直近の世論調査で比例代表の投票先2位に浮上したと報じられた参政党。
エビデンスのない主張や露骨な排外主義、女性蔑視の主張を繰り返していても、同党の支持が伸びているのは、代表の神谷宗幣氏のセルフプロデュースと話術の巧みさ、選挙戦略の賜物なのだろう。
ただし、同党が掲げる「政策」のなかには、民主主義社会の前提を根底から否定し、かつての戦時体制を復活させようとするものがあり、傍観しているわけにはいかない。
とりわけ、国民の「内心の自由」「信教の自由」「表現の自由」等を認めないとする同党の思想には、それがいかに恐ろしいことか、有権者が気づくべきである。
あの大日本帝国でさえ、半世紀近くためらっていた〝神社の国有化〟が、戦後80年の節目となる2025年の今日、国政政党の「政策」としてカジュアルに掲げられていることに驚きと失望を禁じ得ない。
神社の国有化とは、戦後日本が守ってきた「信教の自由」「政教分離」を真っ向から否定する暴挙である。戦後、GHQが最初に出したのは、国家神道を解体させる「神道指令」だった。国家神道こそ、日本を狂気の戦争に走らせた装置だと連合国が理解していたからである。
参政党が公表している独自の「新日本憲法」構想案では、「国民主権」が否定され「国家主権」(国は主権を有し)となっている。
さらに現行憲法が保障している「法の下の平等」「思想・良心の自由」「信教の自由」「表現の自由」「財産権」「黙秘権」「拷問、残酷な刑罰の禁止」なども削除されている。
ふわっとした、しかし、なにやら力強く聞こえる勇ましい言葉の向こうに、地球上のどんな独裁国家も及ばないような悲惨な光景が広がっていることに、強く警鐘を鳴らしておきたい。
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