【ウェビナーレポート】「SaaSエンタープライズセールス最前線!IVRy CEOとCSOが語るPLGとSLGの両立とこれからの戦略」
この記事では、先日開催されたIVRyのオンラインウェビナー「エンタープライズセールスの最前線 - 戦略・組織・キャリア -」の内容をレポートします。
このウェビナーでは、CEO奥西とChief Sales Officer 田井がパネリストとして登壇し、VP of Sales Strategy伊藤がモデレーターを務めました。
田井のnoteを基にIVRyが昨年からエンタープライズ事業を拡大してきた軌跡、組織立ち上げの背景、既存事業モデルとの違い、そしてリアルな課題や未来への展望を深掘りしてお話ししました!
(参考note:エンタープライズSaaS戦略・組織変革に関心のある層向け IVRyが挑むエンタープライズSaaS戦略──PLGとSLGの二軸で組織を再構築した理由(入社5ヶ月目log))
登壇者
登壇者 奥西 亮賀/株式会社IVRy CEO
登壇者 田井 義輝/株式会社IVRy Chief Sales Officer
モデレーター 伊藤 基明/株式会社IVRy VP of Sales Strategy
IVRyのEnterprise(Solution Led Growth)領域について
伊藤:
まず初めに、IVRyの事業構造に合わせた「Product Led Growth(PLG)」と「Solution Led Growth(SLG)」という2つ販売モデルのそれぞれの違いについて説明いただけますか?
田井:
IVRyでは「Product Led Growth(以下、PLG)」と「Solution Led Growth(以下、SLG)」という2つの販売モデルを定義しています。
PLGは製品が成長の起点となり、営業がパイプラインを早くクロージングし、お客様に製品を届けるモデルです。製品へのお問い合わせをクロージングしていくスタイルですね。プロダクト体験を良くして、いかに多くの人に早く届けるかに注力します。
一方、SLGは、お客様の課題が複雑でシステムも複雑な場合、営業やカスタマーサクセスがお客様の課題を解決しながら製品を届けるモデルです。
ハイタッチでコミュニケーションを密にとり、お客様の組織課題を整理しながら価値を提供していきます。特にエンタープライズのお客様に有効な営業手法として、チームを分けています。
SLGはプロダクトだけでは解決が難しい領域です。お客様の課題が多層化しているため、経営層、部門長、現場の課題を特定し、整理する必要があります。
また、エンタープライズのお客様は複雑なシステムと組織を抱え、既存の様々なベンダーと取引があります。
戦略コンサルタントやSIer、BPOベンダーなど、様々なステークホルダーと協力体制を築き、IVRyの良さを伝えながら課題解決を提案していくことが求められます。人が介在するコミュニケーションが非常に重要な領域ですね。
田井:
IVRyはプロダクトを拡張しており、AI対話システムを中心に、電話代行や予約、データ分析、FAX連携、営業支援など、様々なサービスを展開しています。
これらの製品を組み合わせ、エンタープライズのお客様の課題解決に貢献していきます。
最近では、どの企業様にお伺いしても「AIをうまく活用したい」というご要望をいただきます。しかし、その適用範囲は企業によって様々です。
例えば、まずはPoC(概念実証)から始めたいというケースもあれば、すぐに本格活用に進みたい、あるいは可能な限り自動化を進めたいというご希望もあります。
事業の特性に応じて、全てを自動化すべき領域もあれば、企業のブランド価値を高めるために人が介在すべき領域もあります。
私たちは、お客様の状況に合わせて、提供できる価値を濃淡をつけながら提案していく必要があると感じています。
これこそが、私たちSLGチームが挑戦していく領域です。
伊藤:
私から、組織規模について補足させていただきます。
現在、SLGチームはセールスとカスタマーサクセスを含めて20名弱、PLGチームは60名程度で、全体では80名の規模の組織です。
その中でも、SLGは立ち上げたばかりなので、まだ割合は少ない少数精鋭の組織です。
奥西:
まさに「スーパーカオス」ですね。
組織立ち上げのフェーズを経験できる機会はそう多くないと思いますし、それが成功するのはかなり稀です。
立ち上げフェーズの組織や事業が「うまくいく」という経験を積むのは、逆上がりを覚えるのに似ていると感じています。
一度できるようになれば簡単ですが、できるようになるまではどうやればいいか分からない。
SLGは今このカオスの真っ只中にいて、この経験ができるというのは、すごく面白いことだと考えています!
