日本推理作家協会の会員名簿が参政党のDM配りに利用されて、日本中の推理作家の家にアジビラみたいなハガキが届いてちょいとした騒ぎになっている。
当該の参政党員はれっきとした日本推理作家協会の会員だった。推理小説家ではなく、それどころか作家ですらないにもかかわらず、だ。
なんでそんなのが協会に潜り込んでいたのか……という話の、前日譚を知っている範囲でちょこっと。
日本の推理小説界はけっこう格差・断絶があって、「権威があるとされる新人賞(例えば江戸川乱歩賞とか鮎川哲也賞とか……)から出てきた人」「信頼に足るとされるいくつかの版元から継続的に新刊を出せている人」とそうでない人で、批評筋の、版元の、読者からの見方・信頼度が歴然と異なる。なんとなく「保守本流の人」か「そうでない外様の人」という分けられ方になり、「外様の人」だと見なされると年末の各ランキング誌で上位に行くのが難しくなったり、文学賞にも名前が挙がりにくくなったりする現状がある(そうしたものの投票や選考に関わる人たちはまず「保守本流の人」から見ていくので)。
勿論、それはいわゆる「業界内の評価」「オタクからの評価」だったりするので、実はトータルの売上は「保守本流の人」より「外様の人」の方が多かったりする。
だから時に、「俺の方が売れてるのに業界の連中は評価してくれない!」とコンプレックスに感じて病んでしまう「外様の人」が居る。
そういう人たちは、たとえば本屋大賞周りの書店員さんと仲良くしてみたり、推理小説界からは距離があるインフルエンサーの人に接近するなど、「俺の方が人気あるもん!」を強化する方向に走ったり、あるいは本人の得意分野でもないのに業界内ウケのために無理して「保守本流」っぽい作風に挑戦して玉砕したりと迷走してしまって気の毒なのだが、今回はそんな「外様の人」のひとりの話。
その人は今、推理作家協会の理事を務めてらして、その人を中心になんとなく「外様の人」の若手中堅のクラスタがあったり、協会内に年次で区切った「若手部会」をつくって自分がそのリーダーになろうと動いたりと(このあたりは人づてに聞いた話なので間違ってたらごめんね)、非常に精力的に活動されていた。……というか、どうやらその方は保守本流vs外様のヒエラルキーを、自身が代表理事にまで上り詰めることでぶっ壊してやりたいという野心をお持ちらしい。
推理作家協会の理事は会員による互選で、もちろん求心力のある人気者、しっかりした肩書のあるベテラン・実力者が選ばれる。それから、あまりいないけど「やりたい!」と手を挙げて積極的に票を取りまとめた人。
だからなんとなく派閥を分けるとすれば「保守本流の偉い人たち=複数の文学賞・新人賞で選考委員を務めるなど影響力があり尊敬されている新本格第一世代やそのフォロワー世代の人」や、「推理作家協会が主催する江戸川乱歩賞出身の、いわば『生え抜き』の人気者・実力者の人たち」が優勢というか、多数を占めることになるので、「外様の人」から理事になっても結局は少数派になってしまう。
だから――なのかは知らないが、その理事の方と周辺の数人の「外様の人」たちが音頭を取って、推理作家でない人の新規入会をどんどん増やすようになった。
日本推理作家協会への入会は、一人の理事ともう一人の会員、計2名からの推薦が要件となっている。その先に理事会での承認という行程があるが、ここで弾かれることはほぼほぼない。
本来なら20人とかしかいない、しかも大物ばかりの理事から推薦を取り付けるのが関門になるのだが、理事の側から「入りたいって言ってくれてるならどんどん新しい人を入れていこうよ!」と旗振りしているならハードルはぐっと下がるのは言うまでもない。
くだんの理事氏とその周辺の人たちはここ数年、異業種交流会などを通じて知り合ったジャンル外の人(たとえばそのジャンルの作家団体が確立していないファンタジー系の人とか、推理小説界隈の人と仕事したいと思ってくれている映像系やイベント系の人とか)などに声がけして、次々に推理作家協会員に推薦し入会させてきた。
これ自体は決して悪いことではないし、正規の手続きを踏んでいるのだから非難されることではない。
協会に入っておけば、文芸美術健康保険の加入資格が得られたり、業界内のパーティ・イベントに出やすくなったりなど、フリーランスでお仕事をしている人にとっては有利なことも少なくないので、入会したいのにツテがなくて困っていた若手作家さんなど、助かった人も多いはずだ。
