●小・中・高等学校において、オンラインを活用した国際交流の推進や、AI等を活用した英語教育の充実を図り、全国の小・中・高校生がグローバル人材として活躍できるよう支援を強化します。

 

②教育の無償化、教育負担の軽減

◎小中学校の学校給食の無償化、体験活動の負担軽減、高校授業料の無償化、高校の教材費などの授業料以外の支援、大学生等の授業料無償化や給付型奨学金の対象拡大、卒業後の奨学金の肩代わり返還支援や月々の返還額を自分で決める減額返還制度など、切れ目のない教育負担の軽減と教育の質の向上に取り組みます。(再掲)

●高校の無償化においては、家庭の経済事情に左右されず、希望する⾼校等へ進学し、学びを継続できるよう、授業料以外を支援する「⾼校⽣等奨学給付⾦」の対象を中間層へ拡大します。また私立の授業料の便乗値上げの抑止、公立高校の併願受験など検討していきます。

●高校の無償化については、単に無償化するだけでなく「教育の質の向上」にも同時に取り組みます。公立高校(普通科、専門学科とも)の教育の質の向上に向けて、国が基本⽅針「⾼校教育改⾰に関するグランドデザイン(仮称)」を、都道府県が「⾼校教育改⾰実⾏計画(仮称)」を作成し、それに基づいて⾼校教育改⾰を進め、⽣徒の希望する進路や多様なニーズに応えられる学びを実現します。

●高校や大学進学以外の道を選び、自分の強みや得意を伸ばして文化芸術分野やマイスター等の専門性が求められる職種等に進む若者への支援策を創設します。

●学校給食はこども家庭庁、農林水産省、文部科学省等が連携して無償化を進め、主食・おかず・ミルクのそろった完全給食の実施、食育の充実、地産地消の給食や有機野菜を使った給食を推進します。また、経済的に就学困難な家庭に対して、小中学校の給食費や学用品費等の負担軽減のために市町村が実施している就学援助が充実するよう支援します。

●日本学生支援機構の貸与型奨学金(無利子・有利子)を借りられる対象者を拡大するとともに、授業料の減免と給付型奨学金による「修学支援新制度」と「貸与型奨学金」の併給に取り組みます。また自治体や民間による給付型奨学金が増えるよう支援策に取り組みます。

●企業や自治体による奨学金の肩代わり返還支援を全国各地で展開し、若者の経済的な負担軽減に取り組みます。教員が大学院で借りていた奨学金の返還免除が実現しましたので、大学(学部生)での奨学金の返還免除・減免に取り組みます。

●返済不要の奨学金で意欲ある学生の海外チャレンジを応援している「トビタテ!留学JAPAN」の発展的推進を図ります。例えば、希望をすれば小中学生や高校生までの間に1度は留学機会を得られ、居住地域にかかわらず留学ができるような体制づくりに取り組みます。

●入学しない大学に納付する入学料の負担軽減のため、経済的に困難な学生に対しての納付期限の猶予や減免、入学辞退の意思表示の時期の検討、入学料を納付する時期を複数回に設定するなど、引き続き各大学における弾力的な取り扱いを促進します。

 

③安全で安心できる学校

◎公明党の推進で小中学校の「普通教室」の空調は99%に。一方で、災害時には地域住民の命を守る避難所にもなる「体育館」の空調は19%※に止まっていることから、全国の小中学校の体育館の空調の設置及び遮熱・断熱対策を加速化します。また、子どもたちや避難者から要望が多い「学校のトイレの洋式化」も進めます。校舎等の老朽化対策、バリアフリー化、脱炭素化も進め、新しい時代の学びを支える安全・安心な学校施設を実現します。
※2024年9月1日時点の約19%から、2025年5月1日時点では22.7%になりました

●学校の内外の安全強化のために、学校や通学路を巡回指導するスクールガードリーダーの増員に取り組みます。また、教職員・児童生徒・学生・保護者・子どもの安全に関わる地域の機関等が協働して学校安全を推進してく学校「セーフティプロモーションスクール」の全国普及に取り組みます。通学路の安全対策のために、地域住民や警察等と連携した通学路の安全確保や、ガードレールや縁石等の整備など安全対策を推進します。

●子どもへの性犯罪・性暴力等を行った教員を二度と教壇に立たせないために、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」に基づいて処分された教員をデータベースに登録します。さらに、わいせつ行為をした教員が、塾などの子どもに係る職業に就くことを防ぐため、日本版DBSとのデータベースの連携に取り組みます。また、子どもや保護者等が相談しやすい窓口の設置やケア体制整備を進め、子どもたちを性犯罪・性暴力から守るための「生命(いのち)の安全教育」が、より多くの教育現場で実施されるよう推進します。

