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スーパー戦隊シリーズとCO(中央集権型組織)・DAO(分散型自律組織)の関係性(導入編)

さて、現在ネットの界隈でWeb3.0、いわゆる「DAO」という名前とその概念が話題となっているのだが、個人的には「やっとこの話題が表沙汰になり出したか」と思った。
というのも、既にスーパー戦隊シリーズをこうしたDAOの概念と、その対極となるCOで比較させて戦隊マップを作成し分類を試みた人がいるからである。

こちらでも引用しておくと、「女には向かない職業(仮)」というサイトの「戦隊史学基礎」でこのCO(中央集権型組織)DAO(分散型自律組織)との比較が論じられていた。
Web3.0というものが話題になる前からすでにそのような形態の組織はスーパー戦隊シリーズにて登場していたわけであり、それが同時にシリーズが長続きしてきた秘訣でもある。

それを管理人のえの氏はわかりやすく「公的動機(人類は何をなすべきか?というマクロな動機)」と「私的動機(自分は何をすべきか?というミクロな動機)」に落とし込んでいた。
私がSNSを始めるようになってからこの公的動機と私的動機の関係性について戦隊ファンの間で議論が活性化しているのを知り、それ自体は大変喜ばしいことであると思う。
しかしながら、一方でどうにも議論が表面的というか一面的なところに終始していて、もっと奥深い戦隊シリーズの組織カラーの分類を奥深くまで突き詰めて研究しようとまではいかない。
曲学阿世とまではいかなくても、どうも「これは公的動機か私的動機か?」という議論ばかりが起こっているし、私自身もそこから先に理解が深まらず行き詰まっていた。

ところが、改めてこのCO(中央集権型組織)とDAO(分散型自律組織)という概念が登場し、そのことについて勉強すると何故議論が進まないのか理由が分かった気がする。
日本人はその国民性・民族性の観点からどうしても後者についてピンと来ていない人がほとんどであること、そして公的動機が私的動機よりも優れているという無意識の思い込みがあるからだ。
歴代戦隊を1つ1つ見ていくと、「名作」「傑作」と評価されている作品はその辺りの問題をデリケートに扱っており、決して公的動機が私的動機よりも優れているという描き方をしていない。
だから「戦士たちがどのような動機で戦っているのか?」という内面的な心理描写の部分でのみ判断し、その外側にある実態まで含めて総合的な判断・評価をしようとしないのだ。

さて、ここで質問。「地球の平和を守るため」という動機は果たして公的動機か?それとも、私的動機か?

この問いに対して、きちんと戦隊シリーズを深くまで見ている人はあっさりどちらかを選ぶなんてことをしない、何故ならば作品によって描き方が違うからである。
「地球の平和を守る」は一見公的動機のようだが、その地球の平和を守る為に卑劣な手段を厭わず世の犯罪者たちを次々と殺した場合それは立派だと言えるのだろうか?
歴史上でいえば、例えばナチスドイツのヒトラーはユダヤ人大量虐殺というとんでもないことをしでかしたが、その動機は国民の安全と平和を守るためであった。
やった結果は今見直すと完全に悪者扱いだが、少なくとも当時のドイツにとってヒトラーという存在はとんでもない影響力とカリスマ性を持った英雄だったのである。

いや、もしかするとそのヒトラーの抱えていた国民の安全と平和は公的動機ではなく、もしかすると私的動機であったかもしれない。
このことは奇しくも現在配信中の「仮面ライダー龍騎」がそのテーマと取り組んでおり、主人公の城戸真司は「ライダーバトルを止めるため」という利他的な目的で動いている。
だが、真司は多くの私的動機という名のエゴを抱えたライダーたちを見て、自分の戦いの動機が公的動機と言えるほどのものなのかを最後の最後まで葛藤・苦悩する。
いやもしかたら、自分もまた公的動機と思い込んでいるだけで実際のところはそれ自体もまた私的動機なのかもしれないという矛盾と向き合うのだ。

個人的な目的のために動いているから私的動機、組織や仲間たちのために動いているから公的動機という一面的なもので片付く問題ではないことがここまでの説明でご理解いただけたことだろう。
そこで改めて今回はCO(中央集権型組織)とDAO(分散型自律組織)の基本的な概念を振り返りつつ、それとスーパー戦隊シリーズとの関連性を改めて推察してみたい。

CO(中央集権型組織)


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CO(中央集権型組織)とは「Centralized Organization」の略称上意下達方式で運営されている組織を指し、日本人が想像する「組織」のイメージというとほとんどがこれだ。
代表・トップがわかりやすく存在しているため、下の者たちは基本的に代表となる管理者の許可や指示なくして自主的に動くことは許されていない
例えば何か1つのプロジェクトを立ち上げるでも上意下達方式に上のお伺いを立てて承認を頂いてからでなければ動くことができないのである。
また、組織規模が大きくなればなるほど社員たちの役割は細分化されているため、明確なヒエラルキーが存在しており、そこから逃れることはできない。

