アニメ「アポカリプスホテル」 CygamesPictures代表・竹中信広、脚本家・村越繁ロングインタビュー ヤチヨの暴力にもロジックがある
●チェンソーの「サンライズ立ち」、声優と挿入歌での「夫婦共演」は意識していた?
──本当におっしゃる通りですね。第4話も「トレマーズ」的なモンスターパニックものではありますが、やはりホテルの「食料の調達」と「新メニューの開発」という軸がありました。 竹中 そうですね。「終末ものとしてやれること」と「ホテルものでできること」を ざっくりと考えて、「この要素とこの要素を組み合わせたらお話ができそうだよね」みたいな作り方ではあったんです。 村越 まさにそうでした。 基本的には「ホテルという舞台でキャラクターが成長する」ことを意識していましたし、そこからメニューの開発であるとか、温泉を掘り起こしたりだとか、ワインを作るといった、「ホテル名物」みたいなアイデアをみんなで出していましたね。 竹中 でもやはり、脚本に書いたこと以上のことを、監督やアニメのスタッフが表現してくれましたね。第4話の脚本では、ポン子は「チェーンソーを持っている」くらいのことしか書いていなかったのですが、あのような感じになるとは思っていなかったですから。 ──そのポン子のチェーンソーの持ち方や構図が、いわゆる「サンライズ立ち」として話題になっていましたね。 竹中 それはおそらく絵コンテの段階ですでにあったもので、最終的には春藤佳奈監督が調整して、あの演出になりましたね。やはりスタッフの皆さんに、良い意味でいろいろと遊んでいただいたからこその内容にもなっています。 ──第6話では、ハルマゲ役の山路和弘さんと、挿入歌を歌った朴ロ美(ロは王へんに路)さんの「夫婦共演」が話題になっていましたね。そちらも意識したキャスティングだったのでしょうか。 竹中 実は、初めはおふたりがご夫婦ということをまったく意識してなかったんですよ。ハルマゲ役の山路和弘さんが早めに決まっていて、曲を誰に歌ってもらうかっていうところで、音響制作の岡田拓郎さんから「朴ロ美さんがいいんじゃないか」という話が出て、イメージぴったりだったのでオファーをさせていただきました。僕は後で岡田さんに言われて「ご夫婦じゃないか!」と気づきましたね。 ──キャスティングも豪華かつみんな素晴らしいハマり役ですし、さらに作画も超ハイクオリティーですよね。特にオープニングのダンスが素晴らしいです。「2人で踊るダンスを1人で踊っているみたい」という意見も見かけていて、その「寂しさ」込みの演出だと思ったのですが、いかがでしょうか。 竹中 オープニングは基本的にaikoさんの「skirt」を聞いた春藤監督から、実際に「2人で踊っているダンスを1人で踊ってる形にしたい」という提案があって、そのアイデアをもとに振り付けを先にお願いして、ダンスの動きをベースに監督がコンテを描いて、そのコンテに合わせてまた動きをカットに合わせて作画参考用の動画を撮影する、という手順を踏んでいました。あの仕上がりになったのは、監督のセンスです。
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