●いじめ、虐待、貧困、ヤングケアラー等の子どもたちに迅速に対応するため、児童生徒の一人一台端末を使った総合的な相談窓口の開設や、養護教諭の支援体制の強化、SOSの出し方に関する授業、すべての都道府県に「子どもの自殺危機対応チーム」の設置を進めます。また、いじめの重大事態調査の在り方の改善を図り子どもたちが安心して学べる環境づくりに取り組みます。

●薬物について正しい知識を持てるよう、過量服薬(オーバードーズ)の危険性や依存性など薬物に関して専門知識を有する外部専門家等と連携し、学校における薬物乱用防止教室の充実を図ります。

●子どもが海外でも安全・安心に教育を受ける機会が確保されるよう、日本人学校などの在外教育施設の安全対策を強化と、教育内容の充実に取り組みます。また、中国深圳での日本人学校児童死亡事案を踏まえ、日本人学校周辺の警備強化、通学路の安全確保、スクールバスに同乗する警備員の増強などに取り組みます。

●公明党の提案で発足した災害時教育支援チームD-EST※(教育版DMAT)の都道府県での設置を推進します。教員や心理学の専門家、大学、NPO等の官民連携により、大規模災害時の被災地への教員等の人材派遣の仕組みを普及させ、災害時の子どもたちの学びと心のケアに取り組みます。また被災地側がボランティアの支援を受け入れる受援力の向上にも取り組みます。
※D-EST:Disaster Education Support Team

●献血基盤を支える若年層へのアプローチのため、小中学校においても献血について学ぶ機会を得られるよう学習指導要領への記載や、動画等の教材の充実に取り組みます。

 

④誰一人取り残されない学びのセーフティネット

◎さまざまな理由で不登校になっても、自分らしく多様な生き方ができるように、学びの多様化学校(不登校特例校)の全都道府県・政令指定都市への設置やスペシャルサポートルームの全小中学校への設置、フリースクールなどの安心できる居場所の確保に取り組みます。

◎不登校による保護者の離職防止へ保護者の相談・支援の強化、企業における不登校の介護休業等の柔軟な働き方への対応、総合的な情報サイトの設置を推進し、不登校の児童・生徒と家族を社会で支えます。

●学びの多様化学校(不登校特例校)での指導方法や、教員・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・スクールロイヤー・学習支援員・児童精神科医等の専門家の配置等の標準を示し、この取り組みをモデルに各小中学校での支援力向上に生かします。

●不登校経験者や外国人などの学ぶ機会を確保するために重要な役割を果たしている夜間中学校について5年以内に全ての都道府県・政令市に設置をめざします。

●不登校の中学生の高校進学に向け、成績評価等の「特例制度」を推進します。また、不登校の高校生の大学進学・就労支援に取り組みます。

●不登校・いじめ緊急対策パッケージに基づき、関係省庁と全国の自治体が連携し各種施策を推進します。地域における学校外からのアプローチによるいじめ防止対策の体制構築を推進します。

●障がいがある子どもも、障がいがない子どもも、共に学び認め合い、自分らしく得意を伸ばすインクルーシブ教育の実現に向け、モデルとなる授業・学校運営の構築、医療的ケア児への支援、ICT を活用した発達障がいのある児童生徒への支援など、切れ目なく教育やケアの支援体制を整備します。

●特別支援学級の教職員定数を改善するとともに、特別支援学校における教室不足の解消やバリアフリー化などの教育環境の整備を加速化します。また、障がいのある子どもが個々に応じた適切な教育を受けられるよう、特別支援学級と通級による指導の適切な選択を促し、通級による指導の円滑な運用を推進するとともに、特別支援学級1学級の児童生徒数の標準を6人へと拡充をめざします。

●外国人やその子どもたちが日本語を学ぶ機会の充実と日本語教育水準の向上をめざして、認定日本語教育機関の拡充、日本語教育空白地域の解消へ向けた支援に取り組みます。高等学校での「特別の教育課程」による日本語指導の取り組み強化や、高校入試や進路・就職相談支援の充実など、多文化共生社会を加速させます。また、外国人学校における外国人の子どもの健康確保のため保健衛生対策の取り組みを進めます。

●性的マイノリティ(LGBTQ+)に対する理解増進のため、学校における性の多様性を前提とした環境整備や、相談窓口の周知、教職員やスクールカウンセラー等のための研修・教育開発など、児童・生徒・学生らが性の多様性への理解を深め、誰もの人権が大切にされる学校づくりをめざします。

●高校生の中途退学を未然に防ぐため、スクールソーシャルワーカーの配置拡充や福祉との連携強化などを推進します。その上で、中退した場合でも再就学や就労に向けたサポートを行えるよう、在学中から切れ目ない支援を促進します。

