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大学の「100円朝食」、物価高で利用者増加 「ここがなければ…」

立命館大衣笠キャンパスの食堂で「100円朝食」を利用する学生たち=京都市北区で2025年7月1日午前8時29分、太田裕之撮影 拡大
立命館大衣笠キャンパスの食堂で「100円朝食」を利用する学生たち=京都市北区で2025年7月1日午前8時29分、太田裕之撮影

 7月1日午前8時半、京都市北区の立命館大衣笠キャンパスにある食堂は数十人の学生でにぎわっていた。平日の午前8~9時に提供される「100円朝食」は、ご飯とみそ汁に小皿2品がつく。この日は揚げ餃子、春巻き、コロッケ、オクラの塩だれ、ひじき煮、きんぴらごぼう、ポテトサラダ、キムチ、温泉玉子、納豆が並んでいた。

 「味も量も良く、しっかり食べられる。生活習慣を整える意味でもすごくいい」。4月の入学以来、友人2人とほぼ毎朝訪れる産業社会学部1年の男性(18)が話す。毎朝練習後に利用する野球部の2年生3人も「めちゃくちゃありがたい」と口をそろえた。

 立命館大の100円朝食は2013年、学生の健康促進と生活リズム改善を目的に京都と滋賀のキャンパスで始まった。本来の提供価格との差額を父母教育後援会が補助。大阪のキャンパスでは15年の開学と同時に、大分の立命館アジア太平洋大(APU)でも22年から導入しており、24年度は合わせて延べ約16万人が利用した。

 元々は朝食を省きがちな学生の生活改善が目的だったが、物価高が続く中で利用者は増加傾向。提供する立命館生活協同組合の飯塚光一常務理事によると、25年4~6月の利用者は前年比で約20%増えている。「外は安くない。ここがなければ朝は食べないと思う」と産業社会学部1年の男性は話す。

 一方、物価高で提供する側の負担は増し、コスト削減を迫られてきた。食材の仕入れは大学生協で一括して委託。蛇口につけて流水量を減らす「節水コマ」や油の劣化防止装置を24年度から導入するなどしている。それでも1食の本来価格は、24年度までの259円から25年度は294円と35円アップ。父母教育後援会からの補助を159円から194円に増額してもらった。物価上昇がさらに続けばどうなるか。飯塚さんは「父母教育後援会のご支援があっての100円朝食なので、ご意向に沿って協議を続けていきたい」と話す。

「節約したい費目」の1位は食費

 全国大学生活協同組合連合会が24年10~11月、全国30の大学生協の学生計1万1590人からオンラインで回答を得た「学生生活実態調査」では、物価高騰の影響で下宿生(回答の構成比48・4%)も自宅生(同48・3%)も消費支出がほとんどの項目で増加。1カ月の食費は、生活費の19・8%を占める下宿生で2万6110円と前年比230円増、同20・6%の自宅生は1万4340円と1740円増だった。下宿生の方が増加額が低いのは、外食の際の金額を抑えたり、自炊に変更したりする節約を強めているとみられる。

 「生活費の中で節約・工夫したい費目」(10費目から上位2費目を回答)で1位は「外食費を含む食費」で64・3%。下宿生に限れば71・0%に上った。過去10年ほど1位が続くが、物価高の中でさらに食が削られる状況だ。夕食の場所は自宅・自室が80・2%で、19年の75・0%と比べ5・2ポイント増加した。

 全国大学生協連は「22年ごろからの物価高の影響を受け、夕食の支出を抑えるために外食をせず、自宅で取るスタイルが定着していることがうかがえる」と分析する。「24年調査でほぼ全ての消費支出項目が前年を上回ったのは最近ではなかなかないこと」といい、物価高が24年より改善したとはいえない現在、厳しさは続きそうだ。【太田裕之】

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