ハルオの読書感想文『苦役列車』
私がこの本の著者である西村賢太を知ったのはバキ童チャンネルの以下の動画の以下の動画の以下の動画の13:35あたりのラッパーのIida Reo氏の発言がきっかけだった。
「西村賢太」いつもなら興味がなくて聞き流していただろう、人名だが、その時だけは妙に心に残った。恐らく「西村賢太」という名前の語呂の良さが要因だったのかもしれない。
それから、気になって西村賢太のWikipediaを読んで、俄然、西村賢太の本を読んでみたくなった。それから数週間たっても西村賢太の著作への読書ちんこは勃起したままで萎えることを知らなかったため、ついに近所の書店に赴き、あらすじを見て、面白そうだと感じた『苦役列車』を購入したのである。
この小説は私小説の体裁で執筆されている。私小説は作者の実体験に基づいて書かれた小説のことで、本作もそのような小説である。この小説の主人公は著者である西村賢太をそのままモデルにした北町貫太という人物であり、西→北 村→町 と本名をもじった名前となっている。
本作の魅力は主人公である北町貫太のクズさと文体である。主人公である北町貫太はとにかくクズだし、バカでどうしようもない最底辺の男である。高校に行かず、上京し、日払いの日雇い労働を見つけるも、無断欠勤を繰り返し、日払いの給料もその日にほとんど使い、家賃も碌に払わず、何度も家を追い出されたり、とにかくプライドが高く短期だったりなど、借金をしたり、とにかくとんでもなくヤバい人物なのである。しかし、そこが非常に美しいと感じたし、私自身もそこが読んでて共感できた。私自身も主人公北町貫太のようにバカでクズでプライドが高いからだ。恐らくこの小説はエリートコースの人生を歩んできた人にはあまり面白く感じないだろうし、面白いと思っても、感情移入はできないと思う。この小説に心を動かされるのは自分が底辺、異常、クズ、バカであるという自認と劣等感がある人だけだと思う。最後に主人公が更生するでもなく、クズのまま生きるのはとてもクズ人間として励みになる描写である。
本作の魅力の二つ目は非常に優れた文体である。全体としてとにかく文章がうまい。素晴らしい筆致で描かれた情景描写や笑ってしまう表現、詩的で繊細な表現、それらがちょうどいい間隔で配置され、思わずページを捲る手が止まらなかった。
この小説を読んで西村賢太の他の著作が読みたくなってきた。
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