運転免許更新講習の講師が突然、心肺停止 偶然居合わせた医師と看護師、受講中に救命
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5月末、兵庫県明石市荷山町の明石運転免許更新センターで、講話中の男性講師が突然意識を失い、心肺停止となった。受講生として偶然居合わせた医師と看護師が素早い救命措置を行い、男性は後遺症もなく退院したという。明石市消防局は6日、2人に感謝状を贈った。(森 信弘) 【写真】AEDがおもちゃに!楽しく学ぶ“救命スキル” 発売1週間で完売「トイこころ」開発者が込めた思いとは 県立西宮病院乳腺外科の医師、曽山みさをさん(37)=西宮市=と、神戸市西区にある特別養護老人ホームに勤務する看護師の一杉浩さん(65)=同区。2人は5月29日午後、同センターで免許更新の講習を受けていた。 講習の中で、DVDの視聴が始まる前だった。立っていた講師の男性(67)が突然言葉に詰まり、倒れ込むように前の机にあごを打った後、後ろに倒れそうになった。最前列にいた曽山さんと4列目の一杉さんがとっさに駆け寄って男性を支え、他の受講生と一緒に床に寝かせた。 しかし男性は心肺停止状態で、呼吸をしていない。曽山さんは、自動体外式除細動器(AED)を持ってくることや119番通報を大声で周囲に指示すると、自身は心臓マッサージを始めた。一杉さんは近くにあった座布団を頭の下に入れ、気道を確保した。 すぐに同センターにあったAEDが届き、使用すると男性に自己心拍と自発呼吸が戻った。男性は除細動が有効なタイプの不整脈だったことも幸運だった。約7分後には救急車も到着。素早く搬送できるよう、曽山さんは受講者らに荷物をまとめたり通路を空けたりするよう呼びかけた。 「一人の人間として必死だった。普通に出勤した人がこのまま家族と会えなくなったら、と思うと怖かった」と曽山さん。「周囲と一つになって救命できたのがうれしい。『医者で良かった』と、これからの励みになった」と話す。 一杉さんは翌日、男性の妻から感謝の電話を受け、泣きそうになった。「身内が助かったような気持ちで、ほっとした。あの時、よくすぐに動けたなと思う。仕事以外で感謝状をもらうことなどないので、両親に喜んでもらえれば」としみじみ語った。
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