VOCALOMAKETS社、AI使用の二次創作物のみ販売を禁止
2025年7月14日、VOCALOIDをはじめとした音声合成サービス全般に音声データを提供しているVOCALOMAKETS社が、自社キャラクター「結月ゆかり」「紲星(きずな)あかり」に関して、キャラクター使用ガイドラインに「AIを使用した二次創作物の有償配布・収益化を禁止する」という条項を追加。
数ある「原作」の中でも、例えばVTuberは、いわゆる「ママ」が手描き絵師であるため、自身の損得の問題から、選択的反AI(他のAIは平然と使うがAIイラストにだけは反対する)にならざるを得ない立場にあり、ほぼ例外なく全てのVTuberが、ダブルスタンダードである事を知りながら、開き直って選択的反AIをやっている。
しかしそれ以外の「原作」、例えば一般的なマンガやアニメ、あるいは今回のVOCALOID等では、作者が非公式に反AI寄りのコメントを出す事はあっても、公式見解として「二次創作全体は黙認するがAIイラストだけは禁止する」などと宣言した事はなかった。よって、本件はおそらく、IPホルダーがAI生成物だけに選択的に制限をかけようとした最初の事例となる。
なぜAIイラストにだけ選択的に制限を加える事が「絵師さんが安心して描ける」事に繋がるのか、と考えると、ロジックとしては結局、無断学習罪しかないと思われる。「絵師は学習される事が不安であり、本当は無断学習罪によって学習自体を阻止したいが、できないので、販売だけは禁止する」という事である。VOCALOMAKETS社はIPホルダーであるから、たとえ「なぜ、手描きの時にだけ二次創作物を販売してもいいのか」という問いに論理的に回答できなかったとしても、AI生成物に対してだけ訴訟を起こし、手描きに対して訴訟を起こさなければ、事実上その「ルール」を強制する事はできる。
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