🍃「こ、よ…ちゃ……」
🧪「んー?どうし…!?いっいろはちゃん大丈夫!?」
こよがリビングでお茶を飲んでゆっくりしていたら、後ろからいろはちゃんに声をかけられ振り返る
だけどそこには、顔を赤くして今にでも倒れてしまいそうないろはちゃんが居た
その姿を見てすぐにいろはちゃんの元に向かい、前から抱きついて身体を支える
🍃「から、だ……あつい…よぉ…」
🧪「身体があつい…?もしかして熱中症…!?」
いろはちゃんの身体に触れ、その身体の熱さに驚く
さっきまで水分を取っていなかったのかは分からないけれど、いろはちゃんの身体はとにかく熱く、息も荒くなっていた
すぐにこれらの症状を見て熱中症を疑ったが、それにしては何かがおかしい
そもそも、いろはちゃんは今日外に1回も出ていないはず。確かに部屋でも熱中症にはなる可能性があるけれど、さすがにそうなる前にエアコンはつけるだろう
なら、このいろはちゃんに起こってる異常は何……?
🧪「い、いろはちゃん、身体があつくなる前にしたことって覚えてる?」
🍃「え…たしか……こよちゃんにようじがあって…だけどへやにいっても、こよちゃんいなくて……そのときつくえにおちゃがあって、のどかわいてたからそれをのんで……」
🧪「…!?それお茶じゃないよ!?」
そのいろはちゃんの話を聞いている途中でハッとする
こよの部屋のテーブルの上にあったお茶…といろはちゃんは言ったけど、こよは部屋にお茶を置いていない
いろはちゃんが今言った通りだとするなら、いろはちゃんが飲んだのはお茶ではなくて……
🧪「それ……媚薬、だよ…しかも、強力な……」
🍃「……え…?」
こよが先程作った、強力な媚薬
飲んだ対象の…三大欲求のとある1つの欲を強く欲するようになる薬だ
本当は失敗作のはずで後で破棄する予定だったのに…喉が渇いてリビングに行く時、そのままテーブルの上に置きっぱなしにしていた
それをたまたまこよがリビングに行っている途中でいろはちゃんが見つけ、なんの疑いもせず喉が渇いていたから飲んでしまった。という感じだろう
……我ながら、やってしまった感は否めないけれど、いろはちゃんもいろはちゃんで純粋すぎ……だからこそこんなことが起きちゃったわけだけど
🍃「じゃあ……かざま、ずっとこのままなの……?」
🧪「い、いや、ちゃんとその熱を冷ます薬は作ってあるから大丈夫。ね?」
でも、こんなこともあろうかと、しっかり解毒剤のような物を一応用意しておいたのだ
しかも、今着ている白衣のポケットに入っている。これですぐにいろはちゃんの熱を取ることができる
……だけども…
🧪(そうは言ったものの……こよが飲ませないとなんだよね……)
この薬の効果は、1つではない
もう1つは、身体の力を一時的に出せなくし、その場に留まらせる。という効果がある
そのせいでさっきまでこよの元まで歩けていたいろはちゃんは、今や完全にこよに身体を預けてしまって動くことができなくなってしまっていた
つまり…この薬を飲ませられるのは、こよしかいない、ということだ
🍃「そうなんで、ござるか……?」
🧪「うん。今ここにあるから、こよが飲ませるね?」
🍃「うん…ありがとう……ごめんなさい……」
🧪「っだ、大丈夫大丈夫!あそこに置いてたこよが悪いし!」
……少し気が引ける
故意とはいえ、何も出来ないいろはちゃんに薬を飲ませるなんて…傍から見たら不審者じゃないか
だけど、これでしかいろはちゃんの熱はとれない訳で…でもちょっとなんか、こう…エッ……
…いや、やめておこう
無心。無心だ!こういう時は無心で飲ませるのが1番なんだ!
🧪「じゃあ、口開けて?ゆ、ゆっくり、飲ませるからね」
🍃「うん……」
こよは深呼吸をして、いろはちゃんをソファーに座らせて話しかける
そうするといろはちゃんはこよの言った通りに口を開け、こよの薬を飲む準備が整う
こよは何も考えないようにして、手に持った薬が入った試験管を口に当てて、いろはちゃんにゆっくりと流し込む
🍃「んっ…んっ……」
🧪(無心……無心……無心……)
いろはちゃんは目を閉じて、その薬を1口、また1口飲んでいく
だけど力が無いからか、口の端から少し薬が漏れだしていた
……無心、無心でしょ…
それのせいでいろはちゃんに変なことをしているような気分になってしまう
これはいろはちゃんの熱をとるという、れっきとした治療行為なのに、なぜだか変な気分になる
🍃「んっ……ぷはっ…」
🧪「よ、よし……」
そして、全部とはいかずとも、試験管に入った薬をほぼ全て飲み干し、試験管から口を離した
その時にいろはちゃんの唾液の橋が試験管にかかっていた様な気がしたけれど、すぐに頭から抜け落ちたかのように忘れてしまった
🧪「どう?身体の調子は…大丈夫?」
🍃「…少し、熱くなくなった、気がする」
こよは少し屈んでいろはちゃんに話しかける
いろはちゃんは少し熱がなくなってきたらしく、顔からも徐々に赤みが引いていっていた
とりあえず、いろはちゃんから熱をとることには成功した
……成功したけれど……
今度は、こよに熱が移ってしまったかもしれない
🧪「…いろはちゃん、ちゃんと全部飲めて偉いね」
🍃「…?こよちゃん……?」
🧪「……じ、じゃあ!こよはまだ実験しないといけないからまたね!」
こよはそう言い訳をして、さっさとその場から離れて自分の部屋へと向かった
…危なかった。あのままだとこよ、いろはちゃんを……
……熱をとる薬、もう一個作らないとな……