信じてはいけない水分補給の6大誤解、「1日2L」や「コーヒーやお茶はNG」ほか
誤解2:喉の渇きは水分補給のサイン
「喉(のど)の渇きは確かに参考になるサインですが、実際には『今の状態』を示すリアルタイムの指標というより、遅れて点灯する警告灯のようなものです。例えるなら、車の燃料残量表示のEマークが点いたときのようなものです」と、バジリアン氏は説明する。 「喉が渇いたと感じたときには、すでに水分補給のタイミングを少し過ぎている状態」だという。この傾向は特に高齢者に当てはまる。加齢とともに喉の渇きを感じるメカニズムが鈍くなるため、脱水のリスクが高くなる。 どの年代であっても、体内の水分がわずか1~2%失われるだけで、「身体能力や認知機能に悪影響を及ぼすおそれがあります」とコーエン氏は指摘する。男子大学生を対象とした2019年の研究では、軽度の脱水状態が活力や気分、短期記憶、注意力に悪影響を与えることが確認された。幸い、水分を補給することで、疲労感や気分、反応時間、思考力は速やかに回復した。 コーエン氏によれば、脱水状態を判断する上でより確かな目安となるのは、トイレに行く頻度だという。「起きている時間帯には、2~3時間おきに排尿があるのが理想的です」と氏は語る。 その際、尿の色にも注目するべきだ。透明~薄い黄色であれば、水分が足りているサインだ。もし蛍光のような鮮やかな黄色だったとしても、慌てる必要はない。特定の薬やサプリメントの影響でそうなることもある、とコーエン氏は説明する。
誤解3:飲み物でしか水分補給はできない
体に取り入れる水分のうち、約20%は果物や野菜、スープ、シチューなど、水分を多く含む食品から摂取されているとバジリアン氏は指摘する(編注:「日本人の食事摂取基準(2025年版)」には、日本人では食物由来が51%だとする報告が紹介されている)。 スイカ、キュウリ、トマト、ベリー類、ブドウ、葉物野菜といった夏の定番食材は、いずれも優れた水分源だ。スムージーやガスパチョのような冷製スープなどもよい。
誤解4:一度にがぶ飲みすれば水分を保てる
意外かもしれないが、体が排出できる量を超えて水分を摂取すると、水分過剰の状態に陥ることがある。これは「低ナトリウム血症」と呼ばれる状態で、体内の水分が多すぎてナトリウム濃度が危険なほど低下し、吐き気や頭痛、錯乱、筋力の低下などの症状を引き起こす。重症の場合には、けいれん発作を伴うこともある。 「まれではありますが、持久系のアスリートには見られることがあります」とバジリアン氏は語る。とはいえ、誰もが気をつけるべきことだ。水分を一度に大量に取りすぎず、必要な量を補給し、同時にナトリウム(塩分)も適切に摂取するようにしよう。 基本的には、一度に大量の水を飲むのではなく、一日を通して水分をこまめに摂取するほうが効果的だ。「そうすることで吸収もよくなり、体が水をより効果的に活用できます」とバジリアン氏は説明する。 「水分摂取を習慣づけるには、スマートフォンにリマインダーを設定して1時間おきに少しずつ飲むようにしたり、時間の目盛りが付いたウォーターボトルを使って摂取量のペースを管理したりするとよいでしょう」