ウチの戦隊ブルーが悪の女幹部として配信してるんだけど、どうすれば良いと思う? 作:新月
三週間ぶり申し訳ありません。
今回は涙(るい)視点の番外編です。
──産まれた時から、神様に決められている人生って知ってる?
“私がまさにそれ”。
と言っても、神様って“複数人いる”らしいけど。
そのうちの一人が、私の人生を決めたらしい。
神様に人生を決められていると言うのなら。その道を必ず通らなきゃいけないと言うのなら。
それは“運命”とも言い換えられない?
“運命”ってよく聞く言葉よね。
大切な人との出会いをそう例えたり。
不幸な出来事に遭遇した時、そう慰めたり。
けれど、考えてみて。
あらかじめ遭遇する出来事を決められている、と言うのが“運命”なら。
“神様に人生を決められてるのって、運命を定められている”って言えるよね?
けどよく、“運命なんてぶち壊せばいい”なんて言葉も聞くわよね。
決められたルートじゃなく、自分で決めたルートを歩んだりとか。
確かに、私もやろうと思えば出来ると思うわ。
“運命”と言っても、あくまで私がやらなくてはならないリスト、つまりは“予定表”のようなものだもの。
嫌なら無視すればいい。
そうすれば、私は晴れて自由のみ。わー、パチパチ。
“まあ、そうしたら人類滅んじゃうらしいけど”。
つまり、私が運命通りに進まないと人類滅ぶよって事。
ある意味人類全員人質状態。
あ、誤解しないで。人類が滅ぶのは私の神様のせいって訳じゃないの。
寧ろ彼女は“人類の滅びを防ぎたい”側。
その対策として、私の歩む人生で滅びの対策をさせようって話らしい。
つまりは私は、人類の滅びを救う神様に選ばれたエリート!! わー、パチパチ。
──なんで私なんだろうね?
あ、もしかして。
“神様に人生を決められるまでが私の運命だった”とも言えるのかしら。
うわー、凄い皮肉。笑っちゃうわ。
私自身、そんなに人類絶対救ってやるーってやる気に満ち溢れている訳じゃないのに。
けど、だからと言って逆に人類絶対滅べー、って憎しみに溢れているわけでもない。
だからまあ、自分が早死にするのは何となく嫌だから、何となく頑張るかー。
それが、私の本心だった。
そこからは、神様の運命通りの人生だった。
と言っても、やる事は沢山で大変だったんだけど。
その内の一つで、“彼女”との出会いは最優先事項だった。
文字通り、運命の出会いを果たしたと言えるだろう。
まあ、私から会いに行ったわけだけど。
その他にも、【レプリカ・ガジェット】を作ったり。
“彼女”と組織を作ったり。
どれも運命通り。
運命、運命、運命。私の人生、運命だらけ。
──そんな中、“偶然”に出会った。
それは私の神様の予定表にも無かった、全く関係ない出会いだった……
☆★☆
その出会いは、10年前。
旧三大ヴィラン組織の内、その一つがとある場所で暴れているという情報を掴んだ日の話だった。
当時12歳だった私は、出来たばかりの【カオス・ワールド】の人員を引き連れて現場に向かった。
自分で言うのも何だけど、小娘にしては周りのメンバーから信頼度は高かったように思える。
どれも“運命”通りで稼いだ功績からよるものだろう。
そうして、信頼出来るメンバーを引き連れて向かったわけなんだけど。
……その現場は悲惨だった。
建物は崩れ、道路はグシャグシャ。あちこち火の手が上がっている。
テレビでたまに見る災害現場の映像、あれの通りのイメージが目の前で起こっている。