メリットとしては「何かトラブルがあっても上の者が責任を持って対処して守ってくれる」「上司に気に入られれば出世できる」「規模の大きい組織だと、外に出た時に信用を得やすい」がある。
一方でデメリットとして「平社員のままだと大きな仕事が来ないのでスキルが身につかない」「上司の許可がいるため意思決定が遅れがち」「代表が威厳を失ってしまうと組織は崩壊する」が挙げられる。
とにかく組織の規律が何にもまして優先されるため、個人が自主的な判断で動く場面がそもそも存在せず、単なる「組織の歯車」でしかないというところであろう。
少なくとも昭和時代まではこの上意下達方式が優先されていたわけであり、どちらかといえば今まではこのスタイルが主流だったのではないだろうか。

DAO(分散型自律組織)


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DAO(分散型自律組織)とは「Decentralized Autonomous Organization」の略称であり、写真で示してあるようにブラックチェーン型の自由度が高い組織のことである。
この組織はCOと違ってトップ・代表となる管理者が存在しないため自主的に判断して動くことが求められ、組織に縛られずにフットワーク軽く動くことが可能になるのだ。
例えば何か大きなプロジェクトや事業をやるにしてもいちいちトップのお伺いを立てることなくその事業に取り組むことができるわけである。
人間関係においてもストレスフリーで出来、個人に割り当てられる仕事の裁量が大きくなるため、スキルを磨く点ではいいかもしれない。

メリットとしては「スキルとモチベーションが高く自立的な人が多い」「情報の自己開示を常に行っているので安心して仕事に取り組める」「人間関係がストレスフリー」である。
一方でデメリットは「重要な決断を迫られた時に共通の了解を得るまでに時間がかかる」「スキルが低い人が集まると組織として崩壊する」「組織が責任を負ってくれない」が挙げられる。
自立した個人事業主の集まりなのでストレスフリーではあるが、一方で自分がやらかした失敗の責任は全て自分で負わなければならず、上司やトップが尻拭いしてくれるわけではない。
また、スキルが低い人同士が集まると「三人寄っても下衆は下衆」になってしまうため、個人の責任の重さがそれだけ厳しいといことを肝に命じておかなければならないだろう。

スーパー戦隊シリーズとCO(中央集権型組織)・DAO(分散型自律組織)の関係性


このように細分化していくと、スーパー戦隊シリーズには公的動機と私的動機が2種類存在するように、組織の種類にもCO(中央集権型組織)とDAO(分散型自律組織)が存在する。
そしてCO(中央集権型組織)の色が強ければ強いほど公的動機、そしてDAO(分散型自律組織)の色が強い程私的動機の割合が高い作品ということになるだろう。
それは具体的にどのようにしてスーパー戦隊シリーズの組織の種類を分類していくかであるが、以前もブログでよく作っていた、縦軸と横軸のポジショニングマップ(分布図)を使うこととする。


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今回のこれはあくまでも暫定版なので決定稿ではなく、あくまでも大雑把にざっくばらんなものとして分類しただけで、実際のところはもっと大幅に違っているだろう。
ではどのようにして分けるかだが、「その組織が公共機関か私設組織か」「司令官の存在がどれほど影響しているか?」「戦いに際してどの程度準備をしていたか?」「正規戦士の割合はどれだけいるか?」だ。
まず1に関しては、例えば昭和時代の「ゴレンジャー」〜「サンバルカン」並びに「チェンジマン」「オーレンジャー」辺りは国際的な公共機関に所属する形を取っていた。
ということはつまり政府から公認されていると見て間違いはないが、これが「ゴーグルファイブ」辺りから政府非公認の私設組織が徐々に増えてくるようになる。

次に2だが、戦いの動機やチームカラーが公的か私的かは戦士たちの上にいる司令官が果たして劇中でどの程度戦士たちに影響を及ぼしているか?である。
政府公認か非公認かというだけではなく、司令官からの許可ありきで動くで動くのか、それとも自立的に動ける組織なのかというところで大きな違いが出るだろう。
3つ目は特に第一話を見ればわかるが、戦いが始まる際に戦士たちがどの程度戦いに備えて戦闘技術を磨き、覚悟を決めているのかのはプロ・アマを分ける上での大きな基準となる。
準備をしていればしているほどプロフェッショナルの色合いが強くなり、素人が偶然に巻き込まれたというタイプの場合はアマチュアの色合いが強い。

そして4つ目だが、歴代戦隊にはプロフェッショナルで構成された戦隊、アマチュアで構成された戦隊、そしてプロとアマの混合戦隊の3種類が存在する。
正規戦士やそれに類する者がいるかどうかも大きいのだが、どうしても判断しにくい場合は真ん中を取っておけば間違いはないだろう。

これらの基準を元に次回はスーパー戦隊シリーズの各作品を改めて数値化し、CO(中央集権型組織)・DAO(分散型自律組織)の関係と分布について見ていくことにする。

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