じゃあ俺だけネトゲのキャラ使うわ 特典SS集

藍敦【俺ネト書籍化決定】

特典SS『尻尾を通す穴』(時系列本編38話~39話)

 オークション開始まで自由に過ごせる日が出来た今日この頃。

 俺は都市内で日用品を買い漁る為に、これまで行ったことのない通りを見て回っていた。

 どうやら、商業区の日用品店は俺達のような冒険者向けの店が多いらしく、一般の住人向けの店は、下層区に存在しているらしい。

 そこで様々な日用品を買いあさっていた訳なのだが、今日は俺一人、メルトとは別行動だった。

 なにやら『やらなければいけないことがある』と言っていたが……。




 買い物を済ませはむす亭に戻ると、女将さんから『メルトは昼になっても部屋を出ずに、扉越しに声をかけたら“作業中”と言っていた』と教えられた。

 ご飯も食べずに集中しているのか……部屋に戻り、俺も扉をノックをする。


「メルトー? ただいま。開けてもいいかい?」

『いいよー』


 部屋に入ると、メルトはベッドの上に座り込み、背中をこっちに向けて丸まっていた。

 なにか集中して作業をしているのか……?


「メルト、なにしてるんだい?」


 そう訊ね、何をしているのか覗き込んでみると――


「これ! パンツのお尻の上の方に尻尾を通す穴をあけていたんだー。穴をあけるだけじゃなくて、穴の周りがほつれないようにヒモを縫い付けて縁取りして……ね? いっぱいパンツ買ったから、全部に穴をあけていたの」

「そ、そっか。失礼しました」


 ベッドに散乱する色とりどりの三角形の布達。

 羞恥心がこの娘には存在しない……!


「見て見て、いろんな色のパンツよ! この前のお店で買ったのだけじゃない、いろんなお店で集めたんだー! これなんてほら! スケスケよスケスケ! どうしてかしらね!」

「んー、どうしてだろうね? あんまり人に言っちゃダメだぞ、メルト」

「そうね、きっとこれは『ふりょうひん』っていうのよ。広めちゃうとお店が可愛そうだもの! それに見て! お尻の布がほとんどないのもあったのよ! これじゃあ穴を開けられないけど、ちょっとずらせば尻尾を出せるから便利かも?」

「ん、そうだね。でも外で穿くのはやめようね」

「そうねー、お尻が冷えちゃうわね」


 ……どんな店に行った、メルト。

 どう見てもセクシーランジェリーじゃないか……!


「ふー……疲れた! 獣人用のパンツって売ってるお店ってどこかにないのかしらねー?」

「あー……確かに獣人の女性の知り合い、いないもんなぁ」

「ね。冒険者にはいるみたいだけど、みんなベテランが多くて、そういう人って今は都市の外で活動中なんだってー」

「へぇ、そうだったんだ」


 急募、メルトに女性の価値観を教えてくれそうな獣人の女性。

 俺には……女性用の下着屋を探す度胸がない……! それも獣人用なんて……!


「今度、シュリスさんにでも相談したらどうだい?」

「えー……アワアワさんかー……」

「そんなに嫌わないであげて、悪い人じゃないから」

「でも、お風呂の中だとあの人ちょっと変よ? なんだか恐いわ」

「マジでか……」


 常識人だと思ったんだけどなぁ。


「よし! これで終わり! 履き心地を試さないとね! よいしょ……」

「はい、人前で脱ごうとするのはやめようね」


 ダメだ、俺の精神衛生の為にも、この子にはもう少しレディの知識を身に付けさせなければ!

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