連日のように全国で最高気温が35度を超える猛暑日が観測される中、暑さをしのぐのに欠かせないサーキュレーターやエアコンの偽広告が問題化している。有名企業や大学による共同開発をかたり、「1秒で20度冷却」と現実離れした性能をアピールして商品を販売。交流サイト(SNS)上では「全く使えないものが届いた」などと被害を訴える声が出ている。
「今世紀最大の発明です。パナソニックは東京大学科学院と30年かけて最新型ミニエアコンを開発しました」
偽広告とみられる動画の一つを再生すると、大手家電メーカーのパナソニックをかたる宣伝が流れる。首掛け型の小型ファンで外気温40度の環境でも体感温度を20度下げるという。
通販サイトに移動すると、小型ファンが通常価格2万6950円の8割引として5390円で販売されている。動画ではパナソニックの社名をかたっているが、サイト下部に記載されている会社の所在地は中国となっている。
パナソニックはこうした商品の開発や販売に関わっておらず、8日に公式サイトで「ウェブサイトやソーシャルメディアを通じたパナソニックの名をかたる広告にご注意ください」と注意喚起した。
偽広告はユーチューブやTikTok(ティックトック)などのソーシャルメディアを中心に確認されており、通販サイトに誘導する仕組みになっている。11日時点でユーチューブで「サーキュレーター」や「冷房」と入力し検索すると、ページ上部に偽広告が表示される状態になっており、暑さをしのぐ商品を探す消費者をターゲットにしているとみられる。
ほかにもアイリスオーヤマや東京工業大学による開発をうたったり、大手家電量販店の画像を使ったりして信頼性をアピールする広告が確認されている。
パナソニックには偽広告を見た人から複数の問い合わせが来ているといい、同社の担当者は「当社とは無関係で、大変遺憾」としている。(桑島浩任)