パネルディスカッション
テーマ①:SLGとPLGの組織を分けた背景とは
伊藤:
IVRyのセールス組織は昨年の途中まで現在でいうPLG組織しかありませんでした。なぜSLGの組織を作り、エンタープライズ領域に踏み込んだのでしょうか?
その背景や実際に取り組んでみての発見を教えてください。
奥西:
IVRyは当初、SMBのお客様向けにプロダクトを開発しました。
しかし、事業を進める中で、徐々にミドルやエンタープライズ企業からのニーズも増え、「PMFしているのではないか」という手応えをこの1,2年で感じ始めたんです。
IVRyのユニークな点は、SMBのお客様向けに開発したプロダクトでありながらエンタープライズ領域にも大きな成長を期待できることです。
例えば、数百店舗を持つお客様の場合、たとえ1アカウントが月額1万円でも、300店舗あればMRRは300万円、年間では3600万円のインパクトになる事業です。
これはSaaSプロダクトとしては珍しく、1社で数千万円、数億円規模の売上が生まれる可能性を秘めている点で非常に面白いと感じています。
さらに、2023年末頃からAIエージェントがバズワードとなり、大企業を中心にAI活用への機運が急激に高まりました。私たちはAI対話の分野を得意としているため、エンタープライズ領域からのニーズがまさに「向こうから入ってきた」という形で、自然とSLGが立ち上がってきたんです。
もちろん最初からうまくいっているわけではなくて、過程で私たちは一つの大きな「認知ギャップ」にも直面しています。
当初、エンタープライズへの展開もこれまでのセールス・マーケティング活動の延長線上でターゲットを広げ、単価を上げていけば良いと考えていました。
これが大きな反省点です。
例えば、エンタープライズではWebマーケティングだけでリードを獲得するのは難しく、セールスも最初に小さな提案をするのは適切ではないなど、当たり前レベルのことに気づいていませんでした。
PLG領域では、ファネルにおける確率論に基づいたWebマーケティングやセールス活動が有効でした。
SLG領域では、アプローチが全く異なります。まず、ターゲットアカウントを明確に定め、アカウントベースドマーケティング(以下、ABM)的なアプローチでマーケティングやブランディング活動を行い、お客様の複雑な課題にIVRyがどのようにフィットするかを丁寧に提案するソリューションセールスが必要になります。
このアプローチの違いは、取り組み始めて2,3ヶ月ほどで明確になりました。社内でもこの違いを説明し、理解を促す中で、「PLGとSLGは、そもそも異なるものだ」と明確に分けた方が、社内の認知コストが低いだろうという結論に至ったんです。
これが、IVRyがPLGとSLGという名前をつけ、組織を分けた背景です。
伊藤:
エンタープライズセールスの経験者としてIVRyに入社された田井さんは、SMBで売上を伸ばしていたIVRyを見て、どのようなことを感じましたか?
田井:
私が最初に感じたのは、IVRyの「The Model」のファネル構築が非常に優れているということでした。日本のあらゆるSaaS企業で培われた知見が集まっていて、ファネル理論に基づいて効率的にビジネスを回す仕組みが、本当によくできているなと感心しました。
一方で、その効率的なファネルの中から、通常の延長線上では考えられないような「異常値」とも言えるエンタープライズ案件の高い売上が出てきていることに気づきました。
従来のファネルの考え方や、案件数、パーセンテージだけでは説明できないほどの結果が出ている。入社した時に、その点が非常に印象的でした。
奥西:
反省点は多々ありますが、何しろやったことのない領域ですからね。
たくさんの失敗を重ねながら学んでいる、という感じです。
田井さんが入社して、エンタープライズ領域の拡大の仕方やエンタープライズ領域としてIVRyの中で起こっている状況を早期に解明・説明してくれたおかげで、「ああ、そういうことか」と、理解できた気がします。
田井:
IVRyのPLGが非常によくできているからこそ、SLGでもまたIVRy独自にアクションをどう定義し、確立していくかが重要だと感じています。
ここが難しい点なのですが、単に顧客セグメントで分けてしまうのは本質的ではないと思っています。
もちろん、PLGのアプローチだけでもエンタープライズの顧客にIVRyのプロダクトは受け入れられるでしょう。
でもさらにスピード感を上げていくことを考えているので、新たな戦略が必要ですね。
奥西:
たしかにそうですね。
エンタープライズのお客様の提案に向けて、ソリューションセールスという概念を深く理解すると、SLG領域だけでなく、ミドル領域やSMB領域に対しても、より質の高い提案ができるようになります。
これまでは確率論、つまり導入数を追いかけることに近かったかもしれませんが、より顧客に価値を届けるためにはどんな提案ができるか?SLGの立ち上げによって、その顧客への提供価値という視点がより一層高まったと感じています。
結果として、PLG領域でも顧客価値の還元が実現できるようになりました。
PLG領域とSLG領域を両立させることの価値は、単に売上や市場規模の拡大、成長速度の向上といったビジネス的な側面だけでなく、顧客に提供する価値そのものが向上している点にあることで、これが最も大事だと考えています。
伊藤:
そうですね。SLG領域にチャレンジしていることで、IVRyに関わってくださるお客様全体への提供価値が高まるというのは、本当にその通りだと思います。
私たちは今、このカオスの中で、マーケットへの提供価値をどう高めていくかを学び、磨いている最中だと感じています。
ちなみに、奥西さんは創業時からエンタープライズへの展開を見据えていたんですか?
