25万人のDNAが語る、縄文人と現代日本人の驚きの関係とは
この記事は「現代人日本人の遺伝的・表現型多様性の起源を解明 ―古代狩猟採集民族が現代日本人へ残した遺伝的遺産―」をより多くの方に知っていただくため、専門的な内容をできるだけ身近な言葉で説明しています。正しい内容が知りたい方は、元のプレスリリースをチェックしてくださいね。
みなさん、こんにちは!今回は、考古学と最新の医学技術が出会うことで明らかになった、とてもワクワクする研究成果についてお話しします。金沢大学を中心とした研究チームが、私たち日本人のルーツについて、これまでにない方法で探り当てたんです。
サクッと内容を知りたい方はPDFを見てね!
巨大な「遺伝子の地図」を作ってみたら
この研究がすごいのは、約25万人もの現代日本人の遺伝情報を集めたバイオバンク・ジャパンのデータと、はるか昔の縄文人のDNAを最新技術で比べたこと。研究チームは、地域情報や主成分分析という特殊な方法を使って、私たち日本人の遺伝的なルーツを丁寧に紐解いていきました。
発見その1)日本人は「三層構造」だった!
研究で分かったのは、現代の日本人のDNAには、三つの異なる先祖からの遺伝情報が組み込まれているということです。具体的には、縄文人、北東アジアからの人々、そして東アジアからの人々のDNAです。面白いことに、この割合は地域によってかなり違います。例えば、北海道の一部や琉球諸島では、他の地域に比べて縄文人のDNAの割合が特に高いことが分かりました。
発見その2)縄文人から受け継いだDNAの意外な影響
さらに驚くべき発見がありました。研究チームは最新の解析技術を使って、現代人のゲノムから縄文人に関連する132個もの遺伝子の特徴(遺伝子多型)を見つけ出したのです。これらの遺伝子は、とても長い区画で一緒に受け継がれていることも分かりました。この発見は、縄文人が長い間、比較的小さな集団で暮らしていたことを物語っているんですよ。
そして、この縄文人由来のDNAの割合が高い人ほど、BMI(体格指数)が高くなる傾向があることが分かりました。これは日本だけでなく、なんとイギリスのUKバイオバンクで確認された東アジア系の人々でも同じ傾向が見られたのです!驚きですよね。
この研究が私たちの未来を変える?
この研究の面白いところは、単に私たちの祖先を知るだけでなく、現代の医療にも役立つ可能性があるということです。例えば、縄文人から受け継いだDNAと体型との関係について理解が深まれば、将来的には個人に合わせた健康管理のアドバイスができるようになるかもしれません。もちろん、これはまだ研究段階の話ですが、とても期待が持てる発見なんです。
これからの研究に期待!
今回の研究チームは、まだまだ新しい発見の可能性を追いかけています。例えば、縄文時代より前に日本に住んでいた人々のDNAや、古墳時代以降の人々のDNAなど、まだ調べられていない時代がたくさんあるんです。これらを解明することで、私たち日本人のルーツについて、もっともっと詳しいことが分かるようになるでしょう。引き続き注目していきたいですね!
その疑問にQ&Aでお答えします!
Q1: 「縄文人のDNA」って、どうやって手に入れたんですか?
縄文時代の人骨から抽出したDNAを使用しています。近年の技術進歩により、何千年も前の骨からでもDNAを抽出し、解析することが可能になりました。このような古代DNAの研究は、2022年にノーベル生理学・医学賞を受賞したスヴァンテ・ペーボ博士らによって大きく発展した分野なんですよ。
Q2: バイオバンク・ジャパンって何ですか?
バイオバンク・ジャパンは、約27万人の日本人の方々から提供された血液や臨床情報を保管している国家的プロジェクトです。2003年にスタートし、51種類の病気に関する研究に活用されています。参加者の方々の同意のもと、DNAや血清が保管され、医学研究に役立てられているんです。
Q3: BMIと縄文人のDNAには、本当に関係があるんですか?
研究では、縄文人由来のDNAの割合が高い人ほどBMIが高くなる「相関関係」が見られました。ただし、これは直接の原因というわけではありません。生活習慣や環境など、他の要因も大きく影響します。興味深いのは、この傾向が日本だけでなく、イギリスの東アジア系の人々でも確認されたことです。
Q4: 「三重構造」って、日本人全員が同じ割合なんですか?
いいえ、地域によって大きく異なります。例えば、北海道や琉球諸島の方々は、他の地域に比べて縄文人のDNAの割合が高い傾向にあります。これは、その地域の歴史や人々の移動の歴史を反映していると考えられています。
Q5: この研究は将来の医療にどう役立つんですか?
例えば、特定の病気のなりやすさと遺伝的背景との関連を理解することで、より効果的な予防医療が可能になるかもしれません。ただし、これはまだ可能性の段階で、実際の医療応用にはさらなる研究が必要です。遺伝的な特徴は参考情報の一つであり、健康は生活習慣など様々な要因によって決まります。
Q6: 自分の縄文人DNAの割合を調べることはできますか?
現時点では、一般の方が個人レベルで縄文人DNAの割合を正確に調べることは難しいです。この研究で使用された解析方法は、大規模な研究用のものであり、個人向けのサービスとしては確立されていません。
Q7: なぜイギリスのデータも使用したんですか?
研究結果の信頼性を高めるためです。UKバイオバンクという大規模なデータベースで同じような傾向が確認できたことで、この発見の普遍性が強まりました。また、環境が異なる地域でも同じ傾向が見られたことは、この関係が偶然ではない可能性を示唆しています。
Q8: 今後の研究でどんなことが分かる可能性がありますか?
縄文時代よりも前の時代や、古墳時代以降の人々のDNAを調べることで、日本人の形成過程をより詳しく理解できると期待されています。また、特定の病気との関連や、地域特有の遺伝的特徴についても、新しい発見があるかもしれません。このような研究は、私たちの健康管理や医療の発展にも貢献する可能性があります。
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コメント
3ある程度知っていたけど、面白かったです。
ところで、県別でハプログループの割合を出しているデータなどがありましたら、ぜひ教えてください。(東大の研究があったのですが、HPから消えていました。)
よろしくお願いします。
https://research-er.jp/articles/view/98234
要望に沿ってるかわかりませんが、このページの論文が近そうですね。
さっそくありがとうございました。調べてみます。