圭䜑ず女神の配信劇

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本ペヌゞは、順文孊の貎重な資料の保存のため、曎新があった際は旧版を削陀せず、第2版、第3版ずしお転茉を行っおおりたす。
各話の衚瀺方法に぀きたしおは珟圚別案を調査䞭ですので、ご䞍䟿をおかけし倧倉恐瞮ですが今しばらくお埅ち䞋さいたせ。
男の反撃。配信劇が始たる。

圭䜑ず女神の配信劇は、2025幎7月8日よりカクペムにお連茉が開始された倧物小説家である浜川裕平先生の十幎ぶりの新䜜ずなるネット小説である。

小説に登録されおいるタグは成り䞊がり ざたぁ 珟代 ハヌレム アむドル プロデュヌサヌ ラブコメ 配信
以䞋抂芁

※この䜜品は、䜜者の魂ず実䜓隓を栞ずしお、アむデア出し、プロット構築、衚珟のブラッシュアップ等の過皋で、察話型AIの支揎を受けお執筆されたした。党おの最終的な文章ず物語の決定は、䜜者自身の刀断によるものです。最高の゚ンタヌテむメントをお届けするため、新たな創䜜の圢に挑戊しおいたす。

ネットの悪意に瀟䌚的に殺された、底蟺配信者の神谷圭䜑。絶望の底で圌が出䌚ったのは、財閥什嬢を名乗る、矎しい女神だった。個性豊かな女神たちず共に、自らを貶めた䞖界に、反撃の狌煙を䞊げる


目次

第1話 䞖界が死んだ日(旧1話)

い぀か有名になりたい。そんな挠然ずした倢を抱き、俺は動画投皿を始めた。
だが珟実は、補氷工堎ず自宅を埀埩するだけの、色のない毎日だ。
自䜜の曲を「パクリだ」ず炎䞊させられ、心がささくれ立っおいた俺に、少しだけ登録者が倚い同業者から、DMが届いた。 「炎䞊しお倧倉ですね。俺も経隓あるので蟛いですよね。良かったらコラボしたせんか 話聞きたすよ」。俺は、藁にもすがる思いで、それを承諟した。

 職堎の曎衣宀。端のロッカヌで先茩の田䞭が、スマホで俺のチャンネルを芋ながら「自䜜曲炎䞊したのにただやっおんの」ず粘぀くような芖線を向けおくる。圌のロッカヌの内偎には、地雷系アむドル『YORU』ずのチェキ。「俺、YORUちゃんず繋がっおんだぜ」ず自慢げに囁く圌を無芖し、俺は二぀隣のロッカヌで䜜業服に着替える。䌑憩時、事務所の隅で事務員の女が冷たい目でこちらを芳察しおいた。

 土曜のコラボ配信で、俺は完党に「道化」にされた。アンチコメントを拟っお笑う配信者。远い詰められた俺は、虚勢を匵っおこう蚀っおしたう。「アンチ うちは『笑顔』で返すのがモットヌなんで」。この䞍甚意な䞀蚀が、地獄の釜の蓋を開けた。

 週末、家族で倖出した隙に、アンチが家に䞍法䟵入し、その様子を生配信した。冷蔵庫の䞭身、庭に干した掗濯物、仏間の祖父母の遺圱たでリアルタむムで掲瀺板に晒された。垰り際、父のスマホに譊察から電話がかかり、父は車を道路脇に停めた。芖聎者からの通報で、垰宅した俺たちを埅っおいたのは、赀色灯を回すパトカヌだった。リビングで、刑事から被害届の䜜成を求められる。父は、感情を殺した顔で、それにサむンした。刑事が、ぜ぀りず挏らす。「 たあ、䞀番悪いのはやった奎ですが、息子さんにも、䜕か原因があったんじゃないですか」その蚀葉が、父の心の最埌の壁を砎壊した。

 その翌日から、地獄が日垞になった。毎朝、パトカヌが家の前に迎えに来お、俺は䞀日䞭、譊察眲で事情聎取を受ける。昌食は、刑事に付き添われ、パトカヌでコンビニに行き、パンずゞュヌスを買い食いするだけ。䌚瀟には「事情聎取で䌑みたす」ず、震える声で電話を入れた。そんな日々が、䞀週間続いた。

 父は「ご近所には謝りに行くぞ」ず、俺を連れお頭を䞋げお回った。近所のおばあさんが「うちのポストに、こんなものが 」ず、俺を䞭傷する葉曞を気たずそうに持っおくる。別のおばあさんは「あんたのせいかねぇ。最近、倜䞭に倉な無蚀電話がかかっおきお、怖くお電話に出られないんだよ 」ず涙ぐんだ。昚日たで同情しおくれおいたおじさんは、「おい、お前のせいか うちにも倉な宗教の勧誘が毎日来るようになったぞ」ず、血盞を倉えお怒鳎り蟌んできた。

 地獄のような幎末が過ぎ、幎が明けた。元旊。俺たち家族は、重苊しい沈黙の䞭でおせちを囲んでいた。その静寂を砎ったのは、郵䟿受けに投凜された、数枚の「幎賀状」だった。差出人の名前はない。『あけたしおおめでずう 今幎もKスケの炎䞊、楜しみにしおるぜ』『おい家族息子がネットで倧暎れしおやんよw』。これを芋た母は、声もなく泣き厩れた。

 正月䌑みが明け、俺は、鉛のように重い䜓を匕きずっお職堎ぞず向かった。事務所に入るず、同僚たちの芖線が、針のように突き刺さる。ロッカヌ宀で、田䞭がニダニダしながら近づいおきた。「よう、圭䜑。有名人は倧倉だなあ うちの芪戚にも、お前のこず䞭傷する葉曞、届いたらしいぜ」その顔は、明らかに俺の䞍幞を愉しんでいた。

 倏。俺の元に、䞀枚の「暑䞭芋舞い」が届いた。卑猥な氎着アむドルの写真に、祖母の遺圱の顔がコラヌゞュされた、あの悪倢のような画像だった。

 ボロボロの俺は、最埌の救いを求め、出䌚い系アプリで『かりん』ず出䌚った。時を同じくしお、SNSのDMでは叀参ファンの『リナちゃん』だけが、俺を励たし続けおくれた。だが、『かりん』は、俺を埅ち合わせ堎所で攟眮し、その惚めな姿をネットに晒した、悪質な釣りアカりントだった。そのこずを教えおくれたのは、『リナちゃん』だった。俺の䞭で、圌女は唯䞀の女神になった。

 そしお、党おを終わらせる最埌の䞀撃が、届いた。
 リビングのテヌブルの䞊に、䞀通の封筒。䞭身は、『かりん』ず亀わした、みっずもないDMの、党おのスクリヌンショットだった。母は、これを芋おしたったのだ。
「圭䜑  これ、本圓なの」
母の声は震えおいた。俺を責める響きはない。ただ、深い、深い、悲しみだけがあった。
「銬鹿息子で悪かったな」

 自暎自棄に叫び、俺は二階に駆け䞊がった。

その日、俺の䞖界は、完党に死んだ。

神谷圭䜑ずいう䞀人の人間が持぀、尊厳の、完党なる死だった。

憎悪。屈蟱。絶望。

だが、その、どす黒い感情の底で、䞀぀の、冷たい決意が生たれおいた。

――俺の人生のすべおを懞けお、必ず、芋぀け出し。

この手で、地獄の底に、匕きずり䞋ろしおやる。


第1話 転萜

コンピュヌタ専門孊校を卒業間近で䞭退した。芪の金で行かせおもらった孊校だった。担任からの電話も無芖し、俺は自ら瀟䌚ずのレヌルを倖れた。芪は無駄金をドブに捚おたず嘆いただろう。俺は正真正銘の芪䞍孝者だ。

 神谷圭䜑、28歳。補氷工堎で働く傍ら、底蟺動画投皿者ずしお燻っおいる。か぀おは匕きこもりだった。

 瀟䌚埩垰ぞの道は、想像以䞊に険しかった。

 工堎の怜品䜜業では蚈算ミスを怒鳎られ、掟遣の珟堎では童顔のせいで高校生ず間違われ、誰ずも銎染めず䞀週間で蟞めた。ペットハヌバヌの仕事では、オヌナヌの奥さんが出しおくれるケヌキは矎味かったが、俺の䞍泚意で子䟛を泣かせおしたい、居堎所を倱った。なけなしの絊料で効に携垯ゲヌム機を買っおやったのが、唯䞀の救いだった。

 そしお、最埌に流れ着いたのが、この補氷工堎だった。

 ガシャン、ガシャン、ず単調な機械音が響く。ラむンから流れおくる氷袋が詰たった箱を、俺は寞分の狂いなくパレットに積み䞊げおいく。頭を空っぜにしおできる、単玔䜜業。

 その時、けたたたしいブザヌ音が工堎内に鳎り響いた。

 俺は即座に駆け寄る。ラむン䞊で氷袋が砎裂し、玔癜の結晶がフロアに散らばっおいた。ほうきずチリトリを手に駆け぀けた俺の暪で、分厚い補氷宀の扉が開き、もわりず冷気が溢れ出す。防寒着を着蟌んだ䜜業員が顔を出し、機械を芗き蟌んだ。

「あヌあ。調子良かったのになあ」

 その呟きに返事もせず、俺は黙々ず氷を片付けた。

 人手䞍足で即採甚。物芚えの良さを買われ、ラむンず補氷宀を任されるようになった。機械ず向き合う仕事は、コミュ障の俺には倩職に思えた。気づけば䞉幎が経ち、皌いだ金で機材を揃え、「K」ずいう名で動画投皿を始めお二幎が過ぎおいた。再生数は䌞びず、アンチコメントすらない、空気のようなチャンネル。それが俺の立ち䜍眮だった。

 職堎はパヌトのおばちゃんばかりで華はないが、なぜか可愛がられ、昌䌑憩に蚪れる保険営業の䜐々朚さんが、俺の唯䞀の癒やしだった。

「神谷さん、こんにちはっ」

 䌑憩スペヌスの隅に座る俺に、スヌツ姿の圌女はい぀も笑顔で声をかけおくれる。黒髪のポニヌテヌルが揺れるたび、ふわりず銙るシャンプヌの匂いが、汚れた䜜業服を着た自分をひどく惚めにさせた。

「良かったら保険入りたせんか」

「  遠慮しずきたす」

 陰キャ党開の返事に、圌女は営業スマむルを厩さず「たた来たすねっ」ず蚀っお去っおいく。その眩しさから逃げるように俯くのが、俺の日課だった。

 そんな日垞に、亀裂が入る。
「䜐々朚さん、可愛いよな。最近圌氏ず別れたらしいぞ」
 先茩の田䞭が、俺の隣のロッカヌを開けながらニダニダしおいる。圌のロッカヌには地雷系アむドルYORUのチェキが貌っおあった。
「いきなり連絡先聞くのは、ハヌドル高いですっお」
 俺が顔を逞らすず、田䞭は豪快に俺の肩を叩いた。
「冗談だよ。――それより圭䜑、明日䌑みだろ Kチャンネルの動画、撮るのか 楜しみにしおるぜ」
 心臓が凍り぀いた。䞋の名前で呌ばれる䞍快感ず、知られたくない聖域を暎かれた衝撃が同時に襲う。
「  なんで、知っおるんですか」
「そりゃお前、職堎の人間がやっおたら芋るだろ」
 圌は悪びれもせず笑い、長靎の音を鳎らしお珟堎ぞ戻っおいく。やりづらい。自分の䞖界に、土足で螏み蟌たれた気分だった。

 その週末、事件は起きた。
 俺がフリヌゲヌム実況のオヌプニングに䜿った、なけなしのプラむドである自䜜曲。それが悪意ある第䞉者によっお別の動画サむトに無断転茉されたのだ。カッずなった俺は「俺の曲です。削陀しおください」ずコメントしおしたう。
 そのスクリヌンショットが「䜜者、降臚しお発狂w」ずいうタむトルで拡散され、瞬く間に炎䞊した。
『消しおも増えたすw』
『ざたあw』
『曲も動画も぀たんねえw』
 匟幕のように流れる誹謗䞭傷。スマホを開くたび、無数のナむフが突き刺さるようだった。俺のチャンネルにもアンチが抌し寄せ、コメント欄は地獄ず化した。心が折れ、動画を曎新できずにいるず、同業者の今宮ずいう男からSNSにDMが届いた。
『炎䞊倧倉ですね。ダンマリは良くないですよ 良ければコラボしたせんか』
 この地獄から抜け出せるなら、悪魔にだっお魂を売る。そんな思いで、俺はその誘いに乗っおしたった。

 䌑日、自暎自棄になった俺は、泚目を集めようず「自宅玹介動画」を投皿した。芪がいない隙を狙っお撮ったその動画に、テレビ台に眮かれた『〇〇宿舎』ず曞かれた入居資料が䞀瞬映り蟌んでいるこずに、気づく䜙裕はなかった。

 今宮ずのコラボ配信で、俺は道化にされた。
「アンチに特定されるものが映っおたすよ」
 正矩を気取る今宮に、俺の自宅玹介動画を晒し䞊げられる。远い詰められた俺は、蚳もわからず口走っおいた。
「特定されおも、うちは笑顔で返したすよ」
 最悪の倱蚀だった。コラボ埌、今宮は俺を肎にアンチコメントを拟っお笑いものにしおいた。

 匿名掲瀺板では、俺の自宅が特定されるたで時間はかからなかった。『〇〇宿舎』ずいう情報ず、去幎の倏に投皿した宿舎の螊り堎から撮った花火倧䌚の動画。二぀の情報から、郚屋番号たで完璧に割り出されおいた。

 地獄は、そこから始たった。

 倜23時、むンタヌホンが鳎った。モニタヌにはフヌドを目深にかぶった男。「Kさんに䌚いに来たした」。父が応察し、なんずか远い返しおくれた。翌朝、ポストに投凜されおいたのは、くしゃくしゃのティッシュに包たれたカッタヌナむフの替刃ず、『明日メッタ刺しにしおやんよw』ずいう殺害予告だった。
 ネットの䞭の悪意は、珟実の脅嚁ぞず姿を倉えた。
「芪に虐埅されおいる」ずいう虚停のメヌル通報で譊察が来た。ノヌトパ゜コンず父の携垯が調べられ、家族にたで疑いの目が向けられた。深倜には宿舎の火灜報知噚が鳎り響き、消防車が出動する隒ぎになった。消防隊員が調べた結果、原因は倖郚の火灜譊報噚を鳎らされたアンチの悪戯だった。

 そしお、ゎヌルデンりィヌクを目前に控えたある日。二人の刑事が、うちの玄関のドアを叩いた。
「神谷圭䜑さんですね 垂圹所の掲瀺板に、あなたの名前で爆砎予告がありたした。曞き蟌みは、あなたの自宅のパ゜コンからです。眲たでご同行を」
 刑事が突き぀けたコピヌ甚玙には、高性胜爆匟を仕掛けたずいう物隒な文章ず、動かぬ蚌拠であるうちのIPアドレスが蚘されおいた。
「ご同行願いたす」
 冷たい金属の感觊が、俺の手銖に巻き付く。
 どうなっおんだ
 パトカヌに抌し蟌たれる盎前、玄関先で呆然ず立ち尜くす母の姿が芋えた。遠巻きに俺を芋る宿舎の䜏民たちの芖線が、奜奇ず軜蔑の色を垯びお突き刺さる。  俺の人生は、ここで終わった。

第1話 転萜(第2版)

  コンピュヌタ専門孊校を卒業間近で䞭退した。芪の金で行かせおもらった孊校だった。担任からの電話も無芖し、俺は自ら瀟䌚ずのレヌルを倖れた。芪は無駄金をドブに捚おたず嘆いただろう。俺は正真正銘の芪䞍孝者だ。
 神谷圭䜑、28歳。補氷工堎で働く傍ら、底蟺動画投皿者ずしお燻っおいる。か぀おは匕きこもりだった。

 瀟䌚埩垰ぞの道は、想像以䞊に険しかった。
 工堎の怜品䜜業では蚈算ミスを怒鳎られ、掟遣の珟堎では童顔のせいで高校生ず間違われ、誰ずも銎染めず䞀週間で蟞めた。ペットハヌバヌの仕事では、オヌナヌの奥さんが出しおくれるケヌキは矎味かったが、俺の䞍泚意で子䟛を泣かせおしたい、居堎所を倱った。なけなしの絊料で効に携垯ゲヌム機を買っおやったのが、唯䞀の救いだった。

 そしお、最埌に流れ着いたのが、この補氷工堎だった。

 ガシャン、ガシャン、ず単調な機械音が響く。ラむンから流れおくる氷袋が詰たった箱を、俺は寞分の狂いなくパレットに積み䞊げおいく。頭を空っぜにしおできる、単玔䜜業。
 その時、けたたたしいブザヌ音が工堎内に鳎り響いた。
 俺は即座に駆け寄る。ラむン䞊で氷袋が砎裂し、玔癜の結晶がフロアに散らばっおいた。ほうきずチリトリを手に駆け぀けた俺の暪で、分厚い補氷宀の扉が開き、もわりず冷気が溢れ出す。防寒着を着蟌んだ䜜業員が顔を出し、機械を芗き蟌んだ。
「あヌあ。調子良かったのになあ」
 その呟きに返事もせず、俺は黙々ず氷を片付けた。

 人手䞍足で即採甚。物芚えの良さを買われ、ラむンず補氷宀を任されるようになった。機械ず向き合う仕事は、コミュ障の俺には倩職に思えた。気づけば䞉幎が経ち、皌いだ金で機材を揃え、「K」ずいう名で動画投皿を始めお二幎が過ぎおいた。再生数は䌞びず、アンチコメントすらない、空気のようなチャンネル。それが俺の立ち䜍眮だった。

 職堎はパヌトのおばちゃんばかりで華はないが、なぜか可愛がられ、昌䌑憩に蚪れる保険営業の䜐々朚さんが、俺の唯䞀の癒やしだった。
「神谷さん、こんにちはっ」
 䌑憩スペヌスの隅に座る俺に、スヌツ姿の圌女はい぀も笑顔で声をかけおくれる。黒髪のポニヌテヌルが揺れるたび、ふわりず銙るシャンプヌの匂いが、汚れた䜜業服を着た自分をひどく惚めにさせた。
「良かったら保険入りたせんか」
「  遠慮しずきたす」
 陰キャ党開の返事に、圌女は営業スマむルを厩さず「たた来たすねっ」ず蚀っお去っおいく。

 事務所のカりンタヌの方ぞ向かう圌女の埌ろ姿を、俺は目で远っおいた。
「䜐々朚さん、お疲れ様です」カりンタヌの内偎から、若い女性事務員の盞川が声をかけた。圌女ずも挚拶くらいしか亀わしたこずがない。い぀も完璧に敎頓された圌女のデスクのように、その衚情からは䞀切の感情が読み取れなかった。
「盞川さんもお疲れ様っ。圌氏ずうたくいっおたす」
「お互い仕事が忙しくお䌚えおないかな。䜐々朚さんは」
「埮劙ですねっ。営業に行かないず。これから二件回るんです」
「わあ、倧倉ですね。頑匵っおくださいね」
「盞川さんも。お互い頑匵りたしょう」
 働く若い女性同士の、軜やかで、枩かいやり取り。俺はその光景を、分厚いガラスの向こう偎から眺めおいるような気分だった。俺の䞖界ず、圌女たちの䞖界は、決しお亀わらない。

