192.第6章「平成の東映」
第5節 東映の劇場展開(ティ・ジョイ編)
2000年5月16日銀座東武ホテルにて、東映代表取締役社長高岩淡、東急レクリエーション代表取締役社長佐藤進、東映取締役岡田剛(裕介)は、8月をめどに設立予定のシネマコンプレックス新会社「ティ・ジョイ」の記者会見を行います。
「ティ・ジョイ」は、広島・東広島、東京・大泉、大阪・梅田、北海道・札幌、東京・新宿の5か所にシネコンを予定しており、他にも計画中であること、また、「ティ・ジョイ」には、東映、東急レクリエーション、佐々木興業、武蔵野興業などの映画興行会社の他、オリックス、JSAT、ぴあ、エイベックス、田辺エージエンシー、アップフロントエージエンシー、コミー、バンダイなど他業種からの資本参加も予定していることを発表します。
新会社設立に先立つ6月、東映は社内に「シネマコンプレックス新会社開業準備プロジェクト」を立ち上げました。
2000年8月29日、「株式会社ティ・ジョイ」が誕生します。
代表取締役社長には東映常務取締役岡田裕介が就任。取締役会長は東急レクリエーション代表取締役社長の佐藤進が就きました。
以降「ティ・ジョイ」がこれまでに創設したシネコンを開業順に紹介いたします。
1. ティ・ジョイ関連シネコン
○ ティ・ジョイ運営館(開業順)
① T・ジョイ東広島(2000年12月9日~)
場所:広島県東広島市西条町御薗宇4405 フジグラン東広島SC3階
SC数:6スクリーン
席数:オープン時・968席(現:951席+車椅子7席)
備考:単独経営。ティ・ジョイ第1号館。
② T・ジョイ新潟万代(2001年7月14日~)
場所:新潟県新潟市中央区八千代2-5-7 BP2ビル3階
SC数:8スクリーン
席数:1,577席(現:1,426席+車椅子14席)
備考:単独経営。2001年4月8日閉館「新潟東映劇場」(新潟東映→東映パラス)跡地
③ T・ジョイ大泉(2001年12月15日~20016年4月1日T・ジョイSEIBU大泉~)
場所:東京都練馬区東大泉2-34-1 オズスタジオシティ4階(東映東京撮影所内)
SC数:9スクリーン
席数:1,700席(現:1,581席+車椅子11席)
備考:当初、単独経営。2016年4月1日より西武不動産(旧・西武リアルティソリューションズ)との共同事業体経営
④ T・ジョイパークプレイス大分(2002年4月27日~)
場所:大分県大分市公園通り西2-1 パークプレイス大分内
SC数:9スクリーン
席数:1,649席(現:1,489席+車椅子9席)
備考:単独経営
⑤ 梅田ブルグ7(2002年4月27日~2023年4月1日よりT・ジョイ梅田~)
場所:大阪府大阪市北区梅田1-12-6 E-MA(イーマ)ビル7階
SC数:9スクリーン(現:7スクリーン)
席数:1,595席(現:1,390席+車椅子席16席)
備考:当初、松竹マルチプレックスシアターズ共同経営、現在は単独経営。2002年4月28日閉館「梅田東映会館」(梅田東映→東映パラス→東映パラス2)後継。Dolby Cinema(ドルビーシネマ)導入
⑥ T・ジョイリバーウォーク北九州(2003年4月19日~)
場所:福岡県北九州市小倉北区室町1-1-1 リバーウォーク北九州 デコシティ4階
SC数:8スクリーン
席数:1,367席(現:1,357席+車椅子席10席)
備考:単独経営
⑦ 広島バルト11(2004年3月24日~)
場所:広島県安芸郡府中町大須2-1-1 イオンモール広島府中4階
SC数:11スクリーン
席数:1,980席(現:1,761席+車椅子席21席)
備考:TOHOシネマズとの共同事業体経営。2018年3月21日『MX4D®』、2017年12月15日『IMAX®デジタルシアター』導入
⑧ T・ジョイ久留米(2004年12月25日~)
場所:福岡県久留米市新合川2-7-10 久留米アミューズメントビル2F
SC数:10スクリーン
席数:1,755席(現:1,740席+車椅子席15席)
備考:単独経営。2017年4月1日プレミアムシアター『T-LEX®(ティ・レックス)』導入
⑨ XYZ・シネマズ蘇我(2005年4月28日~2010年9月1日よりT・ジョイ蘇我~)
場所:千葉県千葉市中央区川崎町51-1
SC数:12スクリーン
席数:2,158席(現:1,930席+車椅子席22席)
備考:開業時、セガサミーホールディングスグループ「アバンダ」との共同出資会社シーズ・シネマズが運営。ライブハウス併設型劇場。2010年9月より単独経営。2020年2月14日プレミアムシアター『T-LEX®(ティ・レックス)』導入
⑩ 新宿バルト9(2007年2月9日~)