まあ、それだけならたまに起こるよく見る光景、で終わっただろう。
──そこに、“怪物”がいた。
モンスター、と言っても間違いではないだろう。
通常の動物ではあり得ない生物がそこら辺を闊歩していたのだ。
それも1体、2体じゃない。十数体はいる。
中には、もはや怪獣と言ってもおかしくないような、巨大なボスらしき個体だっていた。
間違いなく、旧三大ヴィランの組織の一つが放ったものだろう。
あいつらが、この光景を作り上げたのだ。
私たちは、遅かった。
既にこの惨状になっている以上、生存者は……
──いや、いる。いた。それも沢山。
倒れてはいるが、まだ死んでいない生存者が沢山転がっている。
そして、その人たちを庇うように。
怪物達に対して、立ち向かっている存在がいた。
「何だ、お前ら!? ヒーローの援軍か!? それとも怪物の仲間か!? 敵か!? あるいは避難者か!?」
それは、“一人の少年”だった。
当時13歳で、【ライト・ガジェット】を構えている少年は、私たちに対してチラリと視線だけ向けて、怪物達に向き合ったまま声を出していた。
彼の姿はボロボロだったが、それでもしっかりと怪物達に向き合っている。
私は彼に返事をした。少なくとも、怪物達の仲間じゃないと。あいつらを止めに来たと。
「そうか、とりあえずあいつらの仲間じゃねえんだな!? だったら、ヒーローじゃ無かろうが関係ねえ!! 悪いがこの倒れている人達の回収と、戦えるならこいつらを追っ払うのを手伝ってくれねえか!?」
怪物達をガジェットで牽制しながら、少年は私たちにそう頼み込んできた。
それが少年、後に名前を知る“佐藤聖夜”との、初めての遭遇だった──
☆★☆
「……さて、と。次の行動にうつさないと」
……それから月日が経って、6年後。現在で言うなら、4年前。
私は“運命”に従ってヒーロー連合に入ることになった。
入る戦隊は、正直どれでも良かった。運命には、そこまで詳細に決められていなかったから。
できれば入ってすぐメインメンバーになって、【ライト・ガジェット】に触れる立場になれれば手間が省けるな、と言う考えを持っていた。
どうせ、“最終的に全てのガジェットに手を加える予定”なのだから。出来るかはともかくとして。
けれど、戦隊なんて替えの候補者が沢山いる。
そうそう都合よく空きがある戦隊なんて──
「あった……!?」
本来5人部隊なのに、現在2人しかいない。
しかも都合がいいことに予備の候補者が一切いない部隊。嘘でしょ?
何かの罠? もしかして私のことが気付かれてる? そう思って裏を調べてみると……
「これって、あの時の……」
あの時。当時から見て、6年前。あの時の少年と出会った出来事。
あの事件にこの戦隊が関わっていて、候補者含めほぼ全滅、それにより殆どが引退していたらしい。
その時の少年が、メインメンバーに……
「……じゃあ、どうせなら……」
そうして私は、入る戦隊を“選択”した。
☆★☆
「お、来た来た」
「ん。久しぶりの新規メンバー」
そして私は、無事狙った戦隊に入隊出来た。
入隊試験も軽く合格した。あれくらい、私にとっては楽勝だった。
そうして初めての顔合わせの時、メインメンバーの二人に出会った。
片方は間違いない、あの時の少年だ。私はそう確信出来た。
「初めまして。俺はレッド。本名は佐藤聖夜だ、よろしくな」
「ん、グリーン。本名、大地鋼。よろしく」
「……ええ! 私は天野涙、よろしくね!」
そうして、私は自己紹介される。