奥西:
代表電話などの単一的な導入だけではなくてそのお客様が保有されている複数店舗や複数の営業所向けへの展開は創業時から描いていました。そこには明確なニーズがあると考えていましたから。
ただ、最近ニーズが明確になってきたコールセンター向けの取り組みなどに関しては、既に多くのソリューションが存在していたため、私たちがこの課題解決にむけてサービスを提供するべきかどうかは、判断できていませんでした。
参考note:IVRyの2024年のAIプロダクトの進化を振り返りとAIによるコンタクトセンターの可能性
しかし、ChatGPTのような大規模言語モデルの対話技術が登場し、さらに弊社にGoogle USで音声アシスタントを開発していた花木さんのような優秀なAIエンジニアが加わってくれたことで、状況は変わりました。
私たちが提供する対話システムの質が、他のコールセンター向けサービスと比較しても遜色ないことがわかりました。
こうした中で、「やっと戦える土台ができてきた」という感覚が芽生えましたね。
テーマ②:SLGに着手して直面した課題と対応策
伊藤:
現在、SLGで直面している課題と、その解決に向けた試行錯誤についてお聞かせください。田井さんからお願いします。
田井:
一番の課題は、SLGとPLGでは仕組みが根本的に違うということですね。何を継続し何を変えるか、一つひとつの判断が難しいです。
ありがたいことに、IVRyにはマーケティング経由で多くの問い合わせが来ます。これら全てに対応していると、今時間を割くべきお客様に十分な時間を割けません。限られた時間の中で、問い合わせ経由のお客様と、こちらから積極的にアプローチするお客様のどちらを優先するか、そのバランスを取るのが非常に難しいです。
ここには、仕組みだけでなく、メンバーの意識改革も必要だと感じています。
これまでは、プロダクトに魅力を感じてご連絡をくださるホットなリードに慣れてしまっていました。しかし、SLGでは、こちらから「弊社の製品で御社の課題を解決できます」と提案しに行く必要があります。この意識と行動の変化が、現在の大きな課題です。
奥西:
ターゲットを絞り込んで考えることで、本当の意味でお客様のインサイトを深掘りできます。そこから自然と良い提案が生まれ、結果的にそれが結果につながると思います。
商談リードが多いことはありがたいことですが、お客様一人ひとりのことを深く考える時間がどうしても少なくなってしまいます。
伊藤:
なるほど。IVRyはこれまで「The Model」で、ホットなリードが次々と入ってくる状態で成長してきました。一方、SLGではリードを積極的に獲得しにいく必要がある。このギャップに、まず向き合っているということですね。
田井:
「リードナーチャリング」という概念は、ホットなリードだけを営業に渡すという点で、効率的なファネル型モデルとしては正しいのかもしれません。しかし、私たちがこれからアプローチを強化すべき、SLG領域のお客様に対しては、現状の取り組みでは不十分です。従来のファネルの考え方を大きく変える必要があります。
奥西:
つまり、物事の構造が根本的に違うからこそ、自然と動きも変わってくるってことですよね。この新しい「ゲームルール」をどう認識し、自分たちの行動に落とし込んでいくかが非常に重要だと考えています。
実は、これはカルチャーの話にも通じていると思っています。
グローバルで見ても、PLGとSLGを両立させるのは非常に難しい課題だと言われている中で、IVRyがこの課題にどう挑戦していくか。
それは、顧客価値をいかに最大化するかという共通認識を、社内全体でいかに持ち続けられるかにかかっています。
単に契約数で勝負するのではなく、顧客価値に軸を置き、社内での密なコミュニケーションや、顧客目線のプロダクト開発など、複雑ながらも多くのことをやっていく必要があります。
それがまた面白いなと感じています。
伊藤:
私もそう思います。
お客様のビジネスモデルや業務フローを深く理解し、それに対してどのような提供価値があるのかを語る機会が明らかに増えました。これは、お客様への貢献に繋がる議論が増えたということだと感じています。
ここで、また質問をいただいています。「エンタープライズ企業へのファーストタッチから事業インパクトが出るまでにどのくらいの期間を要するか」。田井さん、いかがでしょうか?
