なんで突然優さんを思い出したかと言うと、先日、たまたま会議でとある施設を訪れたとき、奥様を見たんです。
会ったんじゃありません。見たんです。
その施設は、会議室にも使えて、趣味の教室などにも使える施設なんです。
私たちの会議を終えて、廊下を歩いて帰ろうとしたとき、たまたま硝子張りの壁の部屋を通ったとき、教室の受講をしているのが見えたんです。
「そういえば、木曜日って奥様はここへ通ってたような気がする」と思って、ぼーっと眺めながら歩いたんです。
優さんの話じゃ、奥様は、いつも生き生きとして教室のみんなを引っ張っていくような明るくパワーのある女性だから、勝手に先生の一番近くの前列にいるんじゃないかと思ったんです。
でも、違っていました。
最初にお顔を拝見したのは、かれこれ10年くらい前の事。
キュートで美人だった奥様も、私同様歳を取りました。年齢の割にはお綺麗で、太っているというほど太った人ではありません。中肉中背です。
一番後ろで先生を真似て踊っていらっしゃったんです。
私も、教室を自分で開設していたからわかるんですけど、上手な方や若い方は、どうしても他の生徒さんが無理やりにでも真ん中に押しやる形になるんです。
奥様も、長い間受講されているので、若い方に前を譲られたのかもしれませんね。
こんなことを書くと、勝手に思い込み激しい方々は、私が嫉妬心や憎悪を持っていると思うのかもしれませんが、何も思いませんでした。
憐れみも罪悪感というものも、もちろん何も。
こうやって人生を楽しんでいる人に憐れみなんて失礼ですし、私も私の人生を楽しんでいるのに、彼女に嫉妬する理由も見つからないんです。
おそらくですけど、離れてしまった私と優さんのことを今更奥様が知ったとしても、彼女は動じたりしないんじゃないかと思います。
一番心労があったのは、40代の優さんが、離婚して30代の独身女と一緒になると言ったときじゃないかな。
優さんは、逆玉だから、仲の良い親戚に諭されて諦めたらしいけど、貧乏になった優さんじゃその独身女とはいずれ別れていたでしょうね。
奥様は、優さんの不倫相手を何人を知っているのか知らないけど、捨てられなかったんだよね。
好きになると100%で来る男なんだから、新婚当時は尽くされたから、それが忘れられないんでしょうね。
厄介な男です。
躊躇なく女に惚れては奪って尽くすんだから、こういう男は家から出しちゃだめよ