いわき官製談合、加重収賄疑いで水道局職員を再逮捕 業者社長は贈賄疑いで

2025/07/10 07:30

 いわき市水道局の工事入札を巡る官製談合事件で、秘密事項の設計金額などを業者に漏らし、見返りに現金10万円の賄賂を受け取ったとして、県警捜査2課といわき中央署は9日、加重収賄の疑いで、いわき市水道局工務課技術主任の男(34)=いわき市泉ケ丘2丁目=を再逮捕した。また、10万円を渡したとして贈賄の疑いで、同市の管工事会社社長の男(74)=同市小名浜字定西=を再逮捕した。

 水道局職員の男の再逮捕容疑は、昨年1月に市水道局が発注した平下平窪配水管改良工事の入札で、設計金額などを漏らし謝礼として社長の男から現金10万円を受け取った疑い。社長の男の再逮捕容疑は設計金額などの情報をもらい受け、現金10万円を渡した疑い。県警捜査2課は捜査に支障があるとして、2人の認否を明らかにしていない。

 事件を巡り、県警は公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕した、社長の息子の専務の男(48)=同市小名浜字定西=は、贈収賄事件には関与していないとみている。

 一方、水道局職員の男が社長の男に電話で情報を漏らした上、管工事会社の事務所で社長の男に金額が記入された設計書を直接手渡したとみられることが、福島地検への取材で分かった。

 福島地検は9日、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の罪で水道局職員の男、公契約関係競売入札妨害の罪で社長の男、専務の男を起訴した。

 起訴状などによると、水道局職員の男は2023年12月19日ごろ、社長の男に電話で最低制限価格の算定基準となる工事費などの金額を伝え、同29日に管工事会社の事務所で社長の男に設計書を渡し、同社に最低制限価格と同額で落札させた、としている。社長の男と専務の男は水道局職員の男から工事費などを教えてもらい、最低制限価格と同額で落札した、としている。

 業者事務所で金額入り設計書を手渡し

 いわき市水道局の工事入札を巡る官製談合事件は、贈収賄事件へと発展した。加重収賄の疑いで再逮捕された水道局工務課技術主任の男が業者の事務所を訪ね、機密事項の金額入り設計書を直接手渡していたことなど癒着の実態が浮かび上がった。公共工事受注を巡り、企業努力を重ねる同業者らは驚きを隠さない。

 「われわれは頭を痛めながら積算、入札している。真面目にやっている人がばかをみるようだ」。贈賄の疑いで再逮捕された社長の男が顧問を務めるいわき管工事協同組合の組合企業の男性は語る。

 入札を巡って市が設置した調査委は報告書の中で、緊急時の連絡などに個人の携帯電話を使う職員が半数以上おり、密接な関係の一因になったと指摘。男性は、職員と事業者が顔見知りになり、情のつながりは認めるが「金銭のつながりまであったのか…」と嘆いた。

 県警によると、水道局職員の男は社長の男から、入札情報を漏らしたのと同時期に現金10万円を受け取っていたとみられる。捜査関係者によると、水道局職員の男は、仕事を通じて関係性を深め、私有の携帯電話で連絡を取っていたという。

 内田広之市長は職員の再逮捕を受け9日、「綱紀粛正の徹底に取り組む」とのコメントを発表した。

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