ただ、そうやってジャンル外の人をどんどん入会させようとする彼らの動きを「推理小説界にしがらみのない、自分たちの意向通りに動いてくれそうな人をたくさん入会させて子飼いにし、自分たちの発言力を高めようとしているのでは」と邪推する人もいて……正直、筆者もそうなんじゃないかと思っている。アレですね、ハンター協会におけるパリストンの立ち回りですわ。
試しに推理作家協会のホームページに飛んで、ここ一年ほどの新規会員の「入会の挨拶」を見ていってほしい。
http://www.mystery.or.jp/search/article/?cid=9
メインの肩書が「推理作家」でない人の殆どが、特定の理事・会員の推薦で入会していることに気づくだろう。それも、けっこうな数の人が。
そう、その「同一推薦者による大量の新規入会者」のひとりが今回の参政党員氏なのだ。
http://www.mystery.or.jp/magazine/article/839
これだけの人数の、言い方は悪いが「推理作家の団体に入会させるべき、推理小説賞の受賞などの客観的な実績があるわけでもない人」をどんどん推薦していった会員、そしてそれをどんどん承認していった理事会は、果たして公正で十分な審査を果たしたのかという責任追及の声は上がるべきだと思う。
そもそも今のご時世に「入会さえすれば、東野圭吾の住所も京極夏彦の住所も書いてある個人情報の塊の冊子が毎年貰える」という、あまりにガバガバな運用を考え直す時期が来ているはずだ。
いやー、まいったね。
この書き方だとほぼ名指しみたいなもんだけど、大丈夫なんだろうか 消えたら逆に、本人が通報したんだな…と分かってしまうことにもなるが
江戸川乱歩?
きょう泊まりぁらんっ!
去年、我が家にも参政党のDMが届いた。 こちらの住所を一切知らせてないにもかかわらず、私の名前入りで、だ。 文句を言いに行ってやろうと思って、住所の選挙事務所に行くと、 既に...
選挙人名簿って役所に行けば閲覧して書き写すことができるからそれかもね
単なる投げ込みでは
ロシアのスパイがこんなところでも暗躍していたってことか。 参政党やるな・・・
今すぐ消して
佐藤青南さん
青南はサンセイ党員じゃないよね。青南が気が狂ったように推薦しまくってその中の一人が党員?
うちにも某政党からのDMが届いて 電話かけて問い詰めたら「(個人情報は)市役所から貰った」って言われたんだけど やっぱどこかの名簿が漏れたか買ったって事だったのかな
政党や政治団体は政治活動とかのために有権者名簿を市区町村の役所で閲覧できて、そこで書き写しならできるから、それ使ってハガキ出すのよ 情報源が役所と言っているなら、漏れた...
ただの言い訳やろ
2001年に宝島社の『このミステリーがすごい!』大賞が始まったやろ 宝島社はサブカルのようで右翼系で、文学雑誌は出してないよね 2023年に創業者社長が80歳の誕生日に死亡(関東州出...
日本のメディアで右って珍しいな。初めて聞いた気がする 日本の場合、TV, 新聞と多くのメディアが右でも左でもない、ただただ中華朝鮮寄りじゃん
TBSはハングル使えないと出世できないってマジ?
右って珍しいか? 玄洋社は消えたけど講談社やカドカワとか歴史的にずっと右じゃね?
玄洋社を出版社だと思っているのか。じゃあ水平社も出版社だな笑
昔の政治結社って新聞出してたじゃん
これはなかなかセンセーショナルな増田 作家先生を守る意味でも出版社やらなんやらが横紙破りしてでも 口出しすべき案件ではないのか
パリストン言われてめっちゃ解像度が上がった 富樫は偉大
名簿屋みたいな真似すんなよ クズどもが
とりあえず「くだんの理事」は謝罪をした上で、増田の「パリストン説」を否定(別の「保守本流」会員による否定もある)していることを伝えておく Xユーザーのアロンのかいぬし(...
なんで嘘ついたの。。
嘘って言うけど、推理小説とあんまり関係ない人を協会に入れることに抵抗のある推理作家は実際にいるみたいだが
つーか、今どきこの手の任意団体で住所の入った名簿を会員全員に配布してるのがおかしい
政治に関連する話題で「保守本流」とかいう比喩を使うありえない言語感覚
最初の数行しか読んでないけどこれ自体が推理小説みたい
佐藤青南 え、なにこれ…… 僕がのべつまくなしに声をかけているわけではなく、代表理事から命じられて業界に伝手のない作家さんの窓口をやってるだけなのに。 「若手部会」とやら...
知念以外知らん奴らだが、知念もインターネットヤバイおじさんなので信用できない
乾緑郎と友井羊はこのミス大賞作家
芥川賞くらいじゃないと価値ないよ