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参議院選挙2025において国民民主と参政党の支持者はどう変化したか?

鳥海不二夫東京大学大学院工学系研究科教授
ChatGPT作成

2025年7月20日に投開票が行われる参議院選挙について,参政党が選投票先で支持広げ,国民民主党は伸び悩むなど,ニュースにおいて自民党や立憲民主などの議席の多い政党ではなく,議席が少なめの政党に関して話題に上ることが多いようです.特に野党では支持層の大きな変化が起きているようで話題となっています.

そこで,X上の各政党の公式アカウントと党首アカウントを拡散したアカウントに注目し,選挙戦前と選挙戦中でどのように拡散が変化したのかを確認しました.前回は拡散力の変化に注目しましたが,今回は拡散したアカウントの移動に注目してみます.

ここでは,2025年1月1日~7月11日までの19,144ポスト7,882,441回の拡散数データを使って分析を行いました.

まず,2025年3月に各政党のポストを拡散したアカウントが2025年7月にどの政党のポストを拡散したのかを確認しました.なお,複数政党を拡散したアカウントは「複数政党」とまとめて,単一政党を拡散したアカウントだけをカウントしている点にご注意ください.結果がこちら.

2025年3月と7月での拡散先政党の変化(筆者作成)
2025年3月と7月での拡散先政党の変化(筆者作成)

左側が2025年3月に,右側が7月にそれぞれ政党ポストを拡散したアカウント数です.

X上で参政党,国民民主党,日本保守党,NHK党,れいわ新選組などのポストが多くのアカウントによって拡散されていることがわかります.

特に2025年3月の段階では国民民主党のポストが最も多くのアカウントに拡散されており,39,247アカウントでした.一方,7月は参政党のポストが最も多くのアカウントによって拡散されており,44,521アカウントでした.

一方,3月と7月では参政党と日本保守党が勢力を伸ばし,国民民主党とNHK党が勢力を減らしていることが分かります.

国民民主党拡散の減少

まず,伸び悩んでいるという話が出ている国民民主党についても見てみましょう.3月から7月で拡散アカウントが大幅に減少していることを受け,これらのアカウントがどうなったのかを分析してみたいと思います.そこで,3月に国民民主党のポストを拡散したアカウントが7月にどこの政党のポストを拡散したのか確認してみます.ここでも,複数政党を拡散したアカウントについても,計算に入れているため合計が100%にならない点はご注意ください.

国民民主党からの流出(筆者作成)
国民民主党からの流出(筆者作成)

この結果から,3月に国民民主党のポストを拡散したアカウントの54%は7月に入ってからどこの政党のアカウントも拡散していません.一方参政党のポストを21.3%のアカウントが拡散しており,国民民主党のポストを拡散したアカウント19.7%よりも多かったことが分かります.また,それ以外にも日本保守党やNHK党を拡散しているアカウントも多数存在していることが分かりました.
となると,国民民主党の支持者のうち20%くらいが参政党支持に移ったように見えます.実際にはどうなのでしょうか?ここで3月の時点で国民民主党と他の政党のポストを同時に拡散していたアカウントの割合を示してみるとちょっと違う様相が見えてきます.

この結果から,3月には国民民主と参政党両方のポストを拡散していたアカウントが20.3%いたことが分かりました.つまり,国民民主党の支持者が参政党支持者になったというよりも,もともと参政党と国民民主党の両方を支持する人が一定数おり,その数が変化していないと考えたほうが良いかもしれません.一方で,3月時点では日本保守党やNHK党も同時に拡散していたアカウントが20%程度いましたが,それは大幅に割合を減らしています.そう考えると,参政党が20%を維持しているという事には一定の意味はありそうです.

国民民主党から参政党への流入

どうやら巷でも言われている通り,国民民主党から参政党への支持の鞍替えには一定の根拠がありそうです.そこで,もう少し詳細を調べるために,3月時点での参政党,国民民主党のポストを拡散したアカウントと7月に両党のポストを拡散したアカウントの関係を抽出して,改めてサンキーダイアグラムで見てみましょう.

参政党,国民民主党のポスト格差なカウントの3月と7月の関係(筆者作成)
参政党,国民民主党のポスト格差なカウントの3月と7月の関係(筆者作成)

この結果から,国民民主党をポストしたアカウントのうち,3月に国民民主党のみを拡散していたアカウントのうち参政党を拡散するようになった割合は12.8%程度でした.しかし,変わらず国民民主のみを拡散し続けた割合は15.4%ですので,参政党へ移っていった割合はそれなりに多いと言えそうです.

一方で,3月に国民民主党と参政党両方を拡散していたアカウントは,7月には39.6%が参政党のみ拡散し,国民民主のみを拡散したのは7.4%に過ぎなかったため,両党を支持していた層は参政党に移っていった可能性が高そうです.

とはいえ,数字の面からは参政党には3月にはどの政党のポストも拡散していなかったアカウントが流入した量が最も多く,国民民主党からは7月にはどの政党のポストも拡散しないアカウントが最も多かったというのが実態のようです.

まとめ

というわけで,参院選挙で話題となっている国民民主党と参政党について3月7月での拡散アカウントの遷移を見てみました.

一般に言われている「国民民主から参政党に支持が移った人が多いのではないか」という言説について,一定の割合でいたが全体としては多くないと考えてよさそうです.少なくとも国民民主党支持者の大半が参政党支持者になったという事はなさそうです.

一方で,国民民主党の支持を継続したアカウントは多くなく,また,それまでどこの政党のポストも拡散していなかったアカウントが参政党のポストを拡散し始めたということで,「参政党は無党派層を取り込んでいる」という言説の方がデータから得られた結果に近いといえそうです.


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ありがとうございます。
東京大学大学院工学系研究科教授

2004年東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム工学専攻博士課程修了(博士(工学)),2012年より東京大学大学院工学系研究科准教授,2021年より現職.計算社会科学,人工知能技術の社会応用などの研究に従事.計算社会科学会副会長,情報法制研究所理事,人工知能学会前編集委員長.人工知能学会,電子情報通信学会,情報処理学会,日本社会情報学会,AAAI各会員.「科学技術への顕著な貢献2018(ナイスステップな研究者)」

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