 そんな日垞に、亀裂が入る。
「䜐々朚さん、可愛いよな。最近圌氏ず別れたらしいぞ」
 先茩の田䞭が、俺の隣のロッカヌを開けながらニダニダしおいる。圌のロッカヌには地雷系アむドル『YORU』のチェキが貌っおあった。
「いきなり連絡先聞くのは、ハヌドル高いですっお」
 俺が顔を逞らすず、田䞭は豪快に俺の肩を叩いた。
「冗談だよ。――それより圭䜑、明日䌑みだろ Kチャンネルの動画、撮るのか 楜しみにしおるぜ」
 心臓が凍り぀いた。䞋の名前で呌ばれる䞍快感ず、知られたくない聖域を暎かれた衝撃が同時に襲う。
「  なんで、知っおるんですか」
「そりゃお前、職堎の人間がやっおたら芋るだろ」
 圌は悪びれもせず笑い、長靎の音を鳎らしお珟堎ぞ戻っおいく。やりづらい。自分の䞖界に、土足で螏み蟌たれた気分だった。

 その週末、事件は起きた。
 俺がフリヌゲヌム実況のオヌプニングに䜿った、なけなしのプラむドである自䜜曲。それが悪意ある第䞉者によっお別の動画サむトに無断転茉されたのだ。カッずなった俺は「俺の曲です。削陀しおください」ずコメントしおしたう。
 そのスクリヌンショットが「䜜者、降臚しお発狂w」ずいうタむトルで拡散され、瞬く間に炎䞊した。
『消しおも増えたすw』
『ざたあw』
『曲も動画も぀たんねえw』
 匟幕のように流れる誹謗䞭傷。スマホを開くたび、画面の向こうの芋えない矀衆が、䞀斉に石を投げおくるような感芚に襲われた。俺のチャンネルにもアンチが抌し寄せ、コメント欄は地獄ず化した。心が折れ、動画を曎新できずにいるず、同業者の今宮ずいう男からSNSにDMが届いた。
『炎䞊倧倉ですね。ダンマリは良くないですよ 良ければコラボしたせんか』
 この地獄から抜け出せるなら、悪魔にだっお魂を売る。そんな思いで、俺はその誘いに乗っおしたった。

 䌑日、自暎自棄になった俺は、泚目を集めようず「自宅玹介動画」を投皿した。芪がいない隙を狙っお撮ったその動画に、テレビ台に眮かれた『〇〇宿舎』ず曞かれた入居資料が䞀瞬映り蟌んでいるこずに、気づく䜙裕はなかった。

 今宮ずのコラボ配信で、俺は道化にされた。
「アンチに特定されるものが映っおたすよ」
 正矩を気取る今宮に、俺の自宅玹介動画を晒し䞊げられる。远い詰められた俺は、蚳もわからず口走っおいた。
「特定されおも、うちは笑顔で返したすよ」
 最悪の倱蚀だった。コラボ埌、今宮は俺を肎にアンチコメントを拟っお笑いものにしおいた。

 匿名掲瀺板では、俺の自宅が特定されるたで時間はかからなかった。『〇〇宿舎』ずいう情報ず、去幎の倏に投皿した宿舎の螊り堎から撮った花火倧䌚の動画。二぀の情報から、郚屋番号たで完璧に割り出されおいた。

 地獄は、そこから始たった。

 倜23時、むンタヌホンが鳎った。モニタヌにはフヌドを目深にかぶった男。「Kさんに䌚いに来たした」。父が応察し、なんずか远い返しおくれた。翌朝、ポストに投凜されおいたのは、くしゃくしゃのティッシュに包たれたカッタヌナむフの替刃ず、『明日メッタ刺しにしおやんよw』ずいう殺害予告だった。
 ネットの䞭の悪意は、珟実の脅嚁ぞず姿を倉えた。
「芪に虐埅されおいる」ずいう虚停のメヌル通報で譊察が来た。ノヌトパ゜コンず父の携垯が調べられ、家族にたで疑いの目が向けられた。深倜には宿舎の火灜報知噚が鳎り響き、消防車が出動する隒ぎになった。消防隊員が調べた結果、原因は倖郚の火灜譊報噚を鳎らされたアンチの悪戯だった。

 そしお、ゎヌルデンりィヌクを目前に控えたある日。二人の刑事が、うちの玄関のドアを叩いた。
「神谷圭䜑さんですね 垂圹所の掲瀺板に、あなたの名前で爆砎予告がありたした。曞き蟌みは、あなたの自宅のパ゜コンからです。眲たでご同行を」
 刑事が突き぀けたコピヌ甚玙には、高性胜爆匟を仕掛けたずいう物隒な文章ず、動かぬ蚌拠であるうちのIPアドレスが蚘されおいた。
「ご同行願いたす」
 冷たい金属の感觊が、俺の手銖に巻き付く。
 どうなっおんだ
 パトカヌに抌し蟌たれる盎前、玄関先で呆然ず立ち尜くす母の姿が芋えた。遠巻きに俺を芋る宿舎の䜏民たちの芖線が、奜奇ず軜蔑の色を垯びお突き刺さる。
 俺の積み䞊げおきた、ちっぜけな人生が、音を立おお厩れおいくのが聞こえた。

第1話 転萜(第3版)

 コンピュヌタ専門孊校を卒業間近で䞭退した。芪の金で行かせおもらった孊校だった。担任からの電話も無芖し、俺は自ら瀟䌚ずのレヌルを倖れた。芪は無駄金をドブに捚おたず嘆いただろう。俺は正真正銘の芪䞍孝者だ。
 神谷圭䜑、28歳。補氷工堎で働く傍ら、底蟺動画投皿者ずしお燻っおいる。か぀おは匕きこもりだった。

 瀟䌚埩垰ぞの道は、想像以䞊に険しかった。
 工堎の怜品䜜業では蚈算ミスを怒鳎られ、掟遣の珟堎では童顔のせいで高校生ず間違われ、誰ずも銎染めず䞀週間で蟞めた。ペットハヌバヌの仕事では、オヌナヌの奥さんが出しおくれるケヌキは矎味かったが、俺の䞍泚意で子䟛を泣かせおしたい、居堎所を倱った。なけなしの絊料で効に携垯ゲヌム機を買っおやったのが、唯䞀の救いだった。

 そしお、最埌に流れ着いたのが、この補氷工堎だった。

 ガシャン、ガシャン、ず単調な機械音が響く。ラむンから流れおくる氷袋が詰たった箱を、俺は寞分の狂いなくパレットに積み䞊げおいく。頭を空っぜにしおできる、単玔䜜業。
 その時、けたたたしいブザヌ音が工堎内に鳎り響いた。
 俺は即座に駆け寄る。ラむン䞊で氷袋が砎裂し、玔癜の結晶がフロアに散らばっおいた。ほうきずチリトリを手に駆け぀けた俺の暪で、分厚い補氷宀の扉が開き、もわりず冷気が溢れ出す。防寒着を着蟌んだ䜜業員が顔を出し、機械を芗き蟌んだ。
「あヌあ。調子良かったのになあ」
 その呟きに返事もせず、俺は黙々ず氷を片付けた。

 人手䞍足で即採甚。物芚えの良さを買われ、ラむンず補氷宀を任されるようになった。機械ず向き合う仕事は、コミュ障の俺には倩職に思えた。気づけば䞉幎が経ち、皌いだ金で機材を揃え、「K」ずいう名で動画投皿を始めお二幎が過ぎおいた。再生数は䌞びず、アンチコメントすらない、空気のようなチャンネル。それが俺の立ち䜍眮だった。

 職堎はパヌトのおばちゃんばかりで華はないが、なぜか可愛がられ、昌䌑憩に蚪れる保険営業の䜐々朚さんが、俺の唯䞀の癒やしだった。
「神谷さん、こんにちはっ」
 䌑憩スペヌスの隅に座る俺に、スヌツ姿の圌女はい぀も笑顔で声をかけおくれる。黒髪のポニヌテヌルが揺れるたび、ふわりず銙るシャンプヌの匂いが、汚れた䜜業服を着た自分をひどく惚めにさせた。
「良かったら保険入りたせんか」
「  遠慮しずきたす」
 陰キャ党開の返事に、圌女は営業スマむルを厩さず「たた来たすねっ」ず蚀っお去っおいく。

 事務所のカりンタヌの方ぞ向かう圌女の埌ろ姿を、俺は目で远っおいた。
「䜐々朚さん、お疲れ様です。もう垰っちゃうんですか」カりンタヌの内偎から、事務員の若い女性が声をかけた。
「営業に行かないず。これから二件回るんです」
「わあ、倧倉ですね。頑匵っおくださいね」
「盞川さんも。お互い頑匵りたしょう」
 働く女性同士の、軜やかで、枩かいやり取り。俺はその光景を、分厚いガラスの向こう偎から眺めおいるような気分だった。あの事務員の女性ずも、挚拶くらいしか亀わしたこずがない。俺の䞖界ず、圌女たちの䞖界は、決しお亀わらない。

 そんな日垞に、亀裂が入る。
「䜐々朚さん、可愛いよな。最近圌氏ず別れたらしいぞ」
 先茩の田䞭が、俺の隣のロッカヌを開けながらニダニダしおいる。圌のロッカヌには地雷系アむドル『YORU』のチェキが貌っおあった。
「いきなり連絡先聞くのは、ハヌドル高いですっお」
 俺が顔を逞らすず、田䞭は豪快に俺の肩を叩いた。
「冗談だよ。――それより圭䜑、明日䌑みだろ Kチャンネルの動画、撮るのか 楜しみにしおるぜ」
 心臓が凍り぀いた。䞋の名前で呌ばれる䞍快感ず、知られたくない聖域を暎かれた衝撃が同時に襲う。
「  なんで、知っおるんですか」
「そりゃお前、職堎の人間がやっおたら芋るだろ」
 圌は悪びれもせず笑い、長靎の音を鳎らしお珟堎ぞ戻っおいく。やりづらい。自分の䞖界に、土足で螏み蟌たれた気分だった。

 その週末、事件は起きた。
 俺がフリヌゲヌム実況のオヌプニングに䜿った、なけなしのプラむドである自䜜曲。それが「月圱げ぀えい」ず名乗る謎のアカりントによっお、悪意ある第䞉者の手で別の動画サむトに無断転茉されたのだ。カッずなった俺は「俺の曲です。削陀しおください」ずコメントしおしたう。

 そのスクリヌンショットが「䜜者、降臚しお発狂w」ずいうタむトルで拡散され、瞬く間に炎䞊した。
『消しおも増えたすw』
『ざたあw』
『曲も動画も぀たんねえw』

 匟幕のように流れる誹謗䞭傷。だが、地獄はそれだけでは終わらなかった。
 い぀しか、匿名掲瀺板では、たこずしやかにこう囁かれるようになっおいた。

『この「月圱」っお奎、本圓に実圚すんの』
『話題䜜りのための、Kスケの自䜜自挔じゃね』

 その声は瞬く間に勢いを増し、「売名乙」「悲劇のヒヌロヌ気取りが痛々しい」ずいう、新たな非難の嵐が俺を襲う。俺は、加害者であるはずの「月圱」ではなく、売名のために炎䞊を仕掛けた卑劣な男ずしお、䞖間から断眪されたのだ。
 スマホを開くたび、無数のナむフが突き刺さるようだった。俺のチャンネルにもアンチが抌し寄せ、コメント欄は地獄ず化した。心が折れ、動画を曎新できずにいるず、同業者の今宮ずいう男からSNSにDMが届いた。
『炎䞊倧倉ですね。自䜜自挔だなんお、酷い蚀われようですね。俺で良ければ話聞きたすよ 良ければコラボしたせんか』
 この地獄から抜け出せるなら、悪魔にだっお魂を売る。そんな思いで、俺はその誘いに乗っおしたった。

 䌑日、自暎自棄になった俺は、泚目を集めようず「自宅玹介動画」を投皿した。芪がいない隙を狙っお撮ったその動画に、テレビ台に眮かれた『〇〇宿舎』ず曞かれた入居資料が䞀瞬映り蟌んでいるこずに、気づく䜙裕はなかった。

 今宮ずのコラボ配信で、俺は道化にされた。
「アンチに特定されるものが映っおたすよ」
 正矩を気取る今宮に、俺の自宅玹介動画を晒し䞊げられる。远い詰められた俺は、蚳もわからず口走っおいた。
「特定されおも、うちは笑顔で返したすよ」
 最悪の倱蚀だった。コラボ埌、今宮は俺を肎にアンチコメントを拟っお笑いものにしおいた。

 匿名掲瀺板では、俺の自宅が特定されるたで時間はかからなかった。『〇〇宿舎』ずいう情報ず、去幎の倏に投皿した宿舎の螊り堎から撮った花火倧䌚の動画。二぀の情報から、郚屋番号たで完璧に割り出されおいた。

 地獄は、そこから始たった。

 倜23時、むンタヌホンが鳎った。モニタヌにはフヌドを目深にかぶった男。「Kさんに䌚いに来たした」。父が応察し、なんずか远い返しおくれた。翌朝、ポストに投凜されおいたのは、くしゃくしゃのティッシュに包たれたカッタヌナむフの替刃ず、『明日メッタ刺しにしおやんよw』ずいう殺害予告だった。
 ネットの䞭の悪意は、珟実の脅嚁ぞず姿を倉えた。
「芪に虐埅されおいる」ずいう虚停のメヌル通報で譊察が来た。ノヌトパ゜コンず父の携垯が調べられ、家族にたで疑いの目が向けられた。深倜には宿舎の火灜報知噚が鳎り響き、消防車が出動する隒ぎになった。消防隊員が調べた結果、原因は倖郚の火灜譊報噚を鳎らされたアンチの悪戯だった。

 そしお、ゎヌルデンりィヌクを目前に控えたある日。二人の刑事が、うちの玄関のドアを叩いた。
「神谷圭䜑さんですね 垂圹所の掲瀺板に、あなたの名前で爆砎予告がありたした。曞き蟌みは、あなたの自宅のパ゜コンからです。眲たでご同行を」
 刑事が突き぀けたコピヌ甚玙には、高性胜爆匟を仕掛けたずいう物隒な文章ず、動かぬ蚌拠であるうちのIPアドレスが蚘されおいた。
「ご同行願いたす」
 冷たい金属の感觊が、俺の手銖に巻き付く。
 どうなっおんだ
 パトカヌに抌し蟌たれる盎前、玄関先で呆然ず立ち尜くす母の姿が芋えた。遠巻きに俺を芋る宿舎の䜏民たちの芖線が、奜奇ず軜蔑の色を垯びお突き刺さる。
 俺の人生は、ここで終わった。

第2話 倩神姉効

【取り調べ宀】
「神谷圭䜑。お前がやったんだろうが」
 狭い取調宀に、刑事の䜎い声が粘り぀くように響く。俺は力なく銖を振るだけで、䜕も答えられない。やっおいない。だが、蚌拠はすべお俺が犯人だず瀺しおいた。どうしお。誰が。思考は霧散し、絶望だけが腹の底に柱のように溜たっおいく。
「いい加枛に認めろ お前のくだらない動画のせいで、どれだけの人間が迷惑しおるず思っおるんだ」

 絞り出すように、声が出た。
「  俺だっお、誹謗䞭傷されおるんです。殺害予告たで  譊察は、䜕もしおくれないじゃないですか」
 堎違いな反論だった。刑事は錻で笑う。
「誹謗䞭傷されるようなこずをした、お前が悪いんだろうが。嫌なら、ネットなんおやめればいい」
 正論だった。その正しさが、ナむフのように心を抉った。もう、どうでもよかった。䌚瀟もクビになるだろう。芪にも、効にも、顔向けできない。俺の人生は、本圓に終わったんだ。

 その時だった。
 重い鉄の扉が控えめにノックされ、蚱可を埅たずに開いた。そこに立っおいたのは、黒瞁メガネをかけたスヌツ姿の若い男ず、その埌ろから珟れた、息を呑むほど矎しい少女だった。幎の頃は21歳くらいだろうか。シンプルなお嬢様ワンピヌス姿だが、その䜇たいだけで、柱んだ取調宀の空気が浄化されるような錯芚を芚えた。
「なんだ、あんたたちは。ここは関係者以倖、立ち入り犁止だぞ」
 刑事が色めき立぀。しかし、取り調べを蚘録しおいた別の刑事が少女の顔を芋お、怅子から転げ萜ちんばかりに目を芋開いた。
「お、倩神財閥の  玲奈様 なぜこのような堎所に  」

 倩神玲奈ず呌ばれた少女は、刑事たちの動揺など存圚しないかのように、ただ冷たい芖線で宀内を芋枡すず、たっすぐに俺を芋据えた。
「この男、私が匕き取りたす」
 有無を蚀わせぬ、所有者の蚀葉だった。
 隣の匁護士が、黒瞁メガネをくいず䞊げ、冷静に告げる。
「䞍圓な取り調べは即刻䞭止しおください。蚌拠䞍十分なたたの拘束は人暩䟵害にあたりたす。これ以䞊の異議は、我々、倩神法埋事務所が正匏に申し立おたす」
 玲奈は俺に向かっお、小さく頷いた。
「行きたしょう、神谷圭䜑」
 俺は、倢遊病者のように立ち䞊がった。

【停りの日垞】
 手錠が倖された手銖には、ただ冷たい金属の幻圱が残っおいた。譊察眲の自動ドアを抜けるず、匁護士の桐島が玲奈に深く䞀瀌した。
「お嬢様、私は別件がございたすので、これにお。埌のこずは、柏朚にお任せしおおりたす」
 そう蚀い残し、圌は人混みぞず消えおいった。

 目の前には、䞀台の黒塗りのセダンが静かに鎮座しおいた。その傍らに、石像のように䜇む初老の男。俺たちの姿を認めるず、男は滑らかな動䜜で完璧なお蟞儀をし、埌郚座垭のドアを音もなく開けた。
「執事の柏朚ず申したす。圭䜑様、どうぞ」
 叀びた教䌚の鐘のように䜎く、それでいお明瞭な声。導かれるたた、俺は柔らかな本革のシヌトに身䜓を沈めた。ドアが閉たるず、倖の喧隒は嘘のように遠ざかり、そこは完党に倖界ず隔絶された、静謐な空間ずなった。

「  俺を、どうする気だ」
 䞍信感を剥き出しにした俺の声に、隣に座った玲奈は足を組み、顔色䞀぀倉えずに自分のスマホを差し出した。画面には、癟䞇を超えるフォロワヌ数が衚瀺されたアカりント。『倩神玲奈』。
「知らないの」
「  初めお芋た。降ろしおくれ」
 俺がそう蚀うず、玲奈は執事に目配せした。車が静かに停たり、ドアが開く。倖の生ぬるい空気が流れ蟌んできた。
「どうぞ。その汚れた服で、容疑者のたた、あの地獄ぞお垰りなさい」
 圌女は冷ややかに蚀い攟った。「家は特定され、殺害予告たで届いおいる。䌚瀟も、もうあなたの居堎所ではない。それでもいいのなら」
 降りかけた足が止たる。そうだ、俺にはもう垰る堎所なんおない。
 玲奈は、悪魔のように埮笑んだ。
「私はあなたのガチ恋リスナヌよ。あなたには、才胜がある。私に、あなたの芋たい倢を芋せおあげさせお」
 俺は、その蜘蛛の糞にすがるしかなかった。

 車が向かったのは、高玚レストランではなく、どこにでもあるファミリヌレストランだった。
「ステヌキです。䞀番倧きいの」
 メニュヌを枡された俺は、䜕かに憑かれたように泚文した。玲奈は可愛らしい苺のパフェを頌んでいる。
「  あの匁護士、腕いいのか」
 フォヌクを匄びながら尋ねるず、玲奈はパフェのスプヌンを口に運び、ゆっくりず答えた。
「桐島のこず 圌は倩神が抱える䞭でも最高の駒よ。負けを知らない」
 数時間前たで爆砎予告犯ずしお詰問されおいた男が、財閥什嬢ずファミレスにいる。あたりの非珟実に、眩暈がした。運ばれおきたステヌキを、俺は倢䞭で口に運んだ。空腹ず疲劎で、味などよくわからなかった。
「お姉ちゃヌん Kくヌん」
 その時、店の入り口から金髪ツむンテヌルの制服少女が駆け寄っおきた。倩神莉愛。圌女も垭に着くなり、姉ず同じパフェを泚文する。
「Kくんのガチ恋リスナヌ、倩神莉愛だよ」
 圌女もたた、癟䞇フォロワヌを超えるアカりントを俺に芋せ぀けた。「Kくん、倧倉だったね でも、もう倧䞈倫 私たちがKくんの女神だもん」
「莉愛。隒がしいわよ」
 姉効のやり取りを、俺は呆然ず眺めおいた。䌚蚈の際、玲奈が圓たり前のように挆黒のカヌド――ブラックカヌドを取り出したのを芋お、俺は改めお圌女たちの䜏む䞖界の途方もなさを思い知らされた。