田井:
プロジェクトを開始してから3ヶ月から6ヶ月ですね。
事業インパクトについては、プロジェクトを開始してから3ヶ月から6ヶ月で、ある程度の効果がわかるようにしないと、どんな会社や製品でも継続して活用いただくのは難しいと考えています。
エンタープライズだからといって、長い期間を許容できるわけではありません。
一方で、コールセンターのシステムをすべて切り替えるとなると「完了まで3、4年かかります」など事業全体へのインパクトが出るまでには非常に長い期間を要することもあります。SLGでは非常に長いスパンで物事を考える必要もありますね。
テーマ③:SLG戦略を実行する中で、組織におきた変化
伊藤:
PLGからSLGへと事業展開を進める中で、実際に組織にどのような変化がありましたか?
奥西:
マーケティング活動もセールス活動も、PLGとSLGでは大きく異なるので、組織もまったく違うものを作っている感覚です。
必要なスキルセットも当然変化しています。マーケティング、セールス、カスタマーサクセスの各領域で、求められるアプローチはまったく異なります。
また、お客様との向き合い方が違うので、PdMの配置もターゲットに合わせて考える必要があります。立ち上げ期なので、PdMがプリセールスやBizDevのような動きをすることもありますね。もちろん外部からの採用も考えなければなりません。
SLG領域は、「新規事業」だと捉えることが非常に重要だと思っています。
新規事業と捉えることで、「IVRyにとってのエンタープライズに最適な活動方法は、誰も知らない」という前提に立てます。
だからこそ、私たちのValueで言う「Beyond the Wall」、様々な垣根を越えていくことになります。
新しい問題がたくさん出てくるのが当たり前なので、それらをどう解決していくかを楽しみながら考えていく。このマインドセットの違いは非常に大きいと感じています。
より難易度が増しているのは、実はマネジメントレイヤーだと思います。マーケティング、セールス、カスタマーサクセスのいずれにおいても、PLGとSLG両方の力学を理解してマネジメントしていく必要があります。これまでどちらか一方だけを理解していればよかったマネジメントの複雑度が、今は格段に上がっています。
しかし、逆に言えば、これは面白いビジネスモデルをもう一つ手に入れたという感覚です。この状況を楽しめるかどうか、それが鍵になるのではないでしょうか。
伊藤:
ここで2つ質問をいただいたので回答をお願いします。
1つ目は「SaaSスタートアップ企業がエンタープライズ市場を目指す際の重要なポイントや教訓を教えてください」という質問をいただいています。
奥西:
まず、スタートアップはどの領域を狙うか考えますよね。
もし最初からエンタープライズ領域を選ぶのであれば、エンタープライズ市場に特化している企業、例えばプレイドさんやSansanさんのような会社からヒントを得るのが良いかもしれません。
全領域を目指すのであれば、どちらから立ち上げるかによりますね。国内だけでなくグローバルでも、SMBからエンタープライズに広げる方が比較的簡単な意思決定だと言われています。一方で、エンタープライズからSMBに行くのは非常に難しい意思決定です。
もし両方を目指すのであれば、私の肌感覚としては、やはりPLGから始めるのが良いと感じます。ただ、現在の市況環境を考えると、エンタープライズから始めた方が事業として数字を出しやすい側面もあるでしょう。
PLGで売上1億円を作るのに、私たちは2年かかりました。それでも「すごく早い」と言われていて、通常は3〜4年かかることも珍しくありません。
そう考えると、PLGで4年かけて1億円を作るのと、エンタープライズで売上50億〜100億円規模を目指す中で、1社で1億円の売上を作るために頑張るのとでは、意思決定の難しさがまったく違うんです。これが、エンタープライズからSMBに行く難しさだと感じています。これはグローバルでも共通して言えることですね。
伊藤:
ありがとうございます。
ご質問の2つ目は「組織立ち上げ期とのことですが、いつまで立ち上げ期と考えていらっしゃいますか?人数規模やフェーズなど、IVRyとしてのお考えを教えてください」。
いかがでしょうか?
