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あの「無償化」の訴えはどこに… 学費を上げる大学は続々と、奨学金に頼る学生の思い

2025年7月10日 05時10分 (7月10日 05時10分更新)
 参院選では、多くの政党の公約に、高等教育(大学、専門学校など)の負担軽減策が盛り込まれた。昨秋の衆院選でも各党が高等教育の「無償化」を掲げたが、めどは立たないまま。近年は学費の値上げに踏み切る大学が相次ぐ一方、奨学金に頼り、経済的に苦しい学生が増えている。学生らは「学費の値上げは死活問題」として、候補者や政党の主張に耳を澄ましている。

女性が利用する貸与型奨学金の証書。月額10万円、4年で480万円を利用し、学費に充てている=名古屋市で(一部画像処理)

 480万円。「奨学金という名の借金。でも借りないと、学費が払えない」
 愛知県内の私立大3年の女性(21)は、複雑な表情を浮かべた。ファイルから取り出した1枚の書類には、卒業までの4年間で利用する奨学金の貸与額が記されていた。
 九州地方の出身で、将来の選択肢を広げようと愛知県内の大学に進学した。「自分で決めたから」と、学費や生活費のほとんどを自身でまかなう。平日は講義、週末はアルバイトを詰め込み、自由な時間はほとんどない。
 「そもそも高卒で地元で働いていたら、逆にお金を稼げていたのに」。時折浮かんでくるそんな考えを振り払う。
 奨学金を利用する学生の割合はこの25年ほどで2・5倍に増え、今では2人に1人が利用しているとも言われる。一方で、物価高を背景に学費を値上げする大学は相次ぐ。
 ウェブサイト「学費ナビ」を運営するアイガー(東京)によると...

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