●学びや生活の厳しさ・困難さに直面している子どもたちを支える教育と福祉との融合による教育福祉の実現のため、教員養成段階での発達支援や家庭支援に関する教育の充実とともに、学校に発達支援や家庭への支援の専門家が常駐し、福祉部局と一体となって子どもたちの生活を支えることができるように教職員配置の改善に取り組みます。また児童養護施設等に在籍する生徒に対しての進学支援に取り組みます。

 

⑤ICTを活用した学びの充実

●子ども一人ひとりの理解状況や能力・適正に合わせた個別最適な学びのために、ICTを活用した学習計画の作成や学習履歴を分析するシステム整備、全国学力・学習状況調査等のCBT 化などの取り組みを推進します。

●GIGAスクール第2期では、小中学校で一人一台端末を公教育の必須アイテムとして更新・整備し、高速大容量の通信環境の整備や、自治体への伴走支援の強化、質の高い学習ソフトの提供、ICTを活用した多様な学びができる施設整備、教育データ分析・活⽤のシステム整備、福祉との連携など、個⼈情報保護等の安全・安心を確保しながら教育DXを進めます。

●紙の教科書と共にデジタル教科書についても無償化を進めるとともに、紙の教科書とデジタル教科書を併用し、動画や朗読音声などによって学びを深められるような活用を推進します。また、デイジー教科書等の音声教材の支援を拡充します。

●教育においての生成AIの扱いについて、子どもたちの創造性が低下したり、適切な評価が損なわれたりすることがないよう文部科学省のガイドラインに沿ってAIを賢く使いながら探究学習が深まることをめざして、情報活用能力の育成強化やパイロット的な取り組みを進めます。またAI時代を見据えたカリキュラムや評価方法を検討します。

●ネット犯罪やトラブルの防止に向けて、情報社会の倫理、法の理解と遵守、安全への知恵、情報セキュリティ、公共的なネットワーク社会の構築などの力を身につけられるよう、小学校、中学校、高校の各学校現場での「情報モラル教育」を推進します。

●社会全体で子どもたちの学びを支えるため、学びの質の向上に必要な民間教育サービスのさらなる普及や企業等も参画したイノベーション人材育成のエコシステム構築に向けた取り組みを推進します。

●海外から直接販売される製品も含め、欧州等での取り組みを参考として、子ども用の製品をはじめとする消費生活用製品による事故を未然に防ぐため、安全対策の強化、環境整備に取り組みます。

 

⑥教師の働き方改革

〇人材確保法を踏まえて教師の処遇を抜本的に改善し、頑張っている先生が評価されるメリハリある給与体系の構築、教職員定数の改善、小中学校35人学級(将来的には小中学校30人の少人数学級をめざし)等の学校の望ましい指導・運営体制の構築、育成支援に一体的・総合的に取り組みます。また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの配置に取り組みます。

●学校の働き方改革と処遇改善を一体的に進めます。まずは「学校・教師が担う業務に係る3分類」に基づいて教職員業務を徹底して削減し、今後5年間を集中的に国や地方自治体をあげて、学校の働き方改革を進めます。また、教師が勤務状況について相談できるよう、社会保険労務士や法律家など外部の専門家が加わった相談窓口の設置を進めます。

●子どもが輝く公教育の再生に向けて、教師自身も得意や専門性が発揮できるよう、教員養成プログラムの実施や、多様で柔軟な学びの実施校での研修を支援します。多様で柔軟な学びに取り組む学校や教員の意欲に応え、教育実践プラットフォームの構築、エビデンスの収集・分析・共有を進めます。また、教師は未来と平和の支え手であるという誇りを持って教育に取り組めるよう、世界の教職員の連携・指導情報の共有を進め、教育のグローバル化と地球市民教育に取り組みます。

●あらゆる学部の学生が大学在学期間中に学校ボランティアやプレ教育実習などに参加し、一定の科目を修得した場合は臨時教員としての採用を促進します。また、理数、スポーツ、ICT、発達支援、語学など多様な専門性を持つ者が教育学部に入り直すことなく教員免許が取得できる仕組みの確立のための免許制度の見直しを行うとともに、自治体の特別免許状の活用を推進します。

●さまざまな課題を抱え、孤立し、支援を必要としている子どもたちに教員が適切に対応できるよう、児童福祉に関する内容を教職課程並びに教員になった後も学ぶことのできる機会を確保するとともに、研修受講を奨励し評価する仕組みを構築します。また、特になかなか自ら意見を表明できない子どもの意見や思いを受け止め、子ども政策に反映できる取り組みを推進します。

 