場所:東京都新宿区新宿3-1-26 新宿三丁目イーストビル9階
SC数:9スクリーン
席数:1,842席(現:1,807席+車椅子席17席)
備考:TOHOシネマズとの共同事業体経営。2004年1月9日閉館「新宿東映会館」跡地。2022年12月1日『Dolby Cinema™(ドルビーシネマ)』導入。「Cafe OAS」併設
⑪ T・ジョイ長岡(2007年11月23日~)
場所:新潟県長岡市千秋2-1087-1 リバーサイド千秋センタープラザ2・3階
SC数:10スクリーン
席数:1,813席(現:1,680席+車椅子席15席)
備考:単独経営。デザイン・フィールドフォー・デザインオフィス。2019年3月21日プレミアムシアター『T-LEX®(ティ・レックス)』導入
⑫ T・ジョイ出雲(2008年6月21日~)
場所:島根県出雲市大塚町650-1 ゆめタウン出雲東館3階
SC数:10スクリーン
席数:1,767席(現:1,753席+車椅子席14席)
備考:単独経営。デザイン・フィールドフォー・デザインオフィス
⑬ 横浜ブルク13(2010年3月19日~)
場所:神奈川県横浜市中区桜木町1-1-7 コレットマーレ6階
SC数:13スクリーン
席数:2,615席(現:2,393席+車椅子席30席)
備考:松竹マルチプレックスシアターズ、東急レクリエーションとの共同事業体経営。内装・設計は東映建工、デザインはフィールドフォー・デザインオフィス。「カフェ oase」併設。2016年7月1
日『IMAX®デジタルシアター』、2024年12月11日『ScreenX with Dolby Atmos®(スクリーンエックス ウィズ ドルビーアトモス)』導入
⑭ T・ジョイ京都(2010年5月27日~)
場所:京都府京都市南区西九条鳥居口町1番地 イオンモールKYOTO Sakura館5階
SC数:12
席数:2,196席(現:2,117席+車椅子席27席)
備考:単独経営。内装・設計は東映建工、デザインはフィールドフォー・デザインオフィス。2024年6月21日、日本初『ScreenX with Dolby Atmos®』導入
⑮ T・ジョイ博多(2011年3月3日~)
場所:福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1 JR博多シティ9階
SC数:11
席数:1,899席(現:1,877席+車椅子席22席)
備考:単独経営。内装・設計は東映建工、デザインはフィールドフォー・デザインオフィス。2018年11月23日『Dolby Cinema™(ドルビーシネマ)』国内初導入
⑯ こうのすシネマ(2013年7月5日~)
場所:埼玉県鴻巣市本町1-2-1 エルミこうのすアネックス3階
SC数:8+多目的ホール1
席数:1,571席(現:1,536席+車椅子席35席)
備考:単独経営。内装・設計は東映建工、デザインはフィールドフォー・デザインオフィス
⑰ T・ジョイPRINCE品川(2016年4月1日~)
場所:東京都港区高輪4-10-30 品川プリンスホテル アネックスタワー 3階
SC数:1
席数:2,008席(現:1,986席+車椅子席22席)
備考:西武不動産(旧・西武リアルティソリューションズ)との共同事業体経営。品川プリンスホテル 2002年4月25日開業。2016年7月1日『IMAX®デジタルシアター』導入
⑱ T・ジョイ横浜(2020年6月24日~)
場所:神奈川県横浜市西区南幸一丁目1番1号 JR横浜タワー8階
SC数:9
席数:1,230席(現:1,212席+車椅子席18席)
備考:単独経営。内装は東映建工。『Dolby Cinema™(ドルビーシネマ)』導入。9スクリーン全てレーザープロジェクターと3D対応スクリーン
⑲ T・ジョイ エミテラス所沢(2024年9月24日~)
場所:埼玉県所沢市東住吉10番1号エミテラス所沢4階
SC数:12
席数:1,872席(現:1,830席+車椅子席42席)
備考:松竹マルチプレックスシアターズと西武不動産(旧・西武リアルティソリューションズ)との共同事業体経営。全スクリーン4Kレーザープロジェクター。『ScreenX with Dolby Atmos®』導入
○ パートナー(他社運営)館
① 札幌シネマフロンティア(2003年2月22日~)
場所:札幌市中央区北5条西2丁目5 JRタワー・札幌ステラプレイス 7階
SC数:12
席数:2,725席(現:2,705席+車椅子席20席)
備考:TOHOシネマズ、松竹マルチプレックスシアターズ、ティ・ジョイ共同事業体経営。札幌シネマフロンティア運営
② 鹿児島ミッテ10(2004年9月17日~)
