国交省が標準化を検討する「置き配」…賃貸管理で生まれる負担とリスク

国土交通省が宅配便の置き配を標準化する検討を本格化 賃貸管理の現場では冷めた声も

記事まとめ

  • 国土交通省が宅配便の「置き配」を標準化する検討を本格化させている
  • 諸外国に比べると、追加料金なしで何度でも配達してくれる日本の宅配サービスは珍しい
  • 思い切った変化の一方で、賃貸管理の現場では置き配標準化に冷めた声もある

国交省が標準化を検討する「置き配」…賃貸管理で生まれる負担とリスク


(住宅側の負担は増える)

【不動産業界 噂の現場】

 国土交通省宅配便の「置き配」を標準化する検討を本格化させている。ドライバー不足による現場の過重労働解消のため、2024年度に再配達率を6%まで引き下げる目標を掲げていたが、実態は9.5%にとどまったことで、抜本的な改革に乗り出した格好だ。改革が進めば不在時は置き配が基本サービスとなり、手渡し配達に追加料金が発生する可能性もあると伝えられている。

 諸外国に比べると、追加料金なしで何度でも配達してくれる日本の宅配サービスは珍しい。アメリカでは不在なら玄関先に置き配するのが当たり前で再配達という概念がそもそもない。そのため、ポーチパイレーツと呼ばれる置き配泥棒も横行している。欧州でも再配達は依頼すれば1度だけ可能といった制限が当たり前だという。どこよりも手厚いサービスを享受していた日本人も、世界標準に合わせる時が来たのかもしれない。

 思い切った変化の一方で、住宅管理の現場では複雑な事情が絡み合う。そもそもマンションにおいて廊下は共用部分であり、物を置くことは原則禁止だった。しかし、国交省のマンション標準管理規約は、21年の改定で「例外的に共用部分への置き配を認める場合には、避難の支障とならないよう留意する」と条件付きで緩和された経緯がある。

 オートロック対応の置き配システムも登場し、Amazonなどが既存マンションに無料で導入可能なサービスを提供しており、利用は進んでいる。

 一方で賃貸管理の現場では置き配標準化に冷めた声もある。関東地方の管理会社担当者は語る。

「何度か入居者宛ての置き配が盗まれたことがあり、そのたびに物件周辺の捜索や誤配がなかったか別の入居者に確認する手間がかかった。防犯カメラなどの追加もオーナーの予算次第で難しく、現場の労力を考えて一部の管理物件では置き配を禁止。何かあっても入居者自身で対応してもらうようにした」

 人手不足なのは管理現場も同じというわけだ。さらに、防犯面での懸念は盗難にとどまらない。

「ストーカー被害の相談を女性入居者から受けたが、警察が介入してみると犯人は置き配で住所や在宅パターンを調べていた。置き配で生活リズムが外部から把握されやすくなれば、犯罪リスクが高まる可能性もある」(前出の担当者)

 置き配の標準化は物流業界の救世主となりうるだろう。しかし、ドライバーの負担を減らすはずの施策が、住宅管理の負担を増やし、住民の生活を脅かすようでは本末転倒だ。住環境の安全は、決して置き去りにしてはならない。

(小野悠史/ニュースライター)

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