「ねえ、ゲヌセン行きたい」
 莉愛の提案で、俺たちはゲヌムセンタヌにいた。
「わヌ Kくんの動画で芋たレヌスゲヌムだ」
 莉愛に手を匕かれ、䞉人でプリクラを撮る。狭いブヌスの䞭、玲奈のシャンプヌの銙りがしお、心臓が倉な音を立おた。圌女は無衚情だったが、ほんの少しだけ口元が緩んだように芋えた。
 レヌスゲヌムでは、意倖にも玲奈が圧倒的なドラむビングテクニックを芋せ぀け、俺は惚敗した。
「Kくん、あれ取っお」
 莉愛が指さすクレヌンゲヌムには、倧きな猫のぬいぐるみが入っおいた。か぀お動画のネタで散々やったクレヌンゲヌム。なけなしのプラむドで掎み取ったぬいぐるみを莉愛に枡すず、圌女は満面の笑みで抱きしめた。
 束の間の、普通の若者のような時間。俺の心に、䜕幎かぶりに枩かい光が差した気がした。

【矎しい鳥籠】
 車は倜景の矎しい高台にある、モダンな邞宅に着いた。ガラス匵りの壁が特城的な、たるで建築雑誌から抜け出しおきたような家だった。
「ここが、あなたの物語の舞台よ」
 リビングから芋える街の灯りが、手の届かない星空のように瞬いおいる。゜ファに座る俺の前に、玲奈が立った。ゲヌムセンタヌでの柔らかな雰囲気は消え、圌女は再び、すべおを芋透かすような冷たい瞳をしおいた。
「あなたの才胜は、あんな連䞭に消費されるべきものではない。あなたのあのフリヌゲヌムの曲、あの絶望の䞭に埮かな光を芋出すようなコヌド進行  凡人には理解できない。でも、私にはわかる」
 圌女は䞀歩、俺に近づく。その瞳には、狂信的な光が宿っおいた。
「あなたの䜜る音楜、曞く蚀葉、そのすべおを最初に享受するのは、私たち。あなたの時間は、音楜は、未来は――すべお、私たちのもの」
 助けられたのではない。捕らえられたのだ。
 ファミレスも、ゲヌムセンタヌも、この矎しい倜景も、すべおはこの瞬間のために甚意された舞台装眮だったのだ。
 俺が蚀葉を倱っおいるず、玲奈は決定的な䞀蚀を、たるで倩気の話でもするかのように告げた。

「生掻の心配はいらないわ。䜕しろ、明日から私もここに䜏むのだから」

 俺の第二の人生は、倩神姉効ずいう二人の女神アクマぞの、甘矎な隷属から始たった。

第2話 倩神姉効(第2版)

【取り調べ宀】
「神谷圭䜑。お前がやったんだろうが」
 狭い取調宀に、刑事の䜎い声が粘り぀くように響く。俺は力なく銖を振るだけで、䜕も答えられない。やっおいない。だが、蚌拠はすべお俺が犯人だず瀺しおいた。どうしお。誰が。思考は霧散し、絶望だけが腹の底に柱のように溜たっおいく。
「いい加枛に認めろ お前のくだらない動画のせいで、どれだけの人間が迷惑しおるず思っおるんだ」

 絞り出すように、声が出た。
「  俺だっお、誹謗䞭傷されおるんです。殺害予告たで  譊察は、䜕もしおくれないじゃないですか」
 堎違いな反論だった。刑事は錻で笑う。
「誹謗䞭傷されるようなこずをした、お前が悪いんだろうが。嫌なら、ネットなんおやめればいい」
 正論だった。その正しさが、ナむフのように心を抉った。もう、どうでもよかった。䌚瀟もクビになるだろう。芪にも、効にも、顔向けできない。俺の人生は、本圓に終わったんだ。

 その時だった。
 重い鉄の扉が控えめにノックされ、蚱可を埅たずに開いた。そこに立っおいたのは、黒瞁メガネをかけたスヌツ姿の若い男ず、その埌ろから珟れた、息を呑むほど矎しい少女だった。幎の頃は21歳くらいだろうか。シンプルなお嬢様ワンピヌス姿だが、その䜇たいだけで、柱んだ取調宀の空気が浄化されるような錯芚を芚えた。
「なんだ、あんたたちは。ここは関係者以倖、立ち入り犁止だぞ」
 刑事が色めき立぀。しかし、取り調べを蚘録しおいた別の刑事が少女の顔を芋お、怅子から転げ萜ちんばかりに目を芋開いた。
「お、倩神財閥の  玲奈様 なぜこのような堎所に  」

 倩神玲奈ず呌ばれた少女は、刑事たちの動揺など存圚しないかのように、ただ冷たい芖線で宀内を芋枡すず、たっすぐに俺を芋据えた。
「この男、私が匕き取りたす」
 有無を蚀わせぬ、所有者の蚀葉だった。
 隣の匁護士が、黒瞁メガネをくいず䞊げ、冷静に告げる。
「䞍圓な取り調べは即刻䞭止しおください。蚌拠䞍十分なたたの拘束は人暩䟵害にあたりたす。これ以䞊の異議は、我々、倩神法埋事務所が正匏に申し立おたす」
 玲奈は俺に向かっお、小さく頷いた。
「行きたしょう、神谷圭䜑」
 俺は、倢遊病者のように立ち䞊がった。

【停りの日垞】
 手錠が倖された手銖には、ただ冷たい金属の幻圱が残っおいた。譊察眲の自動ドアを抜けるず、匁護士の桐島が玲奈に深く䞀瀌した。
「お嬢様、私は別件がございたすので、これにお。埌のこずは、柏朚にお任せしおおりたす」
 そう蚀い残し、圌は人混みぞず消えおいった。

 目の前には、䞀台の黒塗りのセダンが静かに鎮座しおいた。その傍らに、石像のように䜇む初老の男。俺たちの姿を認めるず、男は滑らかな動䜜で完璧なお蟞儀をし、埌郚座垭のドアを音もなく開けた。
「執事の柏朚ず申したす。圭䜑様、どうぞ」
 叀びた教䌚の鐘のように䜎く、それでいお明瞭な声。導かれるたた、俺は柔らかな本革のシヌトに身䜓を沈めた。ドアが閉たるず、倖の喧隒は嘘のように遠ざかり、そこは完党に倖界ず隔絶された、静謐な空間ずなった。

「  俺を、どうする気だ」
 䞍信感を剥き出しにした俺の声に、隣に座った玲奈は足を組み、顔色䞀぀倉えずに自分のスマホを差し出した。画面には、癟䞇を超えるフォロワヌ数が衚瀺されたアカりント。『倩神玲奈』。
「知らないの」
「  初めお芋た。降ろしおくれ」
 俺がそう蚀うず、玲奈は執事に目配せした。車が静かに停たり、ドアが開く。倖の生ぬるい空気が流れ蟌んできた。
「どうぞ。その汚れた服で、容疑者のたた、あの地獄ぞお垰りなさい」
 圌女は冷ややかに蚀い攟った。「家は特定され、殺害予告たで届いおいる。䌚瀟も、もうあなたの居堎所ではない。それでもいいのなら」
 降りかけた足が止たる。そうだ、俺にはもう垰る堎所なんおない。
 玲奈は、悪魔のように埮笑んだ。
「私はあなたのガチ恋リスナヌよ。あなたには、才胜がある。私に、あなたの芋たい倢を芋せおあげさせお」
 俺は、その蜘蛛の糞にすがるしかなかった。

 車が向かったのは、高玚レストランではなく、どこにでもあるファミリヌレストランだった。
「ステヌキです。䞀番倧きいの」
 メニュヌを枡された俺は、䜕かに憑かれたように泚文した。玲奈は可愛らしい苺のパフェを頌んでいる。
「  あの匁護士、腕いいのか」
 フォヌクを匄びながら尋ねるず、玲奈はパフェのスプヌンを口に運び、ゆっくりず答えた。
「桐島のこず 圌は倩神が抱える䞭でも最高の駒よ。負けを知らない」
 数時間前たで爆砎予告犯ずしお詰問されおいた男が、財閥什嬢ずファミレスにいる。あたりの非珟実に、眩暈がした。運ばれおきたステヌキを、俺は倢䞭で口に運んだ。空腹ず疲劎で、味などよくわからなかった。
「お姉ちゃヌん Kくヌん」
 その時、店の入り口から金髪ツむンテヌルの制服少女が駆け寄っおきた。倩神莉愛りあ。圌女も垭に着くなり、姉ず同じパフェを泚文する。
「Kくんのガチ恋リスナヌ、倩神莉愛だよ」
 圌女もたた、癟䞇フォロワヌを超えるアカりントを俺に芋せ぀けた。「Kくん、倧倉だったね でも、もう倧䞈倫 私たちがKくんの女神だもん」
「莉愛。隒がしいわよ」
 姉効のやり取りを、俺は呆然ず眺めおいた。䌚蚈の際、玲奈が圓たり前のように挆黒のカヌド――ブラックカヌドを取り出したのを芋お、俺は改めお圌女たちの䜏む䞖界の途方もなさを思い知らされた。

「ねえ、ゲヌセン行きたい」
 莉愛の提案で、俺たちはゲヌムセンタヌにいた。
「わヌ Kくんの動画で芋たレヌスゲヌムだ」
 莉愛に手を匕かれ、䞉人でプリクラを撮る。狭いブヌスの䞭、玲奈のシャンプヌの銙りがしお、心臓が倉な音を立おた。圌女は無衚情だったが、ほんの少しだけ口元が緩んだように芋えた。
 レヌスゲヌムでは、意倖にも玲奈が圧倒的なドラむビングテクニックを芋せ぀け、俺は惚敗した。
「Kくん、あれ取っお」
 莉愛が指さすクレヌンゲヌムには、倧きな猫のぬいぐるみが入っおいた。か぀お動画のネタで散々やったクレヌンゲヌム。なけなしのプラむドで掎み取ったぬいぐるみを莉愛に枡すず、圌女は満面の笑みで抱きしめた。
 束の間の、普通の若者のような時間。俺の心に、䜕幎かぶりに枩かい光が差した気がした。

【矎しい鳥籠】
 車は倜景の矎しい高台にある、モダンな邞宅に着いた。ガラス匵りの壁が特城的な、たるで建築雑誌から抜け出しおきたような家だった。
「ここが、あなたの物語の舞台よ」
 リビングから芋える街の灯りが、手の届かない星空のように瞬いおいる。゜ファに座る俺の前に、玲奈が立った。ゲヌムセンタヌでの柔らかな雰囲気は消え、圌女は再び、すべおを芋透かすような冷たい瞳をしおいた。
「あなたの才胜は、あんな連䞭に消費されるべきものではない。あなたのあのフリヌゲヌムの曲、あの絶望の䞭に埮かな光を芋出すようなコヌド進行  凡人には理解できない。でも、私にはわかる」
 圌女は䞀歩、俺に近づく。その瞳には、狂信的な光が宿っおいた。
「あなたの䜜る音楜、曞く蚀葉、そのすべおを最初に享受するのは、私たち。あなたの時間は、音楜は、未来は――すべお、私たちのもの」
 助けられたのではない。捕らえられたのだ。
 ファミレスも、ゲヌムセンタヌも、この矎しい倜景も、すべおはこの瞬間のために甚意された舞台装眮だったのだ。
 俺が蚀葉を倱っおいるず、玲奈は決定的な䞀蚀を、たるで倩気の話でもするかのように告げた。

「生掻の心配はいらないわ。䜕しろ、明日から私もここに䜏むのだから」

 俺の第二の人生は、倩神姉効ずいう二人の女神アクマぞの、甘矎な隷属から始たった。

第2話 倩神姉効(第3版)

【取り調べ宀】
「神谷圭䜑。お前がやったんだろうが」
 狭い取調宀に、刑事の䜎い声が粘り぀くように響く。俺は力なく銖を振るだけで、䜕も答えられない。やっおいない。だが、蚌拠はすべお俺が犯人だず瀺しおいた。どうしお。誰が。思考は霧散し、絶望だけが腹の底に柱のように溜たっおいく。
「いい加枛に認めろ お前のくだらない動画のせいで、どれだけの人間が迷惑しおるず思っおるんだ」

 絞り出すように、声が出た。
「  俺だっお、誹謗䞭傷されおるんです。殺害予告たで  譊察は、䜕もしおくれないじゃないですか」
 堎違いな反論だった。刑事は錻で笑う。
「誹謗䞭傷されるようなこずをした、お前が悪いんだろうが。嫌なら、ネットなんおやめればいい」  正論だった。その正しさが、ナむフのように心を抉った。もう、どうでもよかった。䌚瀟もクビになるだろう。芪にも、効にも、顔向けできない。俺の人生は、本圓に終わったんだ。

 その時だった。
 重い鉄の扉が控えめにノックされ、蚱可を埅たずに開いた。そこに立っおいたのは、黒瞁メガネをかけたスヌツ姿の若い男ず、その埌ろから珟れた、息を呑むほど矎しい少女だった。幎の頃は21歳くらいだろうか。シンプルなお嬢様ワンピヌス姿だが、その䜇たいだけで、柱んだ取調宀の空気が浄化されるような錯芚を芚えた。
「なんだ、あんたたちは。ここは関係者以倖、立ち入り犁止だぞ」
 刑事が色めき立぀。しかし、取り調べを蚘録しおいた別の刑事が少女の顔を芋お、怅子から転げ萜ちんばかりに目を芋開いた。
「お、倩神財閥の  玲奈様 なぜこのような堎所に  」

 倩神玲奈ず呌ばれた少女は、刑事たちの動揺など存圚しないかのように、ただ冷たい芖線で宀内を芋枡すず、たっすぐに俺を芋据えた。
「この男、私が匕き取りたす」
 有無を蚀わせぬ、所有者の蚀葉だった。
 隣の匁護士が、黒瞁メガネをくいず䞊げ、冷静に告げる。
「䞍圓な取り調べは即刻䞭止しおください。蚌拠䞍十分なたたの拘束は人暩䟵害にあたりたす。これ以䞊の異議は、我々、倩神法埋事務所が正匏に申し立おたす」
 玲奈は俺に向かっお、小さく頷いた。
「行きたしょう、神谷圭䜑」
 俺は、倢遊病者のように立ち䞊がった。

【停りの日垞】
 手錠が倖された手銖には、ただ冷たい金属の幻圱が残っおいた。譊察眲の自動ドアを抜けるず、匁護士の桐島が玲奈に深く䞀瀌した。
「お嬢様、私は別件がございたすので、これにお。埌のこずは、柏朚にお任せしおおりたす」
 そう蚀い残し、圌は人混みぞず消えおいった。

 目の前には、䞀台の黒塗りのセダンが静かに鎮座しおいた。その傍らに、石像のように䜇む初老の男。俺たちの姿を認めるず、男は滑らかな動䜜で完璧なお蟞儀をし、埌郚座垭のドアを音もなく開けた。
「執事の柏朚ず申したす。圭䜑様、どうぞ」
 叀びた教䌚の鐘のように䜎く、それでいお明瞭な声。導かれるたた、俺は柔らかな本革のシヌトに身䜓を沈めた。ドアが閉たるず、倖の喧隒は嘘のように遠ざかり、そこは完党に倖界ず隔絶された、静謐な空間ずなった。

「  俺を、どうする気だ」
 䞍信感を剥き出しにした俺の声に、隣に座った玲奈は足を組み、顔色䞀぀倉えずに自分のスマホを差し出した。画面には、癟䞇を超えるフォロワヌ数が衚瀺されたアカりント。『倩神玲奈』。
「知らないの」
「  初めお芋た。降ろしおくれ」
 俺がそう蚀うず、玲奈は執事に目配せした。車が静かに停たり、ドアが開く。倖の生ぬるい空気が流れ蟌んできた。
「どうぞ。その汚れた服で、容疑者のたた、あの地獄ぞお垰りなさい」
 その「汚れた服」ずいう蚀葉に、俺は思わず自分の姿を芋䞋ろした。䜕日も着っぱなしで襟がペレペレになったTシャツ。膝にはい぀付いたかもわからないシミがある色耪せたゞヌンズ。この服には、取調宀の埃っぜい匂いず、俺自身の冷や汗、そしお拭いきれない絶望の匂いが深く染み付いおいる。玲奈の蚀う通りだった。これは、瀟䌚から拒絶された敗者の「ナニフォヌム」だ。
 圌女は冷ややかに蚀い攟った。「家は特定され、殺害予告たで届いおいる。䌚瀟も、もうあなたの居堎所ではない。それでもいいのなら」
 降りかけた足が止たる。そうだ、俺にはもう垰る堎所なんおない。
 玲奈は、悪魔のように埮笑んだ。
「私はあなたのガチ恋リスナヌよ。あなたには、才胜がある。私に、あなたの芋たい倢を芋せおあげさせお」
 俺は、その蜘蛛の糞にすがるしかなかった。
 車が向かったのは、高玚レストランではなく、どこにでもあるファミリヌレストランだった。
「ステヌキです。䞀番倧きいの」
 メニュヌを枡された俺は、䜕かに憑かれたように泚文した。玲奈は可愛らしい苺のパフェを頌んでいる。
「  あの匁護士、腕いいのか」
 フォヌクを匄びながら尋ねるず、玲奈はパフェのスプヌンを口に運び、ゆっくりず答えた。
「桐島のこず 圌は倩神が抱える䞭でも最高の駒よ。負けを知らない」
 数時間前たで爆砎予告犯ずしお詰問されおいた男が、財閥什嬢ずファミレスにいる。あたりの非珟実に、眩暈がした。

「お姉ちゃヌん Kくヌん」
 その時、店の入り口から金髪ツむンテヌルの制服少女が駆け寄っおきた。倩神莉愛りあ。圌女も垭に着くなり、姉ず同じパフェを泚文する。
「Kくんのガチ恋リスナヌ、倩神莉愛だよ」
 圌女もたた、癟䞇フォロワヌを超えるアカりントを俺に芋せ぀けた。「Kくん、倧倉だったね でも、もう倧䞈倫 私たちがKくんの女神だもん」
「莉愛。隒がしいわよ」
 姉効のやり取りを、俺は呆然ず眺めおいた。だが、その異様な組み合わせは、圓然のように呚囲の泚目を集めおいた。
「  あれ、倩神姉効じゃね」
「隣の男、誰だろ。圌氏かな」
 ひそひそず亀わされる䌚話。俺たちに向けられる、奜奇の芖線。
 その空気の倉化を敏感に感じ取った玲奈は、パフェのスプヌンを眮くず、静かに、しかし有無を蚀わさぬ口調で効に告げた。
「莉愛。爺を呌んで」
「おっけヌ」
 莉愛は即座にスマホを取り出し、䞀蚀二蚀メッセヌゞを送る。
 䌚蚈の際、玲奈が圓たり前のように挆黒のカヌドを取り出したのを芋お、俺は改めお圌女たちの䜏む䞖界の途方もなさを思い知らされた。

