今の若い人にはもう伝わらず、インターネット老人は耳を塞ぐアレだ。
Yahooか何かが提供していたテンプレートを使ったインスタントなページで、細々日記の更新や掲示板での交流を楽しんでいた。
しかし高校受験に入ると時間がなかったり興味が他に移ったりして、ある時俺はホームページを削除することに決めた。
元々大して熱量のないホームページである。高校に受かった俺はホームページのことなんてすっかり忘れて日々を過ごしていた。
一年後、俺16歳。パソコンのメールボックスに見慣れないアドレスからのメールが入っていた。
今と違ってインターネットは非常に閉じた空間だったこともあり、最初に思ったことは「え? 俺がホームページ持ってたことをなんで知ってるん?」だったように思う。
メールの本文は剣呑そのものだった。さすがに一言一句覚えちゃいないが、要約すると内容はこうだ。
「貴殿が管理されている掲示板に弊社に対する誹謗中傷が書き込まれており、営業妨害になっている。当該書き込みを削除しなければ、訴訟により貴殿に損害賠償を請求する!」
あっ! そういえばホームページはYahooで作ったけど、掲示板はどっかの掲示板レンタルサービスで作ったのをリンクしただけだった!
(読んでて意味がわからない方、昔のインターネットはこういう構造があったんだと思って読み流してください)
メールを送ってきた会社を調べてみるとホームページがあった。どうもフィリピン人女性を日本人に嫁として斡旋している会社のようだ。しかもなんの偶然か隣町にある。
「フィリピン人女性は日本人女性のように高慢でもわがままでもなく、あなたの伴侶にぴったりです・・・」
おめーんとこもロクでもねーな!!
しかし困った。掲示板をリンクしていたホームページは消してしまったから掲示板に辿り着く術がない。管理パスワードは覚えてるけど・・・
意を決して俺は検索窓に「自作小説掲示板」と打ち込んでエンターキーをターン!!した!
するとなんということか、検索結果の7番目くらいにその掲示板はあった。
(読んでて意味がわからない方、SEOが無かった時代のインターネットはこういうことができたんだと思って読み流してください)
開いてみるとそこには確かに先述の会社を中傷した書き込みが一件だけあった。
これ見つけて連絡してくるとかどんだけ暇なんだよ・・・などと思いつつ、俺が学校に襲いかかる怪人を薙ぎ倒す連続小説を掻き分けて管理者画面に入り、掲示板ごと書き込みを削除。
16のガキだったので訴訟してきた会社には掲示板を削除したことをしっかり報告し、迷惑をかけたことを詫び、損害賠償もされずに今に至る。
ちなみに後日その会社からはフィリピン人嫁を紹介するメールが来た。
嘘のような誠の話おわり。
teacup
ここすき☺️ 俺が学校に襲いかかる怪人を薙ぎ倒す連続小説を掻き分けて管理者画面に入り