【現地ルポ】「さよならパンダ......」。町民の怒りを受ける"親台湾派"町長にも直撃! "パンダのまち"和歌山・白浜は今後どうなる!?
■パンダがいなくなったのは、町長の責任!? アドベンを訪れるパンダファンや町民に話を聞くと、ほとんどの人が最後に「あの町長がいるからこんなことになった」「あの町長がいる限り、パンダが白浜に戻ってくることは無理」など、パンダが白浜町からいなくなるのは、2024年に初当選した大江康弘町長のせいだと口にした。 タクシー運転手はこう語る。 「台湾から表彰されたり、台湾に行って副総統に会って、副総統が猫好きや言うから猫のぬいぐるみをプレゼントしたり、あれだけ『台湾、台湾』言うてたら、中国も怒って当然や。 白浜は観光で成り立っている町。せっかくパンダの研究基地がある成都のほうから姉妹都市提携を結びましょうと言われてるのに、それを断るって。この町長いったい何してくれてんねんいう話です」 商店主からはこんな話が。 「台湾と白浜のチャーター便を飛ばす言うてるけど、200人も乗らない飛行機がたまに飛ぶぐらいで観光客は増えません。アドベンには年間93万人が来る。町長の進める台湾とのチャーター便で台湾から93万人観光客が来るなら許したるけど、あんな小さい飛行機で普通に考えて93万人も来るわけないやろ」 白良浜を散歩する町民からはこんな話が。 「ドッグランを造ったり、白良浜の遊歩道を犬を連れての散歩をOKにしたり、ちょっと犬のことを大事にしすぎとちゃうか。犬のことに一生懸命になってるうちに、パンダに逃げられたみたいなもん。今は犬よりパンダやろ! 早よ返してほしいわ」 その新しくできたドッグランにいた女性はこう話す。 「がっかりですね。これ造った人、きっと犬飼ったことない人やと思います。一番問題なのは使える時間が昼間だけで、夕方4時半で終わりにしていること。これから真夏にかけて、昼間に犬を散歩させる人なんていませんよ」
■大江康弘町長を直撃! というわけで、こうした不満の声を元参議院議員の大江町長にぶつけてみた。 ――まず、4頭一斉返還をどう受け止められましたか? 「寝耳に水」と話されていたように、まったく知らされてなかったのでしょうか? 「4月24日にマスコミの皆さんから聞かされて、初めて知りました。聞いたときはびっくりしましたよ。31年間おってくれたんで、それはもう白浜の水や空気のような存在になってましたから。 普通、4頭いたら半分を返して、半分は残すもの。アドベンは『10年前に、契約満了時には全頭返還と言われていた』と言うんですけど、中国の政治的な思惑があるんじゃないかなと思ってるんです。二階俊博さんという親中派の大物議員が昨年バッジを外されたことも大きな理由のひとつだと思います」 ――一部報道では、町長が訪中する国会議員に次の貸与をお願いするのを断ったとありますが? 「それは間違いでして、返還のニュース直後に知り合いの国会議員から連絡があって、『パンダをもう一度貸してくれ』と(訪中する議員に)言ってもらおうかと打診がありました。ですので、アドベンの社長に相談したところ『政治的な動きはしないでください』と断られたんで、止めてもらいました」 ――町民から多く聞こえたのは、町長は台湾びいきということ。5月下旬も台湾に行って、台湾の蕭美琴副総統に会った。4月には長年にわたって日本と台湾の交流促進や日台友好の深化に貢献したことで台湾から表彰されている。これだけ台湾と仲良くしていたら、中国もいい顔をしないという声です。 「蕭美琴副総統は私が国会議員のときからの友達です。パンダについてこんなことになってしまったから、なんとか力を貸してくれということをお願いしに行ってきました。できる限りの協力はする。来年からは台湾からのチャーター便も南紀白浜空港に戻ってくると。そういう流れになっています」 ――ちなみに、パンダに代わる台湾の動物とかいたりするのですか? 「それがねえ。候補はいくつかあるんですけど......。日本にもいる動物ばかりなんです。タイワンザルとかタイワンカモシカ、タイワンリス、タイワンムササビ......。頭に『台湾』とついているだけで」 ――ダメじゃないですか。 「そう、これはあかんなと。ただ、台湾にも以前親中派の総統だった時代にやって来たパンダが2頭いるんです。でも、それを貸してもらうわけにもいかないですし」 ――こうした町長の姿勢が中国の癇に障って、4頭一斉返還になったのでは、と町民の多くが思っています。 「そもそも僕は、そんな中国が気にするほどの大物ではないです。ほんの2万人ほどの小さな町の町長なだけですから。でも、そんなふうに中国が僕のことを大物に見てくれているとしたら、うれしいぐらいですね(笑)」