公共交通の廃止相次ぎ、自治会長「赤字路線だからと見放すのでなく新たなあり方を」
[声 参院選2025~地方から]
中国山地の一角・広島県三次(みよし)市と、日本海に面する島根県江津(ごうつ)市を結ぶ旧JR三江(さんこう)線。通院や買い物の高齢者に重宝され、90年近い歴史から地域住民の心のよりどころとなっていたが、7年前、利用者減などを理由に廃止された。 【一覧】参院選2025 立候補者
沿線の島根県美郷町で農家民泊を経営し、連合自治会長も務める田辺裕彦さん(67)は「地元の高齢者を守ってくれず、地域が見捨てられた」とショックを引きずる。宿泊希望者からの問い合わせに「鉄道がない」と答え、断られるのがつらい。
廃止後、代替で延伸された民間バス路線は鉄道より便数が少なく、運賃は片道で実質200円以上上昇。全国で運転手不足によるバス路線の廃止・減便が相次ぐ中、田辺さんは「客が誰も乗っていないバスも目立つ。このままではバスもなくなってしまう」と心配する。
淡い期待をかけるのが、昨年11月から町が始めた電気バスの自動運転の実証実験だ。全地球測位システム(GPS)や車載カメラの情報に基づき、3D(3次元)マップで設定したルートを走行する仕組みで、将来は運転手がいなくても運行できるかもしれない。町は国の補助を受け、2027年度の導入を目指す。
田辺さんは「町の活性化や交流人口を増やすには、公共交通はなくてはならない存在だ。赤字路線だからと見放すのではなく、新たなあり方を一緒に考えてほしい」と訴える。
秋田市郊外にある国際教養大では、不便さを解消しようと学生が動き出した。
約9割の学生がキャンパス内の寮や宿舎で暮らし、4キロ先の最寄り駅行きの路線バスは1日往復1便だけ。「アルバイトや買い物も気軽にできず、日常生活に支障が出ている」と3年生の大矢玲菜さん(21)は「公共ライドシェア」の仕組みづくりを進めている。
公共ライドシェアは道路運送法に基づく制度で、許可が得られれば一般のドライバーでも有償で乗客を運ぶことができる。全国の交通の便が悪い地域で788団体(25年3月時点)が登録している。
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