異世界にチート転生したら、隣にいたのが俺(ver.多次元)だった件
こんにちは、今回は……もはや何が起きたのか説明できません。
焼きそばパンが多次元宇宙と融合し、異世界テンプレをバグで上書きし、最終的にはカグラのスキルで全部“それっぽく”戻りました。いや、戻ったことにしただけかも?
今回のテーマは「スキルが強すぎると異世界も壊す」。
バグはバグでも“愛されるバグ”を目指して、ギャグとSFをパンの耳で包んで焼いてみました。
朝。
カグラは寝転がって、焼きそばパンを食べていた。
「……んぐ。やっぱ朝はこれだなぁ……ん?」
──そのとき。
空間が裂けた。
「……っておい、またかよ! 空がビリビリしてるって!!」
空に浮かぶ謎の魔法陣。
そこからまばゆい光が降り注ぎ──
「我が名は世界管理神・レメティナ。選ばれし者よ、異世界へ旅立つ時が来た──!」
「うわ! なんか出た!!」
「って、誰に言ってんの!? 俺じゃないよね!? たぶん隣のヤツだよね!?」
見ると──
隣には、“いかにもな”高校生男子がいた。制服姿、交通事故直後風。
「……マジかよ……転生とかあるのか……」
「異世界か……俺にぴったりの世界……」
カグラ、口の端にパン屑つけたままつぶやく。
「てか……この距離、まきぞいあるやつじゃん」
──次の瞬間、
転生ポータルがドーン!!
「おいバカ待てって俺関係ないってパンまだ半分残ってる──」
──ズボォォォォン!!(転送)
異世界転生が、
まさかの**“隣の席まで巻き込む形式”**だったとは──誰も知らなかった。
眩しい光が晴れると──そこは、異世界だった。
草原、空、ドラゴンが飛んでる。なんかもう、教科書通りすぎる景色。
「ここが……異世界……!」
制服少年が目を見開く。
その肩に手を置く者がいた。
「おぉぉ! 勇者様! ようこそこの世界へ!」
現れたのは王国っぽい格好をした老魔術師。
その隣には、ビキニアーマーの女剣士、猫耳の神官少女、おっとり系メイド風の召喚士──
「わぁ……泣きそう」
カグラは空を見上げ、焼きそばパンをひと口かじる。
「おい、そっちの君は誰だ?」
「……俺? いやなんか巻き添えで飛ばされただけで……」
「まさか、異世界にも“付き添い”がつくようになったのか……」
「タクシーじゃねーよ」
「……ですが! 不思議な力を感じます! あなたにも、何かしらの“適性”があるのでは!?」
老魔術師が目を見開き、カグラをスキャンする。
「──全属性……無効!? な、なんというチート能力……!? いや、バグか!? 世界が拒絶反応を──」
「やめろ、バラすな」
──カグラ、異世界で“世界観に干渉する存在”として、
いきなり危険視されはじめる。
「この世界、壊れるぞ……」
「いや俺のせいじゃねーし!? 巻き込まれただけだし!!」
「――まずい、この世界が“君”を読み取れない……!」
老魔術師が血相を変える。
カグラはというと、のんきに焼きそばパンをもぐもぐしていた。
が、その周囲では、何かがおかしくなり始めていた。
「にゃ、にゃんで……わたしの“癒しの風”が、パンの香りに……!」
猫耳神官が放ったヒール魔法が、ふわっとソースの匂いを伴って吹き抜ける。
「えっ、なんか腹減ってきたんだけど……」
「いや、なんでパン成分で上書きされてるんだよ」
「勇者様! モンスターが!」
叫び声とともに現れたのは、
あきらかにファンタジー世界に存在してはいけない“焼きそばゴーレム”だった。
「ちょ、なにあれ!?」「ソースの波動を感じますぅ!」
「完全にこっちの世界のバグが伝染ってんじゃねーか……」
カグラの持つ“???”スキルが、異世界のテンプレ構造そのものに干渉し、
設定の整合性を食い破ってしまったらしい。
「おい魔術師、このままだとどうなる?」
「世界観が……崩壊します!!」
「はい終了のお知らせ」
とりあえずカグラはパンを食べ続ける。
彼にとっては、この程度の混乱はいつものことだった。
そのときだった。
空が、裂けた。
裂け目から降りてきたのは、金属的な鎧をまとった無機質な者たち。
白と黒のラインが走る制服風の装備、浮遊するモニター端末、そして──
「ここは観測外干渉領域。コード:TEMPLATE-OVERFLOWを確認」
機械のように無感情な声が響く。
「対象:カグラ=シノノメ。
この世界における干渉率、97.7%。観測不能エリア拡大中。……即時、隔離措置を実行する」