⑦知の拠点として社会の発展を支える大学へ

●人件費・物価の高騰等を踏まえ、国立大学の運営費交付金や私学助成、施設整備費補助金等の基盤的経費を十分に確保します。競争的研究費、とりわけ研究者にとって基本的な競争的研究費である科研費(特に基盤Bや基盤Cなどの基礎的な種目)を十分に確保し、我が国の研究力回復・向上と優秀な人材の育成に取り組みます。

●世界トップレベルの研究基盤の構築や未来を切り拓く若手研究者・博士後期課程学生などへの生活費や学費を含む支援の強化のための10兆円規模の大学ファンドの着実な運用とともに、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学への支援を強化します。世界トップレベルの研究拠点を整備し、海外の優秀な研究者を招聘するなど国際共同研究・人材交流等を通じて国際頭脳循環の強化を進めます。

●女性や高齢者を含めた社会人のリカレント教育(大学等での学び直し)の促進に向け、社会や企業の理解・評価(給与への反映など)の促進、高度かつ専門的な⼈材育成のためのコンテンツ開発、オンライン等の社会⼈が学びやすい環境整備、企業成長を促進するリカレント教育によるエコシステムの創出など、持続可能なリカレントプログラムの実施に取り組みます。

●地方創生を担う人材育成や大学を核とした地域産業活性化の観点から、地域連携の体制構築の推進により地方大学を支援します。大学病院の機能維持や社会ニーズに即した医療人材養成をめざし、研究力向上に取り組む大学・大学病院の支援や、人材養成機能の強化に取り組みます。

●研究者による民間企業の役員兼業や起業に関する先進事例などをまとめ、各大学へ活用を促すなど、研究者の起業や兼業の希望が実現できる環境整備などを通じ、産学連携や大学発ベンチャー等を積極的に支援します。

●社会課題を見つけ他者と協働して課題解決に挑戦する能力を身に付けるアントレプレナーシップ教育を小中高大の幅広い段階で充実させます。また大学・高専発スタートアップ・エコシステムの強化や、GAPファンド、創業後の成長支援に取り組みます。

●文理融合で課題解決⼒を身につけるリベラル・アーツ教育の推進や、大学等におけるデータサイエンスの全学的な履修を促進します。

 

⑧全ての子ども・子育て家庭への支援の強化

◎男女ともに着実に育児休業を取得できるよう、休業取得者の周囲の労働者への応援手当等を支給する等、育児休業を支える体制を整備する中小企業への助成制度の利用を促進します。

◎1時間単位で有給休暇を取得できる制度や、フレックスタイム制度、テレワーク等の導入を促進し、子育てや介護、治療などがしやすい「柔軟な働き方」を推進します。

●育児と親や親族の介護が重なるダブルケアの課題を抱える方への支援をさらに充実させるため、実態を把握するとともに、相談窓口の設置の促進や離職の防止など、ニーズに応じた適切な対策を推進します。

●依然として家事や子育てにおける女性への負担が多い状態にあるため、社会全体の固定的な性別役割分担意識、無意識の思い込みや偏見(アンコンシャス・バイアス)の解消、男性の育休取得、家事・育児参加が当たり前になるための経済的支援、職場環境の整備、相談体制の強化等で「共育て」を応援します。
○放課後や朝の登校前における子どもの安心・安全な居場所を確保し、「小1の壁」を打破するため、開所時間の延長や夏季休業中の対応、待機児童対策の充実、登校前の居場所づくり等の支援を強化します。あわせて、都市部等で国の定める人数基準を大幅に超えている「放課後児童クラブ」の適正化のため、受け皿の拡大等の対策を拡充します。また、放課後児童支援員等の職員の処遇改善、常勤職員配置の改善等の取り組みを推進します 。

●地域の実情に応じて、福祉と教育の連携をはじめ関係者が協力できる体制構築を進めながら、子どもたちが居たい・行きたい・やってみたいと思える多様な居場所の環境整備を継続して進めます。また、子どもたちが小学校の始業前の朝の時間に安心して過ごせる環境を整えるとともに、家庭で朝食を食べられない子どもたちに朝食を提供する学校朝食の制度化に取り組みます。

●フリーランスや自営業者等、現行の育児休業給付の対象外となっている方々に対する支援を進めます。

●改正育児・介護休業法等に基づき、3歳から小学校就学前までの子を育てる労働者に対して、事業主が始業時刻等の変更やテレワーク、短時間勤務などから2つ以上選択して措置する制度の円滑な施行に向けた周知・広報等に努めます。

●正社員、非正規雇用が区別なく育休取得できるよう、必要な制度改正に引き続き取り組みます。

●誰もが介護者となりうる現状において、介護する人(ケアラー)が孤立することなく、当たり前の社会生活を送れるよう、ヤングケアラーやダブルケアラーも含め介護者を支援するための施策を総合的に推進します。ヤングケアラー等の不安や悩みを傾聴する相談支援や家事支援等を行う体制整備を進めます。