場所:鹿児島県鹿児島市中央町1-1 アミュプラザ鹿児島 6階
SC数:10スクリーン
席数:1,922席(現:1,816席+車椅子席17席)
備考:有楽興行との共同事業体経営。2004年9月16日閉館「鹿児島東映劇場」有楽興行運営。デザイン・フィールドフォー・デザインオフィス。2018年7月13日『IMAX®デジタルシアター』導入
③ なんばパークスシネマ(2007年4月19日~)
場所:大阪市浪速区難波中2-10-70、なんばパークス 8階
SC数:11スクリーン
席数:2,164席(現:2,141席+車椅子席23席)
備考:松竹マルチプレックスシアターズ、ティ・ジョイ共同事業体経営。松竹マルチプレックスシアターズ運営
④ T・ジョイ稚内(2010年6月12日~)
場所:北海道稚内市中央3丁目6-1、キタカラ 2階
SC数:3
席数:250席(現:247席+車椅子席3席)
備考:、最北シネマ株式会社運営。内装・設計は東映建工、デザインはフィールドフォー・デザインオフィス
⑤ 大阪ステーションシティシネマ(2011年5月4日~)
場所:大阪市北区梅田3-1-3、大阪ステーションシティ ノースゲートビルディング 11階
SC数:12スクリーン
席数:2,564席(現:2,539席+車椅子席25席)
備考:松竹マルチプレックスシアターズ、TOHOシネマズ、ティ・ジョイ共同事業体経営。旧「梅田ピカデリー1・2・3・4」(2011年1月16日閉館)後継館。松竹マルチプレックスシアターズ運営
2. ティ・ジョイの取り組み
① デジタルシネマ(DLP)の導入
ティ・ジョイは、2000年の開業以来、デジタルシネマの先駆けとして導入を推進してきました。
10周年を迎える2010年には全国15劇場144スクリーンへのデジタルシネマシステムの導入を完了します。
② ODS(非映画デジタルコンテンツ)の推進
ティ・ジョイはデジタルシネマシステムの導入と共に映画以外のデジタルコンテンツODSの活用を推進します。
③ 映画配給業進出
映画配給にも進出し、初配給作品の島田洋七原作『佐賀のがばいばあちゃん』(倉内均監督・吉行和子主演)は、6億円の興行収入を上げる大ヒットとなりました。
この映画は、第4回ベルリン・アジア太平洋映画祭にてグランプリ受賞します。
その他2012年には、9月公開アニメ映画『劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-』(米たにヨシトモ監督・平田弘明主演(声):興行収入約6億円、11月公開アニメ映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 (庵野秀明総監督・緒方恵美主演(声)):興行収入53億円、2013年4月公開『HK 変態仮面』(福田雄一監督・鈴木亮平主演)などの話題作を配給しました。
④ 映画祭開催
ティ・ジョイは『中国映画祭』『ラテンビート映画祭』『東京レズビアン&ゲイ映画祭』『ドイツ映画祭』などの映画祭にも取り組みます。
⑤ 海外企業との提携
2007年12月、ティ・ジョイは2002年7月に東映アニメーションが創設したアニメ企画会社ラテルナを取得します。
業態を映画・映像の企画製作に変更し、ドイツ・カザフスタン・ロシア・モンゴル合作映画『モンゴル』(セルゲイ・ボドロフ監督・浅野忠信主演)の日本での配給権を買い付け、アメリカのイレブンアーツ、韓国のSSDとの合作映画、ダニー・グローヴァー製作総指揮『The Harimaya Bridge はりまや橋』(アロン・ウルフォーク監督・ベン・ギロリ主演)などの製作に乗り出しました。
ティ・ジョイは『佐賀のがばいばあちゃん』を製作した㈱アマゾンを2008年6月に傘下に収めると、2010年4月、アマゾンとラテルナを合併し㈱アマゾンラテルナを設立します。
アマゾンラテルナは、韓国のエンタテインメント最大手CJ ENMと合併会社CJ Entertainment Japanを設立。ティ・ジョイもCJ ENMと業務提携を開始しました。
2011年12月には中国の映画会社ゴールデン・ハーベストグループのオレンジスカイとの業務提携を発表します。
2020年11月、ティジョイを創設し牽引してきた代表取締役社長の岡田裕介が急逝しました。
後任には東映代表取締役社長の手塚治がティ・ジョイ代表取締役社長を兼務します。
2023年2月に手塚が逝去すると、後任に東映代表取締役会長の多田憲之がティ・ジョイ社長を兼務しました。
2025年7月、様々なチャレンジを行ってきたティ・ジョイは、東映の完全子会社になります。
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