どうやら、彼は私の事を覚えていなかったらしい。
まあ、私の方は当時認識阻害付きのスーツを来ていたから、仕方ないかもしれないけど。
……けど、それはそれとして、何となくムカっとしたわけで。
ちょっと明るい演技が剥がれそうになっちゃったのは危なかった、反省。
「確か、ブルーとして入った人だったよな? 見ての通りメンバーまだ少なくて大変だと思うけど、困った事があるなら何でも聞いてくれ」
「ん、一緒に頑張ろう」
「分かったわ!」
こうして、私は3人だけの戦隊メンバーとして、活動する事になったのだった……
☆★☆
「“ブルー・スパイラル”!!」
『ぐわあああっ!!』
「今だ! “レッド・フレイム”!!」
『ぎゃああああああっ!!?』
それから何日か経って。
私は立派なメンバーの一員として、前線にバリバリ出ていた。
「ん、見事なコンビネーション」
「いやー、マジで助かる。ブルーのサポートあるとやりやすさが違うなあ」
「えへへ。どういたしまして!」
当然のように、私は活躍し続けて、簡単にメンバーからの信頼を得る事が出来た。
まあ、元々二人だけの戦隊にしては妙に高い順位だったとは言え、当時は所詮150位台のランキング。
そこまでヤバイ強敵に当たらなかった訳だし、仮にも【カオス・ワールド】の幹部としては、武器が違えどこの程度の相手に遅れを取る訳がなかった。
「ん。それじゃあ、帰ろっか」
「あ! 今日はもう帰るの? だったら、時間余裕あるなら私“他のガジェットも見てみたい”なー。確かイエローとピンク用のガジェットが余ってるんでしょ?」
「ああ、そうだな。今は確か、厳重に保管されてるけど……」
「ん。見るくらいなら長官に頼めば問題ないと思う」
こうして、私はさりげなくガジェットの場所を把握出来るように誘導する。
あとで私の手を加える時、すぐに行動に移れるように。
「これからも、よろしく頼むな!」
「ええ、任せて!!」
こうして、私は“運命”を一つずつ進めていく。
予定通りに。
だから私にとっては、戦隊は利用するだけのものだったんだけど……
☆★☆
「ブルー、水いるか?」
「え? 急に何で?」
戦隊は、戦い以外でも待機の時間で顔を合わせる事もよくあるわけで。
休憩室で、佐藤聖夜……レッドにそう声を掛けられる。
「だってお前、天然水好きなんだろ? よく飲んでる所見るし」
「へー、よく見てたわね?」
「まあな。新しいメンバーの事を知るのは大事だろ? 俺の分買うついでに余分に買ってきてたんだ。で、結局いる?」
「んー、じゃあ貰う。ありがとうー」
そうして、私は素直にペットボトルの水を貰う。
私自身そこまで意識してなかったけど、どうやら私は天然水が好きだったらしい。
言われてみれば、確かにジュースとかより水のほうが選ぶ事が多いかも?
こうしてレッドと一緒に、水を飲んだり……
☆★☆
「ブルー、水族館のチケット当たったんだけど、行くか?」
「水族館のチケット?」
「ああ、たまには気分転換にいいかと思ってな」
とある日は、こうして水族館に誘われたり。
「いいけど、気分転換って?」
「だってお前、“なんか常に急いでるような、余裕無さそうな感じ”だろ。なんかやる事多くてパンク状態って言うか……お前、よく見るとそんな感じだぞ」
「えー、そうかなー?」
そんな事を言われてしまい、ちょっとびっくりだったり。
確かに、【カオス・ワールド】との二重生活を考えると、ちょっと時間のすり合わせが大変だったりするけど……そんな余裕の無い態度が出てたかしら?