 

⑨こどもまんなか社会の実現

●少子化トレンドを本格的に反転させるため、さらなる施策を充実・強化するとともに、こども未来戦略の「こども・子育て支援加速化プラン」の後に向けて検討を進め、 「子どもの幸せを最優先する社会」や「こどもまんなか社会」を実現します。

●こどもの声を代弁し、子ども政策に関して独立した立場で調査、勧告等を行う機関「こどもコミッショナー」の 検討を進めます。

●地方自治体において、子どもの声に耳を傾け、関係者・機関の間を橋渡しして 問題の解決を図り、時には制度の改善につなげていく 「子どもオンブズパーソン制度」を推進します。

●全ての妊産婦・子ども・子育て家庭へ包括的な 支援を行うため、「こども家庭センター」を全市区町村に設置するとともに、個々の状況に合わせた支援計画「サポートプラン」の策定を後押しします。

●子どもたちの教育・保育環境経費が高騰している実態を踏まえ、地域の実情に応じた支援を進めます。特に、子ども・子育て支援新制度における施設型給付費等の引き上げを検討します。また、現行の地域区分による市町村ごとの賃金及び子育て環境格差を是正します 。

 

⑩結婚・妊娠・出産への支援、子ども医療費の負担軽減等

●将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うプレコンセプションケアを推進するとともに、性や妊娠に関する正しい知識の普及・啓発や性と健康の相談支援について、自治体や学校教育現場、企業等と連携して推進するとともに、SNSなどを活用した相談体制を整備します。また、産科受診等支援の充実を図ります。

●若い世代の描くライフデザインが実現できるよう、結婚する・結婚しない等の選択を含め、相談支援等を行う体制整備を推進するとともに、各地域におけるマッチングサービスなど結婚支援を後押しする地域少子化対策重点推進交付金等を拡充します。

◎妊婦健診や分娩費用など妊娠・出産に係る基礎的な費用を無償化するとともに、産後ケアの充実など安心して子どもを産み育てられる支援を強化します。

●妊娠に係る基礎的な費用の無償化をめざし、まずは、自己負担なしで妊婦健診を受けられるよう、公費負担を促進します。あわせて、低所得の妊婦に対する初回産科受診料への支援に取り組む実施自治体を拡大します。

●出産に係る基礎的な費用の無償化をめざし、保険適用の導入を含め、自己負担を伴わない新たな支援の制度設計に向けた検討を進めます。

●出産費用等に関する情報等を見える化する「出産なび」について、より活用が進むよう、施設内の環境の閲覧や、サービス内容と出産費用などを比較できる機能など、掲載内容を充実させます。

●不妊症や不育症の治療について、希望する人が安心して適切に受けられるよう、不育症検査費用助成事業の対象検査や実施自治体の拡大、相談支援やピアカウンセリング体制の充実、働きながら治療を安心して受けられる環境づくりに取り組みます。

●不妊治療の保険適用について、実施状況を把握するとともに、治療の質の低下を招くことがないよう不断に検討し必要な制度改正を行います。また、不妊治療の負担軽減のため、有効性と安全性等が確認された先進医療の保険適用を図るとともに、必要に応じて、先進医療への新たな対象の追加を検討します。あわせて、不育症検査費用助成事業の対象検査、実施自治体の拡大、ピアカウンセリング体制の充実、働きながら不妊治療できる環境づくりも推進します。

●若い女性の関心が高いと言われる未受精卵子凍結等の安全性・有効性について、正しい知識の普及やエビデンスの集積を図ります 。

●妊娠期から切れ目のない相談や10万円相当の経済的支援を行う「妊婦のための支援給付」について、より質の高い専門家が各家庭に伴走するなど、制度の拡充に向けた検討を進めます 。
●無痛分娩について、麻酔を実施する医師の確保を進めるとともに、無痛分娩の有無や費用等について見える化を図りつつ、妊婦が安全・安心に出産できる環境を整備します。

●どの地域に住んでいても安心して子どもが医療を受けられるように、おおむね全ての地方自治体において実施されている子ども医療費助成について、高校3年生までの無償化をめざして、子ども医療費助成を拡大します。あわせて、適正な受診や診療など子どもにとってより良い医療の在り方について検討を進めます。

●学童期・思春期など早い時期から妊娠・出産等の知識や健康に向き合うプレコンセプションケアの推進に向けて、今後5年間で、集中的に、企業や教育機関等での普及啓発や、プレコンサポーターの育成、相談体制の強化等に取り組みます。また、産科受診等支援の充実を図ります。