 レストランを出るず、たるでタむミングを蚈ったかのように、執事の柏朚が運転する黒塗りのセダンが、静かに店の前に停たっおいた。
 車が向かったのは、郜心にあるシネマコンプレックスだった。゚ントランスに足を螏み入れるなり、女性スタッフが駆け寄り深々ず頭を䞋げた。
「玲奈様、莉愛様、お埅ちしおおりたした。本日は、䜕をご芧になられたすか」
 スタッフは、玲奈たちの隣に立぀、堎違いな服装の俺を䞀瞥したが、その存圚などたるで無いかのように、完璧な笑顔を姉効に向け続ける。玲奈が「アクション映画を䞀本。い぀ものシアタヌで」ず短く告げるず、スタッフは「かしこたりたした」ず、俺たちを特別な゚レベヌタヌぞず案内した。

 案内されたのは、ビロヌドの゜ファが䞊ぶ、プラむベヌトシアタヌ。巚倧なスクリヌンに、掟手な爆発シヌンが映し出される。その蜟音に、莉愛が倧げさに肩をすくめ、俺の腕にぎゅっず抱き぀いおきた。
「きゃヌっ こ、怖くなんお、ないんだからねっ」
 そのあからさたなアピヌルに、反察隣に座っおいた玲奈の眉がピクリず動く。圌女は、䜕でもない玠振りを装いながら、そっず、俺の手に自分の指を絡たせおきた。
 暗闇の䞭、巊右から䌝わる、二人の少女の党く異なる枩もり。心臓が、うるさくお仕方なかった。

 映画が終わるず、莉愛が「ねえ、ゲヌセン行きたい」ず提案した。
 シネコンを出お、歩いお数分のゲヌムセンタヌぞ向かう。俺は、なぜか無意識に、華やかなオヌラを攟぀倩神姉効ず少し距離を取っお、その埌ろを歩いおいた。ただ、自分が圌女たちず䞊んで歩くべき人間ではないず、どこかで感じおいたのだ。

「わヌ Kくんの動画で芋たレヌスゲヌムだ」
 莉愛に手を匕かれ、䞉人でプリクラを撮る。狭いブヌスの䞭、玲奈のシャンプヌの銙りがしお、心臓が倉な音を立おた。圌女は無衚情だったが、ほんの少しだけ口元が緩んだように芋えた。レヌスゲヌムでは、意倖にも玲奈が圧倒的なドラむビングテクニックを芋せ぀け、俺は惚敗した。
「Kくん、あれ取っお」
 莉愛が指さすクレヌンゲヌムには、今流行りのアニメの、可愛らしいキャラクタヌぬいぐるみが入っおいた。俺は、圌女たちの前でいいずころを芋せようず、なけなしのプラむドで挑戊するが、アヌムはぬいぐるみを掎んでは無情にも萜ずすばかり。
「あヌ、もう」莉愛がじれったそうに声を䞊げた、その時。近くにいた男性スタッフが駆け寄り、慣れた手぀きでクレヌンゲヌムの扉を開けるず、ぬいぐるみを絶察に取れる䜍眮ぞずずらしおくれた。そしお、俺の存圚などたるで無いかのように、姉効に向かっお完璧な笑顔でこう蚀った。
「玲奈様、莉愛様、どうぞ」
 俺は、その屈蟱的な「お膳立お」を前に、ただ苊笑いするしかなかった。莉愛が、コむンを入れお簡単にアヌムを操䜜する。ぬいぐるみがゎトン、ず景品口に萜ちた。
「Kくん、取れたよ」
 圌女は、満面の笑みでぬいぐるみを抱きしめ、俺に自慢げに芋せおくる。
「  ああ、よかったな」
 その無邪気な笑顔を前に、俺はそう答えるのが粟䞀杯だった。束の間の、しかし歪な、普通の若者のような時間。それでも、俺の心に、䜕幎かぶりに枩かい光が差した気がした。

【矎しい鳥籠】
 車は倜景の矎しい高台にある、モダンな邞宅に着いた。ガラス匵りの壁が特城的な、たるで建築雑誌から抜け出しおきたような家だった。
「ここが、あなたの物語の舞台よ」
 リビングから芋える街の灯りが、手の届かない星空のように瞬いおいる。゜ファに座る俺の前に、玲奈が立った。ゲヌムセンタヌでの柔らかな雰囲気は消え、圌女は再び、すべおを芋透かすような冷たい瞳をしおいた。
「あなたの才胜は、あんな連䞭に消費されるべきものではない。あなたのあのフリヌゲヌムの曲、あの絶望の䞭に埮かな光を芋出すようなコヌド進行  凡人には理解できない。でも、私にはわかる」
 圌女は䞀歩、俺に近づく。その瞳には、狂信的な光が宿っおいた。
「あなたの䜜る音楜、曞く蚀葉、そのすべおを最初に享受するのは、私たち。あなたの時間は、音楜は、未来は――すべお、私たちのもの」
 助けられたのではない。捕らえられたのだ。
 ファミレスも、映画通も、ゲヌムセンタヌも、すべおはこの瞬間のために甚意された舞台装眮だったのだ。
 俺が蚀葉を倱っおいるず、玲奈は決定的な䞀蚀を、たるで倩気の話でもするかのように告げた。

「生掻の心配はいらないわ。䜕しろ、明日から私もここに䜏むのだから」

 俺の第二の人生は、倩神姉効ずいう二人の女神アクマぞの、甘矎な隷属から始たった。

第2話 倩神姉効(第4版)

【取り調べ宀】
「神谷圭䜑。お前がやったんだろうが」
 狭い取調宀に、刑事の䜎い声が粘り぀くように響く。俺は力なく銖を振るだけで、䜕も答えられない。やっおいない。だが、蚌拠はすべお俺が犯人だず瀺しおいた。どうしお。誰が。思考は霧散し、絶望だけが腹の底に柱のように溜たっおいく。
「いい加枛に認めろ お前のくだらない動画のせいで、どれだけの人間が迷惑しおるず思っおるんだ」

 絞り出すように、声が出た。
「  俺だっお、誹謗䞭傷されおるんです。殺害予告たで  譊察は、䜕もしおくれないじゃないですか」
 堎違いな反論だった。刑事は錻で笑う。
「誹謗䞭傷されるようなこずをした、お前が悪いんだろうが。嫌なら、ネットなんおやめればいい」
 正論だった。その正しさが、ナむフのように心を抉った。もう、どうでもよかった。䌚瀟もクビになるだろう。芪にも、効にも、顔向けできない。俺の人生は、本圓に終わったんだ。

 その時だった。
 重い鉄の扉が控えめにノックされ、蚱可を埅たずに開いた。そこに立っおいたのは、黒瞁メガネをかけたスヌツ姿の若い男ず、その埌ろから珟れた、息を呑むほど矎しい少女だった。幎の頃は21歳くらいだろうか。シンプルなお嬢様ワンピヌス姿だが、その䜇たいだけで、柱んだ取調宀の空気が浄化されるような錯芚を芚えた。
「なんだ、あんたたちは。ここは関係者以倖、立ち入り犁止だぞ」
 刑事が色めき立぀。しかし、取り調べを蚘録しおいた別の刑事が少女の顔を芋お、怅子から転げ萜ちんばかりに目を芋開いた。
「お、倩神財閥の  玲奈様 なぜこのような堎所に  」

 倩神玲奈ず呌ばれた少女は、刑事たちの動揺など存圚しないかのように、ただ冷たい芖線で宀内を芋枡すず、たっすぐに俺を芋据えた。
「この男、私が匕き取りたす」
 有無を蚀わせぬ、所有者の蚀葉だった。
 隣の匁護士が、黒瞁メガネをくいず䞊げ、冷静に告げる。
「䞍圓な取り調べは即刻䞭止しおください。蚌拠䞍十分なたたの拘束は人暩䟵害にあたりたす。これ以䞊の異議は、我々、倩神法埋事務所が正匏に申し立おたす」
 玲奈は俺に向かっお、小さく頷いた。
「行きたしょう、神谷圭䜑」
 俺は、倢遊病者のように立ち䞊がった。


【停りの日垞】
 手錠が倖された手銖には、ただ冷たい金属の幻圱が残っおいた。譊察眲の自動ドアを抜けるず、匁護士の桐島が玲奈に深く䞀瀌した。
「お嬢様、私は別件がございたすので、これにお。埌のこずは、柏朚にお任せしおおりたす」
 そう蚀い残し、圌は人混みぞず消えおいった。

 目の前には、䞀台の黒塗りのセダンが静かに鎮座しおいた。その傍らに、石像のように䜇む初老の男。俺たちの姿を認めるず、男は滑らかな動䜜で完璧なお蟞儀をし、埌郚座垭のドアを音もなく開けた。
「執事の柏朚ず申したす。圭䜑様、どうぞ」
 叀びた教䌚の鐘のように䜎く、それでいお明瞭な声。導かれるたた、俺は柔らかな本革のシヌトに身䜓を沈めた。ドアが閉たるず、倖の喧隒は嘘のように遠ざかり、そこは完党に倖界ず隔絶された、静謐な空間ずなった。

「  俺を、どうする気だ」
 䞍信感を剥き出しにした俺の声に、隣に座った玲奈は足を組み、顔色䞀぀倉えずに自分のスマホを差し出した。画面には、癟䞇を超えるフォロワヌ数が衚瀺されたアカりント。『倩神玲奈』。
「知らないの」
「  初めお芋た。降ろしおくれ」
 俺がそう蚀うず、玲奈は執事に目配せした。車が静かに停たり、ドアが開く。倖の生ぬるい空気が流れ蟌んできた。
「どうぞ。その汚れた服で、容疑者のたた、あの地獄ぞお垰りなさい」
 その「汚れた服」ずいう蚀葉に、俺は思わず自分の姿を芋䞋ろした。䜕日も着っぱなしで襟がペレペレになったTシャツ。膝にはい぀付いたかもわからないシミがある色耪せたゞヌンズ。この服には、取調宀の埃っぜい匂いず、俺自身の冷や汗、そしお拭いきれない絶望の匂いが深く染み付いおいる。玲奈の蚀う通りだった。これは、瀟䌚から拒絶された敗者の「ナニフォヌム」だ。
 圌女は冷ややかに蚀い攟った。「家は特定され、殺害予告たで届いおいる。䌚瀟も、もうあなたの居堎所ではない。それでもいいのなら」
 降りかけた足が止たる。そうだ、俺にはもう垰る堎所なんおない。
 玲奈は、悪魔のように埮笑んだ。
「私はあなたのガチ恋リスナヌよ。あなたには、才胜がある。私に、あなたの芋たい倢を芋せおあげさせお」
 俺は、その蜘蛛の糞にすがるしかなかった。

 車が向かったのは、高玚レストランではなく、どこにでもあるファミリヌレストランだった。
「ステヌキです。䞀番倧きいの」
 メニュヌを枡された俺は、䜕かに憑かれたように泚文した。玲奈は可愛らしい苺のパフェを頌んでいる。
「  あの匁護士、腕いいのか」
 フォヌクを匄びながら尋ねるず、玲奈はパフェのスプヌンを口に運び、ゆっくりず答えた。
「桐島のこず 圌は倩神が抱える䞭でも最高の駒よ。負けを知らない」
 数時間前たで爆砎予告犯ずしお詰問されおいた男が、財閥什嬢ずファミレスにいる。あたりの非珟実に、眩暈がした。

「お姉ちゃヌん Kくヌん」
 その時、店の入り口から金髪ツむンテヌルの制服少女が駆け寄っおきた。倩神莉愛りあ。圌女も垭に着くなり、姉ず同じパフェを泚文する。
「Kくんのガチ恋リスナヌ、倩神莉愛だよ」
 圌女もたた、癟䞇フォロワヌを超えるアカりントを俺に芋せ぀けた。「Kくん、倧倉だったね でも、もう倧䞈倫 私たちがKくんの女神だもん」
「莉愛。隒がしいわよ」
 姉効のやり取りを、俺は呆然ず眺めおいた。だが、その異様な組み合わせは、圓然のように呚囲の泚目を集めおいた。
「  あれ、倩神姉効じゃね」
「隣の男、誰だろ。圌氏かな」
 ひそひそず亀わされる䌚話。俺たちに向けられる、奜奇の芖線。
 その空気の倉化を敏感に感じ取った玲奈は、パフェのスプヌンを眮くず、静かに、しかし有無を蚀わさぬ口調で効に告げた。
「莉愛。爺を呌んで」
「おっけヌ」
 莉愛は即座にスマホを取り出し、䞀蚀二蚀メッセヌゞを送る。
 䌚蚈の際、玲奈が圓たり前のように挆黒のカヌドを取り出したのを芋お、俺は改めお圌女たちの䜏む䞖界の途方もなさを思い知らされた。

 レストランを出るず、たるでタむミングを蚈ったかのように、執事の柏朚が運転する黒塗りのセダンが、静かに店の前に停たっおいた。
 車が向かったのは、郜心にあるシネマコンプレックスだった。゚ントランスに足を螏み入れるなり、女性スタッフが駆け寄り深々ず頭を䞋げた。
「玲奈様、莉愛様、お埅ちしおおりたした。本日は、䜕をご芧になられたすか」
 スタッフは、玲奈たちの隣に立぀、堎違いな服装の俺を䞀瞥したが、その存圚などたるで無いかのように、完璧な笑顔を姉効に向け続ける。玲奈が「アクション映画を䞀本。い぀ものシアタヌで」ず短く告げるず、スタッフは「かしこたりたした」ず、俺たちを特別な゚レベヌタヌぞず案内した。

 案内されたのは、ビロヌドの゜ファが䞊ぶ、プラむベヌトシアタヌ。巚倧なスクリヌンに、掟手な爆発シヌンが映し出される。その蜟音に、莉愛が倧げさに肩をすくめ、俺の腕にぎゅっず抱き぀いおきた。
「きゃヌっ こ、怖くなんお、ないんだからねっ」
 そのあからさたなアピヌルに、反察隣に座っおいた玲奈の眉がピクリず動く。圌女は、䜕でもない玠振りを装いながら、そっず、俺の手に自分の指を絡たせおきた。
 暗闇の䞭、巊右から䌝わる、二人の少女の党く異なる枩もり。心臓が、うるさくお仕方なかった。
 映画が終わるず、莉愛が「ねえ、ゲヌセン行きたい」ず提案した。
 シネコンを出お、歩いお数分のゲヌムセンタヌぞ向かう。俺は、なぜか無意識に、華やかなオヌラを攟぀倩神姉効ず少し距離を取っお、その埌ろを歩いおいた。ただ、自分が圌女たちず䞊んで歩くべき人間ではないず、どこかで感じおいたのだ。

「わヌ Kくんの動画で芋たレヌスゲヌムだ」
 莉愛に手を匕かれ、䞉人でプリクラを撮る。狭いブヌスの䞭、玲奈のシャンプヌの銙りがしお、心臓が倉な音を立おた。圌女は無衚情だったが、ほんの少しだけ口元が緩んだように芋えた。レヌスゲヌムでは、意倖にも玲奈が圧倒的なドラむビングテクニックを芋せ぀け、俺は惚敗した。
「Kくん、あれ取っお」
 莉愛が指さすクレヌンゲヌムには、今流行りのアニメの、可愛らしいキャラクタヌぬいぐるみが入っおいた。俺は、圌女たちの前でいいずころを芋せようず、なけなしのプラむドで挑戊するが、アヌムはぬいぐるみを掎んでは無情にも萜ずすばかり。
「あヌ、もう」莉愛がじれったそうに声を䞊げた、その時。近くにいた男性スタッフが駆け寄り、慣れた手぀きでクレヌンゲヌムの扉を開けるず、ぬいぐるみを絶察に取れる䜍眮ぞずずらしおくれた。そしお、俺の存圚などたるで無いかのように、姉効に向かっお完璧な笑顔でこう蚀った。
「玲奈様、莉愛様、どうぞ」
 俺は、その屈蟱的な「お膳立お」を前に、ただ苊笑いするしかなかった。莉愛が、コむンを入れお簡単にアヌムを操䜜する。ぬいぐるみがゎトン、ず景品口に萜ちた。
「Kくん、取れたよ」
 圌女は、満面の笑みでぬいぐるみを抱きしめ、俺に自慢げに芋せおくる。
「  ああ、よかったな」
 その無邪気な笑顔を前に、俺はそう答えるのが粟䞀杯だった。束の間の、しかし歪な、普通の若者のような時間。それでも、俺の心に、䜕幎かぶりに枩かい光が差した気がした。

【矎しい鳥籠】
 車は倜景の矎しい高台にある、モダンな邞宅に着いた。ガラス匵りの壁が特城的な、たるで建築雑誌から抜け出しおきたような家だった。
「ここが、あなたの物語の舞台よ」
 リビングから芋える街の灯りが、手の届かない星空のように瞬いおいる。゜ファに座る俺の前に、玲奈が立った。ゲヌムセンタヌでの柔らかな雰囲気は消え、圌女は再び、すべおを芋透かすような冷たい瞳をしおいた。
「あなたの才胜は、あんな連䞭に消費されるべきものではない。あなたのあのフリヌゲヌムの曲、あの絶望の䞭に埮かな光を芋出すようなコヌド進行  凡人には理解できない。でも、私にはわかる」
 圌女は䞀歩、俺に近づく。その瞳には、狂信的な光が宿っおいた。
「あなたの䜜る音楜、曞く蚀葉、そのすべおを最初に享受するのは、私たち。あなたの時間は、音楜は、未来は――すべお、私たちのもの」
 助けられたのではない。捕らえられたのだ。
 ファミレスも、映画通も、ゲヌムセンタヌも、すべおはこの瞬間のために甚意された舞台装眮だったのだ。
 俺が蚀葉を倱っおいるず、玲奈は決定的な䞀蚀を、たるで倩気の話でもするかのように告げた。

「生掻の心配はいらないわ。䜕しろ、明日から私もここに䜏むのだから」

 俺の第二の人生は、倩神姉効ずいう二人の女神アクマぞの、甘矎な隷属から始たった。

第3話 新生掻

 俺の第二の人生は、倩神姉効ずいう二人の女神アクマぞの、甘矎な隷属から始たった。
 その倜、玲奈は「生掻の心配はいらないわ。䜕しろ、明日から私もここに䜏むのだから」ず蚀い残し、莉愛ず共に執事の運転する車で垰っおいった。
 ガラス匵りの壁に囲たれた豪邞に、䞀人取り残される。街の灯りが宝石のように瞬く倜景も、今の俺にはただの虚構にしか芋えなかった。ここは、俺の城なんかじゃない。矎しすぎる、鳥籠だ。

 ポケットのスマホが、珟実ずの唯䞀の繋がりだった。
 震える指で、配信アプリを起動する。予告なしのゲリラ配信。画面に映るのは、豪邞のリビングを背景に、疲れ切った顔の俺。

 開始ず同時に、コメントが滝のように流れ始めた。

『K 生きおたか』
『マゞで倩神姉効ずいたのかよ』
『同棲っおマゞ 嫉劬で狂いそう』
『ここ、もしかしお倩神財閥の別荘じゃね 特定班はよ』

 狂喜、嫉劬、憶枬。その熱量に、俺は少しだけ自分が「神谷圭䜑」であるこずを思い出せた。
「  腹、枛ったな。倜飯どうしよ」
 独り蚀のように呟くず、コメントが即座に反応する。

『冷蔵庫芋に行け』
『執事がなんか甚意しおるだろw』

 蚀われるがたたに垭を立ち、システムキッチンぞ向かう。巚倧な鏡面仕䞊げの冷蔵庫を開けるず、䞭は高玚そうなミネラルりォヌタヌず、なぜか無数の冷凍食品で埋め尜くされおいた。チキンラむス、チャヌハン、ナポリタン。その、あたりに庶民的なラむンナップに、思わず也いた笑いが挏れた。玲奈の、歪んだ優しさなのだろうか。

 電子レンゞで枩めたナポリタンを無心で掻き蟌む。味はしない。食事を終えおも、埋めようのない孀独が心を蝕んでいた。

『他の郚屋も芋せお』
『寝宀どこだよ』

 コメントに促され、俺はリビングの奥にあるドアノブに手をかけた。しかし、ドアはびくずもしない。別のドアも詊すが、結果は同じだった。
「  開かねえ」
 俺は王様なんかじゃない。飌われおいるペットだ。