「ちょ、なんか出てきた!? なにこの機構的なやつら!?」
カグラが片手で焼きそばパンを押さえながら後ずさる。
セリスティアが叫ぶ。
「観測者よ! 彼を連れて行かないで!」
「カグラ=シノノメの存在は、他次元世界の整合性において異常値を記録。
“テンプレ世界”の均衡維持のため、封印処理が必要」
周囲の世界は、すでに崩壊の兆しを見せていた。
勇者が宙に浮かび、剣が杖に、村が宇宙になりかけている。
「うおおおおおっ!? 俺、なんで星乗ってるのっ!?」
──そのときだった。
「ちょっと待てよ。
パンの神でも、バグでも、観測者でもなんでもいいけど……」
カグラが焼きそばパンを一口、ぱくり。
「──俺の昼飯くらい、食わせてくれ」
瞬間、観測者のひとりが吹き飛んだ。
「観測不能値、臨界突破!?」
「まさか、焼きそばパンを媒体に……空間そのものを書き換えて……」
空間が“うるさい”。
カグラの一口に呼応して、世界の構造がさらに不安定になっていた。
異世界の勇者は転職し、魔王はアイドルになり、村人たちは実況者デビューを果たしていた。
「なにこれ、パラレルワールド全部ごちゃ混ぜにしてフードコートで炒めたみたいな感じなんだけど!」
セリスティアが悲鳴をあげる。
隣では、かつて魔王軍だったラドリウスが「フォロワー増やす方法、知りたいか?」とナチュラルに怪しいDMを送り始めている。
一方、観測者たちは、テンプレ修復コードを実行していた。
「コード:RESET-TEMPLATE-ALPHA……実行!」
──ピー
《ERROR:焼きそばパンの干渉により、テンプレの整合性が崩壊しました》
「焼きそばパンのせい!?」
そこへ現れる、謎の老婆。
「……お主が“焼きそばパンの鍵”を持つ者かい」
「いや、誰!?てか鍵とか要素としてなかったよね!?」
老婆は杖を振り、焼きそばパンを持ったカグラの額に手をかざす。
「お主のスキル、そしてそのパン……世界にひとつだけの“運命の誤差”じゃ」
「それって褒めてる?怒ってる?」
「よくわからんが──つまり、アンタが世界そのものになりかけてるってことだよ」
観測者たちは震え始めていた。
「このままでは……この宇宙が、“焼きそばパン”というテンプレに書き換えられてしまう……!」
セリスティアがぐるぐる目で倒れかける。
「もうダメ、情報量が多すぎて……“保護者”やめていい?」
「……焼きそばパンが宇宙になったら、どうなるの?」
セリスティアの問いに、誰も答えられなかった。
ただ、空がソース色に染まり、星々がパンくずのように見える世界で──
「……それはそれで、悪くないかもな」
カグラがポツリとつぶやいた。
観測者たちはすでに撤退。世界律はバグりきり、修復を放棄していた。
テンプレは崩壊し、異世界ラノベたちは焼きそばパンの具になっていた。
「けどよ」
カグラはそっと、かじりかけのパンを空に掲げた。
「やっぱり、パンは“食う”もんだろ。世界にするもんじゃねぇよ」
──瞬間。
焼きそばパンが、まばゆい光を放った。
「おい、発光すんなよ! 食品衛生的にヤバいだろ!」
セリスティアが叫ぶが、パンは構わず輝きを放ち続ける。
そして──
「“全属性無効(Ver0.01β)”+“???”、発動」
焼きそばパンのバグが逆流し、世界中の“テンプレ成分”が洗い流されていく。
空から“異世界転生の書”が降り注ぎ、勇者たちが「俺たちの出番、終わった…?」とつぶやいた。
すべてが元の世界に戻る──というより、「とりあえずそれっぽく収まった」。
「……パンって、すげぇな」
カグラはしみじみとつぶやき、最後の一口をほおばった。
セリスティアがボロボロの状態で言った。
「……あんたのスキル、もう“なんでもあり”じゃないの」
「いや、ただのパン好きだからな」
──空は晴れ渡り、焼きそばパンは、もうそこにはなかった。
けれど、どこかでまた世界がバグったとき、きっと戻ってくるだろう。
焼きそばパンと、あいつが。
ここまで読んでくれてありがとう!
今回も「焼きそばパンがすべての根源なのでは説」をベースに、全力でバカやりました。
観測者も魔王軍もテンプレ異世界も、ぜーんぶ焼きそばパンに巻き込まれるこの混沌。
でも、それでもカグラは「ただパンを食ってるだけ」なんですよね。だから成立してる不思議。
よかったら次回も、焼きそばパン片手に笑いに来てください。
またね!