●「1か月児」及び「5歳児」への健康診査や「新生児マススクリーニング検査」・「新生児聴覚検査」など乳幼児健診等の実施自治体を拡大します。特に、医療資源が乏しい地域等においても乳幼児健診の充実が図られるよう、健診の実施体制を整備するための取り組みを推進します 。

●新生児マススクリーニング検査については、重症複合免疫不全症(SCID)と脊髄性筋萎縮症(SMA)の2疾患を含め、全国の自治体で実施することをめざします。

●妊産婦の方の安心を確保するため、産前・産後サポート事業や産後ケア事業、産婦健診等の施策のさらなる拡充に取り組み、全国展開を強力に推進します。特に、里帰り出産や、兄弟児の受け入れなど配慮が必要な方への支援に万全を期します。

●母子保健事業における健康診査及び産後ケアについて、マイナンバーカード1枚・スマホ1つで受診・利用等ができる環境の整備を全国で実施します。

●流産・死産等で子どもを失ったご家族に寄り添った支援を実施するため、相談窓口の整備や、産後健診等母子保健サービス、ピアサポート・ピアカウンセリング・グリーフケア(子どもを失い悲嘆に暮れるご家族に寄り添うこと)体制の充実を図ります。あわせて、流産・死産を経験された方に適切に対応できる人材の育成を進めます

●胎児の火葬について、家族の悲しみに寄り添うとともに、医療関係者と葬祭事業者、自治体が連携して適切な対応がなされるよう取り組みます。

 

⑪幼児教育・保育の無償化、質の向上

○就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度」について、自治体の取り組みを後押しするとともに、2026年度以降の利用可能時間の検討や、給付化に伴う十分な公定価格の設定・引き上げ、広域連携の促進、親子通園を原則認めるなど、施策を拡充・強化した上で、全国展開に取り組みます 。

●保育の質の向上に向けて、潜在保育士の復職支援や、1歳児における職員配置の改善、賃上げを含む処遇改善、宿舎借上げ支援、研修の実施並びに機会の確保、ICT化等に取り組みます 。

●0~2歳児について、人材の確保を進めつつ、段階的に幼児教育・保育無償化の対象とすることをめざします。

●幼稚園教諭・保育士・保育教諭等、幼児教育・保育に携わる方が、結婚、出産後もキャリアアップしながら、働き続けられる環境を整備します。

●体調に不安のある子どもたちへの支援に向けて、病児・病後児保育の施策の拡充を図ります。

●保育所等におけるICT環境の整備を図りつつ、給付・監査業務のワンスオンリー実現に向けた施設管理プラットフォームの構築や、保護者の保活に関する負担を軽減し、ワンストップ化を推進するための保活情報連携基盤の整備など、保育DXを推進します。

●待機児童解消とともに、一時預かり、障がい児、外国籍の児童等への対応といった多様な保育ニーズへの対応を促進するための施策を拡充します。

●全国各地の子育て世帯をはじめ、地域住民の生活等を支える包括的な福祉拠点としてのインフラを整備するため、保育園こども食堂や親子通園の取り組みを支援するなど、保育所等の多機能化に向けた取り組みを全国で推進します。

 

⑫困難を抱える家庭支援(ひとり親家庭、子どもの貧困対策、ヤングケアラー支援)

●訪問による家事支援や、児童の居場所づくりの支援、親子関係の形成の支援など、市町村における家庭支援事業を必要とする全ての子どもや子育て家庭等が着実に利用できるよう、利用料負担の軽減等を図ります。

●ヤングケアラーが孤立することなく社会生活を送れるよう、福祉・介護・医療・教育 部門の連携強化に加え、支援コーディネーターを含む相談員の配置拡大、学校や「地域包括支援センター」等による早期把握のための体制強化を推進します。その際、地方自治体間での支援格差の解消や18歳以降の切れ目のない支援を行います。

●外国籍や外国語を母語とするヤングケアラーについては、家族の介護や日常生活上の世話の他、 病院や行政手続きなどにおける通訳など過重な負担がかかっている現状を踏まえ、きめ細かな支援体制を構築します。

●母子生活支援施設等において一時的な住まいの提供や子どもの養育等に関する相談・助言等を行う妊産婦等生活援助事業を拡充します。また、女性支援事業等との連携を推進し、早期に支援につなげられる体制を強化します。

●ひとり親家庭の命綱である「児童扶養手当」について、さらなる拡充も含め家計収支全体を俯瞰した多面的検討を行うとともに、ひとり親家庭の就労支援の強化をはじめ、住まい支援や養育費不払い問題解消に向けての取り組みなど総合的な支援を実施します。