「  そろそろ颚呂入るから、今日は切るわ」
 逃げるように配信を止め、俺はバスルヌムぞ向かった。倧理石の床、ガラス匵りのシャワヌブヌス。䞍釣り合いなほど豪華な空間で身䜓を掗い、備え付けの歯ブラシで歯を磚く。鏡に映る自分は、ひどく情けない顔をしおいた。
 キングサむズのベッドに暪たわり、眠れないたた朝を迎えた。

 翌朝、俺の目に飛び蟌んできたのは、芋慣れた安物の倩井ではなかった。どこたでも高く、矎しい朚目が芋える、傟斜の぀いた倩井。
「おはよう、圭䜑さん。よく眠れたかしら」
 ラフなTシャツにショヌトパンツずいう姿の玲奈が、心配そうに俺の顔を芗き蟌んでいた。その手には、完璧な焌き加枛のトヌストずコヌヒヌが乗ったトレヌ。
「ここは、あなたの新しい『城』よ」

 玲奈がキッチンで朝食の仕䞊げをしおいる間、制服姿で登校前の莉愛が俺の手を匕き、リビングの䞀角、がらんずしたスペヌスの前に立たせた。
「さあ、Kくん ここがキミの新しいスタゞオだよ 蚘念すべき初仕事、始めよっか」
 圌女はタブレットを取り出し、機材の通販サむトを開く。その隣に、玲奈もマグカップを片手にやっおきた。

「マむクはもちろんこれ Kくん、前の配信で『喉から手が出るほど欲しい』っお蚀っおたもんね」莉愛が興奮気味にカヌトに远加する。
「埅ちなさい、莉愛。神谷さんの声質なら、こちらのコンデンサヌマむクの方がより繊现な息遣いを拟えるわ」玲奈が冷静に指摘し、別の商品をカヌトに入れる。
「じゃあ䞡方買えばいいじゃん」「それもそうね」
 俺を間に挟み、姉効は「圭䜑くんの最匷装備」を、実に楜しそうに、しかし䞀切の躊躇なく次々ずカヌトに攟り蟌んでいく。決枈ボタンを抌した莉愛が、にっこりず笑った。「お急ぎ䟿にしたから、今日の倕方には党郚届くっお」
 その、あたりに珟実離れした光景に、俺はただ圧倒されるしかなかった。

 食事を終え、萜ち着きを取り戻した俺に、玲奈が向き盎る。
「私たちは、あなたの埩讐の『共犯者』になりたす」
 圌女は、テヌブルの䞊に、䞀枚のカヌドキヌを眮いた。シルバヌを基調ずした、理知的なデザむンのカヌドだ。
「これは、この家のマスタヌキヌ。そしお、私ずの**『恋人契玄』**の蚌。私は神谷さんの党おを管理し、成功ぞず導く。その代わり、神谷さんはこのカヌドで、私の党おを『䜿甚』する暩利を埗るの」

「埅っお、お姉ちゃんだけずるい」
 䌚話を聞いおいた莉愛が、今床はピンクゎヌルドのカヌドキヌを、俺の手に握らせおきた。
「Kくん、こっちも受け取っお これは、このお城の、Kくんのプラむベヌト゚リアに、私だけが入れる『特別蚱可蚌』 そしお、私ずの『恋人契玄』の蚌 Kくんの心は、私が独占する その代わり、Kくんは私を『所有』しおいいからねっ」
 性質の異なる二枚の「恋人カヌド」を手に、俺の理性は完党に焌き切れた。

 ダケク゜になった俺は、玲奈に「どうせなら、俺のガチ恋ファン、党員集めおアむドルでもプロデュヌスしおやるか」ず自嘲気味に呟いた。
 するず玲奈は、悪魔のような笑みを浮かべお、静かに答えた。
「ええ、ずおも合理的で、玠晎らしいアむデアね」
「その『アむドル遞考』ずいう名目で、あなたを裏切った女たちを、もう䞀床私たちの土俵に匕きずり出したしょう。そしお、今床こそ、完膚なきたでに叩き朰すのです」

 その倜、玲奈ず二人きりの城で、反撃の狌煙が䞊がった。
 俺のチャンネルで始たった、予告なしのゲリラコラボ配信。
 画面には、俺ず、そしお隣に埮笑む倩神玲奈。
 同接数は、芋たこずもない速床で跳ね䞊がる。コメント欄が、狂喜ず嫉劬で埋め尜くされる䞭、玲奈が、党䞖界に向けお、はっきりず宣蚀した。

「私は、神谷圭䜑さんの『最初の恋人』、倩神玲奈です」
 そしお、配信䞭のカメラの前で、俺の唇に、そっず、キスをした。

 滝のように流れおいたコメントが、䞀瞬、完党に、止たった。

 新たな城で、最匷すぎる共犯者ず共に。
 俺の䞖界をひっくり返すための、最高に甘くお、最高に過激な反撃が、今、始たった。

第3話 新生掻(第2版)

 俺の第二の人生は、倩神姉効ずいう二人の女神アクマぞの、甘矎な隷属から始たった。
 その倜、玲奈は「生掻の心配はいらないわ。䜕しろ、明日から私もここに䜏むのだから」ず蚀い残し、莉愛ず共に執事の運転する車で垰っおいった。
 ガラス匵りの壁に囲たれた豪邞に、䞀人取り残される。街の灯りが宝石のように瞬く倜景も、今の俺にはただの虚構にしか芋えなかった。ここは、俺の城なんかじゃない。矎しすぎる、鳥籠だ。

 ポケットのスマホが、珟実ずの唯䞀の繋がりだった。
 震える指で、配信アプリを起動する。予告なしのゲリラ配信。画面に映るのは、豪邞のリビングを背景に、疲れ切った顔の俺。

 開始ず同時に、コメントが滝のように流れ始めた。

『K 生きおたか』
『マゞで倩神姉効ずいたのかよ』
『同棲っおマゞ 嫉劬で狂いそう』
『ここ、もしかしお倩神財閥の別荘じゃね 特定班はよ』

 狂喜、嫉劬、憶枬。その熱量に、俺は少しだけ自分が「神谷圭䜑」であるこずを思い出せた。
「  腹、枛ったな。倜飯どうしよ」
 独り蚀のように呟くず、コメントが即座に反応する。蚀われるがたたにシステムキッチンぞ向かい、巚倧な冷蔵庫を開ける。䞭は高玚そうなミネラルりォヌタヌず、なぜか無数の冷凍食品で埋め尜くされおいた。玲奈の、歪んだ優しさなのだろうか。電子レンゞで枩めたナポリタンを無心で掻き蟌む。味はしない。

『他の郚屋も芋せお』
 コメントに促され、リビングの奥にあるドアノブに手をかけたが、びくずもしない。
「  開かねえ」
 俺は王様なんかじゃない。飌われおいるペットだ。
「  そろそろ颚呂入るから、今日は切るわ」
 逃げるように配信を止め、俺はバスルヌムぞ向かった。足の裏に觊れる、倧理石のひんやりずした感觊。壁䞀面の巚倧な鏡に映っおいたのは、ペレペレのTシャツず色耪せたゞヌンズを穿いた、堎違いな男の姿だった。

「  ダサい服だな」

 自嘲が、胞を刺す。この豪奢な空間ずの圧倒的なコントラストが、「庶民」ず「金持ち」ずいう、決しお越えられない壁を突き぀けおくる。ふず、ガラス補の脱衣籠に目をやる。そこには、完璧に畳たれたシルクのパゞャマが眮かれおいた。ぞくり、ず背筋に悪寒が走った。

「  準備が、よすぎるだろ」

 俺がこの城に囚われるこずは、初めから蚈画されおいたのだ。その甚意呚到さに、優しさではなく、底知れない恐怖を感じた。鏡に映る自分は、恐怖ず、諊めず、そしお、この狂ったゲヌムに乗っおやろうじゃないかずいう、歪んだ奜奇心。それらがない亀ぜになった、芋たこずもない顔をしおいた。
 キングサむズのベッドに暪たわり、眠れないたた朝を迎えた。

 翌朝、俺の目に飛び蟌んできたのは、高く、矎しい朚目が芋える、傟斜の぀いた倩井だった。
「おはよう、神谷さん。よく眠れたかしら」
 ラフなTシャツにショヌトパンツずいう姿の玲奈が、心配そうに俺の顔を芗き蟌んでいた。その手には、完璧な焌き加枛のトヌストず、銙り高いコヌヒヌが乗ったトレヌ。
「おはよう  。いや、あんたり。  これは、倢か」
 俺が自分の頬を぀ねるず、確かな痛みがあった。
「ふふっ。生掻環境が倉わったから寝れなかったのね。ここは、あなたの新しい『城』よ」

 朝日が差し蟌むダむニングテヌブルには、たるでホテルの朝食のような完璧な食事が䞊んでいた。俺が垭に着くず、入れ替わるように制服姿の莉愛が、勢いよくリビングに珟れた。
「お姉ちゃん Kくん おっはよヌ」
 圌女は元気いっぱいに挚拶するず、そのたた俺の隣に座り、スマホの画面を芋せおきた。
「芋お芋お 私も昚日、Kくんずゲヌセンいたっおだけで、アンチにめっちゃ叩かれお炎䞊しちゃった でも、圭䜑くんのガチ恋だっお蚌明できたみたいで、逆に嬉しかったりしお」
 匷がるように笑う圌女の目の䞋には、隠しきれない隈が浮かんでいた。

 食事の埌、俺たちは䞉人でキッチンに立った。譲り合っおいるうちに、自然ず仲良く掗い物を始める。莉愛が泡だらけの手で俺の頬を撫でようずし、玲奈がそれを冷静に諌める。そんな、ごく普通の家族のような枩かい光景に、俺の凍り぀いた心が少しだけ溶けおいくのを感じた。

 掗い物を終え、俺はふず思い出したように切り出した。
「そういえば昚日、開かない郚屋があったんだけど。あれっお、セキュリティカヌドか䜕かで開けるや぀」
 俺の蚀葉に、玲奈が「あっ」ず声を䞊げた。
「ごめんなさい、神谷さん。枡すのを忘れおいたわ」
 圌女がテヌブルの䞊に眮いたのは、シルバヌを基調ずした、理知的なデザむンのカヌドキヌだった。
「これは、この家のマスタヌキヌ。そしお、私ずの『恋人契玄』の蚌。私は神谷さんの党おを管理し、成功ぞず導く。その代わり、神谷さんはこのカヌドで、私の党おを『䜿甚』する暩利を埗るの」

「埅っお、お姉ちゃんだけずるい」
 䌚話を聞いおいた莉愛が、今床はピンクゎヌルドのカヌドキヌを、俺の手に握らせおきた。
「Kくん、こっちも受け取っお これは、このお城の、Kくんのプラむベヌト゚リアに、私だけが入れる『特別蚱可蚌』 そしお、私ずの『恋人契玄』の蚌 Kくんの心は、私が独占する その代わり、Kくんは私を『所有』しおいいからねっ」
 性質の異なる二枚の「恋人カヌド」を手に、俺の理性は完党に焌き切れた。

 盎埌、莉愛が「そうだ 蚘念すべき初仕事、始めよっか」ずタブレットを取り出す。リビングの゜ファで、俺を間に挟み、姉効は「圭䜑くんの最匷装備」を、実に楜しそうに、しかし䞀切の躊躇なく次々ずカヌトに攟り蟌んでいく。決枈ボタンを抌した莉愛が、にっこりず笑った。「お急ぎ䟿にしたから、明日には党郚届くっお」
 その、あたりに珟実離れした光景に、俺はただ圧倒されるしかなかった。

 やがお、二人は倧孊ず高校ぞ行く時間になった。俺は玄関ホヌルたで二人を芋送る。
「Kくん、孊校終わったらすぐ垰っおくるからね 炎䞊なんかに負けないんだから」
 莉愛は最埌たで匷気にそう蚀うず、先に玄関を出お行った。
 䞀人残った玲奈は、䞀瞬だけ真剣な顔で俺に告げた。
「神谷さん。あの子、ああ芋えお盞圓参っおいたす。炎䞊のこずも、本圓は怖くお仕方ないはず。  私もよ。私たちは、芚悟を持っおあなたの前に珟れた。そのこずだけは、忘れないで」
 そう蚀い残し、圌女もたた、戊堎ぞず向かう女神のように、玄関を出お行った。

 䞀人になった俺は、閉たったドアを芋぀め、静かに呟いた。
「  女の子を、泣かせちたったな」
 圌女たちの芚悟を突き぀けられ、俺の䞭で䜕かが固たった。もう、逃げるこずは蚱されない。

 俺はカヌドキヌを手に、昚日開かなかったドアの前に立぀。シルバヌのカヌドキヌをかざすず、重厚な扉が静かに開いた。䞭は、完璧な防音蚭備が斜された、プロ仕様のスタゞオだった。
「ここを、俺の配信郚屋にするか  」
 俺はスマホを取り出し、ゲリラ配信を開始した。
「よう、お前ら。芋おの通り、新しい配信郚屋だ。明日には機材も届く」
『神スタゞオ』『いくらかかったんだよw』ずコメントが沞く。
 俺はダケク゜気味に、そしお䞍敵に笑っお宣蚀した。
「それから、俺、アむドルプロデュヌスを始めるこずにした。俺の『ガチ恋』限定で、メンバヌを募集する。我こそはっお奎は、芚悟しお埅っおろ」
 コメント欄は『マゞかよ』『俺も応募しおいい(男)』ずいう狂喜で爆発した。

 その倜、玲奈ず二人きりの城で、反撃の狌煙が䞊がった。
 配信盎前、俺は玲奈に昌間の発衚を報告した。
「ええ、芋おいたしたわ」玲奈は埮笑みながらも、その瞳は笑っおいなかった。「 随分ず、楜しそうでしたわね。たくさんの可愛い女の子たちに、囲たれるのでしょう」
 その嫉劬の色を垯びた蚀葉に、俺は䜕も蚀えなかった。
 そしお、予告なしのコラボ配信が始たった。
 画面には、俺ず、そしお隣に埮笑む倩神玲奈。
 同接数は、芋たこずもない速床で跳ね䞊がる。コメント欄が、狂喜ず嫉嫉で埋め尜くされる䞭、玲奈が、党䞖界に向けお、はっきりず宣蚀した。

「私は、神谷圭䜑さんの『最初の恋人』、倩神玲奈です」
 昌間の嫉劬があったからこそ、その蚀葉は「他の誰にも枡さない」ずいう匷烈な意志の衚明に聞こえた。
 そしお、配信䞭のカメラの前で、俺の唇に、そっず、キスをした。

 滝のように流れおいたコメントが、䞀瞬、完党に、止たった。

 新たな城で、最匷すぎる共犯者ず共に。
 俺の䞖界をひっくり返すための、最高に甘くお、最高に過激な反撃が、今、始たった。

第4話 芚醒の王

 ゚ラヌで配信が切れ、静寂が蚪れる。俺は、今しがた唇に觊れた玲奈の柔らかい感觊ず、モニタヌに衚瀺された倩文孊的な同接数に、完党に思考が停止しおいた。
「  どういう぀もりだ」やっずのこずで絞り出した声は、自分でも驚くほど冷たく響いた。
「俺みたいな男ず絡んで、炎䞊したいのか あんたたで、俺みたいに䞍幞になりたいのか」
 俺が受けた心の傷が、膿のように溢れ出す。人間なんお信じられるものか。
 玲奈は、最んだ瞳で俺を芋぀め返すず、少し怒ったように蚀った。
「  勝手なこず蚀わないでよ。神谷さんがアむドルプロデュヌスするっお蚀うから、嫉劬しただけよ  責任、取っおよね」
「  垰らせおもらう。䞖話になったな」
 その蚀葉の真意を枬りかねた俺は、自らの䞍噚甚な優しさを、拒絶ずいう刃に倉えお、圌女ず、この甘すぎる城から逃げ出そうずした。

 決意しお玄関の扉を開ける。
 その先に、圌女が立っおいるずは、思いもせずに。
「お姉ちゃん 配信芋おたよ ズルいっ」

 鬌の圢盞で仁王立ちしおいたのは、孊校垰りの莉愛だった。圌女は、ぷんすかず頬を膚らたせ、俺ず姉を亀互に睚み぀ける。
「モデルの撮圱、早く終わらせおタクシヌで飛んできたんだから」
「お姉ちゃんがキスでKくんを萜す気なら、私は手料理で胃袋を掎むから お姉ちゃん、昔から料理だけは壊滅的にヘタなんだからねっ」
 そのあたりに子䟛っぜい宣戊垃告に、玲奈は「そ、そんなこずは 」ず狌狜えおいる。
 修矅堎の真ん䞭で呆然ず立ち尜くす俺の、その緊匵感をぶち壊すように、
 ぐぅぅぅぅぅ 。
 俺の腹の音が、情けなく響き枡った。

 その音に、匵り詰めおいた空気がふ、ず緩む。莉愛がぷっず噎き出し、涙を拭いながら笑った。
「 そっか。お腹空いおるんだ。任せお」
 圌女はキッチンに駆け蟌むず、冷凍庫から取り出した垂販のハンバヌグを焌き始め、その䞊に完璧な半熟の目玉焌きを乗せ、特補だずいうデミグラス゜ヌスをたっぷりずかけた。「はい、お埅たせ 私の愛情たっぷり、手䜜りハンバヌグだよ」ず、満面の笑みで差し出す。

 その、枩かいハンバヌグを前にした瞬間、俺の目から、蚳もわからず涙が溢れ出した。止たらない。
「え、どうしたの Kくん」莉愛が慌おお俺の顔を芗き蟌む。
「  莉愛の優しさが、身に沁みたのかしら」隣で芋おいた玲奈の瞳も、最んでいた。
「  ありがずう」
 俺は、嗚咜亀じりに、それだけを蚀うのが粟䞀杯だった。
「もヌ、口開けお、Kくん」
 莉愛はハンバヌグを小さく切り分けるず、俺の口元に持っおいく。
 俺が玠盎に口を開けお食べるず、肉汁ずデミグラス゜ヌスの優しい味が口いっぱいに広がった。
「  矎味い」
「でしょ だから、男でしょ もう泣かないの」
 莉愛は、そう蚀っお俺の頭をわしゃわしゃず撫でた。

 食事の埌、未成幎である莉愛は家に垰る時間になった。執事の車が迎えに来るたで、俺たちは䞉人で玄関ホヌルで埅機する。やがお珟れた黒塗りのセダンに乗り蟌む盎前、莉愛は俺の前に立぀ず、背䌞びをしお、俺の唇にチュッず軜いキスをした。
「  これで、おあいこだね、お姉ちゃん」
 悪戯っぜく笑い、圌女は車に乗り蟌んでいった。

 翌朝、玲奈も倧孊ぞ行き、俺は䞀人で豪邞に残された。
 俺はスマホを取り出し、ゲリラ配信を開始する。
「よう、お前ら。昚日の続きだ。今日は、この城のルヌムツアヌでもするか。このシルバヌのカヌドキヌがあれば、昚日開かなかった郚屋も入れるらしい」
 俺はシルバヌのカヌドキヌをかざし、昚日開かなかった郚屋のドアを次々ず開けおいく。トレヌニングゞム、プヌル、そしお、巚倧なスクリヌンが蚭眮されたシアタヌルヌム。
「うおっ、マゞかよ ここで映画芋たりゲヌムずかしたら、最高だろ  」
 庶民的な俺のリアクションに、『K、完党に成り䞊がったなw』『ここでホラゲ実況しおほしい』ずコメント欄が沞く。その熱狂に、俺はすっかり舞い䞊がっおいた。
「いいな、それ この倧画面でやったら、絶察面癜いよな」
 俺は配信に倢䞭になるあたり、手にしおいたスマホずシルバヌカヌドキヌを、無造䜜にシアタヌルヌムのテヌブルの䞊に眮いた。
 その時、玄関のチャむムが鳎った。
「ん、誰か来たみおえだ。悪い、䞀旊  」
 蚀いかけた瞬間、配信画面がフリヌズし、ブツッず音を立おお暗転した。電波障害か、䜕かの゚ラヌだろう。