「まあ、とりあえず行こうぜ。何枚かあるから、グリーンさんも誘って……」
「ん、ごめん。その日は心との約束がある」
「あ、そうですか。じゃあ、チケットだけ二人分渡しときますね。それじゃあその日は、俺とブルーで行くか?」
「まあ、いいけど……」
「うわあー!! すっごーい! ペンギン、ペンギンよ! あ、こっちはカクレクマノミ! うわー、うわあー!!」
「めっちゃはしゃいでるなあ」
とまあ、こうして実は初めての水族館で思ったより興奮してしまったり。
☆★☆
また、とある雨の日。
「……あー……失敗、しちゃったなあ……」
ちょっと【カオス・ワールド】側で致命的なミスを犯してしまい、危うく組織に大ダメージが発生仕掛けた時。
何とか“彼女”のおかげでリカバリーは出来たけど、私はそれでしばらく落ち込んでしまい。
雨の中、公園のベンチで傘も差さずボーッとしていると……
ふと、雨が突如遮られる。
「こんな所にいると、風邪ひくぞー」
「レッ……聖夜?」
聖夜が、いつの間にか私の近くにいて、傘を差し出してくれていた。
「何であなたがここにいるのかしら?」
「それはこっちのセリフだ。お前こそ傘も差さずにこんな公園に座ってやがって。ビックリしたわ」
何でも、買い物の途中で近道としてこの公園を通ったら、私を見つけたらしい。
そんな偶然ある? って思ったけど、彼の運の悪さからすると、これは寧ろささやかな偶然だと言う事を後から分ったり……
そんなことより、傘を差し出されたわけだけど……
「……悪いけど、放っておいてくれる?」
「あ? 何でだよ」
「今は、ちょっと雨に打たれたい気分なの」
「ふーん……」
私は、その差し出されたものを受け取らなかった。
とてもそんな気分じゃなかったから。
「あなたこそ、予備の傘はあるの?」
「いや、これだけしか無いけど」
「そう。じゃあ、あなたこそ雨に打たれるじゃない。あなたが使ったままの方がいいわ」
「一緒に入れば良くね? お前の家まで送って行くけど」
「別に。気分じゃない」
ちょっとその申し出が、だんだんイラッとしてきて。
少しずつぶっきらぼうな返事になっていて、さっさとここから離れてくれればいいな、と思っていると……
「そっか……」
「ええ、分かったらさっさと帰って……」
「よっと」
突如、聖夜が“傘を閉じた”。
「……は? あなた何して……?」
「よいしょっと。うっわ、ベンチ濡れてるからズボン一気にパンツまで濡れた!?」
「当たり前でしょ!? 何で隣に座ったの!?」
そうしたら、急に聖夜が私の座ってるベンチに座ってきて。
買い物袋を隣に置いて、傘を閉じたから彼も一気にビチャビチャで。
「何でって……何となく?」
「何となくって……」
「まあ、さあ。何があったかは知らねえけど……まあ、雨に打たれたい日もあるよな」
「何、言って……」
「まあ、ちょっと。こうしてみると、お前の気持ち少しは分かるかなーって」
「────…………」
曇り空を見上げながら、聖夜がそう呟いてきた。
雨はザーザーと、彼を打ち当てている。
「理屈では正しくても、そうしたくない気持ちの時ってあるよな。このままだと風邪引くーって分ってても、雨に打たれたいとかまさにそれだし」
「……何が言いたいの?」
「んー、自分でもよく分かんね。ただ、相手がやってる事否定せず、こっちもやってみないと分かんないことあるかもなーって。そんな所か?」
そう言って、聖夜は両手を広げた。
より多くの雨が、彼に当たっており。
「あっはは! ここまでビシャビシャだと、逆にテンション上がってくるなあ! 確かにこれは、いい気分転換だわ! ちょっと我ながら馬鹿っぽい! あっはは! 服重て〜!」
「ちょっと、私も馬鹿だって言いたいわけ?」
「あ、ごめん。それは素でごめんだわ、そんなつもりじゃなかった。悪い。でもずーっと雨の中傘差してないなら、ある意味あってると思わねえ?」
「謝る気、本当にある?」
私はその会話こそ、何だか馬鹿らしくなって。
私はベンチから立ち上がる。
「帰る」
「あ、そうか。帰ったらちゃんと温まれよ。じゃあ俺も……って、買い物袋めっちゃ浸水しとる!? 袋の中、もはや水だらけ!?」
ベンチの横に置いていた彼の買い物袋が、大量の雨でちょっとした雨袋になり。
せっかく買った食材が全部水まみれになったらしい。
「あっはは! バーカ!」
私はそれがおかしくなって、つい笑いながら帰って行った。
