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習近平の中国

習近平体制は党大会を経て3期目が始動。権力集中が加速する異例の長期政権は、どこに向かうのでしょうか。

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中国でスパイ罪の製薬会社社員に懲役3年6月の判決 北京の地裁

北京市の第2中級人民法院(地裁)=2025年7月、畠山哲郎撮影
北京市の第2中級人民法院(地裁)=2025年7月、畠山哲郎撮影

 中国・北京市で拘束され、スパイ罪で起訴されたアステラス製薬の60代の日本人男性社員に対し、同市の第2中級人民法院(地裁)は16日、スパイ活動を行ったと認定し、懲役3年6月の実刑判決を言い渡した。傍聴した在中国日本大使館の金杉憲治大使が記者団に明らかにした。

 男性のどのような行動がスパイ活動と認定されたかなど、具体的な内容は明らかになっていない。中国でビジネスに関わる邦人の間で不安が広まり、日本企業の「中国離れ」がいっそう進む可能性がある。改善基調にある日中関係にも影響を与えそうだ。

 判決公判は日本メディアには非公開で行われ、約15分で終了した。金杉氏は公判後、「有罪判決が出されたことは極めて遺憾だ」と強調。判決の内容について「本人の意向もあり、詳細については差し控える」としつつ「一定程度の説明はあったが、透明だというレベルではなかった」と語った。

 男性は同社の現地法人で幹部を務めたベテラン駐在員で、日系企業で構成する「中国日本商会」副会長も務めた。2023年3月、帰国直前に拘束され、同年10月に正式に逮捕された。その後、24年8月にスパイ罪で起訴され、同年11月に初公判が開かれた。

 日本政府は再三にわたり早期釈放を求めており、判決後、釈放のほか、拘束中の権利保障や司法手続きの透明性向上などを改めて中国政府に要求した。外務省の北村俊博外務報道官は16日の記者会見で「中国での邦人拘束事案は、日中間の人的往来や国民感情の改善を阻害する最大の要因の一つだ」と訴えた。

 一方、中国外務省の林剣副報道局長は「中国は法治国家で、司法機関は法に基づき厳格に事件を取り扱っている」などとした上で「中国へ駐在・訪問する外国人は、法律を順守し、法律に基づき業務を行う限り、何も心配や不安を抱えることはない」と強調した。

 在中国日本大使館によると、金杉氏は16日午後、男性と領事面会を行った。中国の刑事裁判は2審制だが、男性は上訴について「弁護士と相談する」と話したという。

 習近平指導部は14年に反スパイ法を施行し、23年には同法を改正。従来の「国家機密」に加え、「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、資料、物品」の提供や窃取などに処罰対象を拡大した。だが定義があいまいで、当局による恣意(しい)的な運用の可能性が懸念されている。

 反スパイ法施行後、少なくとも17人の日本人が中国で拘束され、今回の男性を含め12人が懲役3~15年の実刑判決を受けた。5人が今も解放されていない。5月には上海の裁判所で50代男性が懲役12年の判決を受けたばかりだった。

 アステラス製薬は取材に対し「社員の健康、安全を確保するため、できる限りのサポートをしている。引き続き関係各所と連携し、適切に対応する」と回答した。【畠山哲郎、松倉佑輔(北京)、田所柳子】

中国における邦人拘束の主な経緯(肩書は当時)

2014年11月 中国で反スパイ法可決、施行

 15年 日本人男女計4人をスパイ容疑で拘束

   7月 中国国家安全法施行

 16年7月 日中交流団体幹部の鈴木英司氏を拘束

 17年3月 地質調査会社員ら日本人6人を拘束

 18年2月 伊藤忠商事社員を拘束

 19年9月 北海道大教授を拘束

 22年2月 在中国日本大使館員を一時拘束

 23年3月 アステラス社員を拘束

   7月 改正反スパイ法を施行

 24年8月 アステラス社員をスパイ罪で起訴

   11月 アステラス社員の初公判

 25年7月 アステラス社員に有罪の1審判決

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