Intelはオワコン?AMDやApple製チップの普及と「インテル入ってる」の終焉
AMD『Ryzen』シリーズの猛追
「脱Intel」の潮流と並行して、Intelを揺るがしているもう一つの大きな要因が、長年のライバルであるAMDの猛烈な追い上げです。特に、一般消費者向けのデスクトップPC市場において、AMDのシェアは近年劇的に上昇しました。ベンチマークソフト開発元による統計でも、2025年第1四半期にはAMD製CPUのシェアがIntelから大きくシェアを奪う形で急増したことが報告されています。 この躍進は、単に「Intelより安いから」という理由だけではありません。後述する革新的な技術「チップレット」を採用した「Ryzen」シリーズが、Intel製品を性能面で凌駕する場面が増え、高いコストパフォーマンスを実現したことが最大の要因です。 ■AMDはなぜ、低迷期を乗り越えることができたのか IntelとAMDの関係は30年以上に渡る「ライバル」です。そして長く続いたIntelの黄金時代は、AMDにとって長い苦難の時代でもありました。性能面でIntelに追いつけず、市場シェアも低迷。一時は経営危機さえ囁かれるなど、厳しい冬の時代が続きました。しかし、この状況を劇的に変えるゲームチェンジャーが登場します。それが、2017年に発表された新設計「Zenアーキテクチャ」を採用したCPU、「Ryzen」シリーズです。
「Ryzen」シリーズはそれまでのAMD製CPUの弱点であったシングルコア性能を大幅に向上させると同時に、多くのコアを搭載することでマルチコア性能においてIntelを圧倒しました。特に、動画編集や3Dレンダリング、ソフトウェア開発といった複数の処理を同時に行うプロフェッショナルな用途で、RyzenはIntelの同価格帯の製品を大きく上回る性能を発揮。それでいて価格は競争力のある設定だったため、「コストパフォーマンスのAMD」という定評を獲得しました。
IntelとAMDのCPUの設計思想の違い
では、具体的にIntelとAMDのCPUは何が違うのでしょうか。両社の製品の性能や価格、得意分野の違いは、その根底にある「設計思想」と「製造戦略」の違いから生まれています。 Intelは伝統的に「モノリシック(Monolithic)」と呼ばれる設計を採用してきました。これは、CPUの頭脳である「コア」や、データを一時的に保存する「キャッシュ」、その他の制御回路(I/O機能など)といった全ての要素を、一枚の大きなシリコンウェハ(半導体の基盤)上に作り込む方式です。 この方式には大きな弱点があります。チップが大きくなればなるほど、製造過程で微細な欠陥が一つでも発生すると、そのチップ全体が不良品となってしまうのです。そのため、高性能な多コアCPUを製造しようとすると、製造コストが急激に跳ね上がるという課題を抱えています。