田井:
私としては、「ずっと立ち上げ続ける」というマインドを持つ人もいて良いと思っています。
結局のところ、成長曲線がどこまで伸びるかということですよね。どんなに優秀な組織でも、どこかで成長の勢いが安定してくるはずです。その曲線が緩やかになってくると、効率性が求められるフェーズに変わるのかなと。
規模に関係なく、事業の「発射角度」がどう変化するかでフェーズが変わる、と考えています。
ずっと立ち上げフェーズのままで、すごい成長曲線を描き続けることも可能だと思います。まさに「ずっと立ち上げ」という言葉の通りです。
奥西:
一般的には「立ち上げ期」「成長期」「成熟期」というフェーズがありますよね。立ち上げ期から成長期へ移行するタイミングは、PoCフェーズからPMFフェーズに入るような感覚に近いと思っています。
社内で「この活動をすれば、こういう確率で、こういうレベニューが得られるはずだ」という蓋然性(方程式)がある程度確立できたなら、それが「成長期」です。
そこにリソースを投じていける状態ですね。それまでは、探索が多いため「スーパー立ち上げ期」と呼べると思います。
特にエンタープライズの場合、例えば飲食領域で成功を収めたとしても、次にホテル領域で必ず成功するとは限りません。そのため、SLG領域は「立ち上げ期」の連続になりやすいかもしれませんね。多くのケースで、マルチバーティカル(複数の業種分野)で展開していく必要がありますから。
田井:
私自身、セールスフォースに8年間いた時もずっと立ち上げ期でした。
本国が毎年マーケティングクラウド関連で新しい製品を買収し、それを既存の製品に組み込んでいく組織を立ち上げる、ということをやっていたので、毎年「立ち上げ」をしているような感覚でしたね。
安定した成長期にあるプロダクトと、立ち上げフェーズのプロダクトが混在しているような状況でした。
伊藤:
IVRyの場合、今後もサービスが増え続ける可能性があるので、結果的に「ずっと立ち上げ期」という状況が続くのかもしれませんね。
テーマ④:SLGを立ち上げたことで得られた成果と次の挑戦、ユニークなポイント
伊藤:
最後に、お二人がSLGの取り組みを通じて得られた成果について伺いたいと思います。
ポジティブな成功体験はもちろん、失敗談も含めて、特に印象に残っていることは何ですか?まず田井さんからお聞かせいただけますか。
田井:
成果という意味では、私たちが目標としていた企業様との契約が進んでいることです。「このグループ企業様に導入いただきたい」「この企業様と組めばインパクトが大きい」と感じていた契約を実際に獲得できている。
私は入社してまだ4、5ヶ月ですが、かなりのスピード感で契約が決まっているのは大きな成果だと思います。
それに伴い、今後の拡張に必要な「足りないもの」が山ほど見えてきたことも、また大きな成果だと捉えています。
今後のチャレンジポイントは、マンパワー頼みではなく、いかに組織として取り組んでいくかということです。そのためにどのような役割が必要か、またどのような経験値を持った人をどこに配置すべきかなど、具体的なポストのイメージが見えてきた段階です。
伊藤:
奥西さんはどうですか?