☆★☆
……こんなふうに。ブルーとして役に立って褒められると同時に。
それ以外の私生活での積み重ねが少しずつ心地良くて。
「レッド、何見てるの?」
「んー? 配信。一般人だけでなく、ヒーローとかも配信してるやつがいるんだぜ。色々見比べてみると面白くてな」
「ふーん?」
「後、ここだけの話。ヴィランの奴らも配信する事もあってな。情報収集するのにたまに役に立つ事もある」
「へえー?」
休憩室で一緒になっている時、そんな当たり障りのない話をしている時。
……ふと、私は聖夜に対して気になる事があって。
「……ねえ。聖夜」
「あ? 今勤務時間だからレッドだけど……まあいいや。何?」
「──“もしこの世から、ゴキブリを絶滅できるとしたら、本気でやる?”」
「……はあ?」
私は、その質問を聖夜にしたのだった。
「何だ、その質問? 急にどうした?」
「いいから、答えてみて。何となくあなたの思い浮かんだものでいいから」
「て、言ってもなあ……うーん」
そうして、聖夜は一瞬考え込み……
「……“やらない”」
「何で? ゴキブリだよ? 気持ち悪くないの?」
「そりゃあ、目の前に湧いてきたら流石に対処するよ? けどさあ、その質問って全世界だろ? 自分の目の前に出てないやつまで、わざわざ潰すかって言うと……めんどくさいって言うか、どうでもいいって言うか……」
聖夜は、ポリポリと自分の頬を掻きながら、自分の考えを話していき。
「大体そう言うの? 食物連鎖とか、全滅したら逆にヤバイ事象起こる事もあるんじゃねーの? だから本当にヤバイ影響がある時以外、そんな事しないほうがいいと思うって言うか……そんな所か?」
「そっか……」
私は、その答えを聞いて……
「──“私も、そう思う”」
そう、私も答えた。
「そっか。ところで、何だこの質問? 何かの心理検査?」
「んー、そんなところかな」
「へー。まあいいけど」
「……ねえ」
私は、休憩室のテーブルの前に座ってる聖夜に近づいて。
「ねえ、聖夜」
「今度はどうした?」
「──“私たち、付き合わない?”」
「今の質問から何故に!? え、マジで何で!? 今の質問、本当に何の意味があったの!? ねえ!?」
そうして、私の告白に対して、聖夜はあろう事か戸惑いを返してきたのだった。
とりあえず落ち着くと、急な話だから、まずはゆっくりと付き合っていこう、と言う結論になったのだった。……意気地無し。
☆★☆
こうして、私は佐藤聖夜と付き合う事になったのでした。
まあ、まだそこまではっきりと、恋人らしい事をしたわけじゃないんだけど。
けれど、確かに私が“選んだ”彼氏なのです。
“運命”の出会いが“彼女”なら、自分で“選んだ”彼氏が“彼”なのです。
彼を好きになった理由は、聞かれてしまうと、何となく? としか言いようがありません。
何か特別なイベントがあって、彼を好きになったという訳じゃなく。
ただ心地いい毎日があって、心地いい積み重ねが一つずつあって。
いつの間にか、好きになってしまっただけなのです。
こうして私は、ヒーロー活動の傍に、彼と付き合って行くのでしょう。
──悪の組織の幹部である事を隠したまま。
分かってる。この関係が無事に維持される訳が無いって。
いつか絶対、終わってしまう関係だって。
彼にティアー/私の事がバレた時、この関係は終わってしまうでしょう。
その時はおそらく、彼に嫌われてしまうでしょう。
──正直、それもいいかもしれない、とちょっと思ってる。
だって、そうすれば。“彼に、私のことを刻み付けられる”と思うから。
彼の中で、一生私という存在の事が忘れられなくなると思うから。
それはそれで、何だか嬉しいな、と思ってしまう。
だって、“私多分ロクな死に方しないと思うし”。
“運命”に従ってる以上、危険なことはまだまだ続いて行く。
もし失敗したら、私は先に命を落とすだろう。
成功したら、どうだろう? 普通の生活に戻れるのかな? 分かんない。
その時、彼にどんな形であれ、覚えていて貰えたらな、と思うのです。
“私の選んだ男に、私の事を刻み付けたい”のです。
……でも実は。
ほんのちょっと。ちょっとだけ。
“ティアーとしての私も、受け入れて欲しいな”っていうのも本音なのです。
だから、ティアーとしてちょっとちょっかいかけてしまうのです。
上手くすれば、彼と一緒に“運命”を突き進めるかもしれないので。
でも、浮気は駄目だよ?
