共創と思索の学び環境を整備 令和10年開校、滋賀県立高専の基本設計まとまる

滋賀県立高専のキャンパス全景イメージ。隣接する国有地には「MIZBEステーション」が整備される(県提供)
滋賀県立高専のキャンパス全景イメージ。隣接する国有地には「MIZBEステーション」が整備される(県提供)

野洲市で令和10年4月の新設・開校を目指す県内初の県立高等専門学校(高専)の基本設計がまとまった。3階建ての校舎棟の中央部には学生と教員が共創する交流スペースとして、吹き抜けの大空間を配置。図書交流・食堂売店棟は企業や地域との共同研究や発表の場を備え、三上山や野洲川の雄大な景観が広がる屋外テラスは「思索にふける空間」を想定している。

図書交流・食堂売店棟の外観イメージ。企業や地域住民との交流や思索の空間を提供する(滋賀県提供)
図書交流・食堂売店棟の外観イメージ。企業や地域住民との交流や思索の空間を提供する(滋賀県提供)

コンセプトは「現代的・実質的・コンパクト」で「地域に溶け込み、地域から誇りと愛着を持たれるキャンパス」。基本設計によると、用地の総面積は約4万9500平方メートルで、このうち約1万1600平方メートルは現状の森林を残す。

敷地の中心に位置する校舎棟には4つの専門コース(情報系、電気電子系、機械系、建設・環境系)ごとにグループワークが可能な「コモンスペース」を配置し、実践的な学習を促す。

自然に囲まれた図書交流・食堂売店棟の1階は食事スペースやホール、創作工房などを配置して企業や地域住民との共同活用ができる「交流エリア」に。2階は図書館の両サイドに屋外テラスが広がる「サイレントエリア」とし、思索にふける空間を提供する。

敷地内には実習工場・実験室棟や体育館、学生寮を配置し、隣接する国有地に国土交通省と野洲市が整備する「MIZBEステーション」のグラウンドを高専の学生も利用する。

県立大学(彦根市)内に事務局を置く高専開設準備局によると、高専は全国に58校(国立51校、公立3校、私立4校)あるが寮を前提とした学校が多く、最寄りのJR野洲駅から徒歩約17分の県立高専は大阪方面からも「通える高専」としてPRするという。

同局の担当者は「実践的な学びができ、かつ専門分野以外にも広げて学べる環境づくりを実現させる。人材育成への県内企業の期待は非常に高い」と話している。

施設整備費は約152億円で、物価高騰などで昨年7月の試算から約14億円増加した。用地造成費などを含む全体の整備費は約178億円を見込む。

県は令和4年9月、建設場所を野洲市市三宅の「旧野洲川」に決定。昨年9月に初代校長に内定した京都大学名誉教授の北村隆行氏は「知行合一のエンジニアを育む」との教育方針を示した。

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