奥西:
一番の成果は、社内で「これまでの延長ではなく、SLGという組織もつくって進めるのが良い」という共通認識ができたことだと思っています。SLGという冠をつけたのが良かったのかもしれません。
数字での成果も出始めていますが、それ以上にこの「空気」を作れたことが、実は大きな成果だと感じています。
一方で、ソリューションセールスの「当たり前」を知っている人材が、IVRyにはまだ足りていません。もっと当たり前にできるはずのことが、まだまだできていないと感じることが多々あります。
さらに言えば、私たちのミッションである「最高の技術を、すべての企業に届ける」という活動が、まだ100%の出力でできているとは言えません。
要するに、やりたいことに対して人が足りません(笑)。ぜひ、今日の話を聞いて少しでもご興味お持ちいただけた方はIVRyに加わっていただきたいですね。
田井:
本当にそうですね。
お客様に会いに行くと、AI活用の課題解決において「これが正解だ」という明確な答えを持っている人がまだいないと感じます。
皆、ぼんやりと課題は見えているけれど、どう解決すれば良いかは手探りな状態なんです。だからこそ、このタイミングでの提案の仕方や、どうリードしていくかで、今後の市場全体の方向性が変わる可能性を秘めていると感じています。
「この規模の企業なら、自分たちで何でもできるはずだ」と思えるような大企業も試行錯誤しており、私たちに相談くださるケースが非常に多いんです。
もちろん、IVRyのメンバーだけでその全てを網羅的に解決できるかというと、まだまだ足りませんし、様々な協力や人材の増強が不可欠です。それだけ機会が山ほどある。「足りないものが山ほど見える」ということが、実は一番の成果だとも思います。
奥西:
日本でPLGとSLGの両方を実現できているSaaS企業はおそらくまだないと思っています。
私たちはその実績を作っていきたい。
投資家の方々と話していると、「IVRyはPLGとSLGどちらを選ぶんですか?」とよく聞かれるんです。
私はずっと「どちらもいけます」と答えているのですが、実際に両立に成功している事例が少ないため、本来は両方で展開できるはずのプロダクトの可能性を閉ざしている部分もあるのではないかと感じています。
大企業で両立できているところはありますが、彼らはスタートアップとは異なり、潤沢なアセットがあります。しかし、私たちは「アセットがないから無理」というわけではなく、工夫次第でそれが可能だと信じています。
このプロセスをクリアできれば、それは日本だけでなく、世界でも通用するモデルになるはずです。
グローバルにも通用するような事例を作っていきたいですね!
伊藤:
前向きな話が多くなりましたが、あえてネガティブな点を挙げるとすれば、どんなことがありますか?
奥西:
事業全体が複雑になったのは間違いないと思います。組織マネジメントも事業マネジメントも、すべてのレベルを一段階引き上げないといけないと感じています。
先ほど話したように、マネジメント層を含めて、これまで持っていたケイパビリティを2倍以上にしないといけないような感覚です。一つのビジネスモデルだけをやっていれば良い、というシンプルな状況ではなくなりました。
IVRy自体、元々多様な事業展開を目指すコンセプトなので、新しい取り組みに対しては受け入れられている気がしますし、皆も「新しいものができて面白い」と思ってくれています。
ただ、事業マネジメントや事業計画を立てる側からすると、とんでもなく複雑なことをやっているなと感じることはあります(笑)。
田井:
係数の使い方が全然違いますからね。
奥西:
ですね!でも、複雑なことをやっている一方で、効率が良いと感じる部分もあるんです。だからこそ、私たちはこれを信じて進んでいますし、もっとシンプルにできないかと常に考えています。これはネガティブなことではないですが、一般的には難しいことを始めている、という感覚はありますね。
伊藤:
確かに、SLGが始まったからこそ得られる成果もある一方で、事業としての難易度がぐっと上がった、という感じですね。
奥西:
あとは、僕がもっとセールス活動に深く関わるべきだとも感じています。本当はもっとコーディングをしていたいのですが(笑)。
田井:
昔ながらのレガシーなルールや慣習に合わせつつも、新しいことを進めていかなければならないこともあるので、バランスを取るのが非常に難しいと感じることもあります。
それぞれの業界特有のルールや既得権益のような壁を一つずつ乗り越えていかなければなりません。
奥西:
私たちのビジョンやミッションは、「テクノロジーを使おう」という側面よりも、「ちゃんとお客さんに届けよう」という思いが非常に強いです。
だからこそ、慣習や業界特有のルールや文化を理解した上で、どう実装していくかを考え抜きたい。それを社内のカルチャーやモチベーションとして根付かせることには、こだわり続けるべきだと感じています!
今回のウェビナーレポートを通じて、IVRyのエンタープライズセールスに対する想いと、その中で直面するリアルな課題、そして未来への大きな可能性を感じていただけたら嬉しいです。
この記事を読んで「IVRyのことがちょっと気になるな」と思っていただけた方は、カジュアルなつながりから始めませんか?
IVRyでは以下の2つの方法をご用意しています。
①キャリア登録(情報収集をご希望の方に)
イベント情報や新しい募集ポジションなどをお届けします。まずは情報収集から、という方におすすめです。
②カジュアル面談(まず話してみたい方に)
IVRyの社員とざっくばらんに話す場をご用意しています。選考ではございませんので、お気軽にエントリーください。
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