首相へやじで警察官に排除 北海道への賠償命令確定 最高裁

街頭演説をしていた総理大臣にやじを飛ばし、警察官に排除されたのは、表現の自由の侵害だと、札幌市の男女2人が訴えた裁判で、最高裁判所は20日までに上告を退ける決定をし、男性の訴えを退ける一方、女性については道に賠償を命じる判決が確定しました。

札幌市に住む男女2人は、5年前、市内で街頭演説をしていた当時の安倍総理大臣にやじを飛ばしたところ、警察官によってその場から排除され、表現の自由を侵害されたと訴えました。

1審の札幌地方裁判所は、2人の排除は違法だとして道に賠償を命じ、2審の札幌高等裁判所は、男性については警察官の判断を合理的だとして訴えを退けた一方で、女性の排除については「安倍総理大臣に危害を加えるために近づこうとしていた可能性を裏付ける証拠はない。表現の自由を侵害し違法だ」として、道に55万円の賠償を命じました。

これについて男性と道が上告していましたが、最高裁判所第1小法廷の深山卓也裁判長は、20日までに上告を退ける決定をし、男性の訴えを退ける一方、女性については道に賠償を命じる判決が確定しました。

勝訴の女性「もやもやは残ったまま」

最高裁判所の決定を受けて、原告の2人と弁護士が札幌市中央区で会見しました。

このうち、訴えが認められた原告の桃井希生さん(29)は「この裁判は、私だけの利益を争ったわけではなく、私への賠償だけ認められればいいわけではない。やじの排除は表現の自由への侵害で違法だと認められても、そのラインは何だろうと、もやもやは残ったままです」と話しました。

また、上告が退けられた原告の大杉雅栄さん(36)は「僕の部分でいえば敗訴ですが、同じ部分を主張した桃井さんは勝訴しているので、とりあえず悲観はしていません」と話しました。

北海道警察本部「不偏不党かつ公平中正に職務にまい進」

北海道警察本部は「表現の自由について特定の意見を規制することは、もとより考えていない。職務に疑念を持たれないよう、法令に基づき不偏不党かつ公平中正に職務にまい進していきたい」とコメントしています。

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