有料創作論トラブル事案1・要旨
創作指導を有料で受けた際にトラブルが発生したとの情報提供がありました。
同様のトラブルを回避するため、当該事案について、名興文庫側で情報を精査、記事にまとめさせていただきます。有料で創作に関する指導を考えていらっしゃる方は、本記事を参考にしていただければと思います。
なお、当該事案につきまして、関係者の特定を防ぐため、アカウント名や固有名詞は避けて記載しています。ご了承ください。
関係者
依頼者:有料で創作指導を受けた人物
指導者:有料で創作指導を請け負った人物
トラブルの内容
依頼者は、スキルマーケットプレイス「ココナラ」にて、商業作家の肩書きのある指導者に、商業作家目線でのアドバイスをもらうため、小説の改善案を有料で依頼した。
依頼者は、総額18,000円を支払い、自作の小説120,000字を読んでもらった。しかし、指導者は作品の読み込みをしていないと思われる返信をし、実現不可能に近い改稿案を提案した。
依頼者は、金額に見合わないサービス回答であったことから、返金を依頼した。
スキルマーケットプレイス「ココナラ」の運営者からも、返金に応じるようメールを送ってもらったが、指導者は無視している。
指導者は現在も「ココナラ」で活動を続けている。
指導者の情報
指導者は「商業作家である」と自己紹介している。
幅広いジャンルで活躍しているらしく、「専門的な知識を必要としないオールジャンルで依頼を受ける」としている。
しかし、商業作家としてのペンネームは不明である。
出品サービスの実績は40件近くあり、評価は星4以上である。
依頼者が利用した出品サービス
出品サービスのタイトルには「プロ」の文字があり、「最短で当日に返答」「じっくりと重点的に読み込む」とアピールしている。
説明欄には、商業作家目線で感想とアドバイスをするサービスである旨が記載されている。
感想は、3,000字から5,000字になる、と記載がある。
提供する感想は、「各章ごと」「全体」「キャラクター別」「タイトル」である。
感想の基準は、「テーマ性」「時代性」「キャラクターの魅力」「構成力」「オリジナリティー」の5項目である。
指導者曰く、ライトノベルやBL作品の感想を得意としており、専門知識を必要とする作品は対象外とする旨を、説明文に記載している。
50,000字以内であれば追加料金なしで当日中に返答、となっている。
有料オプションは、50,000字以降10,000字未満増えるごとに1,000円加算、という仕組みである。
指導者の返答内容
依頼者は、出品サービスの内容を把握し、購入検討をするため、指導者に質問をした。
指導者は依頼者の不安を理解し、「今後の創作で迷うことないよう、問題点のピックアップと、作品作りのアドバイスを行う」「感想を伝える」と返答している。
依頼者は、指導者の返答に納得し、指導者の出品サービスを購入した。
その後、指導者は返答を依頼者に渡した。
返答全体の文字数は約6,000字である。
指導者は返答の冒頭にて「各話読みの感想であること」「ライブ感を失わないためにツッコミや疑問を包み隠さず記載していること」と記載している。事実、指導者は、各話のツッコミ・感想を記載している。
依頼者がサービス結果に抱いた感想
・物語の内容を正確に理解していない
・流し読みをしている(じっくりと読み込んでいない)
・物語の主人公を把握するまでに時間がかかった
・描写の根拠を依頼者に質問しなかった
・キャラクターの感想が大雑把だった
・依頼者の実力不足を連呼した
・作品全体に対し「説明不足」としたが、具体的な指摘はなかった
・作品全体を書き直す規模の改稿案を提示された
トラブルの要旨
依頼者は、指導者が商業作家であり、商業作家としての目線で的確なアドバイスをもらえると期待し、サービスの利用を検討した。
指導者は依頼者に対し、「今後の創作で迷うことないよう、問題点のピックアップと、作品作りのアドバイスを行う」と返答したことから、依頼者はサービスを購入した。
