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アニメ制作に活用されるゲームエンジン/AIアニメスタジオが資金調達(Weeklyアニメビジネス)

まつもとあつしジャーナリスト・研究者
今月26日・27日に開催されるアニメ×ゲームジャム公式サイト https://anic-japan.org/topics/agjue/ より

進むアナログからデジタルへの移行

アニメ制作工程のデジタル化が進んでいます。キャラクターなどを紙に描いて動きを表現する原画・動画工程は、アニメーターの方々が紙に鉛筆で描くイメージを持っている人も多いと思いますが、近年急速にタブレットにデジタルペンで絵を描く方法への移行が進んでいます。絵の完成後の彩色(仕上げ)や、撮影・特殊効果は既にほぼ100%デジタル化されていますので、いよいよアニメ制作工程全体の完全デジタル化が視野に入ってきています。

増田弘道氏「2024版アニメ産業構造論」より「作画以降をデジタル化しさらにCGによる作業が加わったハイブリッド2・5制作工程」
増田弘道氏「2024版アニメ産業構造論」より「作画以降をデジタル化しさらにCGによる作業が加わったハイブリッド2・5制作工程」

従来は紙に鉛筆で描かれた絵を、いったんコンピューターでスキャンし、撮影・仕上げ工程で用いるデータとして利用していたのですが、どうしてもその過程で微妙に絵がズレてしまったり、せっかくの美しい線のタッチが失われてしまうことも少なくありませんでした。検査工程での「TP(トレースペイント)修正」で辻褄を合わせているというのが実際でした。完全デジタル化が進めば、スキャン作業やその後の補正作業も大幅に削減できますので、生産性の向上が期待できます。

ゲームエンジンの可能性

ペンで画面(もしくは紙)に描く作画アニメーションの他にも、アニメ制作においては3DCGの導入も積極的に行われてきました。黎明期は車やロボットといったメカ表現に用いられてきたものが、現在では、人物や動物など表情ある有機物の表現にも用いられるようになっています。

大きな話題を集めた「BanG Dream! Ave Mujica」もほぼ全編が3DCGで作成され、3DCGで表現されたキャラクターの細やかな演技が光っていました。この作品の制作会社サンジゲンも導入を進めているフリーの3DCGソフトblenderが、アニメ制作会社の3DCG導入に拍車を掛けています。

さらに、この3DCGを原画作業に入る前の絵コンテやレイアウトの段階に応用しようという動きも出てきました。監督や演出が自らの頭の中にあるイメージを捻りだして絵として表現する絵コンテや、カメラワークも考慮しながら画面に配置される要素の精密な配置を行うレイアウトは、個人のセンスに依拠する孤高な創作作業でした。それを、高度な操作習得を必要とせず試行錯誤が容易な「ゲームエンジン」を用いて行おうという取り組みが拡がりを見せています。

Unreal Engineを活用した東映アニメーションの3Dレイアウトツール「3DLayout UE」事例紹介 〜ACTF2025 in TAAF(1) https://cgworld.jp/article/actf25-taaf-toei01.html より
Unreal Engineを活用した東映アニメーションの3Dレイアウトツール「3DLayout UE」事例紹介 〜ACTF2025 in TAAF(1) https://cgworld.jp/article/actf25-taaf-toei01.html より

もともとゲーム開発を容易にするための基盤アプリとして生まれたゲームエンジンですが、これをアニメのレイアウト工程に取り入れ、監督や演出担当者が用いることで従来の絵コンテのような役割も担えることも期待されています。筆者が代表を務めるNPOでもこのゲームエンジンを用いたハッカソンを京都で開催してきましたが、そこでも専門知識をもたない参加者がわずかな期間でショートアニメーションを作れることを目の当たりにしています。

◆アニメ×ゲームジャムUE in 京都 – ANIC-JAPAN.ORG https://anic-japan.org/topics/agjue/

今回のアニメ×ゲームジャムでは、現在第2期が放送中のテレビアニメ『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』で、シリーズ構成、美術管理を務める戸塚直樹氏を審査員・メンターに迎えています。

文芸を専門とする戸塚さんがゲームエンジン「Unreal Engine」を用いて物語世界を構築していった過程は筆者が以前取材した記事に詳しくまとまっています。

ASCII.jp:『第七王子』のEDクレジットを見ると、なぜ日本アニメの未来がわかるのか (1/4) https://ascii.jp/elem/000/004/203/4203718/

直感的に使え、その場ですぐ映像として確認ができるゲームエンジンのアニメ制作への活用がどのように進むのか、ゲームクリエイターがアニメーターとしても活躍できる場を拡げるのかなど、とても興味深い動きが出てきているのです。

今週の注目ニュース(2025/7/5~2025/7/11)

※更新時間などの関係で先週紹介できなかったものも含むことがあります。また日付は原則として降順です。一部会員登録が必要なサイトが含まれることがあります。

◆アニメ著作権を小口化、ファンとクリエイターの協業型制作を目指す新会社 http://animationbusiness.info/archives/16837 (7/10)

→ブロックチェーンを用いた取り組みはこれまでも様々登場しましたが、元MAPPA取締役の木村誠氏が参画ということで注目されます。

◆米国に新アニメスタジオStudio Azuki、共同設立にコミスマとゼノトゥーン参加 http://animationbusiness.info/archives/16840(7/10)

→blenderで制作された劇場アニメ「メイクアガール」も手がけたゼノトゥーンがスマホマンガ大手と共に米国にスタジオを設立。

◆講談社、ロシア企業への著作権侵害訴訟が終結 『進撃の巨人』など判決に「極めて意義深い」 | ORICON NEWS https://www.oricon.co.jp/news/2394818/full/ (7/9)

→たしかに司法の手が届きにくいロシアでの権利侵害にメスが入ったという点では有意義。ただし日本円で約690万円というのは損害に対する補償としては額が小さいようにも感じます。

◆「ショートアニメスタジオ「PocketANIME」を運営するTOKYO EPIC、総額9,000万円のシードラウンド資金調達を実施 | 株式会社TOKYO EPICのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000120274.html (7/8)

→AI技術を活用したショートアニメ制作スタジオが、ファンドから資金調達。先週のIVSでもエンタメ投資熱の高まりを感じましたが、製作委員会方式が一般的でエンタメ事業者以外が参入しづらいテレビアニメではなく、ショートアニメなど異なる領域からということになりそうです。

◆KADOKAWAグループのGeeXPlus、海外インフルエンサー主導のアニメ制作事業を始動 - コミックナタリー https://natalie.mu/comic/news/630893 (7/4)

→こちらも海外制作の動き。6日までロサンゼルスで開催されていた「Anime Expo 2025」での発表でした。

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ありがとうございます。
ジャーナリスト・研究者

専修大学文学部ジャーナリズム学科特任教授。IT系スタートアップ・出版社・広告代理店、アニメ事業会社などを経て現職。実務経験を活かしながら、IT・アニメなどのトレンドや社会・経済との関係をビジネスの視点から解き明かす。ITmediaにて「アニメのミライ」連載中。デジタルコンテンツ関連の著書多数。デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士(プロデューサーコース)・東京大学大学院情報学環社会情報学修士 http://atsushi-matsumoto.jp/

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