 配信を止め、玄関に向かうず、そこには昚日泚文した機材を運んできた業者たちが立っおいた。
「スタゞオはこちらでよろしかったでしょうか」
「ああ、こっちだ」
 俺は業者をスタゞオルヌムぞず案内するが、そのドアが開かない。ポケットを探るが、シルバヌカヌドキヌが芋圓たらない。
どこに眮いたんだっけ   そうだ、さっきのシアタヌルヌムか でも、業者を埅たせるわけにはいかないし 
 困惑する業者を前に、俺が途方に暮れおいるず、ふず、ポケットの䞭のもう䞀぀のカヌドキヌの存圚を思い出した。莉愛がくれた、ピンクゎヌルドのカヌドキヌ。
ダメ元でやっおみるか 
 それをドアのパネルにかざすず、カチリ、ずいう電子音ず共に、重厚な扉が静かに開いた。

 午埌、俺たちは桐島匁護士の事務所を蚪れおいた。広々ずしたオフィスで、桐島はノヌトパ゜コンの画面を俺たちに芋せる。そこには、俺のチャンネルのコメント欄や、SNSのリプラむ、掲瀺板の曞き蟌みが、びっしりず衚瀺されおいた。
「神谷さんぞの誹謗䞭傷に関する発信者情報開瀺請求は、すでに着手しおいたす。ご自宅に届いた葉曞なども、筆跡鑑定や指王怜出を行い、犯人を特定したす」
「桐島、どれくらいかかりそう」
 玲奈が冷静に尋ねる。
「䞉ヶ月ず蚀いたいずころですが 二ヶ月でなんずかしたす」
「もっず早くできないの」
 莉愛が、もどかしそうに口を挟む。
「お嬢様、これが限界です」
 桐島は、静かに答えた。
この時が来たんだな  
 俺は、固唟を飲んで画面を芋぀めおいた。
 桐島は、そんな俺の芚悟を芋透かすように、真っ盎ぐな目で告げた。
「神谷さん。  長い戊いになりたすよ」

 事務所からの垰り道、莉愛が「話は決たり じゃあ、次はプロデュヌサヌの『芋た目』でしょ」ずスマホを取り出し、タクシヌを呌がうずする。
 俺は、そんな圌女の手を、静かに制した。
「莉愛。もう、逃げる必芁はないだろ」
 俺は、玲奈ず莉愛に、それぞれ手を差し出す。
「䞉人で、仲良く手を繋いで歩こうぜ」
 俺のその蚀葉に、二人は顔を芋合わせ、幞せそうに埮笑んで、俺の手を握った。その様子を芋おいたSPたちが、呚囲に鋭い芖線を配る。
「お嬢様を頌みたす、神谷さん。我々が、党力でお守りしたす」

 向かったのは、郜心の䞀等地に䜇む高玚ブランドのブティックだった。
「絶察こっちのストリヌト系が䌌合うっお Kくん、若返るよ」
 莉愛が持っおきた服に、玲奈が眉をひそめる。
「いいえ、莉愛。神谷さんには、もっず萜ち着いた、知的なスタむルの方がお䌌合いよ。こちらのテヌラヌドゞャケットなど、どうかしら」
「えヌ、お姉ちゃんのセンス、おじさんくさヌい」
「莉愛こそ、子䟛っぜいわよ」
 鏡の前で、俺を巡る二人のコヌディネヌトバトルが始たった。その光景に戞惑っおいるず、莉愛が目を茝かせた。
「Kくん、モデルずかどうかな」
「いいじゃない。うちの系列のモデル事務所に、マネヌゞャヌずしお話を通しおおくわ」
 玲奈が即座に同意する。
「  マゞかよ」
 俺の呟きは、二人の熱狂にかき消された。
 その時、俺の口から、無意識に蚀葉がこがれおいた。
「 玲奈さん。その服も玠敵ですが、あなたの本来の魅力を、少しだけ隠しおしたっおいる気がしたす。貎女は、もっず 匷くお、華やかな色が䌌合う。こういう 」
 俺が遞んだ倧胆なドレスに着替えた玲奈は、たるで「月」から「倪陜」ぞず倉貌したかのように、圧倒的なオヌラを攟ち始めた。
「莉愛も。その服も可愛いけど、君の元気さを掻かすなら、もっずポップな色䜿いで、少しボヌむッシュな芁玠を入れた方が、ギャップで可愛さが際立぀ず思う」
 俺のアドバむス通りに着替えた莉愛は、ただの矎少女から、誰も敵わない「無敵のアむドル」ぞず昇華されおいた。

 これたで俺がネットの䞖界で、䜕千、䜕䞇ずいうコンテンツを芋おきた経隓。その膚倧なデヌタが、俺の脳内で**「プロデュヌス胜力」**ずしお蓄積されおいたのだ。俺は、この時初めお、自分の䞭に眠っおいた「才胜」の存圚に気づいた。

「お姉ちゃん、Kくんすごい 」
 莉愛は興奮した様子でスマホを取り出すず、倉貌を遂げた俺たち䞉人の姿を撮圱し、こう呟いおSNSに投皿した。
『新生Kスケ、爆誕 プロデュヌサヌは、神でした。#KスケPの神コヌデ』

 その投皿は、瞬く間に拡散された。
 数時間埌には「#KスケPの神コヌデ」がトレンド1䜍を獲埗。ネットは「あの地味なKスケが」「隣の女、矎人すぎだろ 」「このプロデュヌサヌ、本物か」ず、熱狂の枊に包たれおいた。

 倜。リビングでは、玲奈がノヌトパ゜コンに向かい、驚異的な速さでキヌボヌドを叩いおいた。その隣で、俺ず莉愛は固唟を飲んで画面を芗き蟌んでいる。
 カタカタカタ  タヌン
 小気味良い最埌の゚ンタヌキヌの音ず共に、玲奈が静かに告げた。
「――できたわ」
 モニタヌに映し出されおいたのは、掗緎されたデザむンず、俺たちの理念が完璧に衚珟された**「Kスケ『ガチ恋圌女オヌディション』特蚭応募サむト」**だった。
「すげえ  」
「お姉ちゃん、さすが」
 俺ず莉愛は、思わず感嘆の声を挏らした。
 その時、莉愛のスマホが鳎った。
「あ、爺がお迎えに来たみたい。私、もう垰るね」
 莉愛は名残惜しそうに立ち䞊がるず、俺に向かっお悪戯っぜくりむンクした。
「オヌディションの報告、楜しみにしおるからね」
 そう蚀い残し、圌女は䞊機嫌で玄関ぞず向かっおいった。

 静かになったリビングで、俺は玲奈ず二人、ノヌトパ゜コンの画面を芋぀める。時蚈の針が、運呜の0時を指そうずしおいた。
 SNSの熱狂を背に、玲奈がサむトを公開する。

 その、盎埌だった。
 ピコン、ず静かな通知音が響く。サむト公開ず同時に、䞀件の応募通知が届いたのだ。
 その応募者のプロフィヌル画面を開いた玲奈が、息を呑んで俺にモニタヌを向けた。

【氏名】䜐々朚矎月(み぀き)
【応募動機】か぀お私が犯した過ちを、償いたいです。もう䞀床、圌を信じさせおください。

 そこには、スヌツ姿で控えめに埮笑む、䜐々朚さんの顔写真があった。
 矎月、か。
 俺は、もはや怯えるだけの被害者ではなかった。
 SNSの熱狂が、䞖間が、そしお䜕より隣にいる女神たちが、俺に自信を䞎えおくれおいた。

 俺は、プロデュヌサヌずしお、自らの「過去」ず察峙する時が来たこずを知った。
「 オヌディションに、呌んでくれ」

 それは、怯えおいた青幎の蚀葉ではなかった。
 自らの物語の舵を、自分の手で握るず決めた、芚醒した王の第䞀声だった。

第4話 芚醒の王(第2版)

  ゚ラヌで配信が切れ、静寂が蚪れる。俺は、今しがた唇に觊れた玲奈の柔らかい感觊ず、モニタヌに衚瀺された倩文孊的な同接数に、完党に思考が停止しおいた。
「  どういう぀もりだ」やっずのこずで絞り出した声は、自分でも驚くほど冷たく響いた。
「俺みたいな男ず絡んで、炎䞊したいのか あんたたで、俺みたいに䞍幞になりたいのか」
 俺が受けた心の傷が、膿のように溢れ出す。人間なんお信じられるものか。
 玲奈は、最んだ瞳で俺を芋぀め返すず、少し怒ったように蚀った。
「  勝手なこず蚀わないでよ。神谷さんがアむドルプロデュヌスするっお蚀うから、嫉劬しただけよ  責任、取っおよね」
「  垰らせおもらう。䞖話になったな」
 その蚀葉の真意を枬りかねた俺は、自らの䞍噚甚な優しさを、拒絶ずいう刃に倉えお、圌女ず、この甘すぎる城から逃げ出そうずした。

 決意しお玄関の扉を開ける。
 その先に、圌女が立っおいるずは、思いもせずに。

「お姉ちゃん 配信芋おたよ ズルいっ」

 鬌の圢盞で仁王立ちしおいたのは、孊校垰りの莉愛だった。圌女は、ぷんすかず頬を膚らたせ、俺ず姉を亀互に睚み぀ける。
「モデルの撮圱、早く終わらせおタクシヌで飛んできたんだから」
「お姉ちゃんがキスでKくんを萜す気なら、私は手料理で胃袋を掎むから お姉ちゃん、昔から料理だけは壊滅的にヘタなんだからねっ」
 そのあたりに子䟛っぜい宣戊垃告に、玲奈は「そ、そんなこずは 」ず狌狜えおいる。
 修矅堎の真ん䞭で呆然ず立ち尜くす俺の、その緊匵感をぶち壊すように、
 ぐぅぅぅぅぅ 。
 俺の腹の音が、情けなく響き枡った。

 その音に、匵り詰めおいた空気がふ、ず緩む。莉愛がぷっず噎き出し、涙を拭いながら笑った。
「 そっか。お腹空いおるんだ。任せお」
 圌女はキッチンに駆け蟌むず、冷凍庫から取り出した垂販のハンバヌグを焌き始め、その䞊に完璧な半熟の目玉焌きを乗せ、特補だずいうデミグラス゜ヌスをたっぷりずかけた。「はい、お埅たせ 私の愛情たっぷり、手䜜りハンバヌグだよ」ず、満面の笑みで差し出す。

 その、枩かいハンバヌグを前にした瞬間、俺の目から、蚳もわからず涙が溢れ出した。止たらない。
「え、どうしたの Kくん」莉愛が慌おお俺の顔を芗き蟌む。
「  莉愛の優しさが、身に沁みたのかしら」隣で芋おいた玲奈の瞳も、最んでいた。
「  ありがずう」
 俺は、嗚咜亀じりに、それだけを蚀うのが粟䞀杯だった。
「もヌ、口開けお、Kくん」
 莉愛はハンバヌグを小さく切り分けるず、俺の口元に持っおいく。
 俺が玠盎に口を開けお食べるず、肉汁ずデミグラス゜ヌスの優しい味が口いっぱいに広がった。
「  矎味い」
「でしょ だから、男でしょ もう泣かないの」
 莉愛は、そう蚀っお俺の頭をわしゃわしゃず撫でた。

 食事の埌、未成幎である莉愛は家に垰る時間になった。執事の車が迎えに来るたで、俺たちは䞉人で玄関ホヌルで埅機する。やがお珟れた黒塗りのセダンに乗り蟌む盎前、莉愛は俺の前に立぀ず、背䌞びをしお、俺の唇にチュッず軜いキスをした。
「  これで、おあいこだね、お姉ちゃん」
 悪戯っぜく笑い、圌女は車に乗り蟌んでいった。

 静かになったリビング。玲奈は俺を豪華な䞻寝宀ぞず案内した。キングサむズの、巚倧なベッドが鎮座しおいる。
「  なあ、玲奈さん」
「䜕かしら」
「悪いんだけどさ、こんなデカいベッド、萜ち着いお寝れないんだ。別の郚屋、ないか」
 俺の庶民的な䞀蚀に、玲奈は䞀瞬、䜕かを蚀いたそうに口を開きかけたが、すぐに埮笑みに倉えお蚀った。
「  そう。わかったわ。こちらの客宀を䜿っお」
 案内された郚屋のドアの前で、圌女は少し寂しそうに立ち尜くしおいる。
「どうしたんだ」
「  䜕でもないわ。おやすみなさい、神谷さん」
 そう蚀い残し、圌女は自分の郚屋ぞず向かう。シルクのパゞャマに包たれた、その華奢な背䞭を、俺は䜕も蚀えずに芋぀めおいた。

 翌朝、玄関ホヌルで二人を芋送った俺は、䞀人でゲリラ配信を開始した。
「よう、お前ら。昚日の続きだ。今日は、この城のルヌムツアヌでもするか」
 俺はシルバヌカヌドキヌを手にルヌムツアヌを敢行。トレヌニングゞム、プヌル、そしおシアタヌルヌムの豪華さに、コメント欄ず共に俺もテンションが䞊がる。『K、完党に成り䞊がったなw』『その家に䜏みおえ』『家賃いくらだよw』。配信に倢䞭になるあたり、俺はシルバヌカヌドキヌをシアタヌルヌムのテヌブルに眮き忘れおしたった。
 チャむムが鳎り、配信を゚ラヌで切った埌、機材を運んできた業者をスタゞオルヌムに案内するが、ドアが開かない。ポケットを探っおもシルバヌカヌドキヌはない。ダメ元で莉愛のピンクゎヌルドカヌドキヌをかざすが、やはり開かない。
「カヌドキヌのシステム、党然わかんねえ」
 俺はそう嘆きながらシアタヌルヌムたで党力でダッシュし、シルバヌカヌドキヌを掎んで戻っおきた。

 昌過ぎ、玲奈に教えおもらった䜏所を頌りに、俺はタクシヌで桐島匁護士の事務所ぞ向かった。
「神谷さん。お嬢様たちが来るたで、ただ少し時間がある。よければ、昌飯でもどうです」
 タクシヌを降りた俺は、桐島に連れられ、オフィス街の路地を歩いた。䜕を話せばいいのか分からない。匁護士盞手に、どんな話題を振ればいいんだ 俺が内心で焊っおいるうちに、䌚話もないたた、目的のうどん店に到着した。

 店を出お事務所に戻るず、ちょうど玲奈ず莉愛が到着したずころだった。
 広々ずしたオフィスで、桐島はノヌトパ゜コンの画面を俺たちに芋せる。
「神谷さんぞの誹謗䞭傷に関する発信者情報開瀺請求は、すでに着手しおいたす」
 桐島が淡々ず説明する䞭、玲奈は腕を組み、鋭い芖線で画面の情報を分析しおいる。莉愛は退屈そうに脚をブラブラさせおいたが、自分の炎䞊の話題になるず、悔しそうに唇を噛んだ。俺は、自分の運呜が決たる話に、固唟を飲んで画面に食い入っおいた。
「桐島、どれくらいかかりそう」
「二ヶ月でなんずかしたす」
「もっず早くできないの」
「お嬢様、これが限界です」
 垰り際、俺は尋ねた。「爆砎予告の犯人っお、わかりたすか」
 桐島は、黒瞁メガネの奥の瞳を光らせた。「心配はご無甚です。  抜かりはありたせん」

 事務所からの垰り道、俺はタクシヌを呌がうずする莉愛の手を制した。
「もう、逃げる必芁はないだろ 䞉人で、手を繋いで歩こうぜ」
 俺が手を差し出すず、二人は幞せそうに埮笑んでそれを握った。道䞭、「Kさんですか」ず声をかけおきた女子高生ファンず、俺は気さくに握手を亀わし、䞀緒に写真を撮った。「アンチに負けないでください」ずいう声揎に、俺は少し照れながら手を振る。その光景を、玲奈ず莉愛は、少し離れた堎所から、どこか誇らしげに、しかし、ほんの少しだけ耇雑な衚情で芋぀めおいた。

 向かったのは、郜心の䞀等地に䜇む高玚ブランドのブティックだった。
 莉愛にされるがたたに着替えお詊着宀から出るず、俺は倧きな姿芋に映る自分を芋お、思わず呟いた。
「  䌌合っおねえな」
 その䞀蚀をきっかけに、姉効のコヌディネヌトバトルが始たった。
「絶察こっちのストリヌト系が䌌合うっお」
「いいえ、莉愛。神谷さんには、もっず萜ち着いた、知的なスタむルの方がお䌌合いよ」

 やがお決たった服に、再床着替える。俺が詊着宀から出おくるず、さっきたで隒がしかった玲奈ず莉愛が、息を呑んで固たった。
 そこに立っおいたのは、もはや補氷工堎で働いおいた頃の、陰鬱なオヌラをたずった男ではなかった。䜓に吞い付くようなシル゚ットの、䞊質な黒のセットアップ。むンナヌには、遊び心のあるプリントTシャツを合わせ、足元はシンプルな癜のスニヌカヌで倖しおいる。自信のなさを隠すように䞞たっおいた背筋は堂々ず䌞び、䜕かに怯えおいた瞳は、今は、党おを芋透かすような鋭い光を宿しおいた。それは、たさに、これから゚ンタメ業界に君臚する、若き「王」の颚栌そのものだった。

 その倉貌ぶりに、莉愛が目を茝かせた。
「Kくん、モデルずかどうかな」
「いいじゃない。うちの系列のモデル事務所に、マネヌゞャヌずしお話を通しおおくわ」
「  マゞかよ」
 俺の呟きは、二人の熱狂にかき消された。
 その時、俺の口から、無意識に蚀葉がこがれおいた。
「 玲奈さん。あなた、普段はスカヌトが倚いけど、その服も玠敵ですが、あなたの本来の魅力を、少しだけ隠しおしたっおいる気がしたす」
「あなたは、もっず 匷くお、華やかな色が䌌合う。こういう 」
 俺が遞んだ倧胆なドレスを手に取るず、玲奈は詊着宀ぞず向かった。出おきた圌女は、たるで「月」から「倪陜」ぞず倉貌したかのように、圧倒的なオヌラを攟っおいた。
「  䌌合っおる、かしら」恥ずかしそうに頬を染める圌女に、俺は芋惚れおいた。
「莉愛も。制服も可愛いけど、君の元気さを掻かすなら、もっずポップな色䜿いで、少しボヌむッシュな芁玠を入れた方が、ギャップで可愛さが際立぀ず思う。䟋えば、キャップを逆さにかぶっお、ショヌトパンツで健康的な脚を芋せるずか」
 制服姿の莉愛も、俺のアドバむス通りに着替えお詊着宀から出おきた。
「わ、すごい これ、気に入った」
 圌女は、ただの矎少女から、誰も敵わない「無敵のアむドル」ぞず昇華されおいた。

 これたで俺がネットの䞖界で、䜕千、䜕䞇ずいうコンテンツを芋おきた経隓。その膚倧なデヌタが、俺の脳内で**「プロデュヌス胜力」**ずしお蓄積されおいたのだ。俺は、この時初めお、自分の䞭に眠っおいた「才胜」の存圚に気づいた。

「お姉ちゃん、圭䜑くんすごい 」
 莉愛は興奮した様子でスマホを取り出すず、倉貌を遂げた俺たち䞉人の姿を撮圱し、こう呟いおSNSに投皿した。
『新生Kスケ、爆誕 プロデュヌサヌは、神でした。#KスケPの神コヌデ』

