高知県奈半利町の、ふるさと納税をめぐる贈収賄事件の「やり直し裁判」で、検察は、受託収賄罪などに問われている奈半利町の元課長に「懲役2年6か月」を求刑し、弁護人は改めて「無罪」を主張しました。

この裁判は、奈半利町の元課長・森岡克博被告が、ふるさと納税の返礼品の取り扱いをめぐり事業者から賄賂を受け取った、受託収賄などの罪に問われているものです。一審で、受託収賄罪は無罪となり、二審の高松高裁で審理が一審に差し戻され、高知地方裁判所で“やり直しの裁判”が行われています。

起訴内容によりますと、森岡被告は「森岡被告の息子らが行った梱包作業の報酬」として、およそ180万円の賄賂を受け取った…とされていますが、その労働実態は無く、この報酬について「被告が賄賂と認識していたかどうか」が争点となっています。

9日の裁判で、検察は、「梱包作業の対価としては法外な報酬を、本人ではなく森岡被告が管理・使用していたこと」や「息子の住民票を不正に異動させてまで事実を隠そうとしたこと」などから、「賄賂性の認識を推認できる」とし、「公金で私腹を肥やしていて、酌量の余地は無く、被告は事件の首謀者で責任は重大」だとして、森岡被告に「懲役2年6か月」を求刑しました。

一方、弁護人は、「被告は作業の単価や具体的な内容を知らなかった」「息子に激しい浪費癖があったため、被告が報酬を管理した」などとし、「賄賂性の認識は無かった」と改めて主張しました。また、被告が息子の住民票を異動させたことについても「息子の自立のためだった」とし、受託収賄罪について「無罪」を主張しました。

判決は、10月22日に言い渡される予定です。