牛丼、カレー、回転寿司、高級寿司の「古米率」は何パーセント?【飲食店コンサルタントが教える】
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● 外食産業の米は「古米ブレンド」されている 次に外食の“ごはん事情”を紹介しよう。 あなたが外食をしたことがあれば、その際に提供されたライスや丼もの、お茶碗のごはんには、必ずといってもいいほど古米(以下、古古米、古古古米なども含めて「古米」と呼ぶ)が含まれている。ほかほかに炊いたごはんの米はブレンド米であり、新米と古米が混じっているのだ。 米トレーサビリティ法により、2011年7月から米の産地情報を取引先や消費者に伝達することとなった。飲食店でも米飯類は産地情報の表示が必要になったため、「当店の米は、国産米を使用しています」などと書かれたポスターを飲食店で見かけることがあるだろう。しかし、新米や古米を使っていると書かれていることはない。 一部であるが、秋以降に「新米」などと書かれている店舗を見かけることがある。例えば昨年11月、焼肉ライクでは、新米の終日食べ放題キャンペーンを行っていた。注文タブレットのライス欄に「古米を使用せず」と書かれていたのにも驚いた。新米か古米かを表示するのは業界的には「タブー」だからだ。
● 牛丼やカレーライスの古米ブレンド率は? そもそも外食産業では、なぜ古米を入れたブレンド米を使うのか。その一番の理由は、もちろん、価格を下げるためだ。消費者は割安な食を求める。財布のヒモを緩め支払う金額に見合った満足度、つまりは費用対効果をジャッジしている。そして、その後にはリピート(再購買)するかどうかを決める。コスパの評価が悪いと次はない。 提供するメニューごとの事情もある。その点も踏まえ、ここからは料理別の古米の割合を紹介したい。もちろん、最後は個々の店やそのときの事情により実態は異なる。しかし、慣習価格(消費者がある商品に対して認識している「○○は××円くらい」という慣習的な価格)に対して極端に安い場合には、古米率が高く、古い年度の米が多くなっていると思っていい。 古米が多いとどうしても、白いライス部分から古米臭(米ぬかの脂分が酸化して発生する独特の臭い)を感じることがある。古い米には、「ぬか臭さ」や油っぽさを感じる。政府の備蓄米は契約で、倉庫の内部は年間を通して温度は15度以下、湿度は60から65%に管理されているため、状態がいい。しかし、一般に流通している古米は、ここまでの管理が行き届いているとは言い難い。実際には、管理・保管状態が悪い米も多く利用されている。 まず、カレーライスやチャーハン、牛丼などの丼ものは、古米が半分以上と思っていい。8割くらいブレンドされることもある。とくに、牛丼やカツ丼、中華丼といった丼物は、ごはんの上に具材をかけ、白いごはんの部分にふたをしてしまうので隠されて米の色が見えなくなる。具材とごはんを絡めて食べるので、古米率を高めても分からない。 さらに、チャーハンやピラフ類は、油でコーティングされているし、パラッと硬いごはんが好まれる。むしろ古米のほうがおいしく仕上がる、古米に適している料理といっていい。 和食店では、主食として白いご飯だけを食べて、米の美味しさを感じるものが喜ばれる。白飯は炊いた米だけを口にふくめるので、鼻腔が香ばしさを感じやすいが、温かいと意外と古米臭があっても気付かない。目安としては、新米と古米を1対1程度にブレンド、古米臭に応じて改良材(後述)を入れることもある。 ● 回転寿司は古米がほぼ100%、高級寿司店は? 回転寿司では、古米が100%近くになる。古米多めのブレンド米を使うことで、あの低単価を実現しているのだ。強めにすし酢を打った酢飯にするので、古米臭もほとんど感じない。 「我が家は外食する際、銀座の高級鮨だけしか食べない」という方もいらっしゃるかもしれない。しかし、寿司屋は昔から古米を多用している。回転寿司でなくても、古米が3割、5割は当たり前。しかしそれには理由がある。