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フィッシャーズ・ンダホに見る「デブキャラの希少価値」と「キレンジャーの錯誤」

スーパー戦隊シリーズを研究するにあたって現実のチームとはどういうものかを考察する時に、最近話題に上がるのがグループ系YouTuberであることに気づいた。
そこで改めてグループ系YouTuberを現在調べているわけだが、そこでどうしても目立ってくるのがグループでトップクラスの人気を維持しているフィッシャーズである。
以前から知ってはいたが、フィッシャーズというグループは比較的スーパー戦隊シリーズや少年漫画のチームヒーロー(ONE PIECE)に近いカラーであると思う。
が、その中でも個人的に興味深いのはチームのムードメーカーとして人気を博しているデブキャラのンダホであり、彼のような「気は優しい力持ち」は本当に久々に見た。

2ヶ月近く前に上がったヒカル(チームネクステ)との対比も含めて分析されていたが、フィッシャーズが伸び出したタイミングはンダホがキャラ変えした瞬間だという。
確かにフィッシャーズの過去の動画を遡っていくと、初期は典型的な「リーダー・シルクロードと愉快な仲間たち」でしかなく、専らシルクが目立っていた。
他のメンバーはまだキャラや立ち位置を模索中といった感じでキャラがはっきりせず、強いて言えば脱退した元メンバーのダイブーが目立っていたくらいだろうか。
マサイ・モトキ・ンダホは初期の頃かなり後ろ向きで卑屈な感じさえしたわけだが、その中でもンダホは路線がこの2人被って埋もれてしまっていた印象がある。

そんなンダホがデブキャラのムードメーカーに変えてから一気にフィッシャーズは伸び出したらしいが、理由を考えてみるとこれって初代キレンジャーの法則ではないだろうか?
『秘密戦隊ゴレンジャー』は今見直しても相当に個性豊かで面白いメンバーたちが集まった作品だが、わけても人気の理由の1つに初代キレンジャー・大岩大太の存在がある。
カレーを食う陽気なデブのムードメーカーというのはそれだけで1つのステータスとなりうるものであるが、デブキャラだから成功するのかというとそうではない。
初代キレンジャー・大岩大太が成功したのは演じる畠山麦自体が相当に個性的な人間だったからであり、いじられもできるバランサーのデブは中々いそうでいないのである。

実際「ゴレンジャー」という作品では役者の仕事の都合で別のメンバーに一時的に交代したわけだが、この2代目キレンジャーはデブキャラの癖に全然キャラ立ちしていなかった。
何故ならば2代目はシリアスというか真面目過ぎるキャラだったからであり、真面目な仕事人はリーダーの海城剛とサブリーダーの新命明の2TOPで事足りている。
ここで明確になるのはキレンジャーの価値は「デブキャラ」ではなく「ムードメーカー」であることに気づかされるが、ンダホがデブキャラで成功したのはここであった。
ンダホがメインを張るほどに目立ち始めたのは「デブキャラ」だからではなく「ムードメーカー」だからであり、これがフィッシャーズという組織の色とも合っていたのだろう。

実際に他のグループ系YouTuberを見てみてもンダホの存在感は唯一無二であり、東海オンエアにしてもアバンティーズにしてもチームネクステにしてもンダホのようなキャラはいない
また、ここ最近凄まじい勢いで伸びているコムドットや48などの新世代のグループ系YouTuberでも、やはりンダホのようなデブのムードメーカータイプはいないのだ。
これは何故なのかというのを考えてみたわけだが、通常ならば「デブ」というのはコンプレックスとなりうる要素であり、世間一般のイメージはマイナスでしかない。
実際にデブであることをマイナスにしてネガティブな方向で共感を集めていたのが女性YouTuberのエミリンであり、彼女はデブかつブスであることに相当なコンプレックスを感じていた。

そう、デブとは本来消極的な印象に映ってしまうはずなのだが、ンダホの凄いところはそのデブを積極的・前向きな方向に活用しているところである。
ましてやフィッシャーズという組織自体も決して「イケメン」で売っているわけではなく、葛飾区という東京の下町で育ったやんちゃな江戸っ子の感じが魅力なのだ。
フィッシャーズにキャッチコピーをつけるとするならば「溢れる男子校ムード」なのだが、他のグループ系YouTuberと比べても非常に活発で男臭く泥臭いイメージがある。
美男美女がステータスとされがちな中で「イケメンじゃなくても人気を取ることができる」ということを証明してみせたのがフィッシャーズというグループだったのではないか。

東海オンエアも個性的ではあるがやはりどこかスマートでクールな感じがあるし、ボンボンTVはリーダーのよっち以外がほぼ女性なので、男子校というよりも女子校の日常に近い。
コムドットにしても48にしてもフィッシャーズほど泥臭くやんちゃな感じはなく、どこか爽やかで洗練されている印象があるためフィッシャーズのような汗臭さはないだろう。
そう考えるとフィッシャーズというグループは小さい頃からの幼馴染がそのまま仕事仲間になったという経緯も含めて他にないチームカラーの組織だと言える。
友達と仕事仲間は普通両立しない二律背反の要素であるが、フィッシャーズは違和感なくその両立をこなしているのだから非常に興味深い。

話をンダホに戻して、ンダホを見ていると「キレンジャーの錯誤」という言葉を久々に思い出したわけだが、戦隊ファンならば誰しもがこの言葉をご存知だろう。
「キレンジャーの錯誤」とは戦隊シリーズのイエローはカレーが大好きなデブのムードメーカーであるというのが「伝統」「お約束」であるという思い込みだ。
これはつまり実際にはほとんど継承されていないものをお約束だと勘違いしてしまうことなのだが、ンダホなんかも正にその典型ではないだろうか。
歴代戦隊で「デブ」の系譜自体がそもそも4人しかいない(初代キレンジャー・2代目キレンジャー・ゴーグルイエロー・イエローオウル)し、ましてやカレー好きとなると初代キレンジャーだけだ。

スーパー戦隊のイエローという色は女性が演じることも多いし、ムードメーカーでないタイプのシリアスキャラもいるわけだが、何故かそのような記号的なお約束が存在するという思い込みがある。
まあ流石にンダホを見て「自分もンダホのようになりたい!」と憧れたり真似したりする人はいないだろうが、グループ系YouTuberでンダホのようなキャラをやれば成功するという事例はほとんどない。
それに本人も言っていたが、元々このようなキャラをやりたくてやったのではなく、他のメンバーとの被りを避け差別化を図るためにこのデブキャラに変えたわけだから、要はイメージ戦略である。
何故ならばイケメンキャラは既にサブリーダーのマサイがいるわけだし、真面目なサポート役という点ではモトキがいるためその立ち位置に行くことも出来なかったのだろう。

また、もう脱退してしまったが一風変わった個性派のぺけたんにグループの影の実力者であるダーマ、そしてダンサーと両立した異色の存在であるザカオ……どれもンダホにないものだ。
スーパー戦隊シリーズのことを考えてみる時に、他のチームヒーローや現実のグループを比較してみるのも幅が出てきて面白いのかもしれない。
それを感じさせてくれたのがフィッシャーズのンダホだったわけだが、ンダホを見ていると本当に昔懐かしいキレンジャーの香りが漂う。

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