自分の子ほど齢の離れたバ
イク乗り仲間の人を先日市
内街中の老舗模型屋に連れ
て行った。
目を丸くしてぶったまげて
いた。
超レアなお宝プラモが山積
みの古い店だったからだ。
後日連絡が来て、バイクの
プラモを買おうと思うのだ
が、貴方が欲しいのを買っ
てしまうといけないので、
どの機種がほしいのか教え
てくれ、それは買わないで
おくから、との事。
若いのに妙なとこで筋を通
す人だ(笑
飲食店を自分で経営してい
る人。
私が買おうかと思っていた
機種を何点か言ったら、了
解との事だった。
バイクのプラモ作りは学生
の時に仲間内で一時ハマっ
た。
かなり丁寧にリアルに仕上
げた。
一番笑えたのは、私と2個上
の先輩が作った「学生運動
シリーズ」だった。
タミヤの1/35戦争シリーズ
の人体モデルを使って魔改
造して、塗装もリアルに仕
上げたものだ。某セクト上
層部からは「趣味的だ」と
痛烈な批判を受けたが、お
構い無しで作り続けた(笑
「10.8羽田」「1968神田カル
チェラタン」「エンプラ闘争」
「10.21新宿」「防衛庁突撃」
「東大安田砦攻防」「78三里
塚管制塔占拠」等々、ジオ
ラマ含めてくっそリアルに
再現したモデルを作った。
セクトもあらゆるセクトを
網羅した。特に中核派など
くそリアルだし、ブントも
青解もべ平連も四トロも黒
ヘルノンセクトも超リアル
だ。セクトごとに着る物の
特徴があった傾向性まで再
現して。
見た人皆が「何これ?」と
細部までリアルなので驚き
ながら笑っていた。
私の部屋に遊びに来た時、
その作品を実際に観た先日
亡くなった学生時代のバイ
ク仲間の友はめちゃくちゃ
面白がって、「これ、企画
持ち込みでメーカーに働き
かけるから貸してくれ」と
人体模型のみ全部持って行
った(笑
さすがにまだ学生運動の残
り香があった社会世相の時
代だからか、企画持ち込み
はどのメーカーでも採用さ
れなかったようだ。
友は先日亡くなったが、多
分まだその時のガクセーウ
ンドシリーズプラモの私が
作った作を持っていたかも
知れない。
私の公道用革ツナギやブー
ツだけでなく事後のTZレー
サーも彼のとこに行ったし。
ただし、「え?」と思う事
がその後あった。
プラモデルメーカー各社か
ら、「なつかしシリーズ」と
か何とか称して、昭和の街
の風景や人たちをモデリン
グしたシリーズが相次いで
発売されたのだ。それまで
にそうしたシリーズは存在
しなかった。
もしかすると、先日亡くな
った友人が持ち込んだ企画
が形を変えてメーカー発案
として製品化されたのでは、
と私は踏んでいる。
あまりにもタイミングがジ
ャスト過ぎるからだ。
過去にも似たような事例は
あった。
エアソフトガンのホップア
ップシステムや、電動化等々。
ホップシステムを私が宮益
坂の国本さんに告げた時に
はかなり食いついて来て、
実際に店外の坂まで「こっ
ち来て」と国本氏は言って
私を連れ出し、「どのあたり
まで弾が届けばいい?」と
私に横で言ったりした。
「直進弾道であそこあたり」
と標識を指して言うと国本
氏は「30メートル。いや、
32メートルか」と言う(ママ)。
「よく細かい距離判ります
ね?」と私が言うと、ドヤ
顔で「そりゃ判るよ」と氏
は言ってた。
江川投手の球が浮く事、カ
ーブの理屈等を言って、丸
玉に逆回転をかけるとマグ
ヌス効果で軌道が浮くが、
重力と相殺される区間では
丸玉は直進する、という事
を私が告げると、本当に本
気で国本さんは食いついて
きて、研究する、との事だ
った。
だが、後日WAに顔を出し
たら、あれは原理自体はも
う御徒町のショップが特許
として取得しているため、
別方法でやらないとならな
いので、すぐの実現化は困
難だ、との事を言っていた。
私はその時、丸弾に逆回転
をかける発想と構造が既に
特許権を一ショップが取得
していたというのを初めて
知った。私の方法とは別構
造だが。私の発案はそのシ
ョップのように突起で玉を
ひっかくのではなく、ゴム
のOリングの摩擦を使う単
純な物だった。実際に自分
の手動エアコッキングガン
には施工して、伸びる直進
弾道にゲームエリアでは不
思議がられていた。但し、
弾丸の重量がとても重要な
ファクターで開発途上だっ
た。マガジンについても
多段数マガジンなど存在
しない時代に、フォアジャ
ケット内に自重落下式の内
装マガジンを設置して、挿
入口には銀玉鉄砲のスライ
ド式の蓋を移殖させていた。
まだ、ガスガンが登場する
以前。ケース式からケース
レスにするのを各個人がカ
スタムで行っていた時代。
国本氏にホップの件をもち
かけたのはようやくケース
レスガスガンが登場した頃
だった。マグナが時代を先
行して切り拓く前の時代。
プシュプシュのノンスライ
ドガスガンの頃だ。
特許権については裁判を抱
えようとしている時期だっ
たので、WAはセンシティブ
になっていたのかも知れな
い。
形を変えて、別メーカーか
らホップアップシステムが
製品化されたのは、その時
から6年後の事だった。
WAもホップシステムは導入
したが、ゲーム用ではなく
射的用としてのトイガンで
は、国本さんは最後までノ
ンホップにこだわっていた
のも、何か思うところがあ
ったからだろう。
模型は面白い。
プラモもトイガンも。
日本は漫画と同時に世界に
誇る文化としてプラモデル
という物が存在する。
今の若い人たちはマニアし
かプラモを作らないようだ
が、高度経済成長期に子ど
も時代を過ごした私の世代
は、まず男子はほぼ全員が
プラモ作りをした経験があ
るのではなかろうか。
うちの妻でさえプラモを作
ったりしていた。成人後か
なり経ってからも。
ある日、互いに独身の頃、
家に遊びに行ったら作りか
けの未塗装のプラモがある。
「ゲゲゲの鬼太郎」のこな
きじじいだ。(児啼爺)
「なにこれ?変なの(笑」
と言ったら「かわいいから
買って来た」(ママ)と。
かわいいかどうかは個人の
価値観として置いといて、
別段プラモ作りが好きでも
ない人さえ街のおもちゃ屋
に立ち寄ってプラモを買っ
て作ろうとするんだ、とい
うところに「同時代性」を
見た思いがしたのだった。