しかし、指導者の返答はサービスの説明にある「じっくりと重点的に読み込む」ものではなかった。
作品のキャラクターの名前を間違え、感想は瞬発的なものがほとんどであり、キャラクターに感情移入できない、時系列がわからない、設定の説明不足、と繰り返した。
依頼者の質問に対する指導者の回答が、どの部分に対する回答なのか曖昧だったことから、依頼者は一つずつ指導者に確認を取ったが、指導者は大雑把な返答に終始した。
依頼者は指導者に繰り返し詳細を確認したが、指導者は具体的な指摘はせず、キャラクターに感情移入できない点、時系列がわかりづらい点、説明具足である点を伝えた。最終的に、依頼者の実力不足であると返答した。
依頼者はサービス利用に総額18,000円を支払っている。
依頼者は、支払った金額に見合わない回答であったことから指導者に返金を求め、プラットフォームの運営者である「ココナラ」からも返金するよう依頼をしてもらった。
しかし指導者はそれら連絡に返答せず、現在もサービスを提供し続けている。
総括
指導者は「商業作家」であることをアピールポイントとしてサービスを展開しており、依頼者は商業作家目線でのアドバイスをもらえると期待しサービスを購入した。
しかし、指導者からの回答を見るに、指導者は商業作家としての実績はあるのかもしれないが、指導者としての技量は低いものと思われる。現に指導者の最終的な回答は「依頼者の実力不足」であり、依頼者が求めていた「商業作家目線での的確なアドバイス」は得られていない。
そもそもの問題点として、指導者は「商業作家」としているが、自称に留まっている。本当に商業作家としての実績があるかは不明である。
一般的に日本人の平均読書速度は、1分間に400字から600字と言われている。人の集中力が持続する時間は最長で10分から15分と言われており、平均はおおよそ3分程度である。
指導者が提供しているサービスは、「最短で当日に返答」としているが、「じっくりと重点的に読み込む」のであれば、「当日に返答」はかなり分量が少ない作品に限られる。サービスの説明に矛盾が見られることから、いきなり高額依頼をするのは避けるべきだったと思われる。
事実、依頼者が求めていた「商業作家目線で感想とアドバイスをするサービス」は「依頼者の実力不足」という極めて不親切な回答を結論としている。
また、指導者が準備する感想の基準は「テーマ性」「時代性」「キャラクターの魅力」「構成力」「オリジナリティー」の5項目としているが、実際の感想はキャラクターの魅力についてが大半であり、「テーマ性」「時代性」「構成力」「オリジナリティー」にはほとんど回答していない。依頼者が返金を求めるのは当然である。
以上を踏まえ、有料で創作のアドバイスをもらう際は、下記ポイントを見極めた上で依頼するのが良いと思われる。
・サービス説明に矛盾はないか?
・指導者の実績は明瞭であるか?
・高額依頼以外のサービスはあるか?
高額な依頼をする前に、まず安価なサービスを利用し、指導者の指導力を推し量った上で高額なサービスを依頼するのが良い。
当該トラブルの場合、指導者は依頼者の作品を「小説家になろう」に置いた場合で一部返答しており、依頼者の「商業作家目線で感想とアドバイスをする」を拡大解釈している。この点からしても、指導者は依頼者の依頼内容を汲み取れておらず、常の癖として文書の流し読みをしていると推測される。
なお、当該トラブルの指導者は、シロクマ書庫にて堅洲斗支夜を侮辱した編集者を師としている。
シロクマ書庫に参加し堅洲斗支夜を侮辱した編集者は、現在は元のレーベルに戻って編集業をしている模様であり、当該レーベルは編集者の育成を行っている。
編集者とは、文章の赤字入れを生業とするものではない。
もし有料で編集を依頼する際、小説本文の添削や改稿案の提示だけしかサービス提供していない場合、依頼するかどうか、よくよく検討した方が良いと思われる。
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