ブルーと付き合っているのに、ティアーに浮気するなんて……あ、ヤバ。ちょっと興奮してきた。
駄目だよ聖夜、堕ちたら絶対駄目、駄目なんだからね! ……それはそれで、とても楽しいかもしれない。
ヤバイ、ハマりそう。
ティアーとして、聖夜堕とすのめっちゃ楽しい、ドキドキする。
私こんな性癖だったかしら? どうしよう。
……何だか話が盛大に逸れた気がする。
何はともあれ。
よろしくね。“運命”に関係が無い、私が“選んだ”パートナー。
★
23歳
175cm
黒髪
中立・善
男
主人公
【ジャスティス戦隊】のレッド。
人の機微に敏感な男。
ヒーローとして以外の彼は、普通の青年。
彼にとっては、当然の行動をしただけかもしれないけれど。
それが心地いい、という人もいたのです。
ちなみに例の雨の日、本当に風邪引いた。涙(るい)は元気。
好き勝手な行動をした責任は、自分で取る事になるのです。
この時も、これからも。
★
22歳
168cm
青髪
混沌・善
女
【ジャスティス戦隊】のブルー。
兼、【カオス・ワールド】の幹部、“コバルト・ティアー”。
実は10年前の事件に思いっきり関わっていた。
“運命”の決まってる女。
だからこそ、“運命”以外で“選んだ”ものをとても価値のあるものだと思ってる。
もちろん、“運命”で関わったものも、大事にしている。
自分の彼氏は、“運命”の男では無かった。
ある意味酷い言葉に聞こえるが、この事実が何より心地良いのです。
──ちなみにだが、セルフNTRの趣味が湧いてきている。
ティアーとしてレッドに関わるのがまさにそれ。
運命共同体になればいいなー、という側面もあるが、大半が性癖が理由だったりする。
そんなんだから、ガチでNTRの危機に直面してる事に気付いていないんだよ
ちなみにティアーとして配信するようになったのは、レッドから配信の存在を教えて貰ったのが切っ掛けだったりする。
自分で実際にやってみて、とても嵌ったのだとか。
★
34歳
184cm
緑髪
秩序・善
男
【ジャスティス戦隊】のグリーン。
涙(るい)の10年前の回想の時出てこなかったけど、ちゃんといる。
画面外で倒れていたけど、この後復帰して一緒に戦っている。
彼視点の回想も、いずれはあるだろう。
★“彼女”
ある意味“運命”に選ばれたもう一人の女。
本人がもしそれを知ったならば。
「ほう? ならば、“運命”を暫く利用させてもらうとするか。結局は、私が楽しめるかどうかだしな」
とまあ、それはそれで利用する方向で受け入れるだろう。
敷かれたレールがあるのなら、そのレールを利用するのも降りるのも、本人の“選択”なのだから。
────P.S
【レプリカ・ガジェット】を作った事も、“運命”通りと言ったけどさ。
これってつまり、神様の予定表通りの行動だったのよね。
つまり神様の考えた、人類を滅ぼさないための対策方法。
その要と言っても過言では無かった計画だった。
まあ、“半分失敗しちゃった”んだけど。
ううん、“運命”通りに進めてはいたよ?
だけど、結局は【レプリカ・ガジェット】が【ダーク・ガジェット】って呼ばれるようになっちゃったし。
そのせいで、戦力拡大に大ブレーキ。
あれ? 私の神様? ちょっとどういう事かしら?
あなたの計画、全然完璧じゃ無いんだけど?
この時点で、私は私の神様の計画が、少なくとも“完璧では無い”という事を悟っていた。
まあ、神様だったとしても完璧じゃ無いという証明なのだろう。
ある程度、自分でカバーしないと駄目だと思った訳。
つまり、ただ私の神様の言いなりなだけだと、どの道失敗する?
人類救済チャートのミスを、ただの人間がカバー?
ごめん人類、やっぱり滅ぶかも。
涙「実は私って、■■が■■で■■■■■■が〜」
手癖で書くと、ネタバレの嵐!!
いい感じに書くまで、何度も今話は修正してしまいました。