性犯罪を犯した教師の供述を見ると、当初からそういう意図をもって教員免許をとったというのはそこまで多くない。5〜10年単位でキャリアを積み担当をもち、立派に仕事をこなせるようになる。生徒と交流するうち、「他の子はなんにも感じないけど、この子はいいな」という気持ちがふと生まれ、「あれ?子どももいいな?」と気がついてしまう。教師としてのキャリアがあると、「つけいる隙」を見つけるのは簡単であり、容易に犯意を達成することができる。
なぜ、大人になってから「目覚める」のか。最新の研究では、性指向は後天的に形成されることがわかっている。異性愛者になるのか同性愛になるのかは環境との相互作用で変わってくるし、成人以降に変化することもありうる。その理屈から言えば、教師という職業を続けること自体が、小児性愛指向を発現させるトリガーになりうるし、いつ発現するかを予測することは大変困難だ。なお、未成年生徒に対しての性加害率は、非教員のそれを1とすると、教員の性加害率は1.46だという。
小児性愛衝動に目覚めた教師に対して、児童と関わらない形でセカンドキャリアの道を示すことができないだろうか。現時点では、小児性愛者であるとの申告それ自体が社会的な死を意味するが、その構造自体が犯罪を生み出す温床になっている。加害を起こす前に転身する道をつくるべきだ。