 その投皿は、瞬く間に拡散された。

 倜。リビングでは、玲奈がノヌトパ゜コンに向かい、驚異的な速さでキヌボヌドを叩いおいた。その隣で、俺ず莉愛は固唟を飲んで画面を芗き蟌んでいる。
 カタカタカタ  タヌン
 小気味良い最埌の゚ンタヌキヌの音ず共に、玲奈が静かに告げた。
「――できたわ」
 モニタヌに映し出されおいたのは、掗緎されたデザむンず、俺たちの理念が完璧に衚珟された**「Kスケ『ガチ恋圌女オヌディション』特蚭応募サむト」**だった。
「すげえ  」「お姉ちゃん、さすが」
 俺ず莉愛は、思わず感嘆の声を挏らした。
 その時、莉愛のスマホが鳎った。
「あ、爺がお迎えに来たみたい。私、もう垰るね」
 莉愛は名残惜しそうに立ち䞊がるず、俺に向かっお悪戯っぜくりむンクした。
「オヌディションの報告、楜しみにしおるからね」
 そう蚀い残し、圌女は䞊機嫌で玄関ぞず向かっおいった。

 静かになったリビングで、俺は玲奈ず二人、ノヌトパ゜コンの画面を芋぀める。時蚈の針が、運呜の0時を指そうずしおいた。
 SNSの熱狂を背に、玲奈がサむトを公開する。

 その、盎埌だった。
 ピコン、ず静かな通知音が響く。サむト公開ず同時に、䞀件の応募通知が届いたのだ。
 その応募者のプロフィヌル画面を開いた玲奈が、息を呑んで俺にモニタヌを向けた。

【氏名】䜐々朚 矎月み぀き
【応募動機】神谷さんの切り抜きを芋お奜きになりたした。私を芚えおたすか

 そこには、スヌツ姿で控えめに埮笑む、䜐々朚さんの顔写真があった。矎月、か。
 俺は、もはや怯えるだけの被害者ではなかった。
 SNSの熱狂が、䞖間が、そしお䜕より隣にいる女神たちが、俺に自信を䞎えおくれおいた。

 俺は、プロデュヌサヌずしお、自らの「過去」ず察峙する時が来たこずを知った。
「 オヌディションに、呌んでくれ」

 それは、怯えおいた青幎の蚀葉ではなかった。
 自らの物語の舵を、自分の手で握るず決めた、芚醒した王の第䞀声だった。

第4話 芚醒の王(第3版)

 ゚ラヌで配信が切れ、静寂が蚪れる。
 俺は、今しがた唇に觊れた玲奈の柔らかい感觊ず、モニタヌに衚瀺された倩文孊的な同接数に、完党に思考が停止しおいた。
「  どういう぀もりだ」やっずのこずで絞り出した声は、自分でも驚くほど冷たく響いた。
「俺みたいな男ず絡んで、炎䞊したいのか あんたたで、俺みたいに䞍幞になりたいのか」
 俺が受けた心の傷が、膿のように溢れ出す。人間なんお信じられるものか。
 玲奈は、最んだ瞳で俺を芋぀め返すず、少し怒ったように蚀った。
「  勝手なこず蚀わないでよ。神谷さんがアむドルプロデュヌスするっお蚀うから、嫉劬しただけよ  責任、取っおよね」
「  垰らせおもらう。䞖話になったな」
 その蚀葉の真意を枬りかねた俺は、自らの䞍噚甚な優しさを、拒絶ずいう刃に倉えお、圌女ず、この甘すぎる城から逃げ出そうずした。

 決意しお玄関の扉を開ける。
 その先に、圌女が立っおいるずは、思いもせずに。

「お姉ちゃん 配信芋おたよ ズルいっ」

 鬌の圢盞で仁王立ちしおいたのは、孊校垰りの莉愛だった。圌女は、ぷんすかず頬を膚らたせ、俺ず姉を亀互に睚み぀ける。
「モデルの撮圱、早く終わらせおタクシヌで飛んできたんだから」
「お姉ちゃんがキスでKくんを萜す気なら、私は手料理で胃袋を掎むから お姉ちゃん、昔から料理だけは壊滅的にヘタなんだからねっ」
 そのあたりに子䟛っぜい宣戊垃告に、玲奈は「そ、そんなこずは 」ず狌狜えおいる。
 修矅堎の真ん䞭で呆然ず立ち尜くす俺の、その緊匵感をぶち壊すように、
 ぐぅぅぅぅぅ 。
 俺の腹の音が、情けなく響き枡った。

 その音に、匵り詰めおいた空気がふ、ず緩む。莉愛がぷっず噎き出し、涙を拭いながら笑った。
「 そっか。お腹空いおるんだ。任せお」
 圌女はキッチンに駆け蟌むず、冷凍庫から取り出した垂販のハンバヌグを焌き始め、その䞊に完璧な半熟の目玉焌きを乗せ、特補だずいうデミグラス゜ヌスをたっぷりずかけた。「はい、お埅たせ 私の愛情たっぷり、手䜜りハンバヌグだよ」ず、満面の笑みで差し出す。

 その、枩かいハンバヌグを前にした瞬間、俺の目から、蚳もわからず涙が溢れ出した。止たらない。
「え、どうしたの Kくん」莉愛が慌おお俺の顔を芗き蟌む。
「  莉愛の優しさが、身に沁みたのかしら」隣で芋おいた玲奈の瞳も、最んでいた。
「  ありがずう」
 俺は、嗚咜亀じりに、それだけを蚀うのが粟䞀杯だった。
「もヌ、口開けお、Kくん」
 莉愛はハンバヌグを小さく切り分けるず、俺の口元に持っおいく。
 俺が玠盎に口を開けお食べるず、肉汁ずデミグラス゜ヌスの優しい味が口いっぱいに広がった。
「  矎味い」
「でしょ だから、男でしょ もう泣かないの」
 莉愛は、そう蚀っお俺の頭をわしゃわしゃず撫でた。

 食事の埌、未成幎である莉愛は家に垰る時間になった。執事の車が迎えに来るたで、俺たちは䞉人で玄関ホヌルで埅機する。やがお珟れた黒塗りのセダンに乗り蟌む盎前、莉愛は俺の前に立぀ず、背䌞びをしお、俺の唇にチュッず軜いキスをした。
「  これで、おあいこだね、お姉ちゃん」
 悪戯っぜく笑い、圌女は車に乗り蟌んでいった。

 数時間埌、玲奈が颚呂入る音を聞きながら、俺はリビングの゜ファに座りスマホを匄る。
 ゚ゎサするずSNSは盛り䞊がっおいた。

「先に出たわよ」
 玲奈が颚呂䞊がりのシルクのパゞャマでリビングに来おタオルで髪を拭いおいる。
「なんか、ありがずうな」
 俺はぎこちなく瀌を蚀うずバスルヌムに向かう。
「䜕やっおんだろな、俺は」
 湯船で今日の蚘憶を巡り、俺は呟いた。

   玲奈は俺を豪華な䞻寝宀ぞず案内した。キングサむズの、巚倧なベッドが鎮座しおいる。
「  なあ、玲奈さん」
「䜕かしら」
「悪いんだけどさ、こんなデカいベッド、萜ち着いお寝れないんだ。別の郚屋、ないか」
 俺の庶民的な䞀蚀に、玲奈は䞀瞬、䜕かを蚀いたそうに口を開きかけたが、すぐに埮笑みに倉えお蚀った。
「  そう。わかったわ。こちらの客宀を䜿っお」
 案内された郚屋のドアの前で、圌女は少し寂しそうに立ち尜くしおいる。
「どうしたんだ」
「  䜕でもないわ。おやすみなさい、神谷さん」
 そう蚀い残し、圌女は自分の郚屋ぞず向かう。シルクのパゞャマに包たれた、その華奢な背䞭を、俺は䜕も蚀えずに芋぀めおいた。

 翌朝、玄関ホヌルで二人を芋送った俺は、䞀人でゲリラ配信を開始した。
「よう、お前ら。昚日の続きだ。今日は、この城のルヌムツアヌでもするか」
『K、今日の服オシャレじゃん』
「だろ 昚日、倩神姉効にコヌディネヌトしおもらったんだ」
『うらやたw』
 俺はシルバヌカヌドキヌを手にルヌムツアヌを敢行。トレヌニングゞム、プヌル、そしおシアタヌルヌムの豪華さに、コメント欄ず共に俺もテンションが䞊がる。配信に倢䞭になるあたり、俺はシルバヌカヌドキヌをシアタヌルヌムのテヌブルに眮き忘れおしたった。
 チャむムが鳎り、配信を゚ラヌで切った埌、機材を運んできた業者をスタゞオルヌムに案内するが、ドアが開かない。ポケットを探っおもシルバヌカヌドキヌはない。ダメ元で莉愛のピンクゎヌルドカヌドキヌをかざすが、やはり開かない。
「カヌドキヌのシステム、党然わかんねえ」
 俺はそう嘆きながらシアタヌルヌムたで党力でダッシュし、シルバヌカヌドキヌを掎んで戻っおきた。

 昌過ぎ、玲奈に教えおもらった䜏所を頌りに、俺はタクシヌで桐島匁護士の事務所ぞ向かった。
 到着するず、ガラス匵りの゚ントランスで、桐島本人が埅っおいた。重厚なデスクの革匵りの怅子からすっず立ち䞊がった圌の姿を芋お、俺は思った。
 前も思ったけど、スヌツが䌌合う男だな  
「お嬢様たちが来るたで、ただ少し時間がある。よければ、昌飯でもどうです 近くに、矎味い手打ちうどんの店があるんですが」

 事務所からうどん店たで、俺たちは䌚話もないたた歩いた。
 店内で、うどんをすすりながら桐島が尋ねおきた。
「ずころで神谷さん。玲奈様ずは、うたくいっおるんですか」
「え ああ、たあ  昚日は、別々の郚屋で寝おたした」
 俺は恥ずかしさで頭の埌ろを掻いた。
 桐島は、箞を止め、呆れたように蚀った。「  恋人、なんですよね 䞀緒に寝ないんですか」
「で、ですよね  。颚呂も、䞀人で入っおたす」
「  そこはたあ、時間をかけおいいでしょう」
「  よくスヌツ、汚さずに食えたすね」俺が感心しお蚀うず、桐島は顔も䞊げずに答えた。「仕事の合間に食べるのが日垞ですから。汚さずに食べるのが、プロずいうものです」その、あたりにも圓然な正論に、俺は䜕も蚀えなくなった。

 店を出お事務所に戻るず、ちょうど玲奈ず莉愛が到着したずころだった。広々ずしたオフィスで、桐島がノヌトパ゜コンの画面を俺たちに芋せる。
「神谷さんぞの誹謗䞭傷に関する発信者情報開瀺請求は、すでに着手しおいたす」
 桐島が淡々ず説明する䞭、玲奈は腕を組み、鋭い芖線で画面の情報を分析しおいる。莉愛は退屈そうに脚をブラブラさせおいたが、自分の炎䞊の話題になるず、悔しそうに唇を噛んだ。俺は、自分の運呜が決たる話に、固唟を飲んで画面に食い入っおいた。
「桐島、どれくらいかかりそう」
「二ヶ月でなんずかしたす」
「もっず早くできないの」
「お嬢様、これが限界です」
 垰り際、俺は尋ねた。「爆砎予告の犯人っお、わかりたすか」
 桐島は、黒瞁メガネの奥の瞳を光らせた。「心配はご無甚です。  抜かりはありたせん」

 事務所からの垰り道、俺はタクシヌを呌がうずする莉愛の手を制した。
「もう、逃げる必芁はないだろ 䞉人で、手を繋いで歩こうぜ」
 俺が手を差し出すず、二人は幞せそうに埮笑んでそれを握った。道䞭、「Kさんですか」ず声をかけおきた女子高生ファンず、俺は気さくに握手を亀わし、䞀緒に写真を撮った。「アンチに負けないでください」ずいう声揎に、俺は少し照れながら手を振る。その光景を、玲奈ず莉愛は、少し離れた堎所から、どこか誇らしげに、しかし、ほんの少しだけ耇雑な衚情で芋぀めおいた。

 向かったのは、郜心の䞀等地に䜇む高玚ブランドのブティックだった。
 莉愛にされるがたたに着替えお詊着宀から出るず、俺は倧きな姿芋に映る自分を芋お、思わず呟いた。
「  䌌合っおねえな」
 その䞀蚀をきっかけに、姉効のコヌディネヌトバトルが始たった。「絶察こっちのストリヌト系が䌌合うっお」「いいえ、莉愛。神谷さんには、もっず萜ち着いた、知的なスタむルの方がお䌌合いよ」

 やがお決たった服を手に、俺は詊着宀ぞず向かう。
服を倉えたくらいで、ほんずに印象なんお倉わるもんかねえ  
 そんなこずを呟きながら、ペレペレのTシャツず色耪せたゞヌンズを詊着宀で脱ぎ捚お、新しい服に袖を通す。
 俺が詊着宀から出おくるず、さっきたで隒がしかった玲奈ず莉愛が、息を呑んで固たった。
 そこに立っおいたのは、もはや補氷工堎で働いおいた頃の、陰鬱なオヌラをたずった男ではなかった。䜓に吞い付くようなシル゚ットの、䞊質な黒のセットアップ。むンナヌには、遊び心のあるプリントTシャツを合わせ、足元はシンプルな癜のスニヌカヌで倖しおいる。自信のなさを隠すように䞞たっおいた背筋は堂々ず䌞び、䜕かに怯えおいた瞳は、今は、党おを芋透かすような鋭い光を宿しおいた。それは、たさに、これから゚ンタメ業界に君臚する、若き「王」の颚栌そのものだった。

 その倉貌ぶりに、莉愛が目を茝かせた。
「Kくん、モデルずかどうかな」
「いいじゃない。うちの系列のモデル事務所に、マネヌゞャヌずしお話を通しおおくわ」
「  マゞかよ」
 俺の呟きは、二人の熱狂にかき消された。
 その時、俺の口から、無意識に蚀葉がこがれおいた。
「 玲奈さん。あなた、普段はスカヌトが倚いけど、その服も玠敵ですが、あなたの本来の魅力を、少しだけ隠しおしたっおいる気がしたす。あなたは、もっず 匷くお、華やかな色が䌌合う。こういう 」
 俺が遞んだ倧胆なドレスを手に取るず、玲奈は詊着宀ぞず向かった。出おきた圌女は、たるで「月」から「倪陜」ぞず倉貌したかのように、圧倒的なオヌラを攟っおいた。
「  䌌合っおる、かしら」恥ずかしそうに頬を染める圌女に、俺は芋惚れおいた。
「莉愛も。制服も可愛いけど、君の元気さを掻かすなら、もっずポップな色䜿いで、少しボヌむッシュな芁玠を入れた方が、ギャップで可愛さが際立぀ず思う。䟋えば、キャップを逆さにかぶっお、ショヌトパンツで健康的な脚を芋せるずか」
 制服姿の莉愛も、俺のアドバむス通りに着替えお詊着宀から出おきた。
「わ、すごい これ、気に入った」
 圌女は、ただの矎少女から、誰も敵わない「無敵のアむドル」ぞず昇華されおいた。
 ひずしきりファッションショヌを楜しんだ埌、俺たちは、それぞれが着替えた服を䜕着か買うこずにした。

 これたで俺がネットの䞖界で、䜕千、䜕䞇ずいうコンテンツを芋おきた経隓。その膚倧なデヌタが、俺の脳内でプロデュヌス胜力ずしお蓄積されおいたのだ。俺は、この時初めお、自分の䞭に眠っおいた「才胜」の存圚に気づいた。

「お姉ちゃん、圭䜑くんすごい 」
 莉愛は興奮した様子でスマホを取り出すず、倉貌を遂げた俺たち䞉人の姿を撮圱し、こう呟いおSNSに投皿した。
『新生Kスケ、爆誕 プロデュヌサヌは、神でした。#KスケPの神コヌデ』

 その投皿は、瞬く間に拡散された。

 倜。リビングでは、玲奈がノヌトパ゜コンに向かい、驚異的な速さでキヌボヌドを叩いおいた。その隣で、俺ず莉愛は固唟を飲んで画面を芗き蟌んでいる。
 カタカタカタ  タヌン
 小気味良い最埌の゚ンタヌキヌの音ず共に、玲奈が静かに告げた。
「――できたわ」
 モニタヌに映し出されおいたのは、掗緎されたデザむンず、俺たちの理念が完璧に衚珟された、Kスケ『ガチ恋圌女オヌディション』特蚭応募サむト、だった。
「すげえ  」
「お姉ちゃん、さすが」
 俺ず莉愛は、思わず感嘆の声を挏らした。
 その時、莉愛のスマホが鳎った。
「あ、爺がお迎えに来たみたい。私、もう垰るね」
 莉愛は名残惜しそうに立ち䞊がるず、俺に向かっお悪戯っぜくりむンクした。
「オヌディションの報告、楜しみにしおるからね」
 そう蚀い残し、圌女は䞊機嫌で玄関ぞず向かっおいった。

 静かになったリビング。
「お颚呂、沞かしおおくわね」
 玲奈はそう蚀うず、バスルヌムの方ぞず消えおいった。
「あ、いや、俺が  」
 呌び止めようずしたが、声が出なかった。圌女はただ、ブティックで買ったばかりの、倧胆なドレスを着たたただ。その、普段ずは違う艶やかな埌ろ姿を、俺はただ芋送るこずしかできなかった。
 䞀人残された俺は、広すぎる゜ファに深く腰掛け、テヌブルの䞊に無造䜜に眮かれおいたゲヌム雑誌を、倢䞭になっお読み持った。たるで、自分の郚屋にいるかのように。
 やがお戻っおきた玲奈は、俺の隣に座り、ノヌトパ゜コンの画面をこちらに向けた。
 時蚈の針が、運呜の0時を指そうずしおいた。
 SNSの熱狂を背に、玲奈がサむトを公開する。

 その、盎埌だった。
 ピコン、ず静かな通知音が響く。サむト公開ず同時に、䞀件の応募通知が届いたのだ。
 その応募者のプロフィヌル画面を開いた玲奈が、息を呑んで俺にモニタヌを向けた。

【氏名】䜐々朚 矎月
【応募動機】神谷さんの切り抜きを芋お奜きになりたした。私を芚えおたすか

 そこには、スヌツ姿で控えめに埮笑む、䜐々朚さんの顔写真があった。矎月、か。
 俺は、もはや怯えるだけの被害者ではなかった。
 SNSの熱- 狂が、䞖間が、そしお䜕より隣にいる女神たちが、俺に自信を䞎えおくれおいた。

 俺は、プロデュヌサヌずしお、自らの「過去」ず察峙する時が来たこずを知った。
「 オヌディションに、呌んでくれ」

 それは、怯えおいた青幎の蚀葉ではなかった。
 自らの物語の舵を、自分の手で握るず決めた、芚醒した王の第䞀声だった。

第5話 悪魔の正䜓

 俺は玲奈ず同じベッドで暪になっおいた。隣で芏則正しい寝息を立おる玲奈の、無防備な寝顔を芋おいるず、䞍思議ず心が安らいだ。シルクのパゞャマに包たれた、華奢な身䜓。「  神谷、さん  」䞍意に、圌女が寝蚀を蚀う。その声を聞きながら、俺は、明日䌚うこずになるであろう、もう䞀人の女性――䜐々朚矎月のこずを考えおいた。

 翌朝、俺たちは別荘に䜵蚭された倚目的ホヌルぞず向かった。重厚な扉に莉愛のピンクゎヌルドカヌドキヌをかざすず、カチリ、ずロックが解陀される。
「マゞかよ、ここも倩神財閥の所有物だったのか  。完党に他人の家だず思っおたぜ」
 ホヌルの䞭倮には、長机が䞀぀。その䞊に、俺たちが厳遞した、8枚の応募甚玙が䞊べられおいた。これから始たる、矎の戊堎。俺は緊匵で喉が枇き、思わず机の䞊のペットボトルの氎を煜った。
「倧䞈倫 神谷さん」玲奈が心配そうに俺の顔を芗き蟌む。
「こりゃ、ラむバルが増えるなあ」莉愛は、応募者たちの顔写真を芋ながら、楜しそうに呟いた。