●児童扶養手当が支給停止になると同時に、さまざまな支援が受けられなくなることのないよう、児童扶養手当受給者であることを支援対象の要件としている事業について、所得要件の廃止・緩和を行ったことを踏まえ、事業の活用を図り、自立のタイミングまで継続した支援を行います。

●離婚前後の家庭に対する支援について、離婚前後家庭支援事業における相談・カウンセリング体制の強化や、自治体における養育費確保・親子交流の取り組み支援等、離婚前の相談支援から、離婚後の養育費確保・親子交流支援までを伴走型で一体的に提供できるような支援体制の構築を進めます。両親の離婚等に伴う親子交流については、DVや虐待等の深刻な問題に十分留意しつつ、対応を強化します。

●子どもの貧困対策を推進するため、子どもの生活・学習支援事業を拡充し、ひとり親家庭や貧困家庭等の子どもに対する相談や学習支援を重点的に強化するとともに、適切な支援に早期につなげるための地域ネットワークの形成を推進します。

 

⑬社会的養護が必要な子どもや若者への適切な支援

●社会的養護が必要な子どもや若者への適切な支援を実現するため、物価に応じた一般生活費の単価見直しを含む措置費の拡充、児童養護施設や自立援助ホーム、ファミリーホームなど社会的養護関連施設の養育機能の強化や職員の処遇改善、人的体制の強化等を図るとともに、里親や特別養子縁組など家庭養護を推進します。

●児童養護施設等から退所した場合も安心して仕事や住まいを確保できるよう、社会的養護自立支援拠点事業所数を増やすなど支援体制を強化します。その際、18歳までに公的な支援につながれなかった若者も対象とするとともに、施設等を出た若者に対する一時的な 宿泊を伴う支援や身元保証人確保対策事業を着実に実施します。

●児童養護施設等が各市区町村との契約により実施している「ショートステイ」や「トワイライトステイ」の拡充に向けて、受け皿整備など、必要な支援を強化します。

●社会的養護経験者や施設関係者等の参画による社会的養護自立支援協議会を全都道府県に設置するとともに、18歳を超えても安心して施設等で支援を受け続けられる環境を整備します。

●一時保護中の子どもの状況等に応じた個別ケアを推進するため、一時保護施設における職員体制の強化や、子どもの学習支援の強化、ユニットケアの推進を図ります。また、子どもの意見表明をはじめとした子どもの権利擁護のための環境整備や親子関係の再構築支援を推進します。

 

⑭障がい児や医療的ケア児とその家庭への支援

●小児がんや難病などを患う子どもとご家族を支える「こどもホスピス」を全国に普及します。あわせて、さまざまな形態のこどもホスピスへの支援や小児への緩和ケア提供体制や在宅療養環境等の体制整備など必要な施策を構築します。また、入院中の子どもに付き添う家族の環境整備を支援する施策を推進します 。

●障がいの有無にかかわらず、安心して暮らすことができる地域づくりを進めるため、保育所等におけるインクルージョンを進めます。また、「児童発達支援センター」について、専門的な支援の提供や保育所等への巡回支援の充実など、さらなる機能強化を図ります。

●障がい児や医療的ケア児について、高校や特別支援学校を卒業すると、国の支援制度が変わり、それまで受けていた放課後等デイサービスなどが利用できなくなる、いわゆる“18歳の壁”を解消し、自宅で引きこもりになることなどを防ぐことができるよう、家族や本人の状況にあわせて、移行期の課題解決やレスパイトケアの体制整備に取り組む自治体を支援します。

●医療的ケア児が全国どこに住んでいたとしても、安心して暮らすことができるよう、日常生活における支援や相談支援、保育所・学校等における医療的ケア、一時的に預かる環境の整備や保育所等における受け入れ態勢の整備など、医療的ケア児・者やそのご家族が適切な支援を受けられる体制を整備します。特に、訪問看護の活用や保育所や幼稚園・学校等への看護師の配置などを通して、医療的ケアが必要な子どもへの支援を拡充します。

●発達障がい児や強度行動障害を有する児童、医療的ケア児を始めとする全ての障がいのある子どもが早期から継続的に適切な教育や支援を受けられるよう、障がい等の早期発見・早期療育支援、情報の適切な共有・引き継ぎなど、関係機関の連携による乳幼児期から就労期まで一貫した支援の仕組みづくりを推進します。

●障がい児における障がい福祉サービスや障がい児通所支援等について、利用者負担に係る所得制限の撤廃をめざします。

 

⑮子ども・若者を危険から守る

●悲惨な虐待事案を繰り返さないため、児童相談所における児童福祉司などの人材確保・定着支援や処遇改善、業務軽減に向けたICT化、弁護士等の配置等の支援による法的対応機能の強化、「こども家庭ソーシャルワーカー」取得促進支援、一時保護開始時の司法審査の円滑な導入のための児童相談所の体制整備を図ります。

●虐待等で家庭などに居場所がない子どもや若者が、そのニーズに合わせて必要な支援を受けられ、宿泊もできる安全な居場所等を確保するため、「こども・若者シェルター」の拡充に取り組みます。

●性犯罪歴のある者が子どもに関わる職業に就くことを防ぐため、性犯罪防止のための研修、学校等での「生命(いのち)の安全教育」の実施、犯罪の機会をつくらない場所づくり、加害者治療など、子どもたちを性犯罪・性暴力から守るさまざまな対策を強化します。

●日本版DBSの性犯罪歴の照会期間については、現行では再犯リスクの実証データに基づき、拘禁刑(服役)の場合は刑の執行終了等から20年、罰金刑の場合は刑の執行終了等から10年等となっていますが、「こども性暴力防止法」の附則の第6条を踏まえ、一定期間内の対象犯歴のある「特定性犯罪事実該当者」の範囲について、今後必要な見直し・検討を行います 。

●加害者の更生又は性嗜好障害の治療等に向けた取り組みを推進するため、障害の実態・治療に関する調査研究を実施するとともに、治療や支援の環境整備に取り組みます。

●児童生徒に性暴力等を行った者について、学習塾や放課後児童クラブなど子どもと密接にかかわる職を得ることを未然に防ぐため、日本版DBSと教員・保育士のデータベースを連携する仕組みを構築します。

●個人経営の塾、家庭教師、ベビーシッター等個人事業主、マッチングアプリ経由等による個人契約の事業者について、安全な情報管理等の体制整備の取り組みも含めて、日本版DBSの犯罪事実確認等の対象とする新たな仕組みを検討します。また、医療機関を対象とすることについても課題を整理し検討を進めます。

●ネットやSNS、生成AIを安全・安心に適切に利用できるよう、子どもや若者等に対して、偽・誤情報があることや生成AIの仕組みを教えることに加え、トラブル事例等のリスク啓発の強化、フィルタリングの利用促進、諸外国の取り組み等も参考にした対策の強化等に取り組みます。また、ゲーム障がいに関する実態を把握し、必要な対応を検討します。

●食事の提供や学習支援、多世代交流など、居場所のない子どもや若者が安心して過ごせる居場所づくりや孤独・孤立対策を進めるため、NPO等と連携した支援の取り組みを全国展開します。

●子どもの死因事例を医療機関や行政、専門家等で検証し、予防につなげるチャイルド・デス・レビュー(CDR)制度の自治体のモデル事業を踏まえ、体制整備に必要な検討を進め、全国展開を進めます。

 

⑯離婚後等の子どもの利益を守る

●離婚後の子の養育に関する情報提供等を行う親講座や親ガイダンスの実施、離婚前後のカウンセリング支援を新たに行い、どこに住んでいても等しく充分な支援が受けられるようにします。親講座や親ガイダンスに関しては、外国文化に配慮しながら各言語に対応したガイダンスを整備します。

●離婚後の子の養育に関する父母の協議を子の利益の観点から行うことができるよう、最新のデジタル技術の積極的活用や関係機関・団体との一層の連携強化を図るなどして、民間ADR (Alternative Dispute Resolution=裁判外紛争解決)の利便性向上、どこに住んでいても適切に利用できるような環境整備を推進します。

●別居後、離婚後の安全かつ安心な親子交流に関して、子の利益を最も優先し、どこに住んでいても適切・充分な支援が得られるよう、行政及び民間等による情報共有・支援体制を整備します。また、養育費や親子交流等を定める共同養育計画については、民間団体や海外の取り組みを参考にしつつ、わが国の最適な養育計画の調査研究を進めます。

●子どもの意見を適切に聴取し、その子の利益に適う安全かつ安心な親子交流のあり方を検討するために、調査官の専門性の維持・向上を図り、調査官調査の充実を図ります。また、子やその監護をする親等が安心して試行的親子交流に臨むことができるよう、家庭裁判所の児童室や物的環境の整備・拡充を推進します。

●離婚後の子の養育に関する裁判手続きについては、オンライン申立て、ペーパーレス化などを行い利便性の高いものとすることや、夜間や休日における手続きなども検討します。申立てから適時に結論・判断を得ることができるように、調停・裁判期日の充実や保全手続きの活用を図り、裁判所の人員及び予算を抜本的に強化します。

●養育費の確保や安全かつ安心な親子交流について、別居・離婚後等における子の監護に関する取り決めが子の利益の観点から適切に行われているかなど履行状況等を把握し、必要に応じた措置を講じながら子の利益を継続して確保します。また、その情報を蓄積し、子の利益の確保の観点から効果的な取り組みについて引き続き調査研究を進めます。

 

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