熊本地震犠牲者に関連死含めず 教科書会社“訂正含め検討”

災害関連死も含めて278人が犠牲となった熊本地震について、ことし発行された中学校の歴史の教科書の中で亡くなった人数が50人と記述されていたことが分かりました。
避難生活による体調の悪化などが原因で亡くなる「災害関連死」の人数が含まれておらず、教科書の発行会社は「誤解のない表現になるよう訂正を含めて検討する」としています。

訂正を検討しているのは国の検定に合格し、ことし発行された教科書会社大手、東京書籍の中学校の歴史の教科書です。

今年度から全国の学校で広く使われていて、熊本県教育委員会によりますと県内でも被災した熊本市などを含め最も多くの学校で採択されています。

教科書では「震災の記憶を語りつぐ」として日本の地震災害についてまとめていて、この中で熊本地震で亡くなった人数を50人と記述していることが分かりました。

熊本県などによりますと、熊本地震では、揺れによって建物の下敷きになるなどの「直接死」で亡くなったのは50人ですが、避難生活による体調の悪化などが原因で亡くなる「災害関連死」で大分県を含め223人が亡くなったほか、地震と関係する豪雨による二次災害で5人が亡くなっていて、あわせて278人となっています。

一方、教科書では阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などほかの災害については災害関連死も含めた人数が記述されています。

東京書籍はNHKの取材に対し、「作成する際に参考にした出典を引用する過程で、記載について踏み込んで調査・確認ができておらず反省しています。指摘を踏まえ、誤解のない表現になるよう訂正や出典の追加・変更を含めて検討いたします」としています。

熊本地震の災害関連死で家族を亡くした遺族はNHKの取材に対し、「災害を語り継ぐという趣旨で地震の災害について記載してもらえるのはありがたいですが、検定を合格した教科書でこうしたことが起こるのは遺族として、災害関連死に対する理解が進んでいないなと感じ、残念に思います」と話していました。

そのうえで、「熊本地震の特徴の一つが災害関連死が直接死の4倍以上発生したことでもあります。教科書は、子どもたちが歴史や教訓を学ぶための大事なツールでもあり、災害関連死についてもしっかりと記述し、きちんと知ってほしいです」と話していました。

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