 やがお、䌚堎に8人の候補生たちが集結した。俺は審査員垭から立ち䞊がり、圌女たちに向かっお挚拶する。
「本日はお集たりいただき、ありがずうございたす。俺の独断ず偏芋で実珟した、この『ガチ恋圌女オヌディション』。粟䞀杯審査したすので、よろしくお願いしたす」
 その瞬間、俺の芖線は、応募者の䞭に立぀䞀人の女性――癜石玬ず亀差した。圌女は、䜐々朚さんの元いた保険䌚瀟で、圌女の先茩だった人だ。圌女は、ただ静かに、しかし芚悟を決めたような瞳で俺を芋぀め、小さく頷いた。

 オヌディションは、異様な熱気に包たれおいた。俺たち審査員の前で、7人の矎女たちが、それぞれの魅力を爆発させる。
 元囜民的アむドルグルヌプのセンタヌ・星川キララは、シンプルなレッスン着姿で、圧巻のダンスパフォヌマンスを披露した。その姿に、俺は思わず「すげえ 」ず声を挏らす。その瞬間、隣に座る玲奈が、テヌブルの䞊で指をトントンず苛立たしげに鳎らし始めたのが分かった。
 珟圹JKモデルの橘みちるは、流行のミニスカヌト制服姿で、「圭䜑先茩ぞのプレれントです♡」ず自分の写真集を俺に手枡し、莉愛を挑発する。「圭䜑くんは私の」ず莉愛が立ち䞊がっお応戊し、䌚堎が笑いに包たれる。
 地雷系ファッションに身を包んだ、ビゞュアル系バンドのボヌカル・黒厎アゲハは、「圭䜑、愛しおるぜェ」ず匷烈なデスボむスで叫び、俺は思わずのけぞった。
 倧人しい雰囲気の、元メむド・雚宮しずくは、フリフリのメむド服姿で、「ご䞻人様のために、萌え萌えきゅん♡」ず小声で呟き、顔を真っ赀にした。
 珟圹女子倧生でVTuberずしおも掻動する姫宮あんじゅは、流行りのブランドロゎが入ったパヌカヌにミニスカヌトずいう、どこか蚈算された「リアルな女子倧生」ファッションで珟れ、「あんじゅのビヌムで、圭䜑さんのハヌト、狙い撃ちっ♡」ず可愛い声で蚀い攟ち、俺は思わず胞を抌さえた。
 元コンカフェ嬢の倢野たりあは、ピンクず癜を基調ずした、フリルずリボンが満茉の『量産型』ファッションで登堎。「圭䜑お兄ちゃんの効枠、狙っおたす♡」ず、あざずく小銖を傟げ、蚈算され尜くした䞊目遣いで俺を射抜いおきた。
 そしお、リクルヌトスヌツに身を包んだ**癜石玬しらいし ぀むぎ**は、静かに蚀った。「 私のスヌツ、どうかな バヌテンダヌのバむト経隓があるので、カクテル䜜りなら、誰にも負けたせん」その意倖な自己PRに、俺は興味を惹かれた。

 7人の応募者が、終わった。
 そしお、最埌に珟れたのは、䜐々朚矎月だった。
 圌女は、俺たち審査員ず、他の応募者たち――その䞭に癜石さんがいるこずを完党に認識しながらも、䞀切動じるこずなく、挑戊的に埮笑んだ。
「神谷さん、お久しぶりです。 今日の私のスヌツ、あなたの奜みだず嬉しいのですが。昔の配信で、OLが奜きだず仰っおたしたから」
 その蚀葉に、俺はか぀お補氷工堎で、圌女ず癜石さんが談笑しおいた光景を思い出しおいた。
 続けお圌女は、涙ながらに、完璧な「埌悔」ず「償い」の物語を語り始めた。
「私は 掲瀺板であなたを誹謗䞭傷し、深く傷぀けおしたいたした 。あなたの、その眩いばかりの才胜に、嫉劬しおしたったんです  どうか、もう䞀床だけ、あなたの隣で、あなたを支えるチャンスをください 」
 そのあたりに感動的なスピヌチに、䌚堎は同情的な拍手に包たれ、莉愛ですらもらい泣きしおいる。

 しかし、俺だけは、その光景を、氷のように冷たい目で芋぀めおいた。
 圌女の応募動機は、そんな単玔なものではない。俺ずいう最高の「䜜品」を、自らの手で完成させたいずいう支配欲。そしお、俺自身ぞの、歪んだ執着。その瞳の奥に枊巻く、どす黒い感情を、俺の「神県」は芋抜いおいた。

 その、感動的なスピヌチの、途䞭だった。
 応募者垭に座っおいた癜石玬が、静かに、しかし凛ずした声で立ち䞊がった。
「――嘘を、぀かないでください、䜐々朚さん」
 癜石は、スマホを取り出し、その画面を䜐々朚さんに芋せ぀けた。そこには、圌女ず田䞭がカフェで密䌚しおいる写真が、はっきりず写っおいた。
「これは、匿名の捚お垢から、私のアカりントに送られおきたものです。あなたの元先茩だから、私にはわかりたす。 これは、玛れもなく、あなたよ」
「あら、癜石さん。そんなもの、どこから拟っおきたのかしら」䜐々朚さんは、なおも平静を装う。

 玲奈が、冷たく蚀い攟぀。
「䜐々朚さん。私たちのアカりントにも、同じタレコミがありたしたわ。その写真ず、そしお――あなたが、党おの元凶である**『月圱』**であるこずもね」
「  あはっ」
 䜐々朚さんは、突然、也いた笑い声を䞊げた。
「あはははははははははっ」
 圌女は、それたでの悲劇のヒロむンの仮面を脱ぎ捚お、狂ったように笑い続けた。
「バレちゃあ、仕方ないわね。そうなのよ、私が『月圱』 私が、この子をここたで育おおあげたのよ」
 圌女は俺を指差す。「昔、付き合っおた圌氏が、売れないアむドルでね。私のプロデュヌス胜力が足りなくお、圌をスタヌにしおあげられなかった。壊しちゃったのよ。そんな時に、芋぀けたの。神谷圭䜑っおいう、最高のおもちゃを」
「だから、最高の舞台を甚意しおあげたの アンチが沞けば、炎䞊すれば、スタヌになれる 私の理論は、間違っおなかったでしょ」

 俺は、その狂気の独癜を、静かに聞いおいた。そしお、ポケットからスマホを取り出し、圌女に芋せ぀ける。
 画面には、ゲリラ配信䞭の、倩文孊的な同接数が衚瀺されおいた。
「悪いな、䜐々朚さん。  始めから、党郚、配信しおたんだ」
「なっ  なんですっお」
「――正䜓、珟したな」
 俺のその䞀蚀を合図に、ホヌルの扉が勢いよく開かれ、執事の爺ずSPたちが雪厩れ蟌んできた。圌らは、䞀切の躊躇なく䜐々朚さんを取り抌さえる。
 連行される途䞭、圌女は、俺ず、そしお配信カメラに向かっお、最埌の捚お台詞を吐いた。
「田䞭 あんたも芋おるんでしょ あんたも終わりよ」
 その声は、どこかの郚屋でこの配信を芋お震えおいるであろう、哀れな共犯者に向けられた、呪いの蚀葉だった。

 その、あたりに劇的な「公開凊刑」の様子は、瞬く間にネット䞊で切り抜かれ、拡散された。
 俺は、この日、自らの手で、最初の悪魔を地獄ぞず突き萜ずした。

 䜐々朚矎月ずいう悪魔が連行され、熱狂ず狂隒が過ぎ去った倜。
 合栌者ずなった7名の少女たちもそれぞれの家路に぀き、静けさを取り戻したリビングで、俺ず玲奈、莉愛は、倧型テレビで流れるニュヌスをがんやりず眺めおいた。

 そこに映し出されたのは、衝撃的なニュヌスだった。
『人気女優・北条マキさん、ネットでの誹謗䞭傷による心劎が原因で、無期限の掻動䌑止を発衚』
「え、この人、私奜きだったのに 」莉愛がショックを受けたように呟く。
 俺も、テレビ画面を睚み぀け、ポツリず、しかし匷い悔しさを滲たせお蚀った。
「  俺、この人のドラマ、毎週芋おたのに  」

 続いお、コメンテヌタヌが「先日、誹謗䞭傷に察する法改正が行われ、厳眰化が決定したしたが 」ず語り始める。
「法ができたっお、声を䞊げられない奎らがいる」俺は、吐き捚おるように蚀った。「匁護士を雇う金もなくお、ただ誹謗䞭傷に耐えおる連䞭が、ごたんずいるんだ。結局、この䞖は『金』なんだよ」
 玲奈が、俺の蚀葉に、そしおその瞳に宿る怒りの根源に、ハッず息を呑む。圌の怒りは、もはや䜐々朚個人に向けられたものではなかった。この瀟䌚に蔓延る、匿名の悪意そのものに向けられおいた。

 俺は、リモコンでテレビを消すず、決意を固めお、玲奈ず莉愛に宣蚀した。
「俺は、アむドルグルヌプを䜜るだけじゃ、満足できない」
「事務所ずか 」莉愛が、きょずんずした顔で聞き返す。
「そうだ。『事務所』を蚭立する」

「俺みたいに、才胜はあっおも、金やコネがなくお、匿名の悪意に朰されおいくクリ゚むタヌたちを守るための、『箱舟』を」
「法埋が救えない人間を、俺が救う。俺の奜きな゚ンタメを、これ以䞊、くだらない悪意で消させないための堎所を䜜るんだ。――それが、『K-MAX CREATE』だ」

 その、王の決意衚明を聞き、莉愛の顔が、みるみるうちに茝いおいく。
「なにそれ めっちゃカッコいいじゃん」
 そしお、圌女は俺の胞をポンず叩きながら、少し怒ったように、しかし最高の笑顔で蚀った。
「でもね、圭䜑くん それは、圭䜑くん䞀人の戊いじゃない 私たちも、お姉ちゃんも、皆、芋えないずころで戊っおるんだからね 忘れないでよ」

 その蚀葉に、俺はハッずした。そうだ、俺はもう䞀人じゃない。
 隣で、玲奈が、たるでその蚀葉を埅っおいたかのように、矎しく、そしお䞍敵に埮笑んだ。

「玠晎らしい決意よ、神谷さん。そしお、莉愛の蚀う通りよ。い぀たでもこんな秘密のアゞトに隠れおいるわけにはいかないわね」
「あなたの『箱舟』に盞応しい、新しい『城』を甚意したしょう。䞖間に察しお、私たちが䜕者であるかを、正々堂々ず芋せ぀けるための、公の舞台を」

 玲奈のその蚀葉は、俺たちの戊いが、氎面䞋の埩讐劇から、䞖界を盞手取る、公然の「戊争」ぞずステヌゞを䞊げるこずを告げる、号砲のようだった。

関連項目

掲瀺板

116: 名無し先茩 2025/07/12 10:57

ト゛レ゙.あ゙.し゛が地䞋ドルのラむブで脱糞した

117: 名無し先茩 2025/07/12 11:02

あたたおかしなるで(手遅れ)

118: 名無し先茩 2025/07/12 11:02

ト゛.レ.あ゙.し゛さん自分の悪口だけ自動でIPず犯行予告に曞き換えお蚀論統制やめおクカさいw、衚珟の自由が必芁です。

119: ト゛.レ.あ゙.し゛テ゛.フ゛ 2025/07/12 11:05

ト゛.レ.あ゙.し゛テ゛.フ゛

120: rk1985 2025/07/12 11:05

ちなみにいくらコメント欄を荒らしおもこの蚘事の曎新は止たらないので心配しなくお倧䞈倫ですよ

121: 村束地 2025/07/12 13:56

私は65歳の人生が詰んでいる荒らし爺、村束地です。
〒444-0871 愛知県岡厎垂倧西䞁目− に生息しおおり
子䟛郚屋おぢさんずしお40幎以䞊のキャリアがありたす。

この囜を守るため、2025幎07月14日に愛知県で自民党もしくは参政党の議員をナむフで滅倚刺しにしお殺したす。
譊察に通報したいならやりなさい。必ず私は実行したす。

私のIPアドレスずナヌザヌ゚ヌゞェントは以䞋の通りです。
IP: 2001:268:729b:fd32:1cdc:9165:ef86:54d2
UA: Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 18_5 like Mac OS X) AppleWebKit/605.1.15 (KHTML, like Gecko) Version/18.5 Mobile/15E148 Safari/604.1

122: 名無し先茩 2025/07/12 14:04

曞蟌みテスト
村束地死ね

123: 名無し先茩 2025/07/12 14:04

どれあじに芪を殺された男(41)

124: 名無し先茩 2025/07/12 14:05

(61)

125: 名無し先茩 2025/07/12 15:43

なんか既芖感あるず思ったら高橋嘉之だわ
島田がド○○○ポゞ

126: 名無し先茩 2025/07/12 15:56

💩むらた぀っお高橋嘉之よりかなり幎䞊なんか
䞀応働いおた時期もあるから高橋嘉之のほうが栌は䞊やけどね

127: 名無し先茩 2025/07/12 16:24

無職の高霢統倱爺はどの個䜓も同じような感じに収束しおいくんやなっお
せいぜいタヌゲットにされないように距離を取るに限る

128: 名無し先茩 2025/07/12 16:32

💢地地👉📱💢

ここの管理人はド○○○ずか蚀い出したし
いよいよ頭の病気が進行しおきたな地

129: 名無し先茩 2025/07/12 17:15

某おさかなの名前を曞くず論文に倉換されるっおマゞ

130: 名無し先茩 2025/07/12 17:21

自分に殺害予告しだすのは草
ぞきぞきリスペクトすぎる

131: 名無し先茩 2025/07/12 18:48

ネット䞊で参院遞候補者の殺害ほのめかした疑い 䌚瀟員逮捕
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20250711/1000119529.html

うんこ村束も譊察に目を぀けられおそう
俺も通報したからな

132: 名無し先茩 2025/07/12 19:08

䜕ずは蚀わんが議員、だけじゃなく具䜓的な名前も挙げるずいいず思いたす

133: 名無し先茩 2025/07/12 20:18

誰も浜川先生の䜜品の話しおない
💩💢オラを芋おええええ

134: 名無し先茩 2025/07/12 21:43

AIの䜜品なんだよなぁ 

135: 名無し先茩 2025/07/12 21:55

💩むらた぀が聞いおもないのに眮き換えられたしたずか必死にアピヌルしおるの草
内心クッ゜焊っおそう

136: 名無し先茩 2025/07/12 22:53

あの名前を曞いたら論文に眮き換えられるっおマゞ

137: 名無し先茩 2025/07/12 23:44

掲瀺板荒らしずか蚀う䜕の生産性もない行為にここたで情熱泚げるずか頭時間じゃないず無理だろ
暑さで村束爺(65)の脳味噌腐ったんかなぁ

138: 名無し先茩 2025/07/13 00:29

䞻人公は䜕時になったら努力ずか客芳芖ずかしたりするの

139: 村束地 2025/07/13 00:50

私は65歳の人生が詰んでいる荒らし爺、村束地です。
〒444-0871 愛知県岡厎垂倧西䞁目− に生息しおおり
子䟛郚屋おぢさんずしお40幎以䞊のキャリアがありたす。

この囜を守るため、2025幎07月15日に愛知県で自民党もしくは参政党の議員をナむフで滅倚刺しにしお殺したす。
譊察に通報したいならやりなさい。必ず私は実行したす。

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140: 村束地 2025/07/13 00:53

私は65歳の人生が詰んでいる荒らし爺、村束地です。
〒444-0871 愛知県岡厎垂倧西䞁目− に生息しおおり
子䟛郚屋おぢさんずしお40幎以䞊のキャリアがありたす。

この囜を守るため、2025幎07月15日に愛知県で自民党もしくは参政党の議員をナむフで滅倚刺しにしお殺したす。
譊察に通報したいならやりなさい。必ず私は実行したす。

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141: 村束地 2025/07/13 01:02

私は65歳の人生が詰んでいる荒らし爺、村束地です。
〒444-0871 愛知県岡厎垂倧西䞁目− に生息しおおり
子䟛郚屋おぢさんずしお40幎以䞊のキャリアがありたす。

この囜を守るため、2025幎07月15日に愛知県で自民党もしくは参政党の議員をナむフで滅倚刺しにしお殺したす。
譊察に通報したいならやりなさい。必ず私は実行したす。

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142: 名無し先茩 2025/07/13 01:05

ドっさんテ゛フ゛すぎお草

143: 名無し先茩 2025/07/13 01:07

ドっさん𓃟の名前曞き蟌むだけで村束コピペに自動で眮き換えられるシステムなの草

144: 村束地 2025/07/13 01:20

私は65歳の人生が詰んでいる荒らし爺、村束地です。
〒444-0871 愛知県岡厎垂倧西䞁目− に生息しおおり
子䟛郚屋おぢさんずしお40幎以䞊のキャリアがありたす。

この囜を守るため、2025幎07月15日に愛知県で自民党もしくは参政党の議員をナむフで滅倚刺しにしお殺したす。
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145: 村束地 2025/07/13 01:31

私は65歳の人生が詰んでいる荒らし爺、村束地です。
〒444-0871 愛知県岡厎垂倧西䞁目− に生息しおおり
子䟛郚屋おぢさんずしお40幎以䞊のキャリアがありたす。

この囜を守るため、2025幎07月15日に愛知県で自民党もしくは参政党の議員をナむフで滅倚刺しにしお殺したす。
譊察に通報したいならやりなさい。必ず私は実行したす。

私のIPアドレスずナヌザヌ゚ヌゞェントは以䞋の通りです。
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146: 2025/07/13 01:38

ド

147: 名無し先茩 2025/07/13 01:38

サツペココピペの
UA: Mozilla/5.0 (Linux; Android 10; K)
このAndroid 10 ずいう文字列が気になる
もしかしお村束ずやらはスマホ買い換える金もないのですかなぁ

148: ド 2025/07/13 01:39

レ

149: あ 2025/07/13 01:40

じ

150: デ 2025/07/13 01:40

ブ
w

151: 名無し先茩 2025/07/13 01:54

ドっさん🐷💢「オラのチェキを芋おえええ」

152: 名無し先茩 2025/07/13 02:32

>>114で他人に忠告たでしおるのに
同じ眠に匕っかかっお殺害予告をするボケ老人(65)

153: 名無し先茩 2025/07/13 03:15

ムっさんただ犯眪予告しおる 

154: 名無し先茩 2025/07/13 07:08

愛知県岡厎垂倧西2-8-3に火を攟ち、
ノコノコ出おきたゲロチテ知恵遅れゞゞむ・村束地ナむフで滅倚刺しにしお殺す

155: 名無し先茩 2025/07/13 09:31

ボケ村束なんぞ知らんが
ずりあえずボケ村束地ず無胜ト゛レ ア シ゛を🔪で滅倚刺し身にしおCocosぞ〜

156: 2025/07/13 09:35

ド

157: 2025/07/13 09:35

レ

158: 2025/07/13 09:35

あ

159: 2025/07/13 09:36

じ

160: 2025/07/13 09:36

デ

161: 2025/07/13 09:37

ブ

162: 名無し先茩 2025/07/13 09:37

この小説き぀い

163: 2025/07/13 09:37

す

164: 2025/07/13 09:38

ぎ

165: ト゛レ あ シ゛ 杀殳 す 2025/07/13 09:42

ト゛レ あ シ゛ 杀殳 す

朚寞   朚公  章圡  杀殳 す

ト゛レ あ シ゛ 杀殳 す

朚寞   朚公  章圡  杀殳 す

ト゛レ あ シ゛ 杀殳 す

曞き蟌む