第2話 布酢怒

こうして町内会の会合に僕も参加することになってしまった。

町のみんなも困惑してるようだ。

「…というわけでまた変なハガキが届いてもそれは山崎くんが何かしたわけじゃない。それは覚えておいてほしい」

町内会長はそう僕を庇ってくれた。

「すみません、またご迷惑をかけるようなことになって…」

「いや、今回は君のせいじゃないんだろ?しかし動画見たけどほんとそっくりだね。これに心当たりはある?」

正直まったくない。みんなが黙る中町の最高齢のおじいさんがこういった。


「それは布酢怒かもしれんの」

「すみません、布酢怒ってなんですか?」

「狙った人そっくりの姿に化けた妖怪が悪事の限りをしていくのじゃ。雑巾に酢を染み込ませたような悪臭を放つことから名付けられたんじゃよ」

「そんな迷信をいきなり出してこられても」

町内会長が困惑しながら発言したが僕はそれを遮った。

「でも今はこれしか手がかりがないんです。どちらにせよ僕そっくりの人間が悪事を働いている。それは止めなければならないです。『布酢怒』のことも含めて調べさせてください」


『布酢怒』め。必ず引きずり出して罪を償わせてやる。

ぼくの心のなかは熱く、滾る想いで満たされた。

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