ヘイトに歯止めがきかない―ネット、選挙、日常生活にあふれ出した外国人差別
埼玉で日本語教室が開かれていた6月15日の日曜午後、東京都杉並区のJR高円寺駅前は、喧噪(けんそう)に包まれていた。 現れたのは、東京都議選に立候補した政治団体日本保守党(百田尚樹氏らの同名の党とは別)の女性と、河合氏ら。そして、その選挙街宣に向け、抗議する数十人が「ヘイトやめろ」「差別するな」と声をからした。警官隊が両者を隔てようと間に立った。 候補者や弁士は演説で、抗議者に向けて「彼らの多くが朝鮮人だ」「あなたたち、日本名を名乗ってるんでしょ」「不法外国人が焦っている」などと外国人だと決めつけ、差別デマを繰り返した。「そうだ」と呼応する支持者たちもいる。 マイクを握った河合氏は、抗議者たちの存在に触れ「妨害行為ばっかりするんですよ。どっちが正しいのか明白でしょう。彼らの多くが在日であり、朝鮮人である。すなわちこれは、日本対外国の戦いなんです」と主張し、「ちょっとでも油断すれば日本が侵略される」とデマをあおった。
▽ヘイト対策求めるシンポジウム 高円寺駅前が平穏を取り戻してからしばらくして、夜には川口市のホールで、急増するクルド人差別への対応を考えるシンポジウムが開かれた。 登壇したクルド人女性(32)は声を震わせ、短く語った。「私の子どもが、クルドは悪いのかと言う…」。参加者150人が静まりかえった。 ノンフィクションライターの安田浩一さんは、差別実態を次々と報告した。クルド人が働く資材置き場での無断撮影、100円ショップで幼い子どもを盗撮し「万引をしている」とデマを流すSNSの投稿、クルド料理店への嫌がらせの電話…。安田さんは参加者に呼びかけた。 「差別は間違っていること、人を差別して得られるものは何にもないこと、そして差別の行き着く先には殺りくしかないということを伝えていきましょう。私たちは地域と社会と人間を守る義務がある」 ▽記事に群がるヘイト クルド人差別急増でシンポジウム 埼玉、ライターら危機感 このシンポジウムを共同通信が報道すると、記事を紹介したXに、多数のヘイトコメントが投稿された。ヘイトスピーチの定義は、マジョリティーからマイノリティーに対する差別言動だが、日本人が差